【小学生区分】 ◆佳作 三浦 優
笑顔から得られるもの
三浦 優 (青山学院初等部 6年 東京都)
私の学校では、試験休みに選考された希望者が滋賀県東近江市にある止揚学園に行きます。昨年私は止揚学園に行ってみようと決意し、本当に沢山のことを学びました。
止揚学園は障がい児のための家として一九六二年に福井達雨さんによって作られました。今は大人になった障がいのある方ない方みんなの家になっています。私はそれを事前授業で知りました。発達障がい知的障がいについても初めてちゃんと意味が分かりました。私や私の周りの人はみな「普通」に生活できていますが、そうでない人たちのことも知ろうと出発に向けて思いました。
どきどきの一日目、新幹線で東京から能登川駅に着きました。
「よく来たねえ。」
と言いながらお迎えに園から何人か来てくださいました。私はもういきなりかつみさんという明るくて元気でよくしゃべる人に手をにぎられました。この時私は驚きました。普段急に手をにぎられることなんてないからです。でも一度冷静になって考えてみると、知らない小学生と仲良くしたくて手を握ったのかな、と思いました。手がずっと温かく、心もずっと温かったです。歩いて見えた止揚学園はきれいで、ほとんどの色は赤や黄などの分かりやすい色でした。そして、建物は清潔で廊下はぴかぴかでした。なぜそんなにきれいなのかは夕食の後に分かりました。それは毎日ぞうきんがけをしているからです。タイルになっているお風呂もそうじしました。生活するとき気持ちよく過ごすためにはこのようなそうじも必要なのだと分かりました。
二日目の午後、仲間たちと運動会をしました。止揚学園では障がい者を障がい者と呼ばず、「仲間」と呼んでいます。そこも止揚学園のいいところだと思います。運動会でしたポッチャン大会はボッチャのような競技で、ボールを真ん中の大きいボールに近づけた人の勝ちです。大きいボールをコイ、投げるボールをえさとして、コイにえさを一番近くにあげられた人の勝ちと分かりやすいように言ってくれました。私は止揚学園のはやとさんときよみさんと一回ずつチャレンジしました。二人とも全然コイに近くありませんでしたがにこにこですごく嬉しそうに笑っていて、私たちも一緒に笑いました。成功しても失敗しても笑い合えるのはいつも笑顔な仲間たちのおかげだと思います。笑顔を絶やさずに過ごすと人生は幸せだな、と思いました。
安土城跡に登った一日遠足では仲間たちの感情表現が少し分かりました。感情を表に出して楽しんでいることがよく伝わる人もいれば、あまり伝わってこない人もいました。人によって得意不得意があるのでその違いを認め合えるような世界になってほしいです。
最終日になってしまうともうあっという間でした。前日に見た美しい滋賀県にいたかったし、何より止揚学園の仲間たちと別れることがさびしかったです。帰る前に全員と握手をしました。握手をしていると出発するのがさらにさびしくなっていました。
「また来てね。」
と言ってくれたのと仲間たちがいてくれたことでまた会おうと思いながら別れることができました。全員でお見送りをしてくれてうれしかったです。みんな笑って幸せそうでした。私はその光景を見て、私も見習って笑顔で過ごそうと思いました。
私は今年も止揚学園へ訪れて学びたいと思い応募し、選んでもらえました。去年は多くのことを学べました。今年はさらによく体感したり考えたり楽しんだりしてより多くのものを得たいです。仲間たちの沢山の優しさ、明るさを知ったので世界中の他の人にも心を込めて行動し、笑顔でいながら優しくしていきたいです。