【中学生区分】 ◆佳作 中岡 円(なかおか まどか)

自分らしく生きる
中岡 円 (阿波市立阿波中学校 1年 徳島県)

みなさんは、「吃音症」についてどのような考えをお持ちですか?私は、自分が吃音症なので、そのせいで嫌な思いをすることが多々あります。だから、周りの人から見て、自分はどのように思われているのだろうと、いつも考えながら過ごしています。学校生活の中で、周りの人から何も言われないことはなく、吃音症を理解していないので、よく私に尋ねてきます。そんな生活をしている中で、私にとって一生忘れられないであろう出来事がありました。
 小学四年生のとき、いつも通り朝の会をしていた時のことです。私の学校では、朝の会で一人ずつあいさつをするというのが決まりで、私はこのあいさつでよくどもってしまうので、この時間があまり好きではありませんでした。だから、その日も、どもりたくないなと思っていました。ですが、案の定、皆の前でどもってしまいました。いつもであれば、どもるだけですむのですが、その日はいつもと違ってしばらく声が出なくて、息も荒くなり始めました。その時、周囲の人の目は冷たく、イライラした悪意すら感じさせるものでした。私はそれを見て、胸が張り裂けそうになりました。最後には先生がみかねて、私のことをとばして次の子で終わらせました。朝の会が終わったとき、周りの人が私のことを馬鹿にしてきました。その中でも一番私の心に刺さった言葉は、
「お前、いつも変な話し方しているもんな。」という言葉です。その言葉を聞いて、やはり、私は周りの人から変なんだと思われていることを知りました。私が一番恐れていたことです。
 暗い気持ちで毎日を過ごしていたある日、あるテレビ番組を見つけました。そのテレビ番組は「吃音症」を取り上げていました。最初は、興味本位で見ていたけれど、私はいつの間にか食いいるように見ていました。テレビで取り上げられた人は吃音症で、話すたびにどもったり、同じ言葉を繰り返して言っていたりしていました。しかし、その人はそんなことを恥ずかしがることなく、気にせずに、笑顔で話していました。その様子に、私が今まで吃音症で悩んでいたことが、全部吹っ飛んでいきました。こんなことで、恥ずかしがって悩むことはないと気づかされました。
 私は、テレビ番組で出ていた人のように、自分が吃音症でも、前を向いて自分らしく生きていけるような人になりたいと思いました。自分のことは、周りの人に決めつけられて悲しむのではなく、自分で生き方を決められるようにしたいです。吃音症、それは少数派であまり知られていない病気です。けれども、少数派の人が傷つけられない社会にしていきたいです。そして、私自身が自分を恥じることがない、強い人間になりたいです。