【中学生区分】 ◆佳作 足立 安優(あだち あゆ)

「言葉ではなく心で」
足立 安優 (高松市立木太中学校 3年 香川県)

私は、クラス替えで初めて身体障がいのある女の子と同じクラスになった。別のクラスだったときには、昼休みなどに友達と楽しそうに関わっている彼女を見かけることはあったが、彼女自身の苦労や周囲のサポートは何も見えていなかった。私は、ほんの一部の表面しか見ていなかったことに気づかされた。
 クラス替え初日。出席番号順の座席だったが、私の前に彼女がいた。驚きを隠せなかった。どう接したらいいのだろうと不安になった。担任の先生から、クラス全員に、彼女についてお話があった。「彼女は言葉を話せないから、タブレットを使って意思表示をするので知っておいてね。」と。その後、不安そうな顔の私は、別の先生から、「いろいろと戸惑うことがあると思うけど、よろしくね。」と声をかけられた。ますます不安が強くなり、プレッシャーを感じた。
 そして、すぐに私は困ってしまった。彼女の思いをうまくくみ取れない。どうしよう。正確に言えば、彼女は私の言葉をおおむね理解してくれているのに、私が彼女の伝えたいことを理解するのが難しいのだ。会話がなかなか成立せず、どう接したらよいか、全くわからなかった。
 そのような中、彼女が意思表示に使っているタブレットを目にすることになり、とても工夫されているタブレット画面に目を見張った。先生方の顔写真、体調を表すイラスト、定型文。最初に担任の先生がおっしゃった「タブレットを使って意思表示をする」という意味がよくわかった。そして、このタブレットを見て、私の不安も少し解消された。また、移動は車椅子で、常に先生方が寄り添っている。給食は、外部スタッフの方のサポートにより、教室で一緒に食べる。衝撃的だった。これまで様々な工夫をして生活をしてきた彼女の気持ちを考えると、とても胸が締め付けられた。同時に、彼女の生きる力強さを感じた。
 総合学習の班活動の際、彼女と一緒に修学旅行のホテルについて、パソコンで調べる機会があった。言葉を使っての会話はやはり難しかったが、タブレット以外にも、彼女は指を使ったり、うなずいたり、首を横に振ったりしながら意思表示をしてくれた。彼女と心と心で通じ合えたと実感できたことがうれしかった。
 彼女はみんなと同じように行事にも参加している。沖縄への修学旅行では、二泊三日を共に過ごし、運動会やプールの授業にも参加した。サポートが大変なこともあるが、いつも前向きな彼女の姿を見て学ぶことも多い。彼女と一緒に沢山の思い出を作ることができてとても良かったと感じている。
 中学生の私たちは、毎日が挑戦、そして成長の日々である。辛いことや嫌なこと、うまくいかないことは誰にでもある。彼女にだって沢山あるはずなのに、笑顔を絶やさず、苦を全く感じさせない彼女は、私と比較にならないほどの強い心をもっている、素敵な十五歳だ。私は彼女を尊敬する。彼女と出会って、私の心は本当に成長できたと思う。
 あと半年余りで私たちは中学校を卒業するが、心が通じ合えば会話ができるということを教えてくれたかけがえのない友と、残り少ない中学校生活を楽しく過ごしたいと思う。