【小学生区分】 ◆佳作 加邊 誠一郎
手話とふれあって
加邊 誠一郎 (横浜市立綱島東小学校 4年生 横浜市)
ダムダムダム、バスケットボールのはねる音が体育館にひびく。今日、ここに集まっている人たちは、この音も聞こえないのか。とぼくは不思議な気持ちになった。
ぼくの妹は耳が聞こえない。だから、人工内耳を付けていて、ろう学校に通っている。そして、今日は、聴覚障害者が集まってバスケの練習をする日だ。ぼくも一緒に練習に参加することにした。
ふだんぼくは、妹が聴覚障害で耳が聞こえないことは気にしていなかった。妹が人工内耳をつけていれば、音が聞こえて会話することが出来るからだ。ぼくは友達と話すのと同じ様に声で話していたし、なにも気にせずに一緒に遊んでいた。ただ、お風呂やねる時は妹が人工内耳を外すので、ほんの少し知っている手話を使っていた。でも、ぼくはあまり手話を使いたいとは思っていなかった。
前に妹のろう学校について行った時、手話で話しかけられた。けれど、分からなくて、なんだか恥ずかしい気持ちになった。テレビで手話の番組を見た時も、“手の動きがふくざつで大変そうだな。”と思い、きょう味が持てなかった。妹とお母さんは、時々手話を使っていたけれど、ぼくには必要ないと思っていた。
そんなぼくが、聴覚障害の人達のバスケ会に参加した。正直、手話のできないぼくが、みんなと会話できるのか不安だった。ふんい気も何だかちがう。みんな声で話さないから、話し声が聞こえなくて、ボールのはねる音しかしなかった。
ろう者のコーチが、床を足でドンドンとふみつけてしん動を伝えた。それでみんなを集めて練習が始まった。やっぱりコーチの指示も手話だし、みんな手話で会話していた。ぼくは、みんなが何を言っているのか分からなくて、ひとりぼっちな気持ちだった。
コーチの手話の指示が分からなかったので、周りの子の動きを見ながら、なんとか練習に参加した。そんなぼくにみんなは、指さしやジェスチャーで練習内容をやさしく教えてくれた。ぼくもだんだんなれてきて、自分からも、ジェスチャーで伝えてみたり、みんなの表情をよく見て、何を伝えようとしているのか読み取ろうとがんばった。すると、みんながもっといっぱい話しかけてくれて、ぼくのさみしい気持ちや不安は消えていた。
試合の時、Sくんが
「シュートを一緒に決めにいこう。」
と手話で言ってきた。ぼくは“シュート”と “一緒” “やる”の手話を知っていたから、
「いいよ。」
と手話で返した。そして二人でシュートを決めれた。一緒にシュートを決めれたこと、そして、声で話すのとは少しちがうけれど、みんなと手話で話せてうれしかった。
ぼくは、このバスケ会から、少し手話にきょう味を持った。手話が出来れば、みんなと通じ合えて、もっとバスケも楽しめただろう。だから、もう少し手話を学びたいと思った。
妹の人工内耳のことも、バスケ会をきっかけにお母さんと話した。お母さんから
「人工内耳をしていても、聞こえづらくて困る場はたくさんあるんだよ。だから手話を使っているんだよ。」
と聞いた。ぼくも手話の人々の中に入ると、みんなの言っていることが分からなくてさみしかった。もしかしたら妹も、そんな事があるのかもしれない。だから、妹と話す時は、バスケの時にやったように、ジェスチャーを付けたり、相手の顔を見て表情を見せ合ったり、口を大きく動かして分かりやすく話してみようと思った。そして、手話の勉強をがんばって、手話で妹と会話することが目標だ。
でも、正直手話は、なかなかむずかしそうだから、まずは指文字の勉強から始めてみよう。