障害者政策委員会(第13回)議事録 1

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○ 武川政策統括官 それでは、定刻になりましたので、これより第13回「障害者政策委員会」を開会いたします。委員の皆様には御多忙中のところをお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。

本日は初回でございますので、会長の選出まで司会を務めさせていただきます、政策統括官の武川でございます。よろしくお願いします。

初めに私のほうから、本日お集まりいただいた委員の方々を御紹介させていただきます。

まず日本身体障害者団体連合会副会長、阿部一彦委員。

静岡県立大学、石川准委員。

全日本ろうあ連盟理事長、石野委員。

日本難病・疾病団体協議会代表理事、伊藤委員。

敦賀温泉病院、上野委員。

日本経団連労働政策本部主幹、遠藤委員。

東京大学先端科学技術センター特任研究員、大河内委員。

全国脊髄損傷連合会副代表理事、大濱委員。

全国地域生活支援ネットワーク代表理事、大原委員。

電通パブリックリレーションズ、大日方邦子委員。

全国盲ろう者協会評議員、門川委員。

弁護士、加野委員。

全国肢体不自由児者父母の会連合会理事、河井委員。

全国精神保健福祉会連合会顧問、川崎委員。

全国市長会、清原委員。

DPI日本会議事務局長、佐藤委員。

全国知事会、高橋委員。

日本盲人会連合会、竹下委員。

全国手をつなぐ委員会連合会統括、田中委員。

日本相談支援専門員協会代表理事、玉木委員。

筑波大学教授、柘植委員。

中京大学教授、辻井委員。

毎日新聞社、野澤委員。

日本労働組合総連合会政策局長、花井委員。

日本精神科病院協会理事、平川委員。

ユニバーサルデザインコンサルタント、エッセイスト、松森委員。

全国身体障害者施設協議会、三浦委員。

日本知的障害者福祉協会、山崎委員。

本日、大濱委員、大日方委員、門川委員、清原委員、竹下委員、辻井委員、花井委員は所用のため御欠席となっております。

それでは、委員会の開催に当たりまして、森まさこ内閣府特命担当大臣より御挨拶いただきます。お願いいたします。

○ 森大臣 担当大臣の森まさこでございます。

本日は、新しい委員の皆様をお迎えをして障害者政策委員会を開催させていただきます。皆様におかれましては、お忙しい中委員をお引き受けくださり、本当にありがとうございます。

私が就任してから1年8カ月たちましたけれども、この間、障害者施策におきましては大きな動きがございました。まず、昨年6月に障害者差別解消法が成立をし、成立したときの国会に傍聴にいらしていた方も本日お見えになっていて、そのときの感動をまた思い出したわけでございますが、そして、その後、9月には第3次障害者基本計画を策定いたしました。さらに、本年1月に障害者権利条約を批准しました。

権利条約の批准に至る過程においては、障害者当事者、関係者の皆様の熱心な御活動、そして、さまざまな御意見を伺いながら、ともに取り組みを進ませていただいてまいりました。今後も引き続き皆様に御議論に参加をいただきながら、障害者施策を一層推進してまいりたいと思っております。

平成28年4月に施行される障害者差別解消法は、障害者の自立と社会参加による自己実現を支援することを目的とするものであり、委員の皆様におかれては、まず、この法律に基づく基本方針の策定に向けて御議論いただくことになります。本法の趣旨が広く社会に浸透し、国民の理解と協力を得ながら、あらゆる分野において共生社会の実現に向けた取り組みが進められるよう、委員の皆様におかれましては、実りある御議論をいただきますようにお願いを申し上げます。

○ 武川政策統括官 ありがとうございました。

大臣は所用のため、これで退席いたします。

(森大臣退室)

○ 武川政策統括官 では、報道カメラも御退室をお願いします。

(報道関係者退室)

○ 武川政策統括官 それでは、本日お集まりいただきました委員の皆様方、一言ずつ御挨拶をいただきたいと存じます。先ほどと同順でございますが、お一人1分程度でお願いしたいと思います。

まず、阿部委員からお願いいたします。

○ 阿部委員 阿部です。

この障害者政策委員会は、障害者施策推進に関してすごく大きい意味があるのだと思います。障害がある私たちが暮らしやすいということは誰でもが暮らしやすい社会につながることになると思いますので、そのような視点から、指定障害福祉サービスを受けている方ももちろんですが、必ずしも障害福祉サービスを受けていない障害のある一人一人のためにも検討を深めて参りたいと思います。このことは、高齢社会の中で暮らしやすさを考えるとき、すごく役割は大きいことだと思いますので、そのようなことも念頭に置いて政策委員会の委員を務めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○ 武川政策統括官 ありがとうございました。

では、石川委員、お願いいたします。

○ 石川委員 石川です。

私は専門は社会学です。仲間と一緒に10年ほど前に障害学及び障害学会の立ち上げなどもやってまいりました。また、視覚障害者用の支援機器の開発をずっと手がけてきておりまして、実は障害者政策に関してはむしろ比較的最近になってから関わるようになった、どちらかというと新人に属する者です。

障害者政策を進めていかないと、個々の努力あるいは技術的な解決だけではどうにもならない問題があるということを遅まきながら感じて、そのように仕事を広げつつあるという状態です。まだよくわからないところがたくさんありますけれども、よろしくお願いいたします。

○ 武川政策統括官 ありがとうございました。

続きまして、石野委員、お願いします。

○ 石野委員 皆様、こんにちは。ただいま御紹介にあずかりました全日本ろうあ連盟理事長、石野と申します。

本業は、滋賀県にございます聴覚障害者情報提供施設の施設長を務めております。これ以外に全国聴覚障害者情報提供施設協議会の理事長も兼務しております。情報アクセシビリティ、また手話言語について皆様と一緒に考えて進めていくことができると考えております。どうぞよろしくお願いいたします。

政策委員会では、以前より務めさせていただいておりますが、改めて決意を新たにし、臨みたいと思っております。よろしくお願いいたします。

○ 武川政策統括官 では、伊藤委員、お願いします。

○ 伊藤委員 日本難病・疾病団体協議会の伊藤と申します。

難病につきましては、この2月に難病法が成立いたしまして、また児童福祉法の中の小児慢性特定疾患に関する条項が改正されまして、ようやく難病問題も本格的に障害者施策の中に取り入れられることになりました。また、昨年4月から総合支援法の中に難病というものを入れていただきましたが、しかし、この1年間取り組んできて、また新たな法律ができてみて改めて感じているのですが、法律ができました、いろいろ仲間にも入れてもらいました、しかし、実際の場面ではまだまだ先行している障害者福祉の足元にも及ばないような実態がございます。そういう意味で、これからも皆様の御支援、御協力をお願いしたいと思います。

また、最近、医学の発達で、従来障害という枠で捉えられていたさまざまな障害につきましても治療の対象になる、そういう時代になってきております。ますます病気であるかないか、どういう障害であるかというようなことの壁を取り払わなければならない時代だと思っております。

非力でありますけれども、そういう観点からこの政策委員会でいろいろ発言をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○ 武川政策統括官 では、上野委員、お願いします。

○ 上野委員 上野です。

私は、本職は精神科の医師をしております。精神科の医師を二十数年間やっておりまして、精神科医療、残念ながら日本の精神科医療は国際的な水準からかなり離れていて、問題をかなり抱えていると私は認識しております。

私は、障害者政策委員会は2期目なのですけれども、前回、精神障害の当事者の方がいらっしゃったのです。でも、今回は残念ながら当事者の方が選ばれませんで、平川先生と私と精神科医療の提供者が2人選ばれているというような状態になっています。

私のほうでは、実際に障害の当事者の思いだとか、気持ちだとか、どれぐらい私が理解しているかなかなかわからない部分もありますけれども、ぜひ私自身が精神障害の当事者の立場を代弁できるような形にしていけたらと思っております。

皆様、よろしくお願いいたします。

○ 武川政策統括官 遠藤委員、お願いします。

○ 遠藤委員 遠藤でございます。

私も2期目ということでまたお仲間に入れていただくことになりました。1期目のときも申し上げておりますことを繰り返させていただきます。この会議に臨むに当たって考え方は1つでございます。障害の有無にかかわらず、この会議の言葉を借りれば、分け隔てなくということかと思いますが、多様なニーズを踏まえた社会実現に向けて引き続き取り組んでまいりたいと思います。

存じ上げないことが多々あるかと思いますので、皆様方の御指導を仰ぎながら会議に臨んでまいりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

○ 武川政策統括官 続きまして、大河内委員、お願いします。

○ 大河内委員 大河内直之と申します。

東京大学先端科学技術研究センターという長い名前のセンターがございまして、そこのバリアフリー分野というところに所属をしております。バリアフリーを重点的に研究するという目的で設置がされているところです。

私は主に、見えなくて聞こえないという障害をあわせ持つ盲ろうの人たちの支援に関する研究がメインテーマなのですけれども、バリアフリーという名前がつくと何でもやらなければいけないようなところでして、御縁がありまして、最近は映像メディアのバリアフリー化に関する研究、具体的には映画のバリアフリー化に関する研究にもここ4年ほど携わらせていただいております。

まだまだ初めてのことでどのぐらいお役に立てるのか全く未知数なのですけれども、全力で取り組みたいと思っておりますので、今後ともどうぞよろしくお願いします。

○ 武川政策統括官 大原委員、お願いします。

○ 大原委員 全国地域生活支援ネットワークの大原と申します。

私自身は北海道にある小さな町で社会福祉法人をやっております。その小さな町での実践を日々考えるのは、決して地域の中では障害のある方だけが困っているということではなくて、いろんな子供たちでしたり、例えば妊婦さんでしたり、けがをして一時的に生きづらさを感じてしまう方、もちろん高齢者の方々、いろんな方々が地域の中でニーズを抱えていらっしゃる。ですから、こうしたことを踏まえると、今回の政策が単に障害のある方の差別を解決するということではなくて、地域全体がどういうふうに住みやすいものをつくっていくのかということを期待してこの委員会に参加しております。どうぞよろしくお願いいたします。

○ 武川政策統括官 続きまして、加野委員、お願いします。

○ 加野委員 加野でございます。

私は弁護士として企業や個人のさまざまな案件にこれまで取り組んでまいりました。また、私個人が10歳の次女がダウン症で障害のある子を育てている母親という立場でもあります。公益財団法人日本ダウン症協会の仕事をボランティアで少しお手伝いをしたりしております。今回、この委員に新しくつきまして、精いっぱい務めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○ 武川政策統括官 河井委員、お願いします。

○ 河井委員 一般社団法人全国肢体不自由児者父母の会連合会、長いので今後全肢連と略させていただきますが、河井と申します。

私の子供は小頭症による四肢体幹機能障害ということで1種1級、愛の手帳、療育手帳なのですが、1度の重症心身障害者で、なおかつ鼻腔留置の経管栄養とネーザルのエアウェイを使用しているため、かなり頻回に吸引が必要な医療的ケアのある子供を在宅で育てております。

こういった私のような立場の人間がこのような霞が関での会議に出席できるというのが、やはり随分障害者施策が進んできたのだろうなとは思っておりますが、まだまだいろいろな困難を抱えて在宅で介護している保護者がたくさんおりますので、そういったことをこの場で意見交換をできたらなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○ 武川政策統括官 続きまして、川崎委員、お願いします。

川崎委員 私、精神障害者の家族会でございます。

精神障害者に関しましては、もう皆様御存じのように、大変に制度、政策の面では他の障害の方とおくれている面がありまして、それは実は偏見から来る差別ではないかと思っておりますので、今回、この差別解消法においていろいろと基本方針が出されておりますけれども、実際、それがいわゆる絵の中の餅にならないように地域で実行されるということを切に望んでいるものでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

○ 武川政策統括官 続きまして、佐藤委員、お願いします。

○ 佐藤委員 皆さん、こんにちは。DPI日本会議の佐藤と申します。

私は、子供のときに障害を持ちまして、子供のときは4年ほど施設に入っておりました。そういうこともあって、障害者のために活動していきたいと思いまして、23年間、障害者の自立支援をしておりました。ことしの6月にDPIの事務局長になりました。DPIは障害の種別を超えて障害者の権利と自立を進める、そういう団体です。

昨年、差別解消法が成立したとき、私は国会で傍聴させていただきました。全会一致で成立したとき、本当に感激をしました。ようやく日本も障害の有無によって分け隔てられることない共生社会ができていくのだ、今年の1月には権利条約も批准しました。そういう新しい時代が日本は始まっていくのだ、そういうふうに思っています。力一杯やりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○ 武川政策統括官 それでは、高橋委員の代理の坂本様、お願いします。

○ 高橋委員代理 北海道庁でございます。委員であります北海道知事の高橋、本日所用のため欠席させていただきます。代理の障害者行政担当局長の坂本でございます。よろしくお願いいたします。

北海道におきましては、平成22年に障害のある方の権利擁護と暮らしやすい地域づくりを目指しまして、千葉県に続きまして2番目の障害者条例を制定しております。このたびは国におきまして1月の権利条約の批准でありますとか、ここ数年における虐待防止法ですとか、差別解消法の制定を非常に喜ばしく考えております。

今後、国の施策がいろんな地域によって格差が起きないような施策展開、これを非常に地方自治体としては望んでおります。そういう立場で御意見を言っていきたい、お話しさせていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

○ 武川政策統括官 田中委員、お願いします。

○ 田中委員 全国手をつなぐ育成会連合会の田中と申します。

前回のときには、社会福祉法人格として事業体を構えた運動体の事務局からということでしたが、ことしの7月に新たな組織として、連合会という位置づけで全国の47都道府県と旧の政令指定都市の皆さんで運動を進めていくということに組織替えをしましたので、どうぞよろしくお願いいたします。

このたびの障害者政策委員会には、権利条約の批准の締約国になったという位置づけで、障害のある方たちの割り引かれがないような視点でモニタリング機能を発揮するこの機能を充実させる役割としての参加と、一方で、共生社会の実現のために、差別解消法の具体化をしていく際に地域協議会という仕組みを活性化させる。この視点が両方必要になったときには、障害分野ごとの視点で、進んでいるとか遅れているといったことではなく、本当に困っている支援が必要な人への対応が、高齢や貧困や子育てにも及ぶような関わりとして、この障害者政策委員会が進めていければというような視点で臨みたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○ 武川政策統括官 玉木委員、お願いします。

○ 玉木委員 日本相談支援専門員協会の玉木です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

今回、私がこの委員会に来てくださいと言われたときに、なんで私が委員にと思いました。結局は何が言いたいかというと、今回、私の立場としては、障害があるとか、何かの会の代表をしているとかそういうことではありません。障害のある人もない人も生きづらさを抱えていたり感じている人たちが、その課題を解消していけるような社会に変えていく一助になればなと思ってやってきました。

だから、法律ができたからとか、条例ができたからということだけでこの生きづらさというのは解決できないと思っておりまして、この会議でも、時間がないからとか、お尻が決まっているからということだけで論議を一足飛びにしたり、話を聞く時間を短くしたりということだけは避けていただきたいなと切に願っておる次第であります。微力ですが一生懸命頑張ってまいりますので、どうぞよろしくお願いします。

○ 武川政策統括官 柘植委員、お願いします。

○ 柘植委員 よろしくお願いします。

今回から初めて委員として参加させていただいております筑波大学の柘植と言います。筑波大学の中にあります人間系の障害科学域というところに所属しております。さまざまな障害に関する研究者、50~60名ほどからなる研究者集団で、恐らく日本で最大規模だと思います。その中で、知的障害、発達障害、行動障害、自閉症を特に集中的に研究する分野に所属しております。専門は特別支援教育でございます。ということで、共生社会の実現に向けまして、教育の視点からできることは何かということで発言をしていきたいと思います。

以上でございます。

○ 武川政策統括官 野澤委員、お願いします。

○ 野澤委員 本業は毎日新聞の論説委員をしております。私自身は、重い知的障害と自閉症を持った子供の父親であります。時々息子がパニックになってしまってあざだらけだったりすることがありますけれども、決して彼は乱暴でも我がままでもなくて、こちら側が非常に暮らしにくい状況をつくっているということだと思うのです。この前も地元のスーパーでパニックになってしまって、そこからこんな奴を連れてくるなと言って追い出されたということがありました。ただ、千葉県には障害者の差別をなくす条例があります。その条例の相談員さんを通して、今、とてもいい解決の方向に向かっております。なかなかこういうことは本業では書けないのですけれども、こういうふうに小さな現場で起きていることを各地に広げていくというのは、私は障害者がよくなるだけではなくて、そこで暮らす子供やお年寄りや、いろんな人たちが暮らしやすい町になっていくだろうと思いますし、世の中を柔らかく深く変えていくことがこの障害者差別解消法ができることだと思います。

地域協議会のモデルの事業にも携わっておりますけれども、残念ながら、まだ世間一般と我々と温度差が非常に激しいものを感じます。この障害者差別解消法が持っている本当の良さみたいなものを多くの人たちに知っていただいて、できるだけいい法の施行に持っていけたらということを思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○ 武川政策統括官 平川委員、お願いします。

○ 平川委員 平川です。

日本精神科病院協会の理事をしております。本業は、東京都の八王子市で精神科の病院の院長をしております。今回から委員となりましたので、よろしくお願いいたします。

精神障害は統合失調症、躁鬱病、ストレス関連疾患、薬物依存、発達障害や認知症など、さまざまな疾患によってもたらされます。症状や重症度も病気によってさまざま違いますし、さらに症状も固定しておらず、周囲の状況によっても簡単に変化してしまうものです。表面的には非常にわかりにくいことから、多くの場合は軽く評価されてしまうので大変我々としては困っています。

また、我々精神科医療はここ25年以上にわたり、入院中心から地域生活支援に治療の目的や方法を変更して努力してまいりました。実際に精神科クリニックがたくさん開設され、治療の敷居も下がっているため、通院患者数も増加しております。実際に入院経験のない精神障害者がふえていることは、この四半世紀の我々の成果であるとも言えると思います。

これに加えて、長期入院患者さんの退院促進も熱心に行われているため、地域で生活している重度な精神障害者が急増しております。最も困ることは、体の病気で救急車を呼んでも救急病院が受け入れてくださらない、また就職しようと面接に行って正直に精神障害を口にしたら採用されなかったというような困った事例が日常茶飯事にございます。

もっと雇用を拡大できるような施策を推進するとともに、地域における小さな失敗をカバーし、修正し、地域の人たちとともに安心して生活できるような体制整備をして偏見をなくしていきたいと考えています。

しかし、一方で、精神障害は病気、疾患に基づく障害であるため、医療や福祉との関係が切れてしまっていては、本人並びに周囲にも悪影響が出ることは容易に予測ができます。精神障害者が地域で暮らす権利があるならば、みずからの障害特性を理解し、医療や福祉とつながりを持っていく義務もあるべきだと思います。これも差別偏見の解消に重要だと思います。

最後に、認知症についてですが、認知症は精神科病院で診るべきでないという意見がございますが、認知症は精神疾患であり、認知症に基づく精神症状の治療、そして、介護保険など、社会資源を利用したチーム医療については、精神科の最も得意とするところであり、精神科が診るべき疾患であると思います。一律に否定することは精神科病院に対する偏見以外何物もないと考えます。精神病院を精神科病院と改名しなければならなかったように、精神科病院に対する偏見が存在します。もちろん、認知症を診るべきでないと思うような好ましくない病院もあることも事実です。そういう病院を1つでもなくていくよう、施策を進めていっていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○ 武川政策統括官 松森委員、お願いします。

○ 松森委員 松森果林と申します。

私は中途失聴者です。17歳のときに聞こえなくなって、そのころ、自分が希望していた専門学校2つから、聞こえないという理由で断られるという経験をしました。いわゆる健常者という世界と障害者という世界、両方の状態を知っているのです。そうした立場を強みにして、現在はみんなが暮らしやすい社会づくりのアドバイスや講演活動、大学講師など、フリーランスで仕事をしています。

個人的には、テレビの番組には字幕があってもテレビのコマーシャルには字幕がない情報格差を17年前から指摘して、課題の提案を行ってきました。ことしの1月にやっと総務省の方から、国としてテレビのコマーシャルにも字幕をつけるという方針を出し、検討会が立ち上がりいろんな人が同じ情報を得られるような社会に向けて活動しております。

この委員会の就任は初めてなので、まだまだわからないことばかりですけれども、聴覚障害の当事者という立場でありながら、子育てをしている母親という立場、また主婦でもあることを、実社会の中で働いていること、女性であること、さまざまな立場と視点から関わっていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○ 武川政策統括官 三浦委員、お願いします。

○ 三浦委員 名簿の下から2番目でございますけれども、全国社会福祉協議会全国身体障害者施設協議会の三浦と申します。

2期目に当たりまして、今回、北海道からの委員さん方が多いので、私は南の九州から来ているのですけれども、南の大らかさを持って、インクルーシブ社会の構築ということを皆様と一緒に希求していければと思っております。

全国身体障害者施設協議会は、常時介護を必要とし、また医療的ケアを必要とする方々の施設生活支援と地域生活支援を両方行っている協議会でございます。他の者との平等を基礎とするという条約の言葉をかみしめながら、基本方針の策定がまず最初の政策委員会の仕事かと思っておりますけれども、一生懸命務めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○ 武川政策統括官 最後になりましたが、山崎委員、お願いします。

○ 山崎委員 日本知的障害者福祉協会理事の山崎でございます。

札幌市で地域支援専門の法人に勤めております。今日、自己紹介を兼ねて何か一言ということで、何を話そうか随分悩んだのですが、これは現場のことしかないなと、うちを利用されている方たちのことをお話しするしかないなと思っていますので、少しだけお話しさせていただきます。

サラリーマンには年末調整というものがございまして、うちの100人の利用者の皆さんもサラリーマンですから、年末調整を行います。ご本人が名前や住所を書いたり、職員が療育手帳はBだとかAだとか障害の程度を書いて、課税がされないように努力するわけです。あるとき、ちょうど職員が出払っていて私がある女性利用者さんの書類を書いておりましたら、彼女が、「ねえねえ山崎さん、私、幾ら税金払うの」と聞くのです。驚いてしまって、日本人1億何千万人いて、自ら税金を払いたいっていうのはあなただけだよという話をして褒めたたえたのです。でも、結果的には、残念ながら非課税ですよという話を彼女にしました。後で彼女の気持ちを考えてみたら、結局、普通に生きたいということなのです。一市民として生きたいということだろうと思ったのです。改めてやれることは何でもやろうと思いました。たとえグループホームの報酬単価が低かろうが、やれることは全部やろうと決意を新たにして仕事しております。

今回、知的障害と精神障害の当事者の方が参画されていないということは非常に残念に思っております。私、事業所の職員ですので、所詮当事者のかわりはできません。本政策委員の中に当事者の方がいらっしゃればいいと思いながら切に願っているわけでございます。私は私なりに頑張りますが、よろしくお願いします。

以上です。

○ 武川政策統括官 ありがとうございました。

また、皆様方の辞令でございますが、封筒に入れて配付してございます。こちらのほうも御確認いただきたいと思います。

続きまして、事務局を務めさせていただきます内閣府の人事異動について御説明いたします。

まず、大臣官房審議官でございますが、前任の岩渕審議官が内閣府の中の経済財政運営及びシステム担当に転任しております。後任といたしまして、厚生労働省から中島審議官が着任しております。

また、障害者制度改革担当室の新しいメンバーとして政策企画調査官として尾上さんが着任しております。

それでは、委員会の委員長の選任に移りたいと思います。

資料2の2ページ目に政策委員会令をつけておりますが、それの第2条第1項におきまして、委員会に委員長を置き、委員の互選により選任するという規定になってございます。

それでは、皆様方に委員長の選任をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。

野澤先生。

○ 野澤委員 僭越ながら、私は石川准先生を推薦させていただきたいと思います。

私、前期、昨年の途中からこの委員になりましたけれども、とても難しい局面も多々ありましたけれども、そのときにも石川先生の調整力とお人柄で見事にまとめ上げられたというのを目の当たりにして、これはもう石川先生しかないのではないかと思っております。ぜひ石川先生に委員長に就任していただけたらと思います。

○ 武川政策統括官 では、玉木委員、お願いします。

○ 玉木委員 私も石川先生にお願いしたいと思っております。まず、こういう会議は当然障害のある方が委員長になるべきであるということと、やはり1期目の経験とか、幅広い知識ということをお持ちだと思いますので、ぜひとも石川先生にお願いしたいなと思います。

○ 武川政策統括官 ただいま石川委員を推薦いただく御意見がございました。石川委員、お引き受けいただけますでしょうか。ありがとうございました。

それでは、以後の議事は石川委員長にお願いいたします。

(石川委員、委員長席へ移動)

○ 石川委員長 御推薦いただきました石川でございます。

それでは、簡単ではございますけれども、一言挨拶をさせていただきたいと思います。

障害者政策委員会は、政府と市民社会をつなぐ大切な橋、ブリッジであると考えます。人々が活発に行き交って対話し、考えを深め、一緒に仕事をするためにそれはあると思います。そうしたとても大切な役割を担っている委員会の委員長として私が余りに非力であり、かつ、まだ至って未熟ではございますけれども、御推薦をいただきましたので本委員会を権利条約の33条2項の独立したモニタリングの仕組みとして正しく機能させられるように最善をつくしてまいりたいと思います。委員の皆様の御協力並びに内閣府をはじめとします政府の御支援、御協力を賜れればと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、早速ではございますけれども、議事に入らせていただいてよろしいでしょうか。それでは、議事を進めてまいりたいと思います。

まず、委員長代理の指名というのがございます。委員会令の第2条第3項に、委員長代理を置くことが定められております。また、委員長代理は委員長が指名するとなっておりますので、恐縮ですが、この場で御指名申し上げたいと思います。

前期も委員長代理を務めていただきました三浦委員に引き続き委員長代理をお願いしたいと思います。三浦委員、お引き受けいただけますでしょうか。

○ 三浦委員 はい。非力ですが、務めさせていただきます。

○ 石川委員長 皆様、御承認いただけますでしょうか。

(拍手多数)

○ 石川委員長 どうもありがとうございました。

それでは、三浦委員、委員長代理の席がございますので、そちらのほうにお願いします。

(三浦委員、委員長代理席へ移動)

○ 石川委員長 議事の中身に入りますが、その前に、まず本委員会における発言の際の約束事について申し上げたいと思います。前期からの委員は、既に耳にたこができているかと思いますけれども、新しく委員になられた方に特にお伝え申し上げたいと思います。

各委員から発言を求めるときは、まず、挙手をしていただきます。人数が多いときには、名前を記録させていただく関係上、若干長く手を挙げていただく可能性がございますが、御理解をいただければと思います。そして、委員長からの指名を受けてから発言をお願いいたします。可能な限りゆっくりわかりやすく御発言いただくようお願いいたします。できるだけ最初に結論を述べていただき、その後、その理由や補足説明をしていただくとほかの委員にわかりやすいと思います。また、発言の際はマイクに近寄ってお話しください。発言後は必ずマイクのスイッチをオフにしてください。

以上、よろしくお願いいたします。

それでは、議事に入ります。

まず、事務局から、この委員会の法的な位置づけ、任務等について説明をしていただきます。繰り返しになりますが、委員を継続されている方は既にご存知の内容が多く含まれておりますけれども、新たに委員になられた方も多くいらっしゃいますので、改めて確認をさせていただきたいと思います。

その後、議事の1つ目としまして、障害者基本法、第3次障害者基本計画、障害者差別解消法、障害者権利条約など、今後の議論に必要な基本的な事項を事務局から説明していただきます。議事の2つ目ですけれども、こちらは新たに委員となられた方々から、障害者差別解消法に基づく基本方針に関する御意見をお伺いしたいと思います。障害者差別解消法の基本方針を内閣府として策定するに当たって、本委員会が意見を述べることになっております。

まず、会議の流れと資料について事務局より御説明をいただきます。

○ 加藤参事官 担当参事官の加藤でございます。

まずはお手元の資料の確認をさせていただきます。式次第の真ん中から下のほうに資料1~10まで資料の名前を並べてございます。

資料1としまして「障害者政策委員会委員」、これは名簿が1枚ございます。

資料2としまして「障害者政策委員会について」ということで、横向きの紙でとじたものが2枚ございます。

資料3としまして「障害者基本法」という紙が1枚。

資料4としまして「第3次障害者基本計画」という、これも横向きの紙でございますが、これが2枚ございます。

資料5としまして「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律について」という少しとじたもの、横向きのものがございます。

資料6としまして、法律の本体でございます本文でございますけれども、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」という縦向きの資料がございます。

資料7としまして2枚でございますけれども、「基本方針の構成(イメージ案)」及び「ヒアリング項目について(案)」ということで、第8回の障害者政策委員会に提出した資料を出してございます。

資料8としまして「障害者差別解消法『基本方針』に係る障害者政策委員会のスケジュール(想定)」、1枚ございます。

資料9「障害者の権利に関する条約」、これも1枚ございます。

そして、最後に資料10としまして横向きの紙でございますけれども、「障害者基本計画の推進状況~平成24年度~」としまして「第12回障害者政策委員会 資料1について(補足説明)」という合わせて10個の資料からなってございます。

過不足等ございましたら、事務局までお知らせください。

次に、本日の会議の流れについて御説明いたします。

本日の会議では、まず障害者政策委員会の法的な位置づけですとか、任務などにつきまして御説明申し上げます。これは資料1と2を使います。

次に、今後の議論に必要な基本的な事項ということで、障害者基本法、第3次障害者基本計画、障害者差別解消法ですとか、障害者権利条約などにつきまして御説明申し上げます。これは資料3~9までを使います。

なお、資料10でございますが、これは前回の第12回障害者政策委員会の資料であります障害者基本計画の推進状況、平成24年度について、当時の委員の皆様方からいただきました御意見、御質問に係る補足説明の資料ということで机上に配付させていただいております。これにつきましては御参照いただければ幸いでございます。

次に、具体的な進行についてでございますが、15分の休憩を1回挟んで進めたいと思っております。タイムスケジュールといたしましては、この後、15時15分を目途に1回目の休憩とさせていただきます。

その後、15時15分から10分程度、障害者政策委員会の法的な位置づけでありますとか任務などについての説明、今後の議論に必要な基本的な事項に関する説明をさせていただきます。

その後、新たに委員となられた方々から、障害者差別解消法に基づく基本方針に関する御意見をお伺いし、その後、継続の委員も含めて御議論いただく、そういった流れを想定しております。

本日の会議の流れ及び資料につきましては、以上でございます。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

ここで休憩を入れます。思いの他ではないですが順調に進んでおりますので、3時5分再開とさせていただきます。よろしくお願いします。

(休憩)

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