【中学生区分】 ◆佳作 市川 いろは(いちかわ いろは)

世界一大嫌いで宇宙一大好き
市川 いろは (太田市立東中学校 1年 群馬県)

「なんてかわいいんだろう。」
 弟に始めてあったとき、すぐにそう感じた。これから姉になるワクワクと期待で胸がいっぱいだった。
 ずっと大好きでいられる。そう思っていた。
 弟がうまれてから数年、だんだん私の弟とまわりの子たちとの違いに気づきはじめた。 なにかが違う。なにが違うの?そんな疑問に苛立ちを覚えた。
 何日経ってもその思いが変わることはなかった。逆に悪化していくだけ。最初はあんなに大好きだったのに、今では大嫌いになっていた。
 普通じゃないから。みんなと少し違っているから。理由はたったそれだった。
 口をきく回数、いっしょに遊ぶ回数などは、だんだん減っていくだけだった。いつしか私の中にあった弟への「大嫌い」は「無関心」へと変わりつつあった。
 そんな日が続いていたある日、母から弟は発達障害が少しあることを知らされた。
 おどろいた。とても。発達特性というものについても、弟がそれを少しもっているということについても。
 ひとまず自分の頭の中を整理しようと思って、発達特性について調らべてみようとした。
 でも、調べたあとの自分がどう思うか想像できなくてやめた。
 勇気をだして母に聞いてみた。母がいうには、「発達障害ではないが、特性はある人」のことをさすらしい。
 私はどうしたらいいのかわからなかった。なにか特別な対応をしたほうがいいのか、それとも今のままでいいのか。
 父と母は弟のためにできることを一生懸命に頑張ってやっていた。それは親なのだから当たり前とも思う。でも、その両親の行動は私の中のモヤモヤを大きくしていった。
 考えて、考えて、考えつづけてみた結果、私が弟のためにできることを1つみつけることができた。それは、「普通に接する」ということだ。ただ、普通に話して、普通に遊んで、普通に関わる。これが私が弟のためにできる行動だと気づいた。
 弟が、自分に少し発達特性があると知ってまわりに人一倍迷惑をかけていると思いこんで、自分のことが嫌いになっても、私がただ「私の弟」として接することで、少しでも、少しでもいいから「みんなと同じ」という気持ちを感じていてほしいと思ったからだ。
 弟への関わり方を改めてから、私は弟のことがだんだん好きへともどっていった。同じゲームをして盛り上がっているとき、弟がとつぜんボケて、それに対して私がツッコンで二人で笑っているとき、ケンカをしても、気づいたら仲直りしているとき、こんなことが続くたび、私の弟がこいつでよかったとしみじみと感じている。
 私は今の弟が大好だ。
 この経験を通して私は、相手の立場になって考えてることの大切さ、相手と自分の感じ方の違いなど、様々なことを学ぶことができた。この学びは弟がいたからこそ得ることができた。弟には感謝しかない。
 今でも弟とはよく話すし、いっしょにゲームをしたりもする。弟が何かできるようになったら自分のことのように喜べる。でも、ケンカをしたら、お互い会話なんて絶対しないし、目も合わせない。だから、私は弟のことが世界一大嫌いで宇宙一大好きだ。