新しい障害者基本計画に関する懇談会(第6回)議事録

1.日時
平成14年11月6日(水) 10:00~12:00

2.場所
中央合同庁舎第4号館 共用第1特別会議室

3.出席者

江崎政策統括官
大前大臣官房審議官
吉冨参事官
秋山 哲男 東京都立大学大学院都市科学研究科教授
安藤 豊喜 (財)全日本ろうあ連盟理事長
池末 亨 (財)全国精神障害者家族会連合会常務理事
雄谷 助成 (財)日本知的障害者福祉協会会長
鹿島 晴雄 慶應義塾大学医学部教授(日本精神神経学会理事)
河端 静子 日本障害者協議会代表
座長 京極 高宣 日本社会事業大学学長
兒玉 明 (福)日本身体障害者団体連合会会長
笹川 吉彦 (福)日本盲人会連合会会長
潮谷 義子 熊本県知事
竹中 ナミ (福)プロップ・ステーション理事長
比留川 実 (社)電気通信事業者協会専務理事
細村 迪夫 独立行政法人国立特殊教育総合研究所理事長
松尾 宣武 国立成育医療センター総長
松友 了 (福)全日本手をつなぐ育成会常務理事
丸山 一郎 埼玉県立大学保健医療福祉学部社会福祉学科教授
谷中 輝雄 (福)全国精神障害者社会復帰施設協会会長
山内 繁 国立身体障害者リハビリテーションセンター研究所所長

4.議第

  1. 開会
  2. 意見発表
  3. 新障害者基本計画案について
  4. その他
  5. 閉会

5.配付資料

  1. 新障害者基本計画案
  2. 各委員からの意見

6.参考資料

  • 新しい障害者基本計画案の枠組み

午前10時00分開会

○京極座長 定刻になりましたので、これより第6回の障害者基本計画に関する懇談会を開催したいと思います。
 本日は、伊藤委員、北浦委員、君塚委員、紀陸委員、斎藤委員、清野委員、鶴岡委員、松矢委員、村上委員がご都合によりご欠席でございます。9名の欠席ということでございます。なお、細村委員はご都合により中途退席されます。
 いよいよ審議が最終段階に入っていますので、一人一人の発言はなるべく手短にお願いしたいと思います。あとは文書でお願いしたいと思います。
 それでは、議事に入らせていただきます。初めに、事務局から資料についてご説明をいただきます。

○吉冨参事官 それでは、最初に、お配りをしております資料についてご説明をしたいと思います。資料の最後の方に資料番号の付していないものが2つつけてございますが、1つは「懇談会で出された主な意見の概要」というペーパーでございます。これは、これまでこの懇談会で各委員から出されましたご意見につきまして、事務局の方で整理をさせていただいたものでございます。かなり細かく整理をしてございますが、同様の趣旨のご意見につきましてはできるだけ重複を避けるような形で整理をしてございますので、よろしくお願いしたいと思います。
 あともう1つは「『アジア太平洋障害者の十年』最終年ハイレベル政府間会合の結果」ということでございまして、このハイレベル政府間会合につきましては前回の懇談会でもご紹介をいたしましたが、10月25日~28日までの間、滋賀県の大津市で開催をされました。
 参加者につきましては、2にございますように、27カ国地域の128名の代表の方、そのうち閣僚級は9名いらっしゃいまして、そのほかにも、副大臣、次官といったような、非常に高いクラスの参加者がございました。そのほかに、NGOの関係の皆様が 150~ 160名ということで、全体として 353名の参加があったということでございます。今回のハイレベル会合の特徴としましては、こういったNGOの皆さんの非常に多数のご参加をいただいてご意見の交換なりができたということが大変特徴的なことではないかというふうに考えております。
 会合では、初日にホスト国でございます我が国の主席代表の阿南内閣府大臣政務官が議長に選出をされました。会議の前半では、現行十年のレビューをいたしまして、その後、本ハイレベル会合の中心課題でございます「びわこミレニアムフレームワーク」についての全体会合、地域別会合が開催されました。そして、最終日に、インクルーシブでバリアフリーかつ権利に基づく社会の促進を目指しますびわこミレニアムフレームワークが採択をされました。
 なお、参考のところにございますが、このハイレベル会合では、アフガニスタンの大臣が出席をされておりましたが、従来、同国は戦乱の中にあったということで、この十年には参加をしておりませんでした。そういうことで、今回、今後の十年の取り組みにアフガニスタンも参加をするということで、最終日に現行の十年にも参加するという署名式が会場で行われまして、本来これは事務的な署名なのですが、会場の参加者の大変な賞賛の中でこの署名式が行われたということでございます。
 以上、ハイレベル政府間会合の結果について簡単にご報告をさせていただきます。

○京極座長  ありがとうございました。
 次に、お手元の皆様方からのあらかじめの文書でいただいたご意見をお配りしてありますけれども、内容について何か補足することがあればごく簡単にお願いいたしたいと思います。
 いかがでしょうか。
 それでは、きょうは骨子の中身について触れることになりますので、事務局から、前回の骨子案を踏まえて、新障害者基本計画案が提出されております。これはまだ案でございますので、案の段階でマスコミ等で騒いだり何かしたら困るのだけれども、そういう傾向が多少障害者福祉にはあるので、そこは慎重に。この懇談会で案をつくるので、だれがつくるということではないので、そこはよく考えて発言していただきたいと思います。初めにご説明をいただきます。

○吉冨参事官 それでは、新障害者基本計画の全文の案につきましてご説明を申し上げます。
 これまで骨子案という形で、かなり詳細な案につきましてご意見をいただいてきたわけでございまして、今回は、そういうことで全文はかなり長文になるものですから、骨子案と比べて変わった点や重要な点をかいつまんでご説明をしてまいりたいと思います。
 まず、「はじめに」の部分でございますが、ここでは、最初にこれまでの経緯を振り返りますとともに、新計画では新長期計画でのリハビリテーションとノーマライゼーションの理念を継承することを述べております。
 次に、「基本方針」でございますが、最初に計画の理念、考え方といったものを述べまして、横断的視点で障害者施策を推進するに当たりまして各分野共通した視点を述べております。
 次に、「社会のバリアフリー化」の部分では、バリアフリーなまちづくり、そして、バリアフリーについては社会全体での取り組みが重要であることを述べております。
 その次の「利用者本位の支援」では、地域での自立した生活の支援を基本とすること、そして、ライフサイクルの全段階を通じた総合的かつ適切な支援を実施するとの原則を盛り込んでおります。
 次の「障害の特性を踏まえた施策の展開」では、ICFにつきまして、障害の理解や適切な施策推進等の観点から、活用方策を検討するということにしております。
 基本方針の最後の「総合的かつ効果的な施策の推進」では、高齢者など、他の制度との整合性や連携の必要性について述べております。
 次に、「重点的に取り組むべき課題」でございますが、1の(1)で障害の予防について記述をしてございますけれども、ここでは、これまで当懇談会で児童虐待等の社会環境を障害の原因として取り上げる必要があるとのご意見をいただいております。この点につきましては関係省庁とも相談をしたわけでございますが、その結果、児童虐待が児童の障害の原因として無視できなくなっていることにつきまして客観的なデータによって検証する必要があるのではないかと、このようなご指摘がございました。そういうことで、実は当懇談会の君塚委員、きょうはご欠席でございますが、君塚先生の方にもこういった客観的なデータがございませんでしょうかということで現在お尋ねをしているところでございます。そのような客観的な資料を検証した上で、この基本計画で具体的に盛り込むかどうかということを検討したいというふうに考えております。
 次に、2の(2)の「経済自立基盤の強化」のところでは、福祉、医療、教育等、関係分野が連携して働く力の向上を図ることを述べております。
 その次の3の「精神障害者施策の総合的取組み」の部分では、入院医療主体から退院・社会復帰を可能とするためのサービス基盤の整備を掲げてございます。
 以上がいわば総論の部分でございますが、以下、「分野別施策の基本的方向」に沿ってご説明をしてまいります。
 まず、1の「啓発・広報」につきましては、これまで骨子でご説明してきたとおりでございます。やや詳細に書かせていただいております。
 その次の2でございますが、「生活支援」でございますけれども、施策の基本的方向のaの「利用者本位の生活支援体制の整備」でございますが、「身近な相談支援体制の構築」としまして、ケアマネジメント実施体制の整備やケアマネジメント従事者の養成、そして、福祉サービスの情報提供のためのサービス提供事業者の情報のデータベース化、さらに、家族に対する療育方法などの情報提供やカウンセリング等の支援、また、インターネットを利用した相談体制の検討、そして、このページの最後のパラグラフにございますが、難病に関します専門的な相談支援体制の整備などを行うこととしております。
 その次のページをごらんください。ウの「障害者団体や本人活動の支援」でございますが、当事者による会議、当事者による政策決定プロセスへの関与への支援や、障害者ご自身がボランティアとして活動できるよう支援することについて検討をすることとしております。
 その次はbの「在宅サービス等の充実」の部分でございます。在宅サービスの充実としましては、在宅サービスの量的・質的充実に努めること、また、障害特性を理解したホームヘルパーの養成・研修を行うこと、デイサービスセンターや重症心身障害児(者)通園事業についても充実を図ること、こういったことについて取り組んでまいりたいと考えております。
 次の「住居の確保」につきましては、重度障害者などのニーズに応じて利用できるよう、量的・質的充実に努めてまいります。
 その次の「自立及び社会参加の促進」につきましては、当事者による相談活動のさらなる拡充を図ります。また、生活訓練、コミュニケーション手段の確保、移動支援といったような社会参加促進のためのサービスの充実をします。また、先の国会で関連法が成立したことを踏まえまして、身体障害者補助犬の利用を促進してまいります。
 そして、「精神障害者施策の充実」につきましては、ケアマネジメント手法の活用の推進を検討すること、特に条件が整えば退院可能とされる退院・社会復帰を目指すための必要なサービスを整備する、こういったような取り組みをしたいと考えております。また、当事者によります相談活動に取り組む市町村への支援を検討します。
 次は12ページをごらんください。「各種障害への対応」としましては、重度重複障害者の方、高次脳機能障害者、強度行動障害者、こういった方への対応のあり方について検討します。また、難病患者とそのご家族、自閉症などへの取り組みについても検討するということでございます。
 最後の「経済的自立の支援」につきましては、雇用・就労や年金、手当等の給付によりまして、自立した生活を総合的に支援するような検討なり施策を推進してまいります。
 cの「施設サービスの再構築」でございますが、まず、施設等から地域生活への移行の推進につきましては、こういった地域生活への移行がスムーズに行えるようにするための援助技術について検討します。また、これまでの障害者の方は施設で面倒を見ればいいといったような関係者の考え方を改めますために、保護者や市民の理解の促進などを図ることとしております。
 次の「施設のあり方の見直し」につきましては、入所施設は、地域の実情を踏まえまして、真に必要なものに限定するということでございます。また、身近なところに施設を利用できるように、通所施設や分場の整備を図りますとともに、障害種別を越えた相互利用を進めてまいります。また、障害の重度重複化、高齢化に対応した専門的ケア方法の確立、高次脳機能障害、強度行動障害などへの対応へのあり方につきましても検討します。入所施設につきましては、一層の小規模化、個室化を図り、入所者の生活の質の向上に取り組んでまいります。
 その次のdの「障害者スポーツ」につきましては、特に身体障害者や知的障害者に比べまして普及が遅れております精神障害者のスポーツについて、その振興に取り組んでまいります。
 その次のeの「福祉用具」につきましては、先進的な研究開発の推進をいたしますとともに、その成果の普及を図りますために積極的に標準化を進めてまいります。
 fの「サービスの質の向上」につきましては、自己評価を進めますとともに、第三者評価機関などによる客観的なサービス評価の実施につきましても検討をいたします。
 最後のgの「専門職種の養成・確保」につきましては、社会福祉専門職の養成やリハビリテーション関連のパラメディカル、さらにはホームヘルパーなどの質的・量的な充実を図ってまいります。
 次に3の「生活環境」についてでございますが、ここでは、基本方針に防災・防犯対策の推進を掲げて重点的に取り組むことにいたしております。
 まず「施策の基本的方向」のaでございますが、「住宅、建築物のバリアフリー化」につきましては、障害者向け公共賃貸住宅の供給、そして、バリアフリー化された住宅ストックの形成を進めてまいります。また、いわゆるハートビル法や設計者などのためのガイドラインの作成・周知等によりまして、建築物のバリアフリー化を推進いたします。
 また、「公共交通機関、歩行空間等のバリアフリー化」につきましては、いわゆる交通バリアフリー法やガイドライン等によりましてバリアフリー化を推進します。特に一定規模の旅客施設を中心といたしました地区におきましては、旅客施設、道路等のバリアフリー化を重点的、一体的に推進することとしております。さらに、バリアフリー情報の統一的な提供や障害特性に配慮しました情報提供を推進いたします。また、幅の広い歩道の整備等も図ることとしております。
 その次のcの「安全な交通の確保」でございますが、音響信号機等のバリアフリー対応型信号機等の整備や、歩車分離式信号の運用、障害特性に配慮した見やすくわかりやすい標識・表示の整備を図ることとしております。
 次のdの「防災、防犯対策の推進」でございますが、住宅等の防災対策としまして、障害者等の所在の積極的な把握や訪問診断等の防火指導等を推進いたします。また、住宅等におきます障害者の特性に配慮した防災設備の整備充実を図りますとともに、自主防災組織等によります協力体制の確立など、地域における災害対策を推進してまいります。地域防災計画におきましても、自力避難が困難な障害者の皆さんに対します必要な対応をすることとしております。また、緊急通信体制の一層の充実ということで、緊急通報、ファクス、Eメール等による消防、警察への通報体制の整備を図ります。
 最後に「防犯対策」でございますが、ここでも緊急通信体制の充実ということで、緊急通報、ファクス、Eメール等による対応を図ってまいります。
 その次のページでございますが、4の「教育・育成」でございます。
 「施策の基本的方向」といたしまして、「一貫した相談支援体制の整備」としまして、障害のある子供の成長段階に応じまして、関係機関が適切な役割分担のもとに一人一人のニーズに対応して適切な支援を行います個別の支援計画を策定して、効果的な支援を行うということでございます。
 その次の「専門機関の機能の充実と多様化」でございますが、教育・療育機関の機能の充実を図りまして、地域の教育・療育のセンターとしての役割を担うための体制整備を図ることとしております。具体的には、盲・聾・養護学校、さらには療育機関について、それぞれの役割分担に応じた体制整備を図っていくということでございます。
 cの「指導力の向上と研究の推進」につきましては、教員や療育にかかわります専門職員の専門性や指導力の向上を図ってまいります。また、現在、盲・聾・養護学校の学校ごとに特定をされております特殊教育に関します免許制度の改善を図ることとしております。
 その次のdの「社会的及び職業的自立の促進」につきましては、教育、福祉、医療、労働等の幅広い観点から適切な支援を行う個別の支援計画の策定など、障害のある子供一人一人のニーズに応じた支援体制を構築してまいります。生涯学習につきましては、教育・療育機関が生涯学習を支援する機関として位置づけられることになります。
 最後の「施設のバリアフリー化の促進」につきましては、施設のバリアフリー化を推進しますとともに、学習を支援する機器や設備の整備につきましても推進をしてまいります。
 その次は21ページの5の「雇用・就労」でございます。
 「施策の基本的方向」のaの「障害者の雇用の場の拡大」では、障害者雇用率制度を柱とした施策を推進してまいります。その中で、精神障害者につきましては、今後、雇用義務制度の対象とするための検討を進めます。また、採用後に発病した精神障害者につきましては、円滑な職場復帰や雇用の安定のための施策の充実を図ってまいります。除外率制度につきましては、2004年度より段階的に縮小を進めまして、一定の準備期間を置いて廃止を目指すということでございます。
 「障害者の能力・特性に応じた職域の拡大」につきましては、特例子会社制度を積極的に活用しまして、グループ内企業に共通する業務の集中処理などによります障害者雇用の拡大を図りますとともに、グループ企業全体としても雇用を促進してまいります。
 「障害者の働きやすい多様な雇用・就業形態の促進」につきましては、短時間雇用、在宅就業等につきまして、必要な支援、環境づくりに取り組みます。
 その次の「ITを活用した雇用の促進」につきましては、職域の拡大、雇用・就業形態の多様化、職業能力の開発などの面でITを最大限活用することとしております。
 その次の「障害者の雇用・就労を行う事業の活性化」につきましては、官公需におきます障害者多数雇用事業所など、さらに障害者雇用率達成状況への配慮の方法につきまして検討をすることとしております。また、障害者の創業・起業等も支援してまいります。
 bの「総合的な支援施策の推進」につきましては、まず「職業リハビリテーション」につきましては、障害者の職業生活全般にわたり、福祉、教育など、各機関が連携を図りながら施策を推進することとしております。
 その次の「雇用への移行を進める支援策の充実」につきましては、トライアル雇用の活用や授産施設等におきます支援、さらに、盲・聾・養護学校の在学中から卒業後までを通じた支援などによりまして、雇用への移行の促進を図ってまいります。また、障害者が就業する上で必要な各種の資格で不利にならないように、高等教育機関等の試験等で必要な配慮を進めることとしております。
 ウの「障害者の職業能力開発の充実」につきましては、障害者職業能力開発校におきまして、障害の重度化、重複化、障害者の高齢化など、訓練ニーズの多様化に留意しながら、サービス経済化や情報化の進展、また、除外率制度の縮小に伴います雇用ニーズの動向、そういったものを踏まえまして職業訓練を推進するということにしております。また、在職障害者向けの訓練につきましても実施をいたします。さらに、訓練を実施するに際しましては、民間の教育訓練機関、NPO等を活用しました委託訓練を幅広く実施することによりまして、障害者の受講機会の拡大を図ることとしております。
 最後に「雇用の場における障害者の人権の擁護」についても、適切に対応してまいります。
 次は「保健・医療」でございます。
 「障害の原因となる疾病等の予防・治療」につきましては、適切な予防、早期発見、治療の観点から、出生から高齢期に至る健康保持・増進等のため、健康審査などの各種施策を推進することにしております。
 「障害の原因となる疾病等の治療」につきましては、その次のページでございますが、精神疾患や難治性疾患患者に対します治療、保健サービスにつきまして、福祉サービスとの連携を踏まえたサービスの提供体制について検討をし、その充実を図ることにしております。
 bの「障害に対する適切な保健・医療サービスの充実」につきましては、障害の軽減、重度化や二次障害、合併症の防止を図りますとともに、障害者に対します適切な保健サービスを提供するということでございまして、特に小児に対しましては障害に対応した成長・発達を支援することにしております。
 次は28ページにまいりまして、「精神保健・医療施策の推進」につきましては、一般国民の心の健康づくりについても対策を講じてまいります。また、精神障害者に対する保健・医療施策を一層推進してまいります。
 次は29ページのdの「研究開発の推進」でございますが、最新の知見や技術を活用しながら、障害の原因となります疾病等の病因・病態の解明、予防、治療、再生医療等に関します研究開発を推進することにしております。
 次は31ページの「情報・コミュニケーション」の部分をごらんください。
 「情報バリアフリー化の推進」につきましては、障害者にとって使いやすいように配慮した情報通信機器設計の指針などを日本工業標準規格化するということでございますが、それとともに、各省庁、地方公共団体は公共調達におきまして、障害者に配慮した情報通信機器、システムの調達に努力をすることにしております。
 次は「社会参加を支援する情報通信システムの開発・普及」でございますが、障害者の積極的な社会参加を支援する観点から、電子投票の導入など、情報通信システムの開発・普及を促進してまいります。
 その次は32ページの「情報提供の充実」でございますが、聴覚障害者情報提供施設の全都道府県での整備などを促進してまいります。
 最後の「コミュニケーション支援体制の充実」につきましては、各種サービス窓口におきます手話のできる職員の育成・配置を働きかけますとともに、国民の手話に対する理解と協力を促進してまいります。
 その次は33ページをごらんください。「国際協力」でございます。
 「国際的な障害者問題取組みへの参加」ということで、国連や各種の国際的な非政府機関におきます障害者問題につきましての行動計画やガイドラインの作成等の取り組みなどに積極的に参加をするということでございます。
 その次は34ページの「推進体制」でございます。
 まず「重点施策実施計画」としまして、この基本計画の着実な推進を図りますために、具体的な目標、そして、その達成期間を定めました重点施策実施計画を策定・実施をいたします。また、その進捗状況につきましては継続的に調査をして公表いたします。
 その次の「連携・協力の確保」につきましては、政府では障害者施策推進本部を中心としまして、内閣総理大臣のリーダーシップのもとに関係行政機関の間の施策連携を強化いたします。また、地域におきます計画的、総合的な施策の推進を図りますために、市町村計画の策定を支援します。また、全国的に均衡あるサービス水準の実現を図るために、地方公共団体との連携を図りますとともに、地域福祉推進の観点から、障害者関係団体、NPO等の市民団体、事業者団体、地方公共団体との連携・協力を推進する必要があると考えております。  その次の「計画の評価・管理」でございますが、障害者関係団体との意見交換などを通じまして、適切かつ効果的な施策事業を実施してまいります。また、障害者施策推進本部におきまして、計画の推進状況を継続的に点検いたしますとともに、必要に応じて計画を見直す規定を盛り込んでおります。
 計画案全般についてのご説明は以上でございます。

○京極座長 ありがとうございました。
 極めて簡潔にご説明いただきましたので、文面を見ながらご意見をいただきたいと思います。
 ただいまご説明いただきました計画案について、何かご意見があればお願いいたします。具体的にページ数等を、抽象的なことではなくて、いよいよ最終案なので、何ページのどこについてこうだという意見をいただければありがたいと思います。よろしくお願いします。

○潮谷委員 第1点は、障害者に対しての観点というのは非常に整理をされてきたというふうに思いますけれども、障害児(者)を有する家族への視点、これがもう少し付加される必要があるのではないかというふうに感じます。
 それから、3ページでございますけれども、この「社会のバリアフリー化の推進」という大きな見出しがございますが、これが、5ページを送りいただきたいと思いますが、(2)のところに「ユニバーサルデザイン化の促進」という文言がございますが、ユニバーサルデザインの感覚がものづくりに限定されてこの位置に集約されてきておりますけれども、むしろ「社会のユニバーサルデザイン化の推進」という大きな見出しの中でくくっていくということが今後の時代をにらんだときの大変大事な視点ではないかというふうに思います。
 それから、9ページでございます。9ページのところで、アの項目ですけれども、相談窓口がワンストップサービスということをにらみながら運営を総合的に図っていかれるということ、これは大変すばらしい点ではないかというふうに思います。
 それから、9ページの下から3行目のところですけれども、難病にかかわる問題でございますけれども、これを今回の新障害者基本計画案の中で述べられておりますけれども、こういった相談機関ができ上がる、相談体制ができ上がるということは大変大事だというふうに思いますが、しかし、今回の基本計画の中でこれが取り上げられるということにはもう少し背景的な説明をしていただければというふうに思います。
 私ばかりたくさん申し上げてはいけませんので、あとはまた先に進む中で、今伺った中での疑問点を述べさせていただきたいと思います。
 以上です。

○京極座長 ありがとうございました。
 潮谷委員から非常に重要な問題提起がありまして、社会のバリアフリー化と同時に、社会のユニバーサルデザイン化ということで、かなり重要な理念というかそういう問題提起がございました。なお、ユニバーサルデザインについては15ページにも、「生活環境」のところにはユニバーサルデザインは一切入っていないのですが、整合性についてはこれから事務局でも検討していただきまして、むしろ生活環境がユニバーサルデザインということできちんと位置づける必要があるかと思います。
 それでは、引き続き、先に手を挙げた安藤委員。

○安藤委員 安藤です。
 5ページですけれども、2の「活動し参加する基盤の整備」ですけれども、(1)の「自立生活のための地域基盤の整備」、この地域的な基盤の整備は非常に重要です。中心的なテーマとして、住宅、交通、公共施設が挙げられていますけれども、これとあわせて私どもとしては情報・コミュニケーションの基盤整備が非常に必要なんです。住宅、交通、公共施設、情報・コミュニケーションというものを同律に考えられてしかるべきではないかと思うのです。したがって、この5ページの「地域基盤の整備」の中に「情報・コミュニケーション」を入れていただければと思います。それが1点です。
 次に、32ページですけれども、聴覚障害者に対するコミュニケーションの方法についてすばらしい内容でまとめられていると思うのですけれども、ただ、個別的な対応が必要ではないかと思います。ここでは、手話通訳者、要約筆記者、盲ろう通訳者ですけれども、要約筆記者とか盲ろう通訳者の派遣体制の充実というものもこれから整備していかなくてはと思うのですけれども。手話通訳者の派遣については一定のレベルに達しているわけです。この通訳者派遣についてはもう制度的に検討する段階に入ってきています。したがって、手話通訳者派遣については制度的に検討する、要約筆記者とか盲ろう通訳者なんかについては充実の強化に努めるというような区分けというものが必要ではないかと思います。
 以上です。

○京極座長 ありがとうございました。
 次に、秋山委員。

○秋山委員 都立大学の秋山と申します。ちょっと本論に入る前に、ESCAPについて一言だけ申し上げてから入りたいと思いますが。
 ESCAPで、アジアのまちづくりとか交通のことは極めて弱いので、もっと強化をしていただきたい。つまり、専門家の強化がないとアジアが立ち行かないというのが現状としてかなり重要なことだと思います。
 本論に入らせていただきますが、3ページ目のバリアフリー化社会と先ほど潮谷さんがおっしゃったユニバーサルデザインとの関係について一言申し上げておきたいと思います。
 「バリアフリー」というのはアメリカでは使われていません、そして、悪い言葉として位置づけられている、というのをまず基本認識として置いておいていただきたい。つまり、もしこれからアジアを視野に置いて日本のバリアフリーを考えていくときには、アメリカ型でもしアジアに伝わった場合にはおかしな議論になる可能性があるんですね。私自身としては、バリアフリーが拡張したものがユニバーサルデザインであるという言い方を通して、現在の交通バリアフリー法のつじつまを合わせています。というのは、「福祉のまちづくり」という言葉の中に既に「物心両面の実践過程」という東京都が定義したものが入っておりまして、その段階で既にユニバーサルデザインの考え方が福祉のまちづくりの中に入っていました。ですから、日本のはアメリカのバリアフリーとはちょっと違う。アメリカでは「アクセスブル」という言い方をしていますので、この辺の用語の使い方は善本意で少し解釈した上で使い方を考えていただきたいというふうに思います。これが1点目です。
 2点目ですけれども、これは11ページになります。11ページのウの2つ目のパラグラフの3行目に「移動支援といった社会参加促進」というのがありますが、移動支援というのは大きく2つに分かれると思うのですが、室内の移動と屋外といいますか外出の移動とありますが、最も大きな問題は外出の支援だろうと思いますので、この移動支援はどっちを意味しているのか、余りその辺はお茶を濁しておくのか、外出支援が本当に困っていますので、このあたりの領域はもう少し明確に提示しておいた方がよろしいでしょうということです。
 3点目が、「生活環境」のところで、15ページになりますが、ここで施策の方向が幾つか書いてありますが、最初に、1点目としては、aの「住宅、建築物」と「公共交通機関、歩行空間」というふうにばらばらに書いてあるものを、これを連携するという意味の言葉をどこかで書いておいていただきたい、これが1つです。
 2つ目は、bの「公共交通機関、歩行空間等のバリアフリー化」ですが、交通バリアフリー法を今回適用して基本構想をつくってバリアフリー社会になったとしても、地方都市で、かなり寂しい、人口が少ないところはほとんど無力です。したがって、それに対してどうするかの手当は、多分、ST車とかタクシーとか過疎地域のバスだとか、ボランティアを例えば支援してやるソーシャルカースキームという乗用車を活用する方法だとかいろいろあると思うのですが、そのあたりについてほとんどないので、このままこれを見ると地方の障害者については出るなという意味に裏側としては読めますので、その辺は海外から見ると極めて遅れている部分です、そこのところは日本がとても遅れている部分ですので、そこのところは強化して書いていただきたい。これがその中の2点目です。
 その中の3点目はdのところです、防災対策のところですが、防災対策は17ページになります。17ページの中に避難のことまで書いてあるのですが、障害を持つ人の避難の後の生活支援というのは東京の大災害時にはかなり大変なことになります。その生活支援に対してはかなりデータベースを持ったりしないとできないんですね。それからもう1つ、その下に、緊急通報、ファクス、Eメールという、こういう電子機器がほとんど使えない状態に、携帯電話だったらかろうじて使えるかもしれない、そうなったときにはパーソナルなPDAみたいなものを自動車の例えばどこかの部品につなげたりとか、そういうことで結構使える可能性がありますので、これは新しい技術開発に頼らないといけない。このあたりは経済産業省にお願いをしてぜひやるべきだろうと思います。それは、PDA1つ持っていれば、次々自動車がありさえすれば連絡がとれる、そういう極めてローカルなネットワークを組むことが必要ですので、大規模なネットワークを組んでいたらだめですので、このあたりは少しちゃんと書いた方がよろしいでしょうと。これはあくまでも災害時といっても電気が全部通っている状態のことになると思いますので。
 以上です。

○京極座長 ありがとうございました。
 次に、松友委員。

○松友委員 ちょっと基本的なことを3点か4点聞きたいのですが。  まず1つは、このいわゆる案をみだりに公開してはならないということでしたが、内部で検討に入るのはいつの段階でよろしいのか、もうこの段階でいいのか、ちょっと後で。理事会レベルで、今までは全然公開していないのですけれども、それはいいのかどうか。今までの基本骨子ではまだだめだと言われてきたのですが、もうこの段階でいいのかどうか、あるいはもうちょっと待つのか、ちょっと後で教えてください。

○京極座長 ちょっと質問の趣旨がわからないのだけれども。

○松友委員 これはもういいんですか、コピーして会の内部で回して検討をするのは。

○京極座長 何の会ですか。

○松友委員 会というか、下部組織だとか理事会とか。

○京極座長 下部組織というのは何ですか。

○松友委員 下部組織は、うちのは地方組織があります。

○京極座長 松友さんの団体ですね。

○松友委員 もちろん内部です。会の内部組織です。つまり、意見を出すにも、私個人の意見だけではなくて、内部に情報は流さないということでいつも理事会等で指示を受けますので、いつの段階で解禁なのかというのをちょっと。

○吉冨参事官 実は、この一番最初の懇談会の席上で、この懇談会を公開するかどうかといったようなことでご意見がございました。その際、私の方からは、この懇談会につきましては人数も非常に多いと、参加されている委員の皆様も非常に多いということ、あと、相互に忌憚なく意見交換をしていただく必要があるということから、公開はしないわけですが、しかし、それにかえて議事の内容については議事録につきましても完全にテープ起こしをしてできるだけ忠実に、さらに提出をいたしました資料につきましてはすべて公表すると、こういった取り扱いにしたいということで申し上げております。
 そういうことで、私ども内閣府のホームページにはそれぞれの懇談会で議論された内容、議事録、そして、提出資料、これはすべて公表しております。

○松友委員 わかりました。時間をとりまして申しわけありませんでした。
 1ページ目なのですが、いわゆるESCAPでの「びわこミレニアムフレームワーク」のことが書かれておりますが、あの会場の席では、外務省の方だと思うのですが、これを基本計画に取り入れていくと明確に発言されて我々は感動したのですが、ここの表現では、単に採択されたという客観報道だけなんですね。この趣旨というものを取り入れるのかどうかというあたりは重要なことではないかというのが1つの意見でして、ぜひ取り入れてほしいというのが1つです。
 2つ目は、これは後ろの医療の方で、29~30ページに至るところで、研究等の促進は大変大賛成ですが、こういう科学研究の際、欧米等では必ずエシィックスというか倫理という問題が同時に研究されているわけですので、ちょっとその面の研究も、いわゆる技術研究だけではなくて、その面の研究が同時に必要なのではないかというのが2点目です。
 以上です。

○京極座長 ありがとうございました。
 次に、山内委員。

○山内委員 山内でございます。
 まず、14ページになりますが、福祉用具の標準化によって普及を図るというのは大変結構なのですが、ただ普及ではなくて、安全かつ適切にするためのさまざまな施策が必要なのでありまして、その辺までもう少し丁寧に書いておいていただけるともう少し説得力があるかなという感じがします。全体としては非常によくわかるしよいと思うのですが、その辺はもう少しめりはりをつけていただければと思います。
 次に15ページでありますが、今さっきの秋山委員の考え方は私も全く賛成でありまして、私はあるところで聞いてびっくりしたのですが、この問題は高齢者のためのバリアフリーを議論しているので、障害者のためのバリアフリーを議論しているのではないという意見をおっしゃった方がどこか別の会議でいるのですが、ユニバーサルデザインという形でくくっておくとそういう話は恐らく出ないのではないかと思いますので、ぜひここのところはユニバーサルデザインという形で十分にくくれるようにしていただければと思います。
 それから、31ページでありますが、情報・コミュニケーション、これは非常に大切であります。これはどう書けばいいのかというのは私はよくわからないのですが、実は、今、我々の情報環境は物すごく急速な勢いで進歩しております。2年先に何が起こるか実はわからないと思うんですね。ここの書き方で十分にそれの対応ができるかどうかということについて多少気になりますものですから、これはこれでよいとして、プランの方ではしょっちゅう見直しができるような体制をぜひとも整えていただきたいと思います。
 それからもう1つ、31ページに「ガイド71」の話が書いてあります。これはとても大切なことなので、情報の問題だけではなくて、実はあらゆるプロダクツ、あらゆる製品の中でこのガイド71がなるべく生かせるような方向に持っていっていただくことが大切だと思いますので、どうせガイド71を書くのだったら情報に限定しない形でどこかに書き込んでいただけると非常にありがたいかなというふうに思いました。
 最後にもう1つだけ、33ページであります。「国際協力」の中で、ここに書いてあるのは大切なのですが、全体のコンテクストから見ると、このままだと日本がアジア太平洋に貢献するということが基本的な流れになってしまっているという感じがします。このところ、最近は、研究開発分野では欧米と共同で一緒にやりましょうという話が随分持ち上がっておりますので、この「国際協力」の中に、情報交換、指導者の養成に加えて、研究開発分野でも国際協力ができるというようなそういうものを書き加えていただけると、少なくともここ十年間の間にはさまざまな共同研究が進むと思いますので、よろしいかというふうに思います。
 以上であります。

○京極座長 ありがとうございました。
 ここは、内閣府の、特に経済産業省の役割についてもう少し加えた方がいいと私も思っておりまして、それにつきましてはまた別途個別のご意見を申し上げたいと思っております。
 それでは、谷中委員。

○谷中委員 全体的には、ノーマライゼーションそのものの具現化ということについては網羅的に書き込まれたというふうに一応評価いたしますが、ただ、ちょっと気になることが幾つかあります。
 1つは、9ページの「生活支援」のところにのみ触れてみますと、いろいろなことが並べて書き立てられているのですが、やはり時代の大きな節目ということでは、例えば施設から地域へという転換であるとか、専門家から利用者主導型への転換であるとか、行政サービスプラス地域住民主体型で、これ自体がまちの活性化やまちづくりというふうに大きな転換を読み取れるのですけれども、単なる外国のノーマライゼーションというものを日本的に移し変える作業ではなくて、どうやらこのあたりで日本的なまちづくり政策イコール福祉というようなことをもう少しどこか、総論的なことになるのかもしれませんが、少しそのあたりが大きな今回のポイントではなかろうかと感じている点が1点。
 それから、これはここに書き込まれることかどうかわかりませんが、この生活支援を実際に3障害統合でケアマネを導入するに際して、だれがどういうふうにするのか、展開するのかという具体的なものはここから外してさらに次なるときに検討されるのかと思いますが、やはり重要なことは、国が何をするのか、都道府県は何をするのか、市町村は何をするのか、特に市町村に求められていることが大変大きいわけです、市町村中心に展開していくことが必要であるということが大きな施策の転換なわけです。ならば、市町村をどうやって国と県が支援するのかというようなことの具体的な方策がここに書き込まれていませんと、これは単にいろいろなことの羅列で終わってしまって、現場では、すなわち市町村ではこれをもってこの方向に定めた動きがなかなかできづらいような感じがいたします。その点についてはここにそういうものをうたうのか、それとも、これは総論的なもので、具体的に予算並びに各実際の施策はそれぞれの関係省庁に落として検討していただくのか、その辺についてはここの書き込み方が違ってくるように思いますが、その点が気になる点でございます。
 以上です。

○京極座長 ありがとうございました。
 国、都道府県、市町村の役割はすべての施策にあるわけなので、推進体制の一番最後のDのあたりに少し書けばよろしいかと思いますけれども、それを各項目ずつに書いて、しかも規制緩和の時代で、地方分権の時代で、この懇談会で市町村はこうしろということを書くのは市町村の主体性を妨げることにもなり兼ねないので、そこは慎重にひとつ表現を選ぶべきだと思います。
 丸山委員、お願いします。

○丸山委員 総論的にこの検討の中で非常に強調されたのは、障害を持った人の権利の問題であったと思います。そして、今度の「びわこミレニアムフレームワーク」も障害を持つ人の権利に基づいた社会というのを強調しておりまして、それに日本政府も賛成してこれを実施することを誓ったわけですが、そういう意味ではこの権利についての書き方が少し柔らかいといいましょうか、ずばりと書いていなくて、非常に歯がゆい思いがいたします。
 それで、具体的にそういう意味で一番強調されたのが、精神障害を持った方が地域で住むことは権利であるということを認めてほしいという強い要請がありました。そういう意味では、11ページの「精神障害者施策の充実」の中に、1行目ですが、「精神障害者ができる限り地域で生活できるようにするため」というこういう書き方ではなくて、ぜひここで重要な書き方にしていただきたいと思うのですが、「精神障害者が地域で生活する権利が守られるように支援するため」、ここをぜひ直していただきたいと思います。それによってこの計画が初めて新しい計画になると思います。今まで非常に新しいことを議論していましたけれども、正直言って、インパクトのある新しい施策は出ていないと。これは非常に重要なことで、ノーマライゼーションを強調する中で一番の課題である精神障害を持った人に地域生活が実現できるかどうかというのは今計画の一番重要なポイントだと思いますので、この書き方をぜひ「精神障害者が地域で生活する権利が守られるようにするための支援」という書き方にしていただきたいと思います。
 それからもう1つ権利の問題で、非常に議論になりましたが、ここには書いておりませんけれども、国連で今検討が始まりました権利条約の問題ですが、33ページに、国連での検討の中に行動計画のガイドラインの作成ということで、ある意味でこの権利条約を避けた形で書いておりますので、権利条約に賛成するかどうかということについては政府はなかなかまだ今は決定できないような状況であるということはよく理解できましたが、これに対して積極的に参加するというような、取り組みに参加するということでは問題ないと思いますので、ここで「国連の各種の障害者問題についての権利条約の検討」という項目を入れていただければ、これに対して賛成するも賛成しないも、積極的に取り組むという姿勢を出すべきではないかと思いますけれども。
 その2点です。

○京極座長 ありがとうございました。
 全体として、これは障害者福祉に限りませんけれども、社会福祉界というか社会福祉学界というのかはわかりませんが、人権と権利の概念的な混同が多々見られまして、人権というのはもう消すことのできない権利でありまして当たり前のことなのですけれども、諸権利というのはそれぞれ個別の権利がありますので。例えば25ページのところでエというのがありますけれども、別に雇用の場における障害者の人権の擁護ではなくて、障害者であろうと何だろうと人権擁護をしなければいけないので、権利の擁護と人権擁護の概念的な混同が多々見られるので、これは別に事務局が間違ったというのではなくて、皆様方の発言をただ事務局が入れたのでそうなってしまったのですけれども、そこはきちんと分けて、人権の擁護と諸権利の擁護は違いますので、そこは少し整理して、今、丸山委員のおっしゃったようなことを積極的に組み込みたいと思いますので、よろしくお願いします。
 では、兒玉委員。

○兒玉委員 ページ5でございます。「IT革命への対応」というところでございますが、実際問題といたしまして、私の協会といたしましても障害者のITのいろいろな問題につきましてはその普及並びに省から講習会というようなことをやっておるのでございます。しかしながら、この「IT革命への対応」というこの取り組みの中で、やはり1つの提案といたしまして、私どもの協会におきましては、福祉機器センター及び障害者ICT情報通信技術センターの機能を含んだ大きな1つの情報センターをつくってほしい。例えば、これは仮の名称でございますが、全日本障害者センター、そういうようなものを大阪の堺市のピックアイと同じように東京にもぜひ障害者の拠点となるようなところを1つつくってほしい、そういうようなことを一応考えております。ぜひこの辺も、確かに障害者が働く能力を引き出す、経済的自立を促すという効果を本当にこのITによって1つの革命が起きるのではないかと思うぐらい、雇用問題などにも続いて活用していけたらと思っております。ぜひこの辺をお考えいただきたい、そういうふうに思っております。
 それから、ページ9でございますが、身体障害者の相談員、身体ばかりでなく障害者相談員の身近な障害者に対する相談支援体制を構築しようというようなことが書いてございますが、地域の障害者の名簿を公開してほしいということを何回もいろいろなところにお願いはしているのでございますが、なかなかプライバシーとかいろいろございまして、幾ら地域の障害者を相談員が早くしようと思っても名簿の公開を阻止されております。この辺につきましてはぜひ議員立法でも何でも結構ですが、法律をつくって相談員に名簿の公開をしてくれと、開示をせよというようなことの方向づけをお願いしたい、そういうふうに思っております。
 それから、ページ12でございますが、障害者の経済的自立の支援ということでございますが、果たして自立できる障害者が年金をもらっているかということになりますと、現在のところ、やっとの生活を維持しているというようなことでございますので、年金などの自立できる年金を確保してもらいたい、そういうようなことを考えております。
 それから、ページ13でございますが、最近はスポーツということが非常に盛んになっておりますが、日本障害者スポーツ協会の中に果たして当事者の理事が何人入っているか、こういうようなことも私どもはいつも不思議に思っております。日本障害者スポーツ協会というようなものがありながら、障害者の運動に対して、スポーツに対しての認識が何か上層部だけでごちょごちょごちょとやっていて当事者が入っていない、そういうふうなことについて何とかこの障害者の当事者自体を障害別に入れてほしい。それで、障害者の特性に合ったスポーツというものを真剣に考えてほしい、そういうふうに思っております。
 以上でございます。

○京極座長 ありがとうございました。
 では、河端委員はいつも発言が長いので、短くお願いします。

○河端委員 わかりました。  1ページの、先ほど松友委員からの、「びわこミレニアムフレームワーク」が採択されたということですけれども、採択されただけではなくて、やはりこれに向けて取り組むということをお願いしたいと思います。
 次に、4ページですけれども、先ほど、総合的、効果的な施策の推進ということで、高齢者対策と関連性を持たせてというのですけれども、どういう関連を持たせるのか。例えば、今、障害者手帳を持っている人は、65歳以上の人は55%以上なんです。だとすると、それをどういうふうに高齢者と組み合わせるのかということが予算面において、地方の予算面においてもそうですが、地方だって高齢者の予算と障害者の予算は全然違うんですよね、予算規模が。ですから、その場合、高齢者の障害者に対してはどれだけのことを障害者対策の中で入れるかということをもう少しきちんとやっていただきたいなと思います。
 その次は、18ページの「教育」ですけれども、非常に全般的によくこの案ができておりまして、私たちが希望しているところも大体取り入れていただきましてうれしく思っております。今、教育の面では、子供の、乳幼児とか、あるいは周産期医療とか、そういう問題はよく出ているのですけれども、いわゆる思春期の子供たちの医療と教育をどうするかということがちょっと欠けているような感じがいたしますので、この辺を取り入れていただきたいと思います。
 あとは、34ページの、基本的な問題になりますが、やはり推進体制の中で先ほど丸山委員から出ておりました障害者の権利条約を積極的に進めていただきたいということが1つの希望です。それからもう1つ、障害者基本計画の見直しをどういうふうになさるのか、見直しをするのかしないのか、そういう問題が全然ここにはふれておらず、これから検討するのだと思うのですけれども、それがどういうふうに行われているのか、その基本計画の中で、都道府県までは義務化されておりますけれども、市町村は努力義務になっております、その努力義務であるがために地域の市町村の窓口ではいろいろな施策が大変ばらばらになっていますので、その辺をうまくご指導していただけるように基本計画の見直しを一応していただきたいということ。
 それからもう1つは、やはり地域の中で重度の--これは9ページになるかもしれませんけれども、基本計画の中に入るのですが、結局、総合福祉法ということを我々は提案しておりますが、地域で生きるには地域で本当に重度の全く働けない人たちをどういう形で保護していくのか、それが見当たらないんですね。ですから、こういうふうにしたら重度の障害者も何とか生きていけるというような。年金だって重度の人たちはちょっとこれでは不足ですから生活できません、生活保護ということであれば、またこれは問題ですけれども、その辺のところも含め、これで重度の人は大丈夫だよというようなそういう指針をどこかにきちんと出していただきたいなというふうに思います。
 以上です。

○京極座長 ありがとうございました。
 松尾委員。

○松尾委員 この計画案の作成についてご努力をいただきました事務局に敬意を表したいと思います。
 2つお願いがありますけれども、1つは、この文章の中にカタカナ英語が非常に目立つのですけれども、これをぜひ普通の日本語に置きかえていただきたいということが第1点です。
 第2点は、秋山先生が先ほどおっしゃいましたが、ノーマライゼーションとかバリアフリーとかユニバーサルデザインというような非常に重要な概念用語につきまして、日本語といいますか、ごく普通の言葉をぜひお考えいただいて、バリアフリーというのはマイナスのイメージのある言葉だというふうに今初めて伺いましたけれども、ジェンダーフリーという言葉も非常に社会的に混乱を起こしている用語でございまして、ぜひくだけた日本語を使っていただきたいということを要望します。

○京極座長 ほかにどうでしょうか。
 鹿島委員。

○鹿島委員 27ページのウの「正しい知識の普及等」の2行目に「その予防や治療が可能なものに関しては」と書いてありますが、確かに完全な治療法がまだない場合がございますが、それでも何らかの治療という働きかけを必ず行っておりますので、この「可能なもの」というのは必要ないのではないでしょうか。つまり、文章としては、例えば「外傷等については、その予防や治療に関して」でいいのではないかということで、この「可能なもの」というのは要らないのではないでしょうか。

○京極座長 どうでしょうか。

○細村委員 18ページから「教育・育成」について述べられておりますが、よくまとめられているところもあります。現在、世界の障害児の教育の考え方は、スペインのサラマンカ宣言で特別なニーズ教育という考え方が提唱されまして、この基本計画の文面も基本はそうなっておりますので結構だと思います。
 それから、もう1点は別のことなのですが、先ほどバリアフリーということをユニバーサルデザインに変えたらというようなそんなニュアンスの発言がありましたが、バリアフリーの中にはいわゆる心のバリアフリーというような、かなり精神的、心理的なものにも使われておりますので、ユニバーサルデザインというのは私のイメージでは物理的な面が強調されているような、物理的環境、そんなイメージがありますので、すぐに置きかえられるものかどうか、ちょっと私は疑義がございます。
 以上です。

○京極座長 ありがとうございました。
 ちょっとユニバーサルデザインとバリアフリーデザインということの関係について、理論的にももうちょっと整理して提示できるようにしたいと思います。
 ほかにどうでしょうか。  では、比留川委員。

○比留川委員 障害者対策は何と言っても自立、社会参画、自己実現、あるいは地域のネットワークといったことがキーワードになるわけですけれども、それらがバランスよく盛り込まれているなという全体的な印象でありますけれども。
 あと、個別にちょっと、12ページのところなのですが、一番下の「施設のあり方の見直し」のところで、「真に必要なものに限定する」とありますが、これはこの間ちょっとテレビを見ていて思ったのですが、いろいろな家庭の事情で施設に入れなければならないと、ところが、施設に入ると非常に、施設そのものに問題があって、かえってその人の自立とか能力が萎縮してしまうと、ところが別のところに行ったところ非常に生き生きとしたという話が出ていましたけれども、ちょっと上のところに、「『障害者は施設』という認識を改める」とあるのですけれども、施設でも入れなければならない事情がある場合に、その施設がやはり自立を助けるような施設、自己実現ができるようなそういう施設にするということが必要なのではないかなといったことをちょっと思います。
 それから、29ページのところなのですけれども、「精神疾患の」というところへ戻りますが、よく社会的に精神疾患の方のいろいろな加害行為があったときに、入退院を繰り返しているとかというようなことがよく背景で言われますけれども、その場合、非常に精神障害者全体に対する偏見を助長したり、いろいろな、もちろんその家族も含めて、悪いことのようになるわけですけれども、ぜひここのところはやはり家族とか地域の病院とかに任せるということではなくて、もう少し本当に必要な治療が行われるような、そして、そういった人が社会に放置されていてそういう加害行為にならないような、そういうような観点の措置というのをこの「心神喪失等の状態で重大な……」というこの2行のところにちょっと盛り込む必要があるのではないかなというふうに思います。
 それから、先ほどちょっとバリアフリーの話が出ていましたけれども、電気通信の方では、これは障害者、高齢者に対するバリアフリー化の取り組みとして、電気通信サービスを提供する関係団体とか、あるいは障害者の人とか、あるいはそういう人たちが集まって電気通信アクセス協議会というのもつくってやっているわけですが、その中では障害者などの電気通信アクセスビリティー、いわゆるアクセスが可能になるようなそういうための指針とかそういったものを--指針そのものは総務省でつくられているわけですけれども、そういった指針に沿ったものになるようにいろいろ障害者の意見を聞きながら取り組んでいるということで、アクセスビリティーというようなことで、それがちょうどバリアフリーに当たる言葉かなというふうに思ってやっております。
 以上です。

○京極座長 ありがとうございました。
 潮谷委員。

○潮谷委員 11ページでございます。「住居の確保」の問題のところで、これは15ページとも関連はいたしますけれども、この11ページのところに公的住宅の問題に触れる必要があるのではないかというふうに思います。
 それから、12ページです。今、比留川委員がお触れになりましたけれども、この「障害者は施設」という認識についてですけれども、ここのフレーズの前に、地域福祉の観点から、この項目をやはり整理していくべきではないかと思います。在宅で暮らすということ、施設で暮らすということ、それは個人の選択の中であるべき姿だというふうに思いますので、地域福祉ということに触れなければ、この「『障害者は施設』という認識を改めるため、保護者、関係者及び市民の理解を促進する」というこういうフレーズになりますと、施設に入っている者があたかもスティグマというような印象になりかねないと思います。そして、同時に、ここのところは施設の質の向上に触れていくことが欠いてはならない視点ではないかと思います。
 それから、同じページの中の「自閉症・発達障害支援センター」、これは全国で現在8カ所しかございませんので、もしこういった形で将来展望を図っていくといたしますならば、質的・量的な確保ということが前提の中で問われてくるというふうに思います。
 ページ15ページでございます。ここのところで、「住宅、建築物のバリアフリー化の推進」というところに、これは設計図の段階から当事者参加ということがなされていきませんと、実はでき上がったところで当事者を参加させて事足りる、あるいは手直しをするということに現状はなり過ぎておりますので、どこかの形の中で、配慮規定の中でも、一文言あればというふうに思います。
 18ページでございます。ここは文言の整理をしていく必要があろうかと思います。「児童生徒」という表現、もう1つは「子ども」という表現、2つの表現の中でなされておりますので、文言の整理が必要ではないかと思います。
 以上でございます。

○京極座長 ありがとうございました。
 座長は余り発言してはいけないと思っているのですけれども、12ページのカの「経済的自立の支援」というのは、在宅の障害者だけが問題ではないので、この生活支援の1つの柱として経済的自立の支援というのを入れて在宅も施設も含めて考えると。いずれ施設の入所者も相当お金を払わなければいけない時代も来るかもしれませんので、施設はタダだという考え方は、雄谷委員にも発言していただきますけれども、まずいのではないかなと思いますし、そのあたりをちょっと整理して。確かに地域福祉計画は来年から実行するので、障害者計画に何も「地域福祉」という言葉がないと、「生活支援」という言葉で「福祉」という言葉を取ったことでそういうことになってしまったのですけれども、これは社会・援護局との調整でひとつまた恐らく表現その他についてももう少し変わっていくと思いますので、またご意見をいただきたいと思います。
 それでは、雄谷委員。

○雄谷委員 4ページの「広域的かつ計画的観点からの施策の推進」、この中の「相談支援」ということになろうかと思うのですが、この部分に「市町村障害者協議会の委員からの意見」というのにありますが、市町村障害者協議会設置の義務化という、これをぜひ何かの格好で義務的に入れていただければ、障害者計画が全国の現在の段階では半分ぐらいしか設定されていないという状況なんかを鑑みますと、義務化すれば計画もつくらざるを得ないというそういう部分といわゆる相談支援の部分で、施設利用者、関係者が意見を申し上げる機会がぜひあればいいなというふうに思います。
 以上です。

○京極座長 なお、ここには「社会福祉協議会」という言葉も余り出てこないのですけれども、市町村の社会福祉協議会で地域福祉活動計画をつくるとかそういう状況の中で、障害者問題はややもしますと障害者の数が少ないからいろいろとつくらないということもありますので、その調整をひとつ考えて今のご提言については検討を続けていただきたいと思っております。
 ほかに、まだ発言されていない方を優先して。
 竹中委員。

○竹中委員 全体で、バリアフリーのところで、「ユニバーサルデザイン」という言葉の方がよいのではというご意見は私も賛同します。  それから、12ページの「『障害者は施設』という認識を改めるため」というところなのですが、今、潮谷さんもおっしゃいましたけれども、施設というのがあくまで閉じられた、隔離された場所になっていることが大きな問題点だと思っています。プロップ・ステーションでも施設の中の実際にプロップの仕事をする中心的なスタッフもおりまして、きちんと施設が社会化し、その人がそこで働ける状況をつくることができるという現実もありますので、こういうふうに言い切るというよりは、むしろ、施設がどんどん社会化されていく、あるいは開放されていくところで生活、働く場になるというような表現が適切なのかなというふうに感じます。
 それから、21ページからの「雇用・就労」のところなのですが、障害者雇用率制度を柱として、これが最も重要な制度で政策の根幹であるというところは私は否定はしません。ただ、ここに新たに、「雇用」だけではなくて、「・就労」ということも入り、なおかつIT等も入ったというのは大変私もうれしく思っているのですが、23ページのオのところで「障害者の雇用・就労を行う事業の活性化」というところで、「官公需における障害者多数雇用事業所等及び障害者雇用率達成状況への配慮の方法について検討する」ということですが、これだけではなくて、せっかくここまでのところで、在宅就労などについても、多様な働き方についても書き込まれたわけですから、この「障害者雇用率達成状況及び」その上の段にあります「在宅就労を行う障害者への仕事の発注状況等の配慮について検討する」というようなことで、つまり、企業や自治体から、在宅障害者に、在宅ワークをする人たちに仕事が出ていくようなインセンティブを与えるような一言がここへぜひ入るべきではないかしらというふうに思います。

○京極座長 ありがとうございました。
 ほかにどうでしょうか。
 では、笹川委員、お願いします。

○笹川委員 私ども視覚障害者の場合は、何ページのどこなんて言えと言われてもできませんので、最初からもうそれでショックなのですけれども。ちょっとページはわかりませんから、見ていただければと思います。
 「雇用・就労」のところですけれども、「就労」という表現が非常にあいまいだと思います。雇用に対しては自営だと思うんですよね、職業的には自営。特に重度の障害者はほとんど自営です、通勤その他の問題があって自営がほとんどです。その辺はやはり明確に、「就労」というような表現ではなくて、「自営」という形にしていただきたい。
 それから、盲・聾・養護学校の教育、職業訓練等については詳しく書いてありますけれども、今一番視覚障害者で問題になっているのは、中途の視覚障害者に対する対策です。これはほかの障害の場合も当然そうだと思います。したがって、中途障害者の職業リハビリについてはもう少しきちんと書く必要があるのではないかというふうに思っています。
 それから、国際協力の点なのですけれども、これはこの前の「アジア太平洋障害者の十年」の国際フォーラムでも非常にほかの国々から求められたことですけれども、日本にぜひこのアジア太平洋地域でのリーダーになってほしいと。そういうことからしますと、この国際協力の表現では極めて不十分だと思います。私もこの7月、8月の国連のいわゆる権利条約の傍聴に行きましたけれども、非常にアジア太平洋地域は遅れている、その責任は日本にも多分にあるというふうに感じました。この辺はぜひもう少し肉づけをしっかりしていただきたいということです。
 それから、先ほど来から見直しの問題が出ておりますけれども、もうまさに今は日進月歩です。もう極端なことを言いますと、この著作権の問題そのものもすぐにも手をつけなければならないような問題です。したがって、見直しということをはっきりこの計画の中で打ち出しておいていただきたい。
 それから、この懇談会の冒頭で福田官房長官が申されました、数値目標を立てて具体的に推進をすると。その数値目標というのがどこでどう表現されるのか、ちょっとその辺がこの中からは読み取れないのですけれども、その辺はどうお考えになっているのか。
 なお、何ページの何行ということについては、私どもはまた改めて提出をさせていただくようにしたいというふうに思います。

○京極座長 これは事務局からお答えしてもいいのですけれども、官房長官もよくわからないところもあるかも知れないので間違ったことも言うかもしれないのですけれども、障害者の基本計画と障害者プランが混同されている向きがありまして、障害者プランは5年計画、5プラス5年で、具体的な数値目標はなしと、これは厚生労働省の所管でやるということで、内閣府の新しい障害者基本計画はあくまでも10年の全体戦略で、個々の数字は出さないけれども、全省庁が取り組むべき課題として提示される、その区別が十分に官房長官はもしかしたら間違っていたかもしれないので、官房長官の言うことが全部正しいとは限らないので、たしか読み上げていましたので、わかっていないことが多いのではないかと思うので、後で官房長官に聞いてみますけれども、そこは事務局から伺いましょう。

○吉冨参事官 数値目標の設定につきましては、懇談会の席上、官房長官がごあいさつの中で触れたかもしれませんが、要は、障害者基本計画につきましては障害者基本法に基づいて作成されるものであるということが1点でございまして、そして、その策定につきましては閣議決定という手続きを経ることになります。その閣議決定にかける障害者基本計画の案を内閣府が作成すると、その作成につきましては関係者のご意見を聞いたり、あるいは関係省庁との調整を経て閣議決定をすると、こういう手続きをとることになるわけです。
 あと、障害者プランにつきましては、これは障害者施策推進本部で決定をします。これは現行のプランもそうですが、障害者施策推進本部は内閣に置かれた関係省庁の連携のための組織でございまして、内閣総理大臣が本部長、そして、副本部長が官房長官でございます、その庶務を内閣府が担当するというようなことになっておりまして、この障害者プランにつきましては5年の計画、前期5年間の重点施策実施計画ということで位置づけております。そして、そのプランの中でできるだけ具体的な目標を設定すると、その中で数値目標につきましてもできるだけ掲げるようにすると、これが方針でございます。これも障害者施策推進本部でこのような方針を去る2月に決定しておるところでございまして、このプランにつきましては本部に設置をしました関係省庁からなります検討チームで現在作業を進めております。
 以上でございます。

○京極座長 私もちょっと不正確なことを言いましたので。
 ほかにどうでしょうか。

○秋山委員 細かいことですが、15、16ページのところなのですが、15ページのbの最後の方に、cの直前のパラグラフですけれども、「道路の移動円滑化に関するガイドライン等を整備し、幅の広い歩道の整備や歩行者のための高度道路交通システム(ITS)の研究開発等を通じてバリアフリーな歩行空間ネットワークの形成を図る」というのは、cの方に置いた方がよろしいのではないかという、この辺の切り分けが1つ。それから、cの方はローテクの方、安全な交通確保の方はローテクな方、音響信号でバリアフリーを対応するというのと高度情報を通してやるというのと、高度情報化、ITSを将来的にやるのか、それとも音響信号をやるのかがよくわからないんですね、両方併存でいくのか。この辺はもう少し書きようがあるだろうと。だから、現在ある既存の機器を有効に使いながらも将来はITSにスイッチしていくというような書き方をするならそれでよろしいし、書きぶりがちょっとよくわからないのでもうちょっとちゃんと書いていただきたいと。

○京極座長 ありがとうございました。
 ほかにどうでしょうか。  松友委員。

○松友委員 2点ありますが、1点は、潮谷委員からもしばしば言っていただいておりまして大変ありがたく思っておりますが、いわゆる障害者本人の評価、その参加というのがこの間アジアでも強調されている、これはすばらしいことだと思いますけれども、我々発達障害等々から見ますと、家族支援といいますか、そういう意味では、ページとしましては、3ページのいわゆる「利用者本位の支援」なのか、あるいは10ページの「権利擁護の推進」はちょっと違うかなと思うのですが、このあたりで家族支援の強化ということと、もう1つは、従来から言っております扶養問題についての--扶養義務制度と言うといろいろ議論があるようですが、この問題についての検討といいますか、新しい家族制度の検討というのも変ですけれども、いわゆる大人になっていく自立に当たってのこの大きな問題を、どうするというのを決めることはありませんが、やはり何らかの形で議論を始めるということが1つ必要かなというのが第1点です。
 もう1つは、先ほど兒玉委員からご指摘がありました、いわゆる情報センターの形のセンター的な集まりの場所が必要なのではないかということに対しての私の同意というか大変賛成するのですが、私の視点は10ページの「障害者団体や本人活動の支援」、この障害者団体、当事者団体、家族団体とも、これがESCAPのフレームワークでは、優先順位は別ですけれども、1つの項目で挙がっていたぐらいで、いわゆる具体的な政策決定のプロセスの関与とか、このあたりも大変大事なのですが、1つは、中央レベルの当事者団体のいわゆるセンターといいますか、NGOセンターというか、そういう機能を持つような中央の1つの場所が必要なのではないかと。昨日、私は高松に行ってきましたが、香川県も立派なのをつくっていますし、各県そういうNGOが集まって、当事者が集まって力を合わせて社会の1つの機能を果たしております。ちょっとそういうことを兒玉委員の提案に加えて、同じことだと思うのですが、ぜひ検討を何か書き込んでいただけないかと。
 この2点であります。

○京極座長 池末委員。

○池末委員 6ページ3で、特に項を立てて「精神障害者施策の総合的な取組み」ということがうたわれていて、その後でも全部で10カ所ぐらい精神の問題については触れていただいていて、他障害に比べて非常に遅れている精神障害者の福祉がこれで大幅な前進ができることを期待しています。
 ただ、ここに掲げられているものはあくまでも理念であって、今後具体的に新障害者プランで数値目標にどれぐらいそれが取り入れられるのか。これまでも何回か私は発言しましたけれども、社会的入院は厚生労働省では7万 2,000人と言っていますけれども、それが現実的に年次計画を立てて実施できるかどうかというのは非常に関心があるところです。そこら辺についても、ぜひこの内閣府の中でもこの基本理念に沿って政策が進むように頑張っていただきたいと思います。
 以上です。

○京極座長 座長は余り発言をしてはいけないのですけれども、皆さんご存じだと思いますけれども、例えば障害児が事故で死んだ場合に、補償金はゼロなんですね。要するに、慰謝料は出ますが。なぜかというと、これは障害児は稼得能力がないという前提で、最高裁の判例でも出せないという。松井選手みたいなのは当然生涯賃金だと何十億になりますけれども、障害児は能力がないということになっているんですね。その背景には実は労働力説というのがありまして、労働力で非常にたくさん付加価値を生む人は出ると、障害児はないからゼロという。これは法律的なこともあるのですけれども、かなり問題が多いということがありますし、障害者に関する法的な問題は多々あります。
 それから、再三、河端委員から出ておりますけれども、障害者の基本保障をつけるとかいろいろな議論がありますけれども、法律をつくることを行政施策の障害者基本計画に何とか法をつくれ、何とか法をつくれとスローガンみたいなのを書くのはちょっとおかしいと私は思っていまして、ただし、必要な法制的な基盤を整備するとか、必要な法的な--これは個々の法律ではありませんけれども、それは当然法務省にも頑張っていただかなければいけないし、各府省ともあるわけなので。私はこれは推進体制の最後のところに--何度も発言してよくわかっていただけていないのですけれども、きょうは労働組合の村上委員が来ていないのですけれども、この34ページの3と4の間に「必要な法制的基盤の整備を図る」という項目を入れて、民法の問題から障害者基本法の問題からすべてそこを受け皿にして、それは後はお任せするということが必要ではないかと思っております。
 それから、34ページの2のところで大変詳しく書いていて、さっき都道府県の市町村の関係については私の方から発言させていただきましたけれども、「効果的かつ総合的な施策の推進を図るため、障害者施策推進本部を中心として」ということで、さっきご議論があったところがここに書いてあると思います。ただし、障害者施策推進本部というのは10年間存在しているかどうかもわからないので、これは、政治の世界は一寸先は闇ですので、ここに書いて10年後なくなっていたらちょっとピエロ的になってしまいますので抽象的にしていただいて、推進本部が本当にずっと残るかどうかもわからないので。ただ、内閣総理大臣のリーダーシップのもとにやるということは本当に重要な時代で、かつてと違って総理のリーダーシップというのが非常に重要な時期になっていますので書いていただくのは大変やぶさかではないのですけれども、このあたりはちょっと工夫が必要かなと思っております。
 丸山委員。

○丸山委員 今、直前に、池末委員から、数値を出してそれを推進してほしいというお話がありました。これは先ほど話がありましたので、重点施策の数値目標についてはここで議論をしないわけですが、ぜひそれを、実のある数値目標といいましょうか、重要な数値目標にしてほしいという要望を出したいと思います。
 そのうちの具体的なものとしては、先ほど精神障害を持った人の社会的入院が7万2,000人だという話がありましたので、ぜひ数値目標ではその数字をどうするのかということを出していただきたい、つまり、何年後にそれをゼロにするというようなそのような目標値をぜひ出していただきたいと、そういうことを要望したいと思います。

○京極座長 でも、これは、私は厚生労働省の障害者部会長もやっていますので、今、分科会で大いに議論しているところなので、ちょっと内閣府の議論と厚生労働省の議論はちょっと分けていただいて……。

○丸山委員 だから、そういう数値目標をつくるということについてぜひ希望したいということ、それから、その数値目標が今のような具体的な数値目標であってほしいということを要請したいと思います。

○京極座長 谷中委員。

○谷中委員 関連してなのですが、私も、7万2,000人をどうこうするとか、年次計画をどうこうするとか、そのための施設整備計画をどうこうするとか、これはここでの問題ではないというふうに思いますが、かなり重要な問題だというふうに思いますので。問題は、先ほどの施設とも関連するのですが、精神病院も大変重要な施設でありますし、従来の社会福祉施設も構造が似ているような施設だと私には見えるわけです。したがって、もうそろそろはっきり施設というものは必要ないと、これは小規模にしていくというような方向性を明確に打ち出すとともに、従来の施設のあり様を見直す、すなわち、その施設がどういう意味で必要なのかという、むしろ限定していく方向性ということをある程度ここの中では施設化の見直しということをはっきり打ち出されてはいかがなものかと思います。特に大規模施設はもう必要がないとか、あるいは小規模施設化、すなわち、地域の中にグループホームであるとかそういう住みやすい状況を新たに創設していくんだと--すぐには無理ですが、今、私は移行段階だというふうに認識していますからそんなに過激なことは申しませんが、いずれ将来的にはそういうあり様で施設そのものは縮小していく、もちろん精神病院も同じことなのですが、そういう方向性について、ビジョン、そのことをやはり具体的に盛り込んでいただきたいなという要望があります。
 以上です。

○京極座長 雄谷委員。

○雄谷委員 私は全国3,500近くの施設の代表として参加させていただいておって、今の話を聞きまして非常に愕然とするわけでございます。私は精神病院のことについてはわかりませんが、施設はやはり社会的ニーズの必要性があって存在しておるわけでございまして、決して指摘されるようないわゆる悪意の存在ではないということを申し上げたい。やはりこの施設が必要だと思われる方もたくさんいらっしゃる。ただ、確かに施設の中にはいろいろな問題があります。しかし、それは内部で一生懸命改革、見直し、前に進もうと努力しておるわけでございますので、施設即悪というような考え方がこれに表面的に出るのは私はまだ時期尚早だと思います。
 以上です。

○京極座長 ありがとうございました。
 それでは、いろいろご議論をいただきましたけれども、時間の関係でとりあえずここで審議を終わらせていただきます。
 6月からこれまで6回にわたって各委員や障害当事者の方から貴重なご意見をいただきまして、また、活発にご議論をいただいたところでありますけれども、この新しい障害者基本計画--障害者プランではありませんのでぜひご注意をいただきたいと思いますが、年内に閣議決定ということで、私どものこの懇談会はそのための素材を提供するという役割なので、この懇談会で何か決定をするということではございませんので、一刻も早く閣議でこの障害者基本計画につきまして決定していただきたいと思っております。
 その関係で、具体的に日にちはちょっと調整が必要かと思いますけれども、次回で一応最終回とさせていただきたいと思います。これを延々と来年度までに及びますと閣議決定できなくなってしまいますので、その点はご理解をいただきたいと思います。次回はもう一度この新しい障害者基本計画案について最終的に意見調整をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 座長としてちょっと不適切な発言もあったかもしれませんけれども、ともかく、この新しい十年で歴史に残る計画だったと言われるようなことをしないと私としても非常に心外でございまして、この十年間は政治も経済も福祉もどうなるかというのが非常に見えないところもありますので、新しい方向につきましては十分盛り込んで納得するという報告書を出させていただければ幸いと存じます。
 これにて本日の懇談会を終了させていただきます。
 ありがとうございました。

午前11時50分閉会