障害者政策委員会(第13回)議事録 2

○ 石川委員長 障害者政策委員会の法的な位置づけ、任務等につきまして、事務局から簡単に説明をしていただきます。よろしくお願いします。

○ 加藤参事官 それでは、事務局の加藤でございますが、御説明させていただきます。

最初に、資料2でございます。3ページからなっておりますけれども、3ページからなっておりますけれども、障害者政策委員会の法令上の位置づけ、役割等について御説明いたします。

障害者政策委員会は、平成23年に改正されました障害者基本法の第32条に基づきまして、平成24年5月に内閣府に設置されたものでございます。障害者政策委員会の任務は、1ページ目の資料にございますように、障害者基本法の第32条第2項の各号にあるとおりでございますが、まとめて申し上げますと、1つは障害者基本計画の策定に関する調査審議・意見具申。2つ目としまして、障害者基本計画の実施状況の監視・勧告。3つ目としまして、障害者差別解消法に基づく基本方針に関する意見具申、この3点でございます。

なお、障害者基本計画につきましては、昨年策定されておりますので、当面は障害者基本計画の実施状況の監視と障害者差別解消法に基づく基本方針に関する意見具申というのが任務になります。

委員は障害者、障害者の自立及び社会参加に関する事業に従事する事業者並びに学識経験のある者から30名以内で任命され、これは法律第33条でございますが、任期は2年ということでございます。これは裏のページの障害者政策委員会令の第1条でございます。

1ページめくっていただきまして3ページ目のほうでございますけれども、運営規則というのがございます。

ここの第1条で、障害者政策委員会は委員長が招集するということを定めてございます。

また、第2条では、会議は原則公開であること、また第2項では振り仮名つき資料及び点字資料の作成、手話通訳、要約筆記、電子媒体による資料提供、その他の適切な情報保障を行うことを定めてございます。

第3条では、議事録と配付資料は原則公開ということを定めております。

第4条では、障害者基本法に基づく行政機関等への協力等の依頼は委員長が行うことを定めております。

第5条では、専門的かつ詳細な検討が必要なときには、障害者政策委員会に図って、部会等の下部機関を設置することができると定めております。

以上が運営規則に関する説明でございます。事務局からは以上でございます。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

引き続きまして、障害者基本法、基本計画、差別解消法及び権利条約等につきまして基本的な説明をお願いしたいと思います。

○ 加藤参事官 それでは、引き続きまして資料3でございます。横向きの紙が1枚ございますが、障害者基本法についてでございます。

障害者基本法の前身は、昭和45年に心身障害者対策基本法として議員立法により制定されたものでございます。その後、数次の改正を経まして障害者基本法への名称変更でありますとか、障害者基本計画の策定、障害者週間の策定、施策の概況に関する報告書、いわゆる障害者白書と呼ばれているものでございますが、その国会提出、そういった規定が整備されてきたところでございます。

直近の平成23年の改正におきましては、目的規定の整備あるいは障害者の定義の見直し、3つの基本原則として地域社会における共生等差別の禁止、国際的協調といったことを示すとともに、国及び地方公共団体は施策を講ずるに当たっては障害者その他関係者の意見を聞き、尊重するよう努めなければならないといったようなことが定められました。

特に障害者の定義の見直しにおきましては、障害者は障害及び社会的障壁により継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受ける状態にある者をいうと定義されております。

そして、社会的障壁とは、障害のある者にとって日常生活、または社会参加を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念、その他一切のものをいうと新たに規定されたところでございます。

そして、第2章、第3章の各則におきましては、医療、介護等、あるいは障害者の人権の尊重、教育、人材の確保等、療育、雇用労働、情報の利用におけるバリアフリーでありますとか、選挙等、司法手続きにおいて、障害の有無にかかわらず共生社会の実現を図るに当たっての基本的な施策を整備しておるところでございます。

以上が資料3の障害者基本法に関する説明のあらかたでございます。

そして、次に、資料4でございます。

これも横向きの資料でございまして、障害者基本計画といいますのは、障害者基本法の第11条に、障害者の自立及び社会参加の支援等のための施策の総合的な、かつ計画的な推進を図るための障害者のための施策に関する基本的な計画と位置づけられているところでございます。平成14年に策定されました第2次の旧基本計画の計画期間が平成24年度末までとされていましたため、平成25年9月に閣議決定されたものでございます。

第3次障害者基本計画は、平成23年の改正されました障害者基本法の考え方等をもとに作成しておるところでございまして、その下の方に特徴とございますが、施策の横断的視点ということで、障害者の自己決定の尊重ということを明記しております。

また、障害者施策の基本原則等の見直し、そういったことを行いました。また、対象期間を平成25年度~29年度までの5年間としたところでございます。障害者基本法改正のほか、障害者差別解消法の制定等を踏まえまして、安心・安全、差別の解消及び権利擁護の推進、行政サービス等における配慮、こういう3つの施策分野を新たに設けたところでございます。

次のページの右側に、縦に10分野並べてございまして、今、申し上げた新しい分野は7、8、9という色の変わったところでございます。そして、全体の10分野というのは次の3ページ目のところにお示ししてございます。

今、申し上げた3つのほかに、障害児、障害者のニーズに応じた福祉サービスの充実でありますとか、精神障害者の地域移行の推進、新たな就学先決定の仕組みの構築、障害者雇用の促進及び就労支援の充実、優先調達の推進等による福祉的就労の底上げ、障害者権利条約の早期締結に向けた手続の推進、あるいはそういった既存分野の施策の見直しを行いまして、全体で10分野で構成されているところでございます。

なお、計画の実効性を確保するために成果目標というものを定めております。さらに、障害者政策委員会におきます実施状況の評価、監視等をこの計画の中にも明記をしておるところでございます。

次に、資料5でございます。

資料5の3ページをご覧いただきたいと思います。横向きになった絵が書いてございます。障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律、通称、差別解消法と呼んでおりますが、障害者権利条約の趣旨を踏まえまして、平成23年に改正された障害者基本法の第4条の差別の禁止、これを具体化するためにつくられた法律でございます。一番上のところに障害者基本法第4条、左から第1項、2項、3項と並んでございます。

資料6にこの法律の全文を添付しておりますので、適宜御参照いただければと思います。

差別解消法は「I.差別を解消するための措置」と下のほうにあります「II.差別を解消するための支援措置」の2つの大きな柱で構成されております。

「I.差別を解消するための措置」におきましては、障害者基本法の第4条を受けまして、法律第7条と8条に障害を理由とする不当な差別的取り扱いと、もう一つ、いわゆる合理的配慮の不提供、それがともに障害を理由とする差別ということで禁止しているところであります。

不当な差別的取り扱いといいますのは、申し上げるまでもないのでありますが、例えば障害者であるということのみを理由として特定のサービスの提供を拒否するような行為でありますし、合理的配慮というのは、個別の場面におきまして障害者が日常生活または社会生活において受ける制限をもたらす社会的な障壁を取り除くための配慮ということでありまして、例えば職員によります筆談でありますとか、読み上げ、そういったことで障害特性に応じたコミュニケーション手段による対応でありますとか、段差解消のための渡し板の提供、そういったことが考えられるところでございます。

本法律におきましては、国の行政機関や地方公共団体等、及び民間事業者は不当な差別的取り扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならないということで法的義務とされております。他方、合理的配慮につきましては、障害者と相手方との関係はさまざまでありますし、求められる配慮も多種多様であることから、一律に法的義務とするのではなく、国の行政機関でありますとか地方公共団体等につきましては法的義務を課し、民間事業者におきましては努力義務ということで対応指針等によりまして自発的な取り組みを促すこととしておるところであります。

なお、事業者でない一般の私人や個人の思想や言論につきましては、この法律の対象とはせず、国や地方公共団体が行います啓発活動等を通じて対応することとしております。また、第13条におきまして雇用分野における具体的な措置につきましては、障害者雇用促進法の定めるところによるとされております。

次に、差別的な扱いの禁止、合理的配慮の不提供の禁止を進めるための具体的措置、対応といたしまして、第1には法律第6条において基本方針を定めるとされております。

8ページをご覧ただきたいのでございますが、政府としまして障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策の総合的かつ一体的な推進を図るために、施策の基本的な方向等を示す基本方針を策定することとされております。具体的な内容としましては、この法律の理念でありますとか施策全般にわたる基本的な考え方、対応要領や対応指針に盛り込むべき事項、作成に当たっての留意点、支援措置に関する基本的な考え方等を想定しております。

基本方針は閣議において決定されるわけでございますけれども、案を作成しようとするときは、あらかじめ障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じること、障害者政策委員会の意見を聞かなければならないことが定められております。

第2に、法律第9条で国の行政機関の長等が当該機関等の職員の適切な対応に必要なものとして対応要領の策定、また法律第11条で各事業分野を所管する主務大臣が民間事業者の適切な対応に必要なものとして対応指針を策定するものとされております。

これらは基本方針に即して定められるものであり、定めようとするときにあらかじめ障害者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講じなければならないことが定められております。

なお、地方公共団体の対応要領の策定につきましては、法律第10条におきまして努力義務とされております。3ページに戻っていただきたいのでございますけれども、実効性の確保ということで法律第12条におきまして、事業者における障害を理由とする差別の禁止に関しまして、主務大臣は特に必要があると認めるときには報告の徴収、助言、指導、勧告をすることができることが定められております。

今、申し上げました差別を解消するための措置に加えまして、国や地方公共団体による下3分の1ぐらいのところにございますけれども、「II.差別を解消するための支援措置」というのが定められております。

1点目は、紛争解決・相談でありまして、法律第14条に相談及び紛争の防止等のための体制の整備が定められており、新たな機関の設置ではなく、既存の機関等の活用の充実を図ることとされております。

2点目は、地域における連携ということでございまして、法律第17条におきまして、地域における相談や紛争防止、可決等を効果的かつ円滑に推進する観点から、障害者差別解消支援地域協議会を組織することができるとされております。

その資料の10ページでございますけれども、地域協議会のイメージをお示ししているところでございます。

相談を受けました当該機関のみでは解決できない事案等につきまして、いわゆるたらい回しでありますとか、相談窓口の谷間、そういったものが生じないようにネットワーク態勢を構築することによって、地域全体での相談、紛争解決機能の向上が期待されるところでございます。内閣府では、本年3月に野澤委員に会長をお願いしております地域協議会のあり方検討会におきまして作成した暫定指針をもとに幾つかの地方公共団体の御協力をいただきながら、モデル的な地域協議会、それの試みといいますか、試行を行っているところでございます。今後、事業の成果を他の地方公共団体等に情報提供することとしておるところでございます。

3ページに戻っていただきまして、3点目が法律第15条に規定しております啓発活動でありまして、国民各層の関心を高めるため、国及び地方公共団体におきまして必要な啓発活動を行うこととしております。

4点目が、法律第16条に規定する情報の収集等でありまして、国内外の制度や具体的事例等に関する情報の収集等を行い、法律の運用に生かすとともに、国民に公表するということにしてございます。

この法律全体は、基本方針の策定等に関する一部の規定を除きまして、平成28年4月1日からの施行ということでございます。

以上が障害者差別解消法に関する説明でございます。

そして、資料7になりますけれども、「基本方針の構成(イメージ案)」というものでございます。これは第8回の資料3としてお出しした資料と同じものでございまして、第8回の障害者政策委員会で既に御審議いただいたものでございます。このイメージ案の1~5の太字部分でございます。見出しの部分でございますけれども、ここはこの法律の第6条第2項の各号に規定されているものでありまして、項目ごとに具体の内容として考えてられるものを例示しているところでございます。この中には、障害者の範囲や対応要領、対応指針の作成主体、手続など、法律にその内容が記載されているものもあります一方、不当な差別的取り扱い、合理的配慮、過重な負担の基本的な考え方などにつきましては、その内容が基本方針に委ねられており、今後、この障害者政策委員会でさらに議論を深めていただきたい点でございます。

3ページ目の「ヒアリング項目について(案)」という資料は、このような観点から、ヒアリングに先立ちまして、特に議論が必要と考えられる項目を質問形式に例示したものでございます。本日は、この資料7をごらんいただきながら基本方針に関する各委員の御意見や、初めての会でございますので、感想あるいは基本方針等に記載することなど御発言いただければと考えております。

以上が基本方針の構成案に対する説明でございます。

そして、資料8でございます。

これは基本方針に係る障害者政策委員会のスケジュールということで想定としてございます。障害者差別解消法の基本方針に係る障害者政策委員会におけるスケジュールについて御説明申し上げます。

前期の障害者政策委員会におきましては、障害当事者あるいは関係団体等からヒアリングを行ってきたところでございます。次回、9月中旬を予定しておりますが、以降におきましては、事業者等からヒアリングを行う予定でございます。なお、回数等につきましては、現在調整をしておるところでございます。

10月中旬以降を目途に基本方針案について議論することを予定しております。ここも回数につきましては調整をさせていただきたいと思っております。

議論を踏まえ案を取りまとめた後、パブリック・コメントを実施しまして、12月上旬を目途に閣議決定を目指すとしたいと考えております。その後については、基本方針を踏まえ、平成27年夏ごろを目途に対応要領、対応指針を作成、そして法律の施行に向けまして周知広報を行う、そういう予定を考えておるところでございます。

以上、スケジュールに関する説明でございます。

そして、最後は資料9でございます。

「障害者の権利に関する条約」と題したものでございます。この資料は外務省の御協力のもとに提出していただいた資料でございます。国連障害者権利条約は、障害者の人権や基本的自由の共有の確保、障害者の固有の尊厳の尊重の促進を目的としまして、障害者の権利の実現のための措置等を規定したものでございます。

本条約は、そこに書いてございますが、2006年12月に国連総会で採択され、我が国は翌年2007年9月に署名したところでございます。国内の障害者の方々の御意見も踏まえ、条約締結に先立ち、国内法令の整備を推進してきたところでございます。政府におきましては、障害者基本法の改正、これは平成23年、障害者総合支援法の制定、平成24年、障害者差別解消法の制定、平成25年などに取り組んでまいりまして、これら一連の法整備を踏まえて本年1月障害者権利条約を締結し、2月に我が国についても効力が発生したところでございます。今後はこの条約発効後2年以内に政府報告を障害者の権利に関する委員会に提出するということになります。

以上が障害者権利条約に関する説明でございます。

そして、資料10は冒頭のところで申し上げましたように、前回の障害者政策委員会に提出しました資料の補足、参考資料ということでございますので、ごらんいただければと存じます。

事務局からは以上でございます。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

特に差別解消法に多くの時間を使って御説明いただいたわけですけれども、といいますのも、本委員会として直ちに取り組むべき最優先の仕事がこの基本方針の取りまとめに対して本委員会として意見をまとめて申し上げるということだからです。

これまでに第8回の政策委員会で先ほど加藤参事官からの御説明にありました資料7の基本方針のイメージ案について協議し、さらに、それに沿って第9回の政策委員会では委員各位から、また10回~12回まで3回にわたりまして、障害当事者団体等から基本方針に盛り込むべき事項について御意見を伺ってまいりました。

つきましては、就任早々で恐縮ではございますけれども、新しく委員になられた方々からも同様に基本方針に盛り込むべき事項あるいは先ほど事務局からは感想であるとか期待であるとか、そういったようなことでも結構ですのでというお話がありましたが、お一人当たり、恐縮ですが3分をめどに御発言をいただきたいと思います。新しく委員になられた方、今日、御出席、10人の方だと承知しております。

最初に大河内委員から、基本方針に関して御意見、御感想、期待等を御発言いただければと思います。

○ 大河内委員 大河内です。

まだ不勉強なところもたくさんございまして、きちんと理解ができているかどうか不安ではありますけれども、差別解消法において一番今新しいところでは合理的配慮という考え方が示されていると思います。これは大学等高等教育の現場でも受験等、それから、大学進学後のこと、あるいは就労における部分の合理的配慮ということが、とかくいろいろな方面から期待されておりまして、それに対する当事者のニーズの表明だったりとか、きちっと自分のニーズを整理して伝えるということが求められてきていると思います。

これはとても大事なことで、自分のニーズをきちっと知ること、それを表明することでちゃんとニーズを伝えてリクエストをするということは大変意義のあることですし、特に高等教育の現場ではそのことはとても意味のあることだとは思っているのです。個人的には盲ろう者という支援をしている関係上、合理的配慮ということが、自分が主張できる人の枠組みで進んでしまっていることの危険というのも合わせて考えていかなければいけないのではないかなと思っています。

特に、合理的配慮に近い人たちが社会参加に近いところにいる人たちである一方で、その合理的配慮という概念すらまだ自分では知れない、知る情報を持たない人たちもたくさんいるということを踏まえていろんなことを考えていく必要があるだろうなということを、この資料を読みながら感じている次第です。

それと同時に、当事者側の視点ではなくて、特に合理的配慮みたいなものの中に過重なことが起きると、そこは合理的な配慮が必要ないというようなことも考えられていて、そこの部分とこの関係で、これはバリアフリー映画をやっている中で感じていることですけれども、合理的配慮が過重だと感じないような取り組みというのも必要だろうなと思っております。

今、映画の世界では、やはりバリアフリー、劇場をバリアフリー化すること、もちろん音声ガイドをつけたりする、字幕をつけるということは過重に劇場に負担をかけると誤解が生まれていますし、もちろん、そういう文脈もあったかと思いますけれども、最近新しい技術、特に個人端末が発達してきた今ですから、逆に新しい技術を使ってほとんど設備投資をしないままバリアフリーを実現するようなことが少しずつ可能になってきております。

そういう情報も当事者側から、あるいは専門家の側から、あるいは現場で働いている人の観点から、情報共有をするということで、合理的配慮をする上で過重ではないということを、特に合理的配慮とかバリアフリーという取り組みが決して特殊なことではないのだということを一般の障害の分野をほとんど知らないような一般の人たちに知ってもらうという取り組みもあわせてしていく必要があるだろうなと現時点では考えている次第です。

具体的なことが提案できなくて申し訳ございませんが、以上でございます。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

それでは、引き続きまして、大原委員、お願いします。

○ 大原委員 大原です。

私としては、今、大河内先生もおっしゃられたように、合理的配慮であったり、事前の環境整備というものを強く打ち出してしまうと、かえって障害のある人と地域であったり行政であったり、場合によっては事業者と対立構造といいますか、距離感といいますか、乖離を生んでしまうのではないかというような懸念を持っています。

私自身、冒頭お話しさせていただきましたが、実は地域の中では多様な困りごとであったり生きづらさを抱えてらっしゃる方がいる。私たちが今やっている小さな町での実践は、特に対象を限定したものではなくて、困っている方と困っている方同士を結びつけて、どちらが支え手になっているかわからないようなそういう実践を進めていこうとやっておりますが、例えば障害のある方の就労支援でやっている農作業などに要介護者の方にかかわっていただいて、実はそれを支援、サポートしているのは団塊世代の男性たちというような実践を1つ事例として御紹介いたしますと、そういうことを通じて、団塊世代の男性方は今までなかなか障害のある方にかかわったことがない、要介護の方にもかかわったことがない、だけれども、一緒に作業を通すことで何かしらのお互いに学びであったり、経験がつまされていく。

あるとき、私たちのほうでグループホームをやっているのですが、利用者さんが地域の中でトラブルを起こしてしまって、私も肝を冷やしたのですけれども、そこの団塊世代の方々が徒党を組んで御挨拶に回っていただいて何とか事なきを得たというようなことがありました。そういった地域とどう結びついていくかという観点でいえば、やはり先ほどからお話しされている地域協議会というものが極めて重要になってくると思いますし、地域協議会の中においては、先ほどのような合理的配慮であったり、事前の環境整備というものを強く打ち出すことなく、いろんな方々、多様な方々と議論できるような場にしていくことが必要なのではないかと思っています。

もう一点ですが、私は先日、我が町を車で走っていると、障害でユニークな行動をする自閉症の青年がいるのですが、彼と登下校中の小学生が振り返ったときに、全くその小学生はその人を避けることなく、何ら違和感なくスムーズにお互い行き来した出来事があって、私は物すごく感動しました。恐らく昔ですと、何か遠ざけたり、場合によっては指を指したりするような子供たちがごく当たり前に過ごしている姿を見て、私はなんでこうなったのだろうと思ったのですけれども、多分それは福祉教育が充実しているということではないかと思っています。

今回、基本の重点のところに教育というふうにありますが、これは健常の子たちに障害ということをどう伝えていくかということをしっかり義務教育の中に位置づけていく。道徳教育でやっている学校があったりやっていない学校があったりすると思いますが、そういう教育を小さいころから充実させていくことがとても重要なのではないかと思っています。

最後になりますが、今回、当事者の方の委員の参加、特に知的、精神の方がいないというような意見もございましたが、今回の対応要領であったり対応指針の策定に対しては、ぜひ当事者の方々の意見もしくはいろんな関係各所の方々の意見を聞く機会を持っていただきたい、そういうふうに思っております。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

それでは、加野委員、お願いします。

○ 加野委員 加野でございます。

時間が限られていますので、2点についてだけ申し上げます。

合理的配慮という言葉はまだ一般的にはなじみのない言葉かと思います。これをどのように一般に浸透するように、わかりやすく基本方針に記載するのかが最も難しい点ではないかと考えております。障害者権利条約における合理的配慮の定義は、長いので一部省略しますけれども、必要かつ適当な変更及び調整であって、かつ均衡を失した、または過度の負担を課さないものを言うとなっており、過度の負担を課さないということが定義の中に入っています。

この定義では、合理的配慮とは、障害のある人の側から見て合理的であるというだけでなく、配慮をする側にとって過度の負担がないという意味も含まれていることになります。一方、差別解消法では、例えば7条2項では、その実施に伴う負担が過重でないときは合理的配慮をしなければならないと記載されており、負担が過重でないということが合理的配慮とは別に記載されています。そこで、差別解消法では、障害者権利条約の定義とは異なり、合理的配慮とは障害のある人の側から見ての合理性のみを言っている。配慮する側の問題は、負担が過重でないときという別の要件として規定していると考えることもできます。

基本方針では、この差別解消法にいう合理的配慮の意味について、権利条約の定義と同じなのか、違うのか、誰にとって合理的なのかということを明確にしておいたほうがいのではないかと考えております。

いずれにしましても、合理的配慮とは障害のある人にとって適切な配慮がなされるということが重要ですが、何が合理的配慮になるかというのは個別具体的に判断せざるを得ないと考えます。また、過度な負担かどうかというのも同様です。

そして、障害に対する理解が進むことや、技術の進歩によって、従来は過度な負担と考えられていたものが過度な負担でなくなるということがあると思います。そういう意味では、合理的配慮も過度な負担も時期によってその内容は変わり得るということを基本方針の中で示し、例えば現時点で過度な負担であるとされたものがずっと過度な負担とされるわけではないということを明らかにできればよいと考えております。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

それでは、続きまして、河井委員、お願いします。

○ 河井委員 全肢連の河井です。差別解消法の基本方針につきまして、各項目については第10回のヒアリングで当会の副会長、石橋より意見を述べさせていただきました。その内容に変更点はございません。本日は2点追加で意見を申し上げます。

1点目は、地域間格差に対する懸念でございます。現在、障害福祉サービスは地域の実情に応じて実施するように市区町村が施策の実施主体となっております。確かにきめ細かく事業を実施するためには必要な視点と思いますけれども、一方で、各自治体の財政状況によってサービスの支給量や事業内容に格差が生じていると認識しております。

また、障害の内容や程度によっても受けられる福祉サービスの内容に格差が生じております。今後、差別解消法が施行され、行政に合理的配慮への対応が義務づけられますけれども、その際にその財政状況によって対応へのスピード、内容に格差が生じることを懸念しております。いずれの自治体におきましても、障害者権利条約や差別解消法の趣旨に沿ってしかるべき対応がされるよう、基本指針に盛り込むべきと考えております。

2点目につきましては、当事者にわかりやすい言葉、説明をしていただくということです。この点につきましては、ヒアリングの際にも申し上げておりますが、度重なる福祉制度の制度改正につきましても、私たち父母の会の会員たちは高齢の保護者も多く、内容を理解するのに大変苦労しております。誤解や思い違いなどが生じないように、障害のある人にもない人にもわかりやすい丁寧な説明がなされ、円滑に施行されるように配慮すべきと考えております。

以上でございます。ありがとうございました。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

続きまして、佐藤委員、お願いします。

○ 佐藤委員 佐藤です。

私は、質問の項目に沿って考えまして、その考えた内容が6ページになってしまいました。それで、事前の資料をお願いしたのですけれども、点訳する時間がないということでかないませんでしたので、本日、また資料をお渡ししますので、ぜひ次回の委員会で皆さんに配付していただきたいと思います。3分ですので、今からいけるところまでいきたいと思います。

1の1です。不当な差別的取り扱いの基本的な考え方、どのような場合を差別的取り扱いと考えるか。これは差別禁止部会のまとめた障害に基づく差別をベースとした概念を記載すべきと考えています。直接差別、関連差別、合理的配慮の提供を包含した障害を理由とした、あるいは障害に関連する事由を理由とした区別、排除、制限、これが差別的取り扱いだと思います。

障害ゆえにかかるコストというのがあります。これを本人や家族に求めることも差別になる可能性があると思います。例えば車いすの学生がいて、修学旅行に行くときにリフトつきのバスを手配した場合、割高になった。その費用を本人や家族に負担させる、そういった場合です。

1の2です。正当な理由がある場合に差別とはならないとされているが、どのような場合に正当な理由があると考えるか。これは客観的に見て正当な目的で行われ、その他の方法がない場合だと考えています。ただし、第三者が納得できる客観的な証拠に基づいた証明責任を差別したとされる側に義務づけていただきたいと思います。

2つ目は、積極的差別是正措置とされた優遇措置です。

1の3です。合理的配慮の基本的な考え方として、どのような場合に配慮が求められるか。まず、どのような場合というのは、日常生活、社会生活のあらゆる分野だと思います。どのような配慮、これは部会の意見でまとめられた3つの配慮です。

1つ目は基準手順の変更、2つ目は物理的形状の変更、3つ目が補助器具、サービスの提供です。

このとき注意しなければいけないのは、意思表明が難しい人への支援というものを明記していただきたいと思います。

1の4です。過重な負担、どのようなものが過重な負担かです。これは3つあると思います。物理的変更が困難な場合。2つ目は業務の本質的な変更になる場合。3つ目は事業所の運営、経営を困難にする事情があるときです。このときも気をつけなければいけないのは、第三者が納得できる客観的証拠に基づいて過度な負担であるという証明責任を事業者側に義務づけていただきたいと思います。

もう一つは、過度な負担となって合理的配慮をしなくてもいい場合も、建物を例えば建てかえるとか、新しく物品や車両を購入する、そういったときは積極的に合理的配慮を行っていただきたい。

あともう一つは、期限を区切って改善を求めることも必要だと思います。現在は難しくても10年後までは改善をするといったことです。

1の5です。職員の研修、そういったものはどういうものが必要かということです。これは採用段階からリクエストシートというようなものをつくって、本人と関係者が十分に時間をかけて話し合える関係をつくって、ハードとソフトの環境の整備を進めていただきたい。管理者や職員に対する研修については、障害当事者を含めた講師でやっていただきたい。一定規模を超える職場では、現場にコーディネーターをおいて重点的な学習機会をつくっていただきたい。紛争、相談、そういったときは、障害者差別に詳しい第三者がかかわれる協議機関を設置していただきたいと思っています。

1番だけで時間が過ぎてしまいましたので、これで終わりたいと思います。ありがとうございます。

○ 石川委員長 ありがとうございました。行けるところまでとおっしゃったので、私、とめなければいけないのかなと思っておりましたが、ありがとうございます。

それでは、次、玉木委員、お願いします。

○ 玉木委員 まず、合理的配慮の話をしておくと、今日の会議もそうだと思いますけれども、私も初めてこの会議に参加するのですが、メールとかで事務メール等をするのですけれども、やはりボリュームが多いということと、整理をして話をしなくてはいけないということで、余りにも時間が限られ過ぎて論議という場面がないかなという気がします。

この政策委員会のあり方自体も、例えばグループワークとかを重ねていきながら意見を集約していく、重ねていく作業をしないと、いろんな方の参加、特に知的障害の方とか精神障害の方、自己表現が難しい方の参画もなかなか難しいのではないかという気がしております。

もう一つは、過重な負担という表現がありますが、過重な負担だからイコール差別がないということではなくて、その過重な負担をどうやって解消していくかということを行政機関と一緒にきちんとプランニングしていって、その過重な負担を解消していくことで合理的配慮が実現していくために、そのプランニングを実行していく期間をきちんと提示するべきかなと思います。

もう一点については、教育だと思います。大河内委員も言われたように、障害のある人自身が、これはおかしいなとか、これは気持ちが悪いなとか、あれ、私たちは疎外されているのかなということを気づかないとなかなか差別というところにつながっていけない。なおかつ、これが過重な負担だからぼちぼちやろうねと言ってしまうと、結局そこで我慢をしなくてはいけないということが生じてくると思っています。だから、きっちりと、あなたにはこういうことをされたら本当は怒らないといけないのですよとか、こういうことはあなたを馬鹿にされていることなのですよというようなことを、小さいころからの人権教育というか、障害当事者の人に対するエンパワーメント支援みたいなのをきっちりとやっていくという仕組みが本当は大事なのだと。あわせて、共生社会という以上は、障害のある子供たちと一緒に学ぶ、暮らす、遊ぶ、働くというそういう仕組みの中で相互理解というか、多分これが価値観のぶつかり合いと価値観の共有化だと思っています。そういう場面をきっちりとつないでいきたい。

最後、もう一点、虐待防止法ができたおかげでよかった面と悪かった面があって、悪かった面でいうと、多分虐待という言葉にごまかされて、本当は犯罪、いわゆる刑法に触れるようなことをされていたとしても、その虐待ということでうやむやにされてしまうという状況があって、私が1個気になっているのは、いわゆる親告罪という部分については、本人が親告しないと罪が成立しないというちょっと違和感のある仕組みもある中で、本人が親告しなくても客観的にやはりおかしいよねと言われることであれば司法できっちりと整理できて、それはだめですよねということを確認できる場面というのをつくっていかなければいけないのかなと思っています。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

それでは、柘植委員、お願いします。

○ 柘植委員 お願いします。筑波大学の柘植です。

教育の視点から発言したいと思います。3つございます。

まず1つ目ですけれども、この資料7の1ページでいいますと1番、もしかしたら2番と3番にもかかわるかもしれません。障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向ということで、大人の社会の中で、これは差別ではないかと、だから、解消しようよと、それは非常に重要なことなのですけれども、そもそもそういう差別が大人の社会の中で起こりにくいように、子供のうちから授業で、学校で働きかけをするということが非常に重要なのだと思います。これは先ほどの大河内委員の発言と重なるところですが、ぜひそんなようなことをどこかに明記する必要があるのかなと思います。

また、例えば憲法の14条で、全ての国民は法のもとに平等なのだと、あるいは26条で等しく教育をみんな受けるのだと、権利があるのだというように非常にわかりやすい文言がある。ですから、この基本方針の全部は難しいのですけれども、一部分については、あるいはわかりやすく将来的にパンフレットでもつくるのであったら、それを使って、その文言を使って学校で教員が子供たちに教育できるような、何かそんなようなものも少し意識した内容が記述されるといいのかなと思います。

2つ目は、2番と3番と主にかかわる合理的配慮のことです。先ほど来から何人かの委員の方が出ておりますけれども、合理的配慮、自ら主張できない方はどうするのか。これはまさに教育は大きく悩ましいところでございます。いろいろな障害によって、あるいは年少だということで表明できないことも多い。そうすると、教育ではどういうふうにそれを仕組みとしてつくっていくのか。例えば学校だとか教員が一人一人のニーズを的確に把握して、例えばこんな感じでいかがでしょうかというものを提案し、保護者の合意のもとである程度確定して提供していくとか、そういった主張できないということであれば、それをどうやって補っていくのかということを明記する必要があるのかなと思います。

合理的配慮の不提供の禁止なのですけれども、国、地方公共団体等は法的義務で民間は努力義務だということなのですが、教育では非常に悩ましい問題がありまして、例えば横浜市では、幼稚園は全て私立なのです。ところが、他の自治体では全部公立、あるいはまた自治体によると半分公立で半分私立だということで、私立に通うお子さんがそれで不利を受けないように、でも、法律上は努力義務ではないかと、そうならないように、これも何らかの教育ならではの仕掛けといいますか、応援するような仕掛けが必要なのかなと思います。

教育に関する合理的配慮のデータベースを、既に7月、文部科学省と国立特別支援教育総合研究所のほうで提供しているのですけれども、それを見ていて思うことがあります。それは、このデータベースは、教育の視点からのデータベースだということです。でも、、教育だとか福祉とか医療とか労働とか、1人の子供がどこかだけに箱に入るのではなくて、全部の箱に入るわけですね。ですから、学校に行って、その後、放課後、学童に行って、スーパーにお母さんと行って買い物をしてバスに乗って帰る。それぞれでその子供に必要な合理的配慮みたいなものがちぐはぐになってはいけないので、まさに基本方針ですので、これから各厚労省だとか文科省だとかがつくっていくものをうまいぐあいに束ねるといいますか、ちぐはぐにならないようなものを盛り込む必要があるのかなと思います。

あと、障害者の範囲の問題が出ていなかったので一言。特別支援教育では、明らかに医師の診断のある方だけを特別支援教育の対象にしているわけではなくて、例えば発達障害ですと6.5%の可能性でということで、必ずしも濃厚な支援は必要ないのだけれども、全く支援が必要ではないという方々もいらっしゃって、そうすると、合理的配慮を提供する障害者の範囲をどう考えるのかという、これも教育ならではの悩ましい問題で、診断がないからないよというふうなことにならないような仕掛けを考えていく必要があるのかなと思います。

最後、3つ目です。これは2ページの5番目に関係するところだと思います。3つ目の○のところですが、これは基本方針ですから基本方針なのですが、その推進をどういうふうに進めていくかとか、あるいはどういうふうにそれが上手い具合に進んでいるかということをフォローアップするようなことが非常に重要なのだということをぜひここの基本方針にも書いていただいて、これを元に各主務大臣がつくるとか、あるいはそれを元に各自治体がつくるときにも、どういうふうに推進してそれがうまくいっているかどうかをどうフォローアップするのかという、そこも忘れずに進めていくようなことを支援するような、そういう基本方針であるといいなと思います。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

それでは、平川委員、お願いします。

○ 平川委員 平川です。先ほど挨拶のときに上がってしまっていっぱいしゃべってしまいましたので、かいつまんでお話をさせていただきます。

先ほど申し上げたように、精神障害は統合失調症とか躁鬱病とか、さまざまな病気があります。今までの施策につきましては、統合失調症一辺倒だったように私は印象として思っています。先ほどお話がありましたように、発達障害、今後問題となる認知症など、さまざま精神障害にかかわる疾病もふえてきております。

例えば統合失調症はなかなか病識がなくて、自分がどんな問題を持っているかというところがなかなか不明確であります。逆に鬱病等については、自分は物すごい病気で、もうどうにもならないと強く病気を思ってしまうという全く逆の特性もあります。このようなことで、疾病ごとに個別の障害があるということを御理解いただいて、それにどういうふうに対応していったらいいかということをやはり知る必要があると思います。

これはそういう意味では、ほかの委員の方もおっしゃったように、教育ということが非常に大事だと思います。この病気になったら、どこにどうやって相談に行ったらいいのか、どういう社会的支援があるのか、どういうふうにしていけばいいのかということが子供のうちからわかっていれば、おのずとその対応策について、そこに道が見えてくると思います。特に、最近脱法ドラッグ等の薬物依存とか、こちらも全部精神障害に含まれてしまっている。この辺は少し個々の部会等を検討いただきたいと思います。

認知症につきましては、先ほど申し上げましたように、非常に精神科病院の質が大変問われてございます。過去の精神科の医師は、ほとんど身体疾患についての知識がない、そういう問題点がございまして、認知症の場合、高齢者のために非常に合併症が多いのです。体の合併症が多いために、体の病気を見過ごして精神症状ばかりを診て失敗してしまうケースがあります。この辺も医学教育の中で、いわゆるプライマリー・ケアといいますか、全身が見れるような医師を今育ててございますが、これがますます進んでいくことが大事なのかなと思います。

2番目、合理的配慮の点について申し上げたいと思います。

先ほどから出ておりますが、さまざまな疾患があるために、それぞれ自分で自分のニーズがわからない、どうしていいかわからない。例えば統合失調症の人で自立支援の福祉を受けるのを拒否される方は結構いらっしゃいます。自分はそんなに悪くないから大丈夫とおっしゃっている。そういう方こそが本当に支援が必要なのだと説得をするのですけれども、いや、自分はそんなに悪くないからとおっしゃいます。そういうところをどういうふうにしていったらいいか。逆に、ほかのストレス関連疾患のような方で物すごく自分の病気がひどいのだと主張する方もいらっしゃいます。それは医師としては非合理だと思うのですけれども、この辺を法律でうたう場合に合理的配慮というのをどういうふうに判断していくのかというのは非常に難しいところだと思います。ここは慎重な審議をしていただきたいと思います。

経済的な心配をするのは私の立場ではないかもしれませんが、今後急増する認知症に対して、これをどういうふうに経済的な裏打ちをしていくのか。逆に、先ほどから出ていますように、地域で皆が暮らしやすくするには、思いやりとか、お互いを大目に見るとか、日本の非常に大事な文化というのがそこにあるので、これは外国と違うものだと思うのです。日本のよさというのをぜひ基本方針にうたっていただけたらと、これは私のお願いです。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

それでは、松森委員、お願いします。

○ 松森委員 松森です。

私からは3つ。

まず1つ目は、私は聞こえないのですけれども、聞こえる子供が1人おります。子供の習い事を申し込むときに、子供は聞こえても母親の私が聞こえないという理由で断られたことがありました。こうした差別を受けるとき傷つくのは当事者本人だけではなくて、一緒にいる子供だとか、家族も傷つくということです。これは対象となる障害者の範囲、このあたりできちんと検討してほしいと思いました。

2つ目は、差別を解消するための措置に関して、行政機関だとか事業者が講ずべきことと書いてありますけれども、この中に特に小中学校などの教育機関、教育関係者、またPTAだとか子育て支援機関を通して保護者への周知を徹底する工夫も検討してほしいと思います。

保護者の考えは子供たちにも影響するからです。先ほど委員からも何人かおっしゃっていましたけれども、うまく説明できるか自信がないのですけれども、例えば皆さんも企業だとか就労の場、障害者団体、小学校、中学校、高校、大学など、そうした集団に属していると思うのですね。でも、専業主婦というのはそうした集団に属していない人も多い。私も経験あるのですけれども、社会とのつながりや接点が持てなくて、そのまま10年、20年と子育てをするのです。そうすると多様な人や障害者との接点がない場合も多くあります。専業主婦というのは将来を担う子供を育てているという部分で社会に対して大きな貢献をしていると思うのです。ですから、なおさらそうした社会経験の少ない方でも学べるように、PTA活動だとか子育て支援機関など視野に入れてほしいと思いました。そのときには、わかりやすい言葉で説明していく必要があるということも加えておきたいと思います。

3つ目、障害者という枠で一括りにするのではなくて、その中で障害のある女性という観点も大切に考えてほしいのです。障害があるというだけで立場が弱くなっているということがあります。そこに加えて女性という立場でもなおさら差別を受けることも多くある。そうしたことの課題を把握し、方針を示していく。そうしたことも検討していっていただきたいと思います。

以上3つです。ありがとうございました。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

それでは、山崎委員、お願いします。

○ 山崎委員 今、聞きほれました山崎です。

実は私も女でして、わかっていますか。主婦にもなれず、子育てもできず、三十何年こんな仕事ばかりしておりますが、今、前の話に聞きほれてしまいました。

本髄に戻って、住まいのことを中心にお話ししたいと思っています。私、昭和の時代から知的障害の方々を地域で暮らすということをずっとやってきたのです。グループホームが元年にできたときに、グループホームの家屋を探すのは本当に大変で、正直に言うと、障害のある人が住むということを隠して借りた時代もありました。今考えると、26年たって、随分楽になってきたなと思う反面、消防法、建築法にとらわれて、もうグループホームは建てないとできない時代かしらとがっかりしているわけです。東京は別でしょうけれども、日本の地方都市は7軒に1軒は空き家なのだそうです。この空き家を利用しない手はないだろうなと、障害がある人たちだけ要塞のような立派なグループホームを建てて、とりたてたものに住むことはないのではないかという気がしています。これが差別とどうかかわるのかというのは微妙な問題ですけれども、そんなふうに思っているわけです。

そういった意味では、法律があるから地域で暮らすとか、法律が決まったからするということをやってきませんものですから、御本人が希望する、御本人が地域で暮らしたいとか、あるいは会社で働きたいというニーズに沿って仕事して組み立ててきたものですから、そういったところを大事にしながら、どう法律をつくっていくか。

意外にグループホームの実践者としては、お年寄りの町内会の方たちって壁になるのです。教育ももちろん大事です。でも、グループホームなどをやり出すと、近所のお年寄りはみんな見ているわけです。あなたのところは何をするのだという。そういった意味では、町内会の方々が、この法律とかみんな同じ人間だよというところがわかるまで、どういうふうに我々が活動していくか。この間、私は札幌市の西区というところにいるのですが、結構障害のある人のグループホームがたくさんいる地域でして、うちの法人だけではなくて身体だとか精神だとかの方々の法人もあるものですから、町内会に呼ばれて、障害とはなんぞやと話せということで、ちょっとお話ししてきたのです。

そうしたら、町内会の役員の方々、全員私より年上です。その方々に、障害はどういうことかということを改めてお話しする必要が、近場の人にはしゃべりにくいです、嘘を言えないので。でも、頑張ってやろうということで話してきましたけれども、意外に子供の教育とともに、町内会単位の人たちに障害というものを理解していただくかという活動が必要かなと思っています。

最後になりますが、先ほども言いましたが、よくこの法律を見たら、この委員は30人が定員なのです。数えたら28人なわけです。あと2人入れますね。精神の当事者と知的の当事者、入れていただければ大変うれしいと思います。

以上でございます。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

これで10人の新しく委員になられた方から基本方針についての御意見等をいただきました。幸い時間がまだございますので、従来からの委員も含めて、この後、少し議論を深めていければと思っております。

多くの御意見が出ました。その中で、幾つかもう一度少し整理させていただきたいと思いますけれども、まず第1点として合理的配慮要求ということをめぐってさまざまな御意見がありました。合理的配慮を求めるということがまず出発点としてあるけれども、それが過度な負担であるかどうか、どのような方法で合理的配慮を提供するか。その提供方法については、提供側の選択であるというのが法のたてつけにはなっているけれども、どうであるかとか、あるいはそもそも合理的配慮要求を言えない、あるいは何が合理的配慮なのか、どこまでがそうで、どこから先がそうではないのかといったようなことについて、それぞれなりに判断が難しいという問題であるとか、客観的に見て合理的配慮要求があるということが明白であったときに、なおかつ要求がないと、それは呼びかける倫理的な責任はないのかといったようなもろもろのことがさまざまな言い方で語られたかと思います。これについて、まず第1点として御意見等あれば御発言をいただきたいと思います。御発言をお持ちの方は挙手をお願いします。

それでは、伊藤委員、お願いします。

○ 伊藤委員 今いろいろお話を伺っていて私も感じたのですが、2年前の初めて参加したときの話を蒸し返すようで大変申しわけないのですけれども、やはり合理的配慮という言葉が一般の国民の中、市民の中にどのように浸透していくかというのは、その合理的配慮が浸透していく前の段階としてどなたかおっしゃったと思いますけれども、合理的配慮という表現でいいのか。これが果たして一般の国民の方々に理解しやすいものなのか。同時に、障害を持っている当事者にもこれが理解できるのかということを抜きには、何が合理的配慮であり、何が不提供であるのかということはなかなかわかりにくいと思いますので、私は改めて合理的配慮という言葉が村社会みたいな一部の福祉の分野だけで理解されている言葉でないかということを振り返って見なければならないのではないだろうかと思います。

もう一点、ついでに言えば、例えばこの差別の解消の推進に関する法律などでさまざまに書かれていますけれども、例えば病気によっては、特に皮膚科の疾患ですと非常に容貌が社会的な大きなハンディになるところから、家から外にも出ないような状況というのがあるわけですけれども、新しく難病を指定するに当たっては、身体的な機能を中心に重症であるとか、だから、指定難病にするという話はあっても、なかなか社会的な困難やハンディをもってそれを難病に指定するとはならない。つまり、同じ領域の中でも社会的困難というのと機能の障害を中心とした困難度というものの間に大きな壁があると考えておりますので、そういうものも同時に検討しなければならないのだろうと思います。

分野が違うことに口を差し挟んで申しわけありませんが、先ほどから精神の関係の方あるいは知的障害の方から盛んに。

○ 石川委員長 すみません、合理的配慮についてのみ差し当たり御発言をお願いいたします。

○ 伊藤委員 では、ついでに、それは関連があると思うのですけれども、この2団体だけが当事者がいないということをおっしゃっているわけですけれども、私もそれは感じておりまして、それが合理的配慮というか、当事者参加ということを語るときに必要なことなのではないかということを聞いていて感じましたので一緒に発言させてもらいました。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

伊藤委員からは合理的配慮という言葉、そもそもこの言葉自体がわかりづらく、では、どうしましょうかという問題もありますけれども、関連して御意見がある方はいらっしゃいますでしょうか。

野澤委員、いかがですか。積極司会でいこうと思います。

○ 野澤委員 わかりました。せっかく指名していただいたので。合理的配慮の言葉は本当に漢字だらけでわかりにくいのは確かだと思うのです。ただ、言葉がわかりやすいかどうかというのは、その中身がどれだけ知られているかとセットなので、中身について我々がもっともっと研究して広げていくことによって、その言葉が定着していくものだろうと思います。

合理的配慮は、今現在の合理的配慮と、それから、これからどんどん我々がいろんなことをやって社会の科学技術が進化し、国民の意識が進化していくと、合理的配慮を求める水準も高まっていくはずなのです。この進化とか変化を求めていこうではないかというのが私の考えていることです。

実際にここで何が合理的配慮かと考えるのももちろん大事ですけれども、町に出て合理的配慮をみんなで探していく。あるいはどうすれば暮らしやすくなるのかというのを考えていくということが具体的に合理的配慮という考え方のわかりやすいイメージができるものだと思うのです。

この前、岩手県に行ったら、岩手県の車椅子の当事者で競技スキーの選手で、事故で四肢まひになってしまった。彼は町で合理的配慮をしてくれと言ってもわからないのです。お店に行ってスロープをつけてくれといっても、そんなことまでと言われることが多いので、では、わかったと、押しかけ合理的配慮だといって、被災地に行って手づくりの木の板を自分たちのNPOがつくって、それを100個、この町のいろいろな店舗に行って「これをつけてくれ。自分たちがつくった」とお願いするのです。お店の人たちは、「こういう木の板でスロープを設置することで障害のある人はそんなに喜んでくれるのか」というので、それがすごく歓迎されているというのです。私は、これはすごくいいなと思いました。こちらから何かを要求する、それはもちろん大事ですけれども、むしろ自分たちで先に合理的配慮をさせてくださいと。そういう活動を通して一般の方に合理的配慮について知っていただくというのはいいなと思いました。結構この法律は警戒されているのです。いろんなところへ行って、私もいろんな人から警戒されることを言われたりしておりますけれども、こういう非常に身近なところで具体例で見せることによって、あるいは体験してもらうことによって意識は広まっていくのではないかなと思ったりします。それが広まっていった後、またもうちょっと高い水準を我々は目指していけばいいのではないかなと思った次第です。

○ 石川委員長 済みません、無理を言いました。ありがとうございました。

合理的配慮とこの法律で言われていることについては、既にさまざまなところで自発的にこういった法律とは以前から行われていることが少なからずありますので、そういったグッドプラクティスを実践してこられた事業者とか事業者団体に対してヒアリングをしていくことによって、なんだ、そのようなことなのかと安心感も得ていただくことができるのではないかと個人的には思っております。

2点目ですけれども、障害の範囲について何人かの委員から御指摘がありましたし、また不当な差別的取り扱いであるとか、合理的配慮の不提供によって、その効果というものも例えば排除されたり、不利益をこうむったりするのは、本人だけではなくて本人を行動をともにしている家族であったり、友人であったりするといったようなこともあります。

障害の範囲にかかわる話として、このテーマで御意見をお持ちの方がいれば挙手をいただきたいのですが、あるいは補足説明ということでも構いませんけれども、いかがでしょうか。指名しましょうか。

では、佐藤委員、いかがですか。

○ 佐藤委員 ありがとうございます。言おうかどうしようかなと考えていたのですけれども、手帳を要件にせずにできるだけ多くの人が救われるような形にしていただきたいと思います。

今、日本は手帳の要件があって、障害者の比率が非常に低く、谷間の障害の方、たくさんいる、これは課題なのですけれども、差別の問題、合理的配慮の課題についてもぜひ一人一人の人の話をちゃんと聞いて対応するということで手帳要件は義務づけないでいただきたいと思っています。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

それでは、3点目なのですけれども、先ほど柘植委員から教育分野における合理的配慮について、公立と私立の学校がある、これは幼稚園から大学までそうなのですけれども、一方は合理的配慮が義務づけられており、他方は努力義務となっている。しかし、学校であるという点では変わりはない。こういったことについて、その違い、法的な位置づけの違いを何らかの形で吸収するようなことが必要な分野というのは教育には多分とどまらないのだろうと思いますけれども、とりわけ教育はわかりやすい例かと思いますが、個々の分野にかかわる内容を基本方針に盛り込むことが必要か、あるいはそれが可能かというようなことも含め、もし御意見がおありでしたら、どなたでも結構ですので発言を求めたいと思います。

川崎委員、お願いします。

川崎委員 精神障害者の家族会の川崎です。

実は、私ども精神障害者に関しましては偏見という問題がかなり大きくこの社会に根づいておりまして、この偏見をとるための啓発活動をして、その中で必要なのが教育ではないかということを今感づいているところでありまして、教育現場で、小学校、中学校から起きておりますいじめとか不登校の問題、それをやはりその当事者だけの問題とせずに、教育現場でしっかりとこのような理解をしてもらう。偏見というのは誤解しているということでありますので、この誤解をとるような教育をぜひともとお願いしているのですけれども、実際問題、以前は保健の授業などで、中学、高校からは保健の授業で精神疾患に対する文言があったのですけれども、不適当な文言だということで現在削除されておりまして、今、どこでも精神疾患に関する正しい理解といいますか、啓発するようなことがされていない。

それで、先ほどお話がありましたように、実はPTAの父兄の中に大変に精神障害者に対する偏見を持っております。あそこの家には精神障害者の人がいるから、通学路でもかかわらずそこの前は通らないようにとか、それは母親が言っているわけです。このようなことでますます偏見を助長させている、精神障害者が怖いものだと小さいときから植えつけているということは大変に遺憾に思っておりまして、文科省のほうにも教育カリキュラムにぜひとも何とかこれを入れてほしいということをお願いしておりますけれども、まだ実現されていないところで、ぜひとも差別解消法の中の啓発といいますか、そこの教育としてしっかりと挙げていただきたいということを願っております。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

柘植委員、お願いします。

○ 柘植委員 今の御発言、とても重要な発言だと思います。そろそろ次の学習指導要領の改訂の作業に入ると思いますので、幼稚園、小学校、中学校、高校、全てのところで、例えば総則だとか、一番頭のところに、今回のこういうものを受けて頑張りましょうというようなことを明記するといいなと私も思います。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

田中委員、お願いします。

○ 田中委員 分野別という形でくくれるのかどうかよくわかないまま問題意識だけをお伝えしたいと思うのです。年金をめぐって、これも全国で押し並べてということではなく、ある地域ではということで聞こえてくるのですが、特に知的障害、発達障害の場合に、給料がもらえるような環境に置かれると、本人が障害が改善されたと誤解をされているのか、それが差別に当たるのかもまだ十分検討し切れていないのですが、結果として年金が受けられなくなるという実態があちこちから五月雨のように聞こえてくる。この状況については、個別具体的に詰めていかなければいけないとは思うのですが、そういったことが何に当たるのかについては、非常に関心を持って深めていただければと問題意識としてはお伝えさせていただきたいと思います。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

基本方針に関して御意見をいただき、何点かについて意見交換をすることができました。

基本方針に関しては今日のところはここまでとさせていただこうかと思いますが、今日御欠席の新委員からも次回以降、基本方針について御意見をいただく予定にしておりますので、また、その際にも議論ができますし、そもそも基本方針に関してこの委員会として意見を取りまとめていくという過程、まだ道半ばでありますので、これからヒアリングを行うと同時に、委員会としての意見の取りまとめをしていきたいと考えています。

そこで、最後になりますけれども、何人かの委員から精神及び知的障害の当事者の委員が不在であるという指摘がございました。これにつきまして、ほかの委員からももう少し御意見をいただきたいと思うのですが、川崎委員、いかがでしょうか。

川崎委員 川崎です。

やはり障害当事者の意見を聞いてしっかりとそれに沿った制度、施策をするところだと思っておりますので。あと、先ほどどなたかおっしゃいましたように、28名で、あと2名あいておりますので、これは担当室にお伺いしたいのですけれども、精神と知的の当事者の参加ということは御配慮していただけないのでしょうか。そこをお尋ねしたいと思います。

○ 石川委員長 という御意見。ほかにございますか。

上野委員。

○ 上野委員 上野です。

差別に関して言うと、私が感じていることなのですけれども、実は精神障害に関しては、私は一応二十何年間精神科の医師をやっていて精神科医療に関する専門家の立場にあると思います。私がここ数年感じているのは、私のような精神科医療の専門家が実は精神障害に対して極めて深い差別意識を持っているのではないかということです。

こういう事例があります。精神障害の方の就労支援をする場合、日本では競争的な就労、一般就労に就ける割合は非常に低いのですけれども、あるグループが精神障害の方の就労支援をしたら、5割とか6割の方が一般就労ができたと。その方たちに何がうまくいった秘訣なのかというのを聞いたらしいのです。そうしたら、精神障害の専門家を入れなかったことが成功の秘訣であったと。私などはもう二十何年間精神科の医師をしています。そうすると、例えば統合失調症の方がいらっしゃる。その方が幻聴がある、被害的な妄想があると診てしまうと、就職して人の中に出て行ってストレスがかかればいろんな被害的な妄想が出たりとか幻聴が出て調子が悪くなってしまって、結局失敗してしまうのではないかと自然に考えてしまうのです。それがその方に伝わって、私が思ったとおりになってしまうというようなことなのではないかと思うのです。

私の中で例えば精神障害の方を診たときに、常に悪いところ、治すべきところを探してしまうのです。どんな妄想があるのかとか。その人に残されているいろんなできることではなくて、まず、幻聴があるかとか、妄想があるかとか、何か陰性症状があるかとか、そんなところばかり探してしまうので、これは私がもう二十何年間訓練を受けてきて自動的にしてしまうのです。

○ 石川委員長 上野委員、すみません、簡潔にお願いします。結論をお願いします。

○ 上野委員 長々と済みません。結論としては、やはり当事者の方の意見、その他がないと私たちの政策委員会での意見形成は完全なものにはならないと思います。

○ 石川委員長 ありがとうございます。

あと1人だけ。玉木委員、お願いします。

○ 玉木委員 ありがとうございます。

当事者参画は大事だと思います。ただし、このような会議設定だけでの参画は余り意味がないと思います。ずっととは言いませんけれども、グループワーク的な取り組みも重ねていきながらきっちりと意見表明ができるような環境設定をした上での当事者参画。特に、知的、精神、あと気になっているのは発達障害の方の参画がないということは、そこら辺の検討をお願いしたいと思います。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

参考情報で1点申し上げたいのですが、6月に第7回の権利条約の締約国会議がございました。私は政府代表団に加えていただいて出席してまいりました。ニュージーランドの大臣、障害者施策担当の大臣が次の権利委員会の委員の選挙に際して、ニュージーランドは知的障害の委員候補を擁立してその当選を目指すと公式に発言しておられたのが印象的でありました。

また、現在の権利委員会の委員の中には精神障害の委員がケニアの推薦として仕事をされていますし、かなり重労働ですけれども、以前にもほかの国からも精神障害の委員が権利委員会の委員としてされていたということもお伝えしておきたいと思います。

委員会の委員というのは人事案件で大変難しい問題であろうかと思いますし、この間、内閣府と官邸とで委員の人選から発令まで大変御苦労、御尽力いただいたことに感謝しつつ、図らずも2名、席があいているということも鑑みて、今後、補充は可能であろうかと思いますが、その際に本日多くの委員から出た要望を尊重していただきつつ人選に当たっていただくということは可能かどうかについて、武川統括官のほうから一言お願いいたします。

○ 武川政策統括官 統括官の武川でございます。

委員の発令につきましては、障害者基本法の第33条に規定されております。政策委員会は委員30人以内で組織するということでございます。委員のどなたを入れてどなたを入れないということは人事行為でございまして、なかなか個々の委員について言い出しますと、逆にどの人がなぜ入らないか、あるいはどうしてこの人が入っているかとか、そこは説明し出すとなかなか難しい問題もございます。ただ、前回の本委員会の任期が5月20日でございまして、これから今回の発令まで相当調整に時間がかかりました。一刻も早く本件についてとりかからないといけないということで、現在の形で審議を始めさせていただいたところでございます。

また、各委員からお話のございました分野の方々については、また意見を聴取する必要があれば、個別にこの委員会に来ていただいてお話を聞くということも考えられます。今回の発令については、28名、今の形で御了承いただきたいと思います。

以上です。

○ 石川委員長 本件につきましては、多くの委員の御意見もございますので、委員長預かりとさせていただいて、引き続き調整を相談させていただきたいと思います。

それでは、本日予定しておりました議題は以上となります。次回以降の日程については、事務局からお願いいたします。

○ 加藤参事官 参事官の加藤です。

次回の日程につきましては、第14回になりますけれども、これは9月22日、月曜日の午後、さらに第15回、次の次でございますけれども、これは9月29日、翌週の月曜日の午後を予定させていただければと考えております。2週連続の開催となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。会場でございますけれども、いずれも第4合同庁舎220会議室、この建物の2階の講堂になります。内容につきましては、差別解消法に基づきます基本方針につきまして、行政機関等や事業者からヒアリングを行う予定でございます。当日のヒアリングに参加する団体名と詳細につきましては、確定次第、速やかに事務局のほうから御連絡を申し上げます。

以上でございます。

○ 石川委員長 以上をもちまして、第13回「障害者政策委員会」を終了いたします。本日はどうもありがとうございました。

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