【中学生区分】 ◆優秀賞 美貴 優里(みき ゆうり)

支え合いの温かさ
美貴 優里(純心中学校 3年 長崎県)

「どうして来たの?」
 その一言が、私にとって大きな違和感でした。私が通っていた小学校には特別支援学級があり、特性のある子は通常学級と支援学級の両方に所属していました。ある日、その子が通常学級に来たとき、友達が嫌そうな顔で言ったのがこの言葉でした。
 その出来事をきっかけに、インクルーシブに疑問を持つようになりました。そして、「もっと特性のある子のことを知りたい」という気持ちが芽生え、次第に将来の夢は支援学級の先生になることへと変わっていきました。
 中学生になり、職場訪問で小学校に訪れたとき、先生から直接お話を伺いました。特性のある子に教育者としてどのような支援や働きかけをしているのかを真剣に語ってくださり、障害に対する社会の考え方が変わりつつあることも知りました。その経験を通して、私の夢はさらに確かなものになっていきました。
 そして、今年の夏休み、私は放課後等デイサービスで四日間、特性のある子どもたちと生活をともにしました。そこは知的障害や発達障害、自閉症など内面的なハンディキャップを持つ子が通う小さな施設でした。二歳から小学生高学年までの子供と、カードゲームやアイロンビーズなどを通して一日中関わりました。
 特に印象に残ったのは人生ゲームでのお金のやり取りです。私は「特性のある子は学習が遅れていることが多い」という先入観を持っていました。しかし実際には、銀行係を積極的に務めたり、複雑な両替を難なくこなしたりする姿があり、そのイメージは大きく覆されました。先生に聞いてみると、「子どものうちは見守ってくれる人が多いが、大人になるとそうはいかない。特性があるとさらにこれから大変なことがたくさんある。だからこそ、自分で選択し、自分で行動する力を育てることが大切だ」と教えてくださりました。デイサービスがただの預かり場所ではなく、一人ひとりにあった教育を行い、将来の自立につなげる場であることを強く実感しました。
 私も先生の姿勢を意識し、子どもに「何をしたい?」と聞いたり、選択肢を示したりして、自分で考え選ぶ機会を尊重しました。しかし、振り返ると大きな反省点がありました。それは最後まで任せきれなかったことです。工作をするとき、時間がかかる子に「代わりにしようか?」と声をかけてしまったのです。本来なら完成まで見守り、達成感を味わわせることが大切でした。手助けは一見優しさに見えますが、それが必ずしも相手のためになるとは限らないと気づき、深く反省しました。
 また、先生の紹介でペアレントメンターの方にお話を伺いました。自分の子どもの特性や子育てでの苦労、そして「学校やデイサービス、病院が真剣に自分の子供に向き合ってくれた」という思いを聞き、「教育」は先生だけでなく、家庭や地域、さまざまな人の思いで成り立っているのだと実感しました。
 今回の活動を通して、私は「教育とは何か」を考えることができました。授業がある学校だけでなく、デイサービスでも一人ひとりにあった学びや支援が行われ、家庭でも保護者が子どもの一番の応援団長として見守っている。教育は、多くの人が関わり、心を寄せ合うことで成り立つのだと気づきました。
 私は今回の研修で、教育に関わる人々の思いや繋がりを通して「心の輪の広がり」を間近に感じました。そしてその輪の中に、将来は自分も加わりたいと強く思いました。もちろん反省点もあります。だからこそ今後は教育について学ぶだけでなく、自分自身を見つめ直すことも大切にしていきたいと思います。これからも私自身も周囲の人々に見守られ、支えられながら、努力をし、心の輪を広げていきたいです。