障害者プランの概要
~ノーマライゼーション7か年戦略~
平成7年12月18日
障害者対策推進本部決定
《プランの特色》
- 「障害者対策に関する新長期計画-全員参加の社会づくりをめざして-」(計画期間は平成5年度~14年度)の重点施策実施計画
- 新長期計画の最終年次に合わせ、平成8年度~14年度の7か年計画」
- 数値目標を設定するなど具体的な施策目標を明記
- 障害者対策推進本部で策定し、関係省庁の施策を横断的に盛り込み
(注)障害者対策推進本部は、平成8年1月19日の閣議決定により、障害者施策推進本部に改称した。
【プランの視点及び具体的な施策目標】
障害者プランでは、リハビリテーションの理念とノーマライゼーションの理念を踏まえつつ、次の7つの視点から施策の重点的な推進を図る。
1 地域で共に生活するために
ノーマライゼーションの理念の実現に向けて、障害のある人々が社会の構成員として地域のなかで共に生活が送れるように、ライフステージの各段階で、住まいや働く場ないし活動の場や必要な保健福祉サービスが的確に提供される体制を確立する。
- 住まい(公共賃貸住宅、グループホーム等)や働く場(授産施設等)の確保
- 障害児の地域療育体制の構築
- 精神障害者の社会復帰・福祉施策の充実等
- 介護サービス(ホームヘルパー、入所施設等)の充実
- 移動やコミュニケーション支援など社会参加の促進
- 難病を有する者への介護サービスの提供 等
【当面緊急に整備すべき目標】
住まいや働く場ないし活動の場の確保
7年度 | 8年度(案) | 14年度 |
---|---|---|
5,347人分 | 7,422人分 | 2万人分 |
7年度 | 8年度(案) | 14年度 |
---|---|---|
4万1,783人分 | 4万5,873人分 | 6万8,000人分 |
- 新たに整備する全ての公共賃貸住宅は、身体機能の低下に配慮した仕様とする。
- 規模作業所について、助成措置の充実を図る。
地域における自立の支援
- 障害児の地域療育体制の整備
重症心身障害児(者)等の通園事業 7年度 8年度(案) 14年度 307か所 368か所 1,300か所 - 全都道府県において、障害児療育の拠点となる施設の機能を充実する。
- 精神障害者の社会復帰の促進
精神障害者生活訓練施設(援護寮) 7年度 8年度(案) 14年度 1,660人分 2,060人分 6,000人分 精神障害者社会適応訓練事業 7年度 8年度(案) 14年度 3,770人分 3,984人分 5,000人分 精神科デイケア施設 7年度 8年度(案) 14年度 372か所 450か所 1,000か所 - 障害児の療育、精神障害者の社会復帰、障害者の総合的な相談・生活支援を地域で支える事業を、概ね人口30万人当たり、それぞれ2か所ずつ実施する。
- 障害者の社会参加を促進する事業を概ね5万人規模を単位として実施する。
介護サービスの充実
- 在宅サービス
ホームヘルパー 7年度 8年度(案) 14年度 9万2,482人分 8,000人分上乗せ 4万5,000人分上乗せ
ショートステイ 7年度 8年度(案) 14年度 1,082人分 1,454人分 4,500人分 デイサービス 7年度 8年度(案) 14年度 501か所 559か所 1,000か所 - 施設サービス
身体障害者療護施設 7年度 8年度(案) 14年度 1万7,169人分 1万8,069人分 2万5,000人分 精神薄弱者更生施設 7年度 8年度(案) 14年度 8万4,490人分 8万6,393人分 9万5,000人分
2 社会的自立を促進するために
障害者の社会的な自立に向けた基盤づくりとして、障害の特性に応じたきめ細かい教育体制を確保するとともに、教育・福祉・雇用等各分野との連携により障害者がその適性と能力に応じて、可能な限り雇用の場に就き、職業を通じて社会参加することができるような施策を展開する。
- 各段階ごとの適切な教育の充実
- 法定雇用率達成のための各種雇用対策の推進
- 第3セクター重度障害者雇用企業等の設置の促進 等
【当面緊急に整備すべき目標】
第3セクターによる重度障害者雇用企業等の全都道府県域への設置を促進する。
3 バリアフリー化を促進するために
障害者の活動の場を拡げ、自由な社会参加が可能となる社会にしていくため、様々な政策手段を組み合わせ、道路、駅、建物等生活環境面での物理的な障壁の除去に積極的に取り組む。
- 車いすがすれ違える幅の広い歩道の整備
- 公共交通ターミナルにおけるバリアフリー化の推進
- 高速道路等のサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)及び「道路の駅」における障害者への配慮
- 公共性の高い民間建築物、官庁施設のバリアフリー化の推進 等
【当面緊急に整備すべき目標】
バリアフリー化の促進
- 21世紀初頭までに幅の広い歩道(幅員3m以上)が約13万となるよう整備する。
- 新設・大改良駅及び段差5m以上、1日の乗降客5,000人以上の既設駅について、エレベーター等の設置を計画的に整備するよう指導する。
- 新たに設置する窓口業務を持つ官庁施設等は全てバリアフリーのものとする。
- 高速道路等のSA・PAや主要な幹線道路の「道の駅」には、全て障害者用トイレや障害者用駐車スペースを整備する。
4 生活の質(QOL)の向上を目指して
障害者のコミュニケーション、文化、スポーツ、レクリエーション活動等自己表現や社会参加に通じた生活の質の向上を図るため、先端技術を活用しつつ、実用的な福祉用具や情報処理機器の開発普及を進めるとともに、余暇活動を楽しむことのできるようなソフト・ハード面の条件整備等を推進する。
- 福祉用具等の研究開発体制の整備・普及促進、民間事業者等による研究開発、産業界の取り組みの促進
- 情報通信機器等の研究開発・普及
- 情報提供、放送サービスの充実
- 障害者スポーツ、芸術・文化活動の振興
- 公園、水辺空間等オープンスペースの整備 等
5 安全な暮らしを確保するために
災害弱者といわれる障害者を、地震、火災、水害、土砂災害等の災害や犯罪から守るため、地域の防犯・防災ネットワークや緊急通報システムの構築を急ぐとともに、災害を防ぐための基盤づくりを推進する。
- 手話交番の設置、手話バッジの装着の推進
- ファックス110番の整備
- 災害時の障害者援護マニュアルの作成・周知 等
【当面緊急に整備すべき目標】
緊急通報を受理するファックス110番を全都道府県警察に整備する。
6 心のバリアを取り除くために
子供の頃から障害者との交流の機会を拡げ、ボランティア活動等を通じた障害者との交流を進めるとともに、様々な行事・メディアを通じて啓発・広報を積極的に展開することにより、障害及び障害者についての国民の理解を深める。また、障害者に対する差別や偏見を助長させるような用語、資格制度における欠格条項の扱いの見直しを行う。
- 交流教育の推進
- ボランティア活動を支援する事業の充実を図りつつ、拠点施設の整備を推進
- 障害週間における啓発・広報活動の重点的な展開
- 精神障害者についての社会的な誤解や偏見の是正 等
7 我が国にふさわしい国際協力・国際交流を
アジア太平洋障害者の十年の期間中でもあり、我が国の障害者施策で集積されたノウハウの移転や障害者施策推進のための経済的支援を行うとともに、各国の障害者や障害者福祉従事者との交流を深める。
- ODAにおける障害者への配慮
- 国際機関を通じた協力及び国際協調・交流の推進