障害者政策委員会(第18回)議事録 1

○ 石川委員長 定刻になりましたので、それでは、これより「障害者政策委員会」を開催いたします。

委員の皆様におかれましては、本日の会議への御出席、ありがとうございます。

本日は16時までを予定しております。

それでは、まず事務局から、委員の出欠状況について報告をお願いいたします。

○ 加藤参事官 本日は、阿部委員、高橋委員、辻井委員、平川委員から欠席との連絡をいただいております。

また、花井委員の代理としまして、日本労働組合総連合会生活福祉局次長の森原琴江様に御出席いただいております。

また、野澤委員からは1時間ほどおくれるとの御連絡、それから、田中委員からも若干おくれるという御連絡をいただいております。

以上でございます。

○ 石川委員長 それでは、議事に入ります。

毎回のお願いですけれども、反復いたします。発言は、議長が発言を求め、挙手をしていただきます。議長指名に対して発言をお願いいたします。

発言の際は、できるだけわかりやすく、またゆっくりと、マイクに近づいてお話しください。発言後はマイクを切ってください。よろしくお願いいたします。

本日は、各委員からいただいた意見を踏まえまして、修正した「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(案)」について、修正部分を中心に内閣府より説明していただき、その上で意見交換を行います。

それでは、会議の資料と流れについて、事務局より御説明をいただきます。

○ 加藤参事官 本日の会議資料と流れについて御説明いたします。

まず、資料としましては、資料1「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(案)」。

資料2として「障害を理由とする差別の解消の推進に関する基本方針(案)」の見え消し版と呼んでおるものでございまして、先生方のお手元には赤い修正箇所がたくさん入ったものがあるかと思います。

それから、参考資料としまして「障害を理由とする差別の解消に向けた地域フォーラムについて」という3点になってございます。

なお、資料2につきましては、今、申し上げましたように、委員の皆様からいただきました御意見を踏まえて修正した部分を、いわゆる見え消しということで色をつけて赤い字で修正したものをお示ししております。

次に、具体的な進行についてでございますけれども、前半、後半で基本方針(案)を大きく2つに分けまして、事務局から修正した部分を中心に30分ほど御説明申し上げた後、30分程度の意見交換を行う予定でございます。

前半はIとII、Iは「障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する基本的な方向」。IIは「行政機関等及び事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する共通的な事項」。

そして、後半はIIIからVまで、III、IV、Vでございますが、IIIとしまして「行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項」、IVとして「事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項」。Vとしまして「その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項」を予定しております。

前半終了後に15分の休憩を入れさせていただきますが、所要時間につきましてはおおむねの目安でございます。切りのよいところで休憩をとっていただくということでお願いいたします。

以上でございます。

なお、これ以後の写真撮影は御遠慮いただきますようお願い申し上げます。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

それでは、前後半ということで2つに分けて議論してまいります。

まず、前半です。

それでは、基本方針(案)のIとIIについて、事務局から説明をお願いいたします。

○ 加藤参事官 それでは、前半のところを御説明いたします。

まず、何人かの委員の方々からも御意見をいただいたところがございまして、総論的なところで全体にかかわる御意見ということで、冒頭のところに前文のようなものをつけたらどうかということでございます。そういう御意見もございましたけれども、一応閣議決定のこういう文書については余りそういう例がないということで、御趣旨は本体の中にそれぞれ盛り込ませていただいて、わかりやすく書きかえていくということも考えてございます。

三浦委員から御指摘がございましたが「好事例」という用語が随所に見られますけれども、これは全体に「具体例」ということに書き改めてございます。

石野委員から御指摘がございましたが、文末の表現でございますが、何々しなければならないというのと何々するものとするという整理をしたらいかがかということでございまして、何々しなければならないというのにつきましては、法律上に義務規定があるものにつきまして、基本方針においてもそのまま何々しなければならないという義務を表現してございます。何々するものとするというのは、法律上の義務規定はないのですけれども、基本方針においてある種の一定の方向性を示すとしたものにつきまして、何々するものとするという整理をさせていただきました。

以下の御説明でございますが、資料2のいわゆる見え消し版というものを中心に御説明させていただこうと思っています。

1ページ目のところでございます。ちょうど「法制定の背景」のところで、もう少し権利条約そのものの条文をはっきり引用したらどうかという御意見が松森委員、石川委員長からもございましたので、真ん中のあたりでございますが、権利条約は第2条において、「障害に基づく差別」とは、障害に基づくあらゆる区別、排除または制限であって、政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野において、他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を認識し、享有し、または行使することを害し、または妨げる目的または効果を有するものをいう。障害に基づく差別には、あらゆる形態の差別(合理的配慮の否定を含む。)を含む。と定義しというように、ここは権利条約の条文をそのまま引用してございます。

そして、その禁止について、締約国に適当な措置を求めている。これを踏まえ、我が国においてはとつながってございます。

その次のところも、これは社会的障壁のところでございますけれども、大河内委員、佐藤委員、玉木委員からも、やはり障害者基本法にある表現をそのまま引いたらどうかということでございましたので、条文を引用しておりまして、同法第2条第2項において、社会的障壁について、「障害がある者にとつて日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものをいう。」と定義されるとともにと条文をそのまま引用してございます。

この差別禁止、それは障害者基本法の基本原則になっておりますので、下のほうでございますが、同法の同規定というのではなくて、差別の禁止の基本原則を具体化するものであると明記してございます。

次のページ、2ページでございますが、ここも「(1)法の考え方」の最後のほうでございますけれども、合理的配慮に当たる行為は、既に社会のさまざまな場面において日常的に実践されておりと書いてありましたけれども、それだったらまだまだ不十分なところもたくさんあるわけではという御指摘もございましたので、実践されているものもありと修正しております。

(2)のところは、先ほど三浦委員から御指摘もありました「具体的事例」というのも「具体例」と修正してございます。

「(3)条例との関係」でございます。ここは佐藤委員、玉木委員、竹下委員からも御意見がございました。最後の行でございますが、また、新たに制定することも制限されることはなく、障害者にとって身近な地域において条例の制定も含めた障害者差別を解消する取り組みの推進が望まれると、少し前向き感を出すようなことを加えてございます。

飛びまして右側の3ページのほうでございます。

ここは障害者の定義のところの最後のところでございます。ここは花井委員のほうから、またほかの委員からも御指摘がございましたけれども、特に女性である障害者は、障害に加えて女性であることにより、さらに複合的な困難な状況に置かれている場合があること。障害児には成人の障害者とは異なる支援の必要性があることに留意するということをつけ加えさせていただきました。

事業者は飛びまして対象分野のところでございます。ここも石川委員長、大日方委員、竹下委員、玉木委員のほうから御指摘がございましたが、障害者の自立と参加という意味では少し範囲が狭いのではないかということでございましたので、日常生活及び社会生活全般に係る分野が広く対象となると改めました。

その下の「不当な差別的取扱い」の「(1)不当な差別的取扱いの基本的な考え方」の最初の●のところでございます。ここも石川委員長、大濱委員、佐藤委員、竹下委員、玉木委員、その他の方々から御指摘がございましたが、1行目のところでございますが、障害を理由として、財・サービスの提供にとどまらず、財・サービスや各種機会の提供を拒否する、または提供に当たって場所などを制限すると少し修文をしてございます。

そして、次、消してありますが、また、当該異なる取扱い云々というのは後のほうに整理をさせて書かせていただいているところであります。

そして4ページの(2)でございます。「正当な理由の判断の視点」というところでございまして、石川先生から随分御指摘をいただいたところでありまして、直したところを申し上げますと、正当な理由に相当するのは、障害を理由とする、障害者と障害のない者の間での異なる取扱いが客観的に見て正当な目的のもとに行われたものであり、その目的に照らして、やむを得ないと言える場合であるということも追記してございます。

それから、合理的配慮のところで定義を加えてございますけれども、下から3行目ですが、具体的場面や状況に応じて総合的、客観的に判断することが必要である。ここは誰がどのように判断するのかという御意見がございましたので、総合的、客観的に判断することが必要であると加えてございます。

そして、最後のところでございますが、正当な理由があると判断した場合には、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましい。これはたしか花井委員から御意見があったものをそのまま入れてございます。

「3 合理的配慮」の「(1)合理的配慮の基本的な考え方」でございます。ここは社会モデルにつきまして少し整理をしてきちんと書いたほうがいいということで御指摘が石川先生、佐藤委員、玉木委員、三浦委員、竹下委員、加野委員からございましたので、最初の1行目の、法は、権利条約の趣旨を踏まえ、いわゆる「社会モデル」の考え方に基づきというのを削除しまして、次の●の法は行政機関等及び事業者に対し云々と書きながら、最後のほうに、石野委員からも御指摘がございました、必要かつ合理的な配慮を行うことを求めていると、この行うことを求めると書きました。

そして、その後でございますけれども、これは障害者が受ける制限は、機能障害のみに起因するものではなく、社会におけるさまざまな障壁と相対することによって生ずるものとの、いわゆる「社会モデル」の考え方を踏まえ、障害者が必要としている社会的障壁を除去するための取り組みを求めるものであると、「社会モデル」のところを少し詳しくといいますか、丁寧に書くようにいたしました。

次の●のところでございますが、ここも権利条約の第2条をそのまま引用するようにしまして、権利条約第2条において、「合理的配慮」は「障害者が他の者との平等を基礎として全ての人権及び基本的自由を享有し、又は行使することを確保するための必要かつ適当な変更及び調整であって、特定の場合において必要とされるものであり、かつ、均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」と定義されていると、この条約の定義をそのまま引用しまして、法の合理的配慮は、権利条約における合理的配慮の定義を踏まえたものであり、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、個々の場面における障害者が必要としている社会的障壁の除去のための取組であり、かつ、その実施に伴う負担が過重でないものであるとしました。

次の●も、合理的配慮の定義についての説明の部分でございますが、ここも加野委員、佐藤委員、竹下委員、石野委員から御意見がございましたものを踏まえて以下のように修正いたしました。

合理的配慮は、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものである。また、合理的配慮は、事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)、実現可能性の程度、ここはたしか実現困難性とか書いておりましたけれども、そこは可能性の程度と変えておりまして(物理的・技術的制約)、ここに人的・体制上の制約というのを移しました。費用・負担の制度、事務・事業技術、財政・財務状況等を総合的に考慮し、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のために必要かつ合理的な手段及び方法により、かつ、実施に伴う負担が過重とならない範囲で行われるものであり、ここは玉木委員からの御指摘もございましたが、代替措置の選択も含め、双方の建設的対話による相互理解の中で柔軟に対応がなされるものである。

さらに、ここは佐藤委員、竹下委員からの御指摘でございましたが、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものであるといたしました。

次のところは、典型例というのをやめまして、現時点における一例としてはということで、合理的配慮の例を掲げてございます。

2つ目のポツのところで、筆談や読み上げによるコミュニケーション、わかりやすい表現を使って説明をするなどの意思疎通の配慮ということで修正をしてございます。

次の●のところは前段を削除いたしまして、合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとする。なお、今後、合理的配慮の具体例を蓄積し、広く国民に提供するものといたしました。

そして、次の●でございますが、意思の表明に当たってはというところでございまして、言語(手話を含む。)のほか、これは大河内委員からの指摘でございますが、点字、拡大文字というのを追記してございます。

それから、少し飛んだところで、「また」でございますが、また、障害者からの意思表明のみでなく、知的障害や精神障害(発達障害を含む。)等により、本人の意思表明が困難な場合には、障害者の家族、介助者等、コミュニケーションを支援する者が本人を補佐して行う意思の表明も含む。ここが佐藤委員、玉木委員からの御指摘があったところでございます。

なお、意思の表明が困難な障害者が、家族、介助者等を伴っていない場合など、意思の表明がない場合であっても、当該障害者が社会的障壁の除去を必要としていることが明白である場合には、法の趣旨に鑑みれば、当該障害者に対して適切と思われる配慮を提案するために建設的対話を働きかけるなど、自主的な配慮に努めることが望ましい。ここは石川委員長、竹下委員、田中委員からの御指摘だったと思います。

最後の●のところで最後のほうでございますが、また、当該配慮を必要とする障害者が多数見込まれる場合、障害者との関係性が長期にわたる場合等には、その都度の合理的配慮の提供ではなく、次に述べる環境の整備を考慮に入れることにより、中・長期的なコストの削減・効率化につながる点は重要である。ここは修正しておりませんけれども、佐藤委員、竹下委員からの御指摘はここのところである程度読めるのではないかと思ってございます。

6ページでございますが、合理的配慮は、障害者等の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化や介助者等の人的支援を含む情報アクセシビリティの向上等の環境の整備ということで、介助者等の人的支援を含むというのを、ここも石野委員からの御指摘だったと思いますけれども、つけ加えております。

基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。したがって、各場面における環境の整備の状況により、実施される合理的配慮の内容は異なることとなるということで、代替措置も含めて非常に流動的にといいますか、可塑的に考えてほしいということをここで強調してございます。

「(2)過重な負担の基本的な考え方」のところでは、先ほど申し上げました個別の事案ごとに以下の要素等を考慮し、具体的場面や状況に応じて、総合的、客観的に判断することが必要であると、客観的というのをつけ加えております。

その後でございますが、過重な負担に当たると判断した場合は、障害者にその理由を説明するものとし、理解を得るよう努めることが望ましいと、ここは花井委員の御指摘でございましたが、加えてございます。

そして、その考慮要素のところでございますが、2つ目の○のところで実現困難度とありましたものを実現可能性の程度と少し前向きな形に直しておりまして、そこの中で地域性というのを削除しまして、ここに人的・体制上の制約というのをつけ加えたところでございます。

I、IIは以上のようなところでございます。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

それでは、委員からの意見を求めます。まず最初に向かって右側、大河内委員から大日方委員まで、こちら側で御意見のある方は挙手をお願いいたします。

それでは、まず竹下委員、お願いします。

○ 竹下委員 竹下です。

1点目は、IIの1の最後の●、3ページのところに、対象分野のところなのですが、これは少し記載に誤解を招くか、誤記だと思われますので訂正したほうがいいのではないかと思います。すなわち、ただし以下のところで、及びを飛ばし、行政機関等についての労働者に対して行う障害を理由とする云々は障害者雇用促進法の適用によるとなっていますけれども、雇用促進法は国家公務員の適用はないはずであります。したがって、この部分はこのままだと誤解を招くと思われます。私の理解では、国家公務員については雇用促進法の合理的配慮の適用はなくて、正確に言うと、国家公務員については、障害者雇用促進法の条文適用、指摘はできませんが、合理的配慮についての雇用促進法の適用は国家公務員にはなくて、その部分については、差別解消法の7条2項が適用になると理解していますが、違うでしょうか。これが1点目の指摘です。

2点目ですけれども、これも条文との関係になりますけれども、IIの2の(1)の1つ目の●のところですけれども、ここの表現として、こういう表現にしているのです。「障害のない者の間」の後で、異なる取扱いによりということで記載しておりますけれども、この規定、書きぶりは条文とは異なっているわけです。差別解消法の7条1項、8条1項を見ればわかるわけですが、そこでは障害を理由として云々の後で、障害のない者と不当な取扱いとしか書いていないわけです。すなわち、この表現では不当な取扱いというものが障害のあるなしの比較によってのみ不当な取扱いということが限定されているかにとられます。これは条文とは違いますし、この立法の際の国会の答弁における国の説明とも違っております。

この点では、ここは余り大きくいじくるとまた怒られますので、この文面の冒頭に例えばと入れるのか、最後に、異なる取扱いなどによりとするのか、そうでないと条文との関係が齟齬をすると思います。

3つ目でありますが、IIの3の(1)の部分で、それの●の3なのですけれども、ここでは合理的配慮の考慮要素で費用・負担が入っております。これは矛盾です。なぜならば、過重負担のところの項を見てください。墨字の6ページの過重負担のところの(2)の3つ目の○を見てください。ここにも費用負担があるわけです。当たり前のことですけれども、費用負担の問題は過重負担の問題として考えることは当然のことだろうと認識します。そうでないと、まず合理的配慮そのものがどういうものであるかと考えるときに費用負担を考えて、さらに過重の負担のときに費用負担を考えるというのは明らかに重複ないしは矛盾してくるわけであります。この点について、ここの部分の工夫ないしは訂正する必要があるかと思います。

以上です。

○ 石川委員長 竹下委員、ありがとうございました。

重要な御指摘でもありましたし、複数の御指摘及び質問でしたので、竹下委員の御意見及び質問に対して事務局からお答えをいただいて次へ進むほうがよいと判断しますので、よろしくお願いします。

○ 田中企画官 内閣府の田中でございます。

3点、御質問がございました。

まず、1点目につきまして、事業主と労働者である障害者との関係について、促進法ではカバーし切れていないものがあるという御指摘についてですが、差別解消法の第13条の規定にございますが、ここでは行政機関等及び事業者が、事業主としての立場で労働者に対して行う障害を理由とする差別の解消をするための措置については、障害者の雇用の促進等に関する法律の定めるところによるという規定がございます。この条文では、行政機関等及び事業者が事業主としての立場、そして労働者としての障害者の立場における関係につきましては、障害者の雇用の促進等に関する法律に委ねるという規定になっています。その上で、これ以降の話は厚生労働省さんの障害者雇用促進法の中での整理になるわけでございますけれども、その雇用促進法の中で、国家公務員等についての適用についての規定がございます。

詳細につきましては、厚労省さんからもしございましたら補足をお願いしたいと思います。

○ 石川委員長 では、幹事のほうからお願いいたします。

○ 厚生労働省障害者雇用対策課 厚生労働省の雇用対策課の松永でございます。

今、事務局から御説明があったとおりでありますけれども、私どものほうも適用関係は今御説明があったとおりですが、それを含めてこの差別解消法の13条で規定を置いているということでございまして、そこについては内閣府さんのほうの解釈という問題になるかなと考えておるところでございます。

○ 石川委員長 この表現は雇用促進法によるとなっておりますが、行政機関等も含めて雇用促進法の規定の定めによるという表現は、竹下委員がおっしゃるように不十分なように思いますけれども、もう少し丁寧に書けば竹下委員も納得していただけるという理解でいいですか。竹下委員。正確に書けばよいと。

○ 竹下委員 竹下です。

表現はお任せしますけれども、今、説明に異論があるわけではなくて、説明がこの文章で溶け込んでいるというか、理解できるのであれば私は特に異論は申しません。

○ 石川委員長 理解できないように思いますけれども。

ここは工夫して、より丁寧に書いていただければよい話で、何か意見が対立しているということではないと思います。よろしいですね。では、それはそういうことでいきたいと思います。

では、2つ目をお願いします。

○ 田中企画官 7条、不当な差別的取扱いの禁止に係る御意見をいただきました。第7条と第8条のそれぞれ第1項になると思います。例として、第7条についてですが、行政機関等は、その事務または事業を行うに当たり、障害を理由として障害者でないものと不当な差別的取扱いをすることにより、障害者の権利利益を侵害してはならないという規定になっております。

基本方針案で記述しておりますのが、こちらの条文自体が障害を理由として、障害者でないものと不当な差別的取扱い、これを禁止しているということになっておりますので、具体に少し解説的に書いたものでございます。基本としては、障害を理由として障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはならない、竹下委員のおっしゃったとおりでございます。そこを基本方針という、より国民の皆様にわかりやすく理解しやすい文言として案としておりますのが、障害を理由として障害のない者に対し、縷々ここでは条件をつけるなどとございますが、障害者と障害のない者の間での異なる取扱いによりという書き方で記述しておりますが、基本としては条文と同じものを書いているところでございます。

○ 石川委員長 竹下委員、どうぞ。

○ 竹下委員 今の説明は納得できません。どこの条文に異なる取扱いとあるのですか。ないですよ。不当な取扱いというのと、異なる取扱いが同じだったら、これは全く法律家としては理解できないです。

例えば、名指しで悪いですけれども、熊本市や滋賀県では、文字が読める人という採用募集における条件をつけているわけです。これは障害のある人とない人の異なる取扱いの問題ではないでしょう。でも、これは明らかに差別の問題として今まで多分対立する意見はないと思います。したがって、この表現は、健常者と障害者の異なる取扱いによるという限定をしていることになってしまうことは非常に危険だと思うし、法律の条文の解釈を狭めるものであって、私は納得できません。

以上です。

○ 石川委員長 別な言い方をすると、異なる扱いをしないことが差別になる可能性があるというのが合理的配慮の不提供問題ですね。だから、そのことがこれでは表現できていないという御指摘と理解していいですか。竹下委員。異ならない形式平等が差別になることがあるので、合理的配慮の不提供もまた差別であるとしたのがこの差別解消法の肝ですから、そこがこの表現だときれいに抜けてしまうのではないかという御指摘だと思いますが、いかがでしょうか。

○ 田中企画官 内閣府です。

原案の記述ぶりにおいては、不当な差別的取扱いという文言を書き下した場合に、例えば差別禁止部会の報告書等もいろいろと参考にさせていただいたところです。その中で、最初に記述してございますのが異別取扱い、そこに異なる取扱いであるという記述がございまして、参考とさせていただいたところでございます。

竹下委員、今、まさにおっしゃったとおり、一律な条件をつけて、それが結果として権利利益の侵害といいますか、結果として異なる取扱いに、それも結果としては出てくると思うのですが、委員長がまたおっしゃられたとおり、合理的配慮が考えられなければならない、そういう場面でもあろうかと思います。合理的配慮については各第7条、第8条の第2項で合理的配慮について規定をしている関係もございまして、そこで今回の第1項、異別取扱いという差別禁止部会での御報告書がございましたが、そこを念頭に置き、そして第2項については2番以降の合理的配慮の第3のところで整理をさせていただいたところでございます。

○ 石川委員長 石川です。済みません。

私も誤解していたような気がするので。私の申し上げたことは、差別全体についての認識を述べたのですが、ここがもし不当な差別的取扱いについてのみの説明だとすると、形式平等による差別というのはこの不当な差別的取扱いには入ってこない、つまり、合理的配慮の不提供の側の問題なので、私はその両方を含めて申し上げたのは、この場所に対するコメントとしては適当でなかったように思いますので、その点は訂正します。

その上で竹下委員、お願いします。

○ 竹下委員 申し訳ないけれども、内閣府の説明は誤解があると思います。誤解しておられると思います。

まず、差別禁止部会は私メンバーだったのですけれども、異別取扱いは差別の一類型として指摘するものにすぎません。それをもってイコール、オール・オア・ナッシングではありません。したがって、ここは、異なる取扱いのところに限定しているから、私は条文より狭くなって決して基本方針にはふさわしくないと申し上げているのです。異なる取扱いという形式による差別ではなくても、先ほど熊本市のように文字が読める者という形は決して異なる取扱いではないのです。だけれども、しかもそれは点字受験の問題でもないのです。要件の問題として文字が読めない者という要件を課することによって不当な取扱いをしているのです。

したがって、異なる取扱いというものだけが不当な取扱いだという縛りは説明を聞けば聞くほど誤った記述になってしまうと思うので、やはり、しつこく言いますけれども、この記述を残すのであれば、頭に例えばか、その後ろに異なる取扱いなどによりにしないと、今の内閣府の説明はより矛盾にしたものになってしまうと思います。

以上です。

○ 石川委員長 事務局、この点いかがでしょうか。

関連して、例えば加野委員、この部分はいかがですか。

○ 加野委員 加野です。

今、竹下委員がおっしゃられた異なる取扱いというのが不当な差別的取扱いを書いたものだとすれば、すごくその一部を限定的に言った形になるというのはおっしゃられたとおりだと思いますので、「など」を入れるという形の解決をしていただくのがよろしいかなと私も考えております。

○ 石川委員長 他の委員、いかがでしょうか。

遠藤委員、いかがですか。

○ 遠藤委員 「例えば」とか「など」と入れてしまうと、これは今後展開していく対応要領、対応指針の中で、では、それ以外のものは何だったのかというのを書き下していかない限りは、現場の中で一抹の不安があるのかなというのが感想です。

竹下委員がおっしゃっていることですが、部会でも相当議論を行っており、ただ、これは網羅的に整理するのも難しいという状況の中で今日まで来ているのもまた事実かと思っております。

ですから、そこは対応要領、対応指針に展開する中で無用な混乱が起こらないような形での表現ぶりに、最終的には委員長のほうで御差配いただくこともあると思っています。

○ 石川委員長 ありがとうございます。

この文節を削除したほうがよくないでしょうか。その前にいろいろ書いてあるわけですから、ここで障害のある者とない者との間の異なる取扱いによりという、この文節を削除するのが適切ではないかと思いますが、いかがでしょうか。

事務局、いかがでしょう。

○ 田中企画官 ただいまの点につきまして、検討させていただきます。

○ 石川委員長 委員会の意見を踏まえた上で検討していただくという理解でよろしいですね。

それでは、3点目ですね。費用負担の件につきましてお願いします。

○ 田中企画官 費用負担について、合理的配慮の(1)、●の3つ目です。見え消し版で4ページの一番最後の●になります。こちらで「合理的配慮は」ということで、合理的配慮の考え方、その思考プロセスについての記述がございます。冒頭で、障害の特性あるいはその場面によって異なり、多様性、個別性が高いという旨を記述しております。

その上で、その後に「合理的配慮は」ということで、事務・事業への影響の程度等々、事業者側のいろいろな状況、その他の状況等についての考慮要素、それを総合的に考慮し、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、それを踏まえた上での必要かつ合理的な手段方法、そしてそれは過重な負担を伴わないものであって、代替措置の選択も含め、建設的対話によって柔軟に対応をしていただきたいという、一連のプロセスをここで一括してまず全体像を記述してございます。

その中に費用負担の程度という後に出てきます6ページの上のほうのパラですが、(2)の過重な負担の基本的な考え方というところの考慮要素をここでは並べて列記しているものでございますが、御指摘のとおり、(2)の考慮要素として列記しているものの内容と、4ページの下で合理的配慮について、まず全体像を御説明している中の1エッセンスとして記述がダブっているものもございます。

○ 石川委員長 今御説明いただいたのですが、竹下委員がおっしゃったように、かつの前と後に同じものが両方入っているのは確かに表現として若干おかしいというか、直したほうがいいと私も感じます。つまり、前半にさまざまな過重な負担を構成するであろう要素を列挙した上で、なお、その後にかつ過重な負担と書かれているので、論理演算として冗長と思いますので、合理的配慮とは、障害者の置かれた状況云々と入って、社会的障壁除去のために必要かつ合理的な手段方法云々というのが入って、その後に、かつの後に過重負担系の話を持ってくるとなっているときちんと整理できていると言えると思いますが、一番最初に過重負担を構成する要素が列挙されていて、その後に必要かつ合理的な方法であって、しかし、また過重な負担でない場合となっていて、不過重な負担かつ不過重な負担となっているので、竹下委員がおっしゃったような指摘になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

○ 田中企画官 竹下委員初め皆様の御趣旨を踏まえて、削除する方向で検討してまいります。承知しました。

○ 石川委員長 どうもありがとうございました。

それでは、加野委員、お願いします。

○ 加野委員 加野です。

今回、事務局から提示された修正案については、各委員の意見をできるだけ取り入れる御努力の跡が見られると私は思っておりますので、その御努力に関しては敬意を表したいと思います。

表現の点だけなのですけれども、資料2の見え消し版の4ページのところの上のほうの(2)のところですけれども、「正当な理由の判断の視点」で、1文目が新しく前に書いてあるところをここに入れられた関係で、2文目の行政機関等及び事業者においては、判断することが必要であるという文の目的語がなくなってしまっているので、ここを読んだときに多少わかりづらいかなという印象を持ちまして、これは判断するというのは、正当な理由に相当するか否かを判断するということなので、事業者においてはの後に、その目的語を挿入されたほうがわかりやすいのではないかなということが1点です。

それから、もう一つ、やはり表現ぶりのところなのですけれども、同じページの3の「(1)合理的配慮の基本的な考え方」の●の2番目の下から3行目のところで「個々の場面における障害者が必要としている社会的障壁の除去のための取組であり」というところも、一読したときに引っかかりが私はちょっとありましたので、「障害者が個々の場面において必要としている」というほうが読みやすいのかなと思いました。ただ表現の点だけですので特にこだわりはないのですが、できるだけより読みやすいような文章になったほうがいいかなと思っております。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

その方向で御検討いただければと思います。

それでは、清原委員、お願いします。

○ 清原委員 ありがとうございます。全国市長会三鷹市長、清原です。

まず最初に、事務局におかれましては、各委員が提案された御意見をできる限り反映して本日の案をつくっていただきましたこと、私からも感謝申し上げます。

その上で2点申し上げますが、1点目は、資料2、見え消し版の2ページ「2 基本的な考え方」の「(3)条例との関係」についてです。10月20日に私としてはできる限り自治体を尊重した表現をしていただければというような趣旨をお話ししたところ、石川委員長から、「どちらかといえば新たに制定することも制限されることはないという言い回しではなくて、もっと前向きな表現をすることはいかがか」という御提案をいただき、私もぜひそのような方向性が望ましいと発言をいたしました。

その後、他の委員からも、ぜひそのような方向性をという御意見があって、今回、条例との関係についても、末尾に、「障害者にとって身近な地域において条例の制定も含めた障害者差別を解消する取り組みの推進が望まれる」となりました。この表現は、私としては地域の実情に即した取り組みを推進する方向性が示されているものであり、何よりも自治体の自主性を重んじていただいた上でこのような表現をしていただければ、各自治体の施策の推進に弾みがつくものと歓迎したいと思います。

2点目は、3ページの上の部分でございますが、特に「女性である障害者」について触れていただきました。さらに、「障害児には成人の障害者とは異なる支援の必要性があることに留意する」と書いていただきました。これも自治体の現場で痛感していることでありまして、やはり女性である障害者に対する配慮の方向性、あわせて障害児についての方向性を明記していただいたことはありがたいと思います。

加えて、ここで年齢の要因ということを1つ考えますと、高齢者である障害者については、障害のそれぞれのありようだけではなくて、ひょっとしたら年齢による要因によってのきめ細やかさも求められているのではないかと自治体の現場で感じています。

そのような趣旨がよく読めばどこに書いてあるのかもしれないのですが、ちょうど障害児にはとありましたので、ひょっとしたら、この部分に障害児は強調したいという思いと、しかし、高齢である障害者についても年齢故の配慮を求めるような記述を付加していただいてもよろしい場所ではないかなとも感じまして、これは御提案でございます。もし反映していただくなら、この場所がよいのかどうかを含めてですね。ただ、私の認識の中では、女性である障害者、そして障害児については特段の強調が必要だとも思っておりますので、年齢の要因についても含めてどこかで反映していただければと思います。

最後に、全体として、定義その他で「障害者の権利条約」及び「障害者基本法」が引用されていることは、私たちがいろいろな場面で再確認しながら障害者差別についての具体的な取り組みをしていく際に有用であると思いますので、今回原案にこれだけ赤字をふやしていただいたことに改めて感謝いたします。

以上です。よろしくお願いします。

○ 石川委員長 清原委員、ありがとうございました。年齢については検討させていただくということで受けとめさせていただきたいと思います。

それでは、遠藤委員、お願いします。

○ 遠藤委員 ありがとうございます。私からは、2点質問をさせていただければと思います。

3ページ目、先ほど清原委員が御指摘されたことに関し、私もその観点は重要かと思っておりますので、事務局にお尋ねをさせていただければと思います。法律案が国会で審議されたときの参議院における付帯決議を拝見しました。それから、今回のQ&Aの問10-8も改めて読み返してみました。その上で、「また以下」の記述がここにある意味合いを改めて教えていただければと思います。

ここに置かれているということは、行政機関について定めている第7条の1項2項、民間事業者にかかわる条文である第8条の1項2項、全てを含んだ形で意味していると私は理解いたしました。そうなりますと、資料2の5ページにあるように、合理的な配慮にかかわる条文については性別、年齢、障害の状態に応じてと書かれておりますから、それを踏まえた書き下しがされている。それに対して、第7条1項と第8条1項、不当な差別的取扱いを禁ずる規定については、こういった部分の配慮事項が書いていないのです。書いていないのに、こうやって基本方針で書くことは、不当な差別的取扱いの禁止について対応要領、対応指針の中で展開するときに、具体にどういうことをイメージしてここのくだりを置いているのかということが1点目の質問であります。

2点目ですが、ページで申し上げますと5ページになります。5ページの中段以降ですけれども、条文上は意思表示があった場合について合理的配慮の提供が書かれておりましたので、では意思表示が困難な場合についてどうなのかという新たな記述が書かれているわけです。この中で、必要としていることが明白である場合については、建設的対話を働きかけるなど自主的な配慮に努めることが望ましいと書かれています。方向性自体を私は異論があると申し上げているのではなくて、具体にこういうことが書かれたときに、例えば次のような事例が現実的に想起されるのではないかということでお尋ねをさせていただきます。

1つは、相手方となる当該労働者が軽微な障害を持たれていて、本人はその合理的な配慮の提供については必要ないと思っているのだけれども、提供する側が必要であると思った場合には、それを必要であるかのごとくに何か提案を働きかけることのリスク、これをどういうふうに考えるのかというようなことです。

同じようなことで申し上げますと、現在は服薬管理を十分やっているから自分としては合理的な配慮は要らないと思っている方に対して、合理的な配慮が必要なのではないでしょうかということを働きかけることのリスク、これをどう考えるのかということです。あわせて、例えば過去に障害を持っていた方がいて、その方が今は寛解という形で障害を持っていない他の方と同じ取扱いをしてもらいたい場合、その方に対して提供する側が、合理的な配慮が必要でしょうかということを働きかけることのリスク、こういったことをどう考えていけばいいのかということです。これがお尋ねの2点目であります。

以上であります。

○ 石川委員長 ありがとうございました。2点御質問がありました。重要な御指摘ですので、全員で共有したいと思います。

1点目について、まず事務局、いかがでしょうか。

○ 田中企画官 内閣府です。

○ 石川委員長 済みません、どこの場所について遠藤委員がどのような疑問を出されているかということを少しわかりやすく事務局のほうでまず説明していただいた後で、それについて事務局のお考えを述べていただくとわかりやすいかなと思いました。

○ 田中企画官 まず御意見の1点目でございますが、3ページの最初の段落、途中からになりますけれども、ここは法律における障害者の範囲についての記述でございます。一番最後のパラグラフに今回修文として追加してございますのが、「また、特に女性である障害者は障害に加えて、女性であることにより、さらに複合的に困難な状況に置かれている場合があること。障害児には成人の障害者とは異なる支援の必要性があることに留意する」と今回修文で追記したところでございます。

一緒に御指摘されましたのが、参議院の、この法律が審議された際の付帯決議においては、障害女性や障害児に対するそういった複合的な差別の現状を認識し、障害女性や障害児の人権の擁護を図ることということが盛り込まれております。

まず、当初の素案の中で、合理的配慮を提供する際に、積極的な行為として今回規定していることから、合理的配慮の記述において、見え消し版で5ページの最初のパラグラフの中段あたりになりますけれども、合理的配慮の提供に当たっては、障害者の性別、年齢、状態等に配慮するものとするということをまず合理的配慮の部分については明記してございます。

そして、今回、この素案について委員の先生方からいろいろ同趣旨の御意見をいただいたところです。その御意見には、ここの合理的配慮の提供に当たってだけではなく、さまざまな側面においてもそういうことを念頭に、認識をしっかり持って対応するべきというような御意見を多数いただいたところです。これを受けまして、最初の障害者の定義の中で、そういった女性あるいは障害児の方々への特別な配慮をここで総則的にといいますか、全体にわたるという意味合いで、ここで追記させていただいたところでございます。

実際には、合理的配慮の提供についてはもともとの案文で記載しておるのですが、例えば後半の部分になりますけれども、相談機関等。実際に考えられる例として一例を申し上げますと、例えば9ページのほうで後半に出てまいりますが、相談機関においても、女性であったり、子供であったりという点に配慮してきめ細かく対応していただきたいという、そういうことで全体にこの趣旨が及ぶような、そういった範囲のところで記載させていただいたところです。

以上です。

○ 石川委員長 多くの委員からぜひ入れるべきだという御意見があって、それを受けて事務局として精いっぱい工夫、御努力いただいてここに入れていただいたと思いますが、遠藤委員、いかがでしょうか。そういう趣旨であるということで。

○ 遠藤委員 私の設問が端的ではなかったので、まずはそれをお詫びしたいと思います。私は、ここに書かれたことが7条1項の不当な差別的取扱いに係る部分と、8条1項の民間事業者に対する不当な差別の取扱いに係る部分、いずれにもこの内容がかかってくるのかどうなのか。もしかかってくるのだとすれば、どういったことをイメージされているのかというのをお尋ねしたいということでございます。

○ 石川委員長 事務局、いかがでしょうか。

○ 田中企画官 ただいまの遠藤委員からの御指摘について、第2項についての合理的配慮では明記しておるところでございます。先ほどの説明の中でもありましたが、全体にわたってその趣旨を及ぼすことがよろしいのではないかということで、冒頭の定義規定の中に入れたところです。ですので、7条、8条の1項のほう、不当な差別的取扱いの禁止規定の中、ここで実際にそういった現場において、正当化事由とかいろいろございましたけれども、第1項の事案がもしかして起こり得るのではないかと思われるような場面、そういうものがあるのであれば、対話が行われる中で、その観点も踏まえて行われることは想定されるのではないかと考えております。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

何か具体的にこういう事例が起こり得るのではないかということ、不当な差別的取扱いに関して、女性である障害者と子供である障害者について、不当な差別的取扱いとして懸念されること、具体的な事例を全体でイメージを共有できるといいのかなと思うのですが、多くの委員からこの部分については意見が出たわけですが、その点について、全体で共有できるようなイメージを出していただけるとありがたいかなと思うのですが、いかがでしょうか。どなたか。不当な差別的な取扱いにしてということですが、いかがでしょうか。

もともと複合的差別をこの基本方針に入れるべきだと多くの委員がおっしゃったわけですけれども、その趣旨というのはどこにあったのかということをもう一度確認しないと、多分遠藤委員の質問にきちんと答えられないような印象を持つのですが。

遠藤委員、どうぞ。

○ 遠藤委員 私が質問しておいて私が答えるのはおかしいのですけれども、例えば1つイメージしたのは、障害児の場合です。障害児を抱えている、あるいは一緒にいる御家族がいるわけでありまして、障害児を取り巻く周りの状況をどうやって見ていくのか、支援のあり方が他の障害者とは違う部分がもしあるのだとすれば該当するのかなと思ったのですが、ただ、障害を抱える人たちが障害児でなくても家族の支えがあるのだということ等々を考えると、やはり不当な差別的取扱いでこれがかかわってくるというところが自分の中ではイメージできなかったものでお尋ねしたということでございます。

○ 石川委員長 では、三浦委員長代理、どうぞ。

○ 三浦委員長代理 事例になるかどうか、こういう議論の中にいたことがありますので、ご紹介します。国連アドホック委員会で障害者権利条約が議論されているときに、『セーブ・ザ・チルドレン』だったと思うのですけれども、障害のある子供たちの権利を特段でうたってくれと強く求めていました。それはまず子供には遊ぶ権利があるということでした。遊ぶ権利というのは新鮮でしたし、大人の障害者の方々には遊ぶ権利というものは余りイメージできないですけれども、子供には遊ぶ権利があるのだから、まず子供であって障害もあるというところの視点をきちんと持つために、障害のある子供という条文を立ててくれという御意見などが挙がっておりました。

○ 石川委員長 済みません、これは保留させていただけないでしょうか。休憩時間以降にもう一度取り上げたいと思います。遠藤委員、よろしいですか。

それでは、2つ目、意思の表明、これについてですけれども、遠藤委員がおっしゃった事例は労働者に軽微な障害がある場合に事業主のほうから働きかけることのリスクについて御指摘だったかと思いますが、雇用促進法にかかわるお話でしたので、差別解消法における合理的配慮に関しても同様のリスクというのをお感じになるということでしょうか。あるいはもしそうであればその事例も出していただけるとありがたいです。

○ 遠藤委員 労働分野は13条で委任されていますので、例えば物の売り買いの場面を想定しています。物の取扱説明書について説明時間を少し長くしたほうがよいと思われる事例を思い浮かべても、先ほどのように本人がもともと対象にない場合もあるだろうし、対象者ではあるのだけれども、本人がそれを求めていないケースもあるのだろうというような状況下の中で働きかけることです。働きかける側はよかれと思って働きかけているのだけれども、その働きかけを受けた側が自分は差別を受けてしまったと思われるような状況が起こり得るのではないだろうかということでお尋ねをしたという経緯です。

○ 石川委員長 私も提案した立場なので事務局からもお答えがあると思いますが、非可視的である場合には、そもそも働きかけようがないので、はっきりとカミングアウトをしてもらわないと配慮できないではないですかというのがそもそも意思の表明ということの趣旨だと思います。言いかえれば、障害が可視的であり、困っている、配慮の提供を必要としていることも自明である場合にそれをあたかも気づかないふりをするのは黙殺にあたるのではないでしょうかと。それは合理的配慮の不提供に等しいと考えられる、そういう解釈が妥当だと思うということを申しました。

もっと曖昧な場合、自明でない場合にも働きかけよと、述べようとしているのではというのが遠藤委員のご懸念だと思いますが、御心配の趣旨はわかりますが、そのような場面を想定しての話ではない書きぶりになっているかと思いますが、それで遠藤委員、御納得いただけないでしょうか。

○ 遠藤委員 重ねてですが、では、可視的であるのだけれども、当人が必要としているか、必要としていないかの判断を提供する側が行うことのリスクをどうやって考えるのかです。

○ 石川委員長 判断するのではなくて、建設的対話への単なる働きかけ、こんにちはみたいなものなのです。

竹下委員、どうぞ。

○ 竹下委員 竹下です。

遠藤委員の指摘というか疑問は、要するにこちらから積極的に例えばお助けしましょうかといったときに、よけいなことを言うなと、あるいは自分の障害のことを認識されたことで不快に思ったり、それ自身が逆に問題視されることがあってはならないという思いからのこの部分の疑問の提示だと理解しました。

それについて私の認識は、単刀直入に言えば、1人の障害者がこの場でこういう合理的配慮を求めたいと思ったときに、それを口にすることが今やってもらえるかどうかわからないから黙っているときに、逆にサービス提供者がお助けしましょうかという積極的な申出があることをイメージすれば具体的だと思うのです。しかも、どこの記述か今探していたのですが見つからなかったのですけれども、合理的配慮の場面では、それを提供するために障害者の特性を理解するための、あるいは障害の特定にかかわる発言があったことをもって差別とはしないのだという記述がどこかにあったと思うので、そこで吸収されるのではないかと認識しています。

以上です。

○ 石川委員長 事務局、いかがでしょうか。

○ 田中企画官 今回の修文ですが、前回の委員会における御意見で複数ありましたものを総合的に考慮してこのような形となっております。明白な場合という、委員長が前回もおっしゃられた、1つレベル感といいますか、そういった場合について、配慮の建設的対話が始まる、そういったきっかけなのだという趣旨で書いてございます。

今、竹下委員がおっしゃられました、そういった合理的配慮を提供するために、障害の状況ですとか、もしかしたらプライバシーにかかわるものがあるかもしれない、そういったものについてお伺いすることは差別ではないという書きぶりなのですが、そちらにつきましては3ページの下の最後の段落ですけれども、差別的な取扱いの最後の●になりますが、例えば、優遇取扱いはもちろん対象ではございませんし、合理的配慮の提供による障害のない者との異なる取扱いであったり、合理的配慮を提供等するために必要な範囲でプライバシーに配慮しつつ、状況等を確認することは不当な差別的取扱いには当たらないという旨を、ただ今竹下委員が発言されましたが、ここに記述しておるところでございます。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

重ねて遠藤委員にお聞きしますが、こんな感じでいかがでしょうか。

○ 遠藤委員 済みません、細かいことをこだわったのは、繰り返しになりますけれども、組み合わせとして、望ましいと思っての働きかけをしたことが、受けた障害者側がかえって気持ちを害してしまったりすることが現場で起きないようにするためにお尋ねしたことを御理解いただければと思います。ただ今、委員長と竹下先生がおっしゃったようなところも具体に対応要領、対応指針の中で展開していくような形で、より身近なところで見た人間がわかるような書きぶりにしていただければ私はもう結構でございます。

○ 石川委員長 ありがとうございます。

済みません、この件はこれでおさめたいので。障害者イコール常に困っている人ではないです。そう思って声をかけると、全然困っていないという答えが返ってくることはあり得ると思います。でも、途方に暮れているということが明らかな場合、行政、事業者は声をかけていただきたいという趣旨ですね。その点は遠藤委員もよく御理解いただいていると思いますので、この件についてはここまでにさせていただきたいと思います。

それでは、時間が大分押しておりますので、こちらから向かって左側のほうで御意見をいただきます。挙手をお願いします。

それでは、門川委員、お願いします。

○ 門川委員 門川です。

まず、委員長初め事務局の皆さん、委員の皆様から出されたさまざまな修正意見をできるだけ反映してくださっているということが今回の資料に目を通すことでよくわかります。ありがとうございます。

それで、私のほうから確認と、できましたら追加修正、文言ですね、お願いできればと思っています。まず、確認なのですが、この法律の対象の話なのですが、この書きぶりですと日常生活、社会生活というふうに書かれていますが、これで幅広くカバーしていることはよくわかるのですが、中でも特に教育という分野についてはどのように扱われているのかなとちょっと思いましたのでお尋ねしたいなと思っています。

障害者の権利条約には、教育という独立した条文が設けられていますし、ですから、教育は、非常に重要な権利であるということもよくわかるのです。差別解消法の基本方針にもぜひ教育を入れておくべきかなと思っているので、その辺、確認をさせていただければと思います。

それと、次に、見え消し版の5ページのところの意思の表明のところなのですが、この書きぶりですと、例えば意思の表明は障害者自身みずからが積極的に意思の表明をすることは可能な場合でも、支援者、特にこの場合は通訳という文言が正しいと思うのですが、通訳者がいないがために意思の表明が積極的にできない、しようと思ってもうまく相手に伝わらないという場合もあるし、今はいませんけれども、もし外国人がいた場合、外国人の障害者も含めて、外国人の場合は言語通訳が間に入る必要があったりします。ですから、通訳という文言をぜひ入れていただきたいなと。通訳と言ってもいろいろありまして、手話通訳もその一つですし、日英言語通訳などの音声言語通訳もありますし、ほかにもいろいろとあろうと思いますので、介助者、これは助けるとかそういう意味にしかすぎないと思いますので、具体的に通訳者という言葉が使われるようになってほしいなと思っています。

その後に出てくる「本人の意思表明が困難な場合に」、そのかわりに家族や介助者等が支援するというのは別の話で、代弁者ということになるので、これとは意味が違うのですね。通訳、もしくは通訳介助という文言を入れていただきたいと思います。

ちょっとこことも関連するかと思うのですが、戻りまして5ページのもうちょっと前、筆談や読み上げによるコミュニケーション、わかりやすい表現等々という書きぶりのところなのですが、筆談とあるのに点字や点字を用いた支援者といった、とにかく点字がない。点字というのは、今後なくなっていくのではと懸念しますので、点字も入れていただきたいなと思います。とりあえずここまでよろしくお願いします。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

時間が大分押しているので、量にもよるのですけれども、ある程度もう少し委員の意見をお聞きしたいと思います。

佐藤委員、お願いします。

○ 佐藤委員 ありがとうございます。DPI日本会議の佐藤です。

私から意見を2つと質問を1つさせてください。

まず、1つ目は、見え消し版の3ページのところです。法の対象範囲なのですが、ここは意見で家族も入れていただきたいということを提出したのですけれども、それはかなわないのですが、Q&Aのほうを見ていたら、Q&Aの13ページ、Q5、障害者の親や子供、親が子供の障害を理由として不当な差別的取扱いを受けた場合は本法の対象になるのかという記述がありまして、対象になり得ると書かれています。ですので、これも踏まえて、家族も対象に入るというような書きぶりを工夫していただきたいというのが1つです。

2つ目は、見え消し版の4ページです。竹下委員からも意見があったところなのですが、合理的配慮、(1)の●の3番目のところです。ここに経済的な問題とかそういったことが入っておりますが、これは過重な負担のところに入りますので分けていただきたいというのが2つ目です。合理的配慮の考え方というのは、まず具体的にどういった障壁があるか。その次に、その障壁をどういうふうにしたら取り除けるか、どういう合理的配慮が必要かという、これを考えて、その合理的配慮が過重な負担かというのはその上で考えるわけです。ですから、記述も6ページのところで過重な負担というのがありますので、この4ページの記述のところで書いてしまうと、あらかじめできる範囲でしか合理的配慮を考えないと非常に限定されたものになるので、ぜひここは分けていただきたいというのが2つ目。

3つ目、質問なのですけれども、先ほど遠藤委員からの議論の中であったのですけれども、5ページのところです。修正の文章のところで、なお、意思の表明が困難な障害者がと書かれているのですけれども、意思表明がない場合であっても、社会的障壁の除去を必要としていることが明白であれば建設的な対話を働きかけるという趣旨なのですが、ここの主語が、意思の表明が困難な障害者と書いていますので、では、困難でない障害者もここの部分、対象に含まれているかどうか、それを教えてください。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

もう一方いきたいと思います。松森委員、お願いします。

○ 松森委員 松森でございます。

私からは3つあります。

まず、委員たちの意見をきちんと反映して努力してくださったことに感謝を申し上げます。特に一番最初の部分で権利条約の第2条がきちんと示されたのはとてもわかりやすくなったと思いました。

まず1つ目、先ほど佐藤委員もおっしゃっていましたけれども、法の対象範囲、障害者の中に障害者の家族を含めるべきという意見が多くありました。これについて、私からの案は1つあります。

IIの法の対象範囲、障害者に関する記述の最後にこのように記すことはできませんか。例えば「また障害のある人の家族及び関係者に対する差別の禁止はこの法で明記されていないが、この法の趣旨に鑑みれば障害のある人の家族及び関係者もその障害を理由に差別をされないように努めることが望ましい。」こういう一言があってもいいと思います。

次に、2つ目、5ページ目の4行目、合理的配慮の部分です。4行目の「さらに」という言葉の前に追加してほしいことは、「なお、双方の建設的対話のために障害児者本人の権利擁護が行われるため、最大限効果的に配慮することが必要である」ということを入れてほしいなと思うのです。理由は、合理的配慮について話し合う際に、障害者やその家族が遠慮してしまうという心理状況があります。私たちが自分たちから意思表明をするときに、例えば手話通訳だとか要約筆記だとか、そうした支援が必要になります。意思の表明先である行政機関等や事業者と建設的な対話をしようと思ったら、通訳者、支援者を同席させるなどの配慮を行い、対等な関係を築いた上で信頼関係を構築することが必要だからです。

次に、3つ目、同じく合理的配慮について、8行目、筆談や読み上げによるコミュニケーションなどとあります。ここの1文の最初に、手話あるいは通訳者という言葉を入れることはできませんか。先ほど門川委員もおっしゃっていたと思います。もし手話という言葉を直接入れることができない場合は、権利条約の定義にありますように、個別に適切な手段、方法を協議によって見出すという書きぶりが必要だと思います。

以上、3つ、ありがとうございました。

○ 石川委員長 ありがとうございました。

3人の委員から御意見がございましたので、一応まとめる形で事務局からお答えいただきたいのですが、準備のほうはよろしいでしょうか。お願いします。

○ 田中企画官 内閣府です。

まず、門川委員の御指摘からです。

1点目について、教育という分野が大変重要であり、教育という文言をどこかに入れられないかという御指摘でございます。このセッションにおいては、まだ前半部分の御説明だけになっておりますが、後半部分になりますが、見え消し版の10ページの一番下の段落になります。ここは啓発活動ということで、国民一人一人の方に、法の趣旨を始め障害あるいは障害者に対する人権についての理解を促進するということで、一番下のパラグラフについては今回特に追加修正を行っております。

その中で一番最後のパラの上から3行目あたりですが、地域の小中学校等と特別支援学校との交流及び共同学習を始め、障害者である児童生徒がその年齢及び能力に応じ、可能な限り障害者でない児童生徒とともに、その特性を踏まえた十分な教育を受けることのできるインクルーシブ教育システムを推進しつつ、家庭や学校を始めとする社会のあらゆる場における機会を活用し、子供の頃から障害に関する知識・理解を深め、全ての障害者が障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人であることを認識し、障害の有無にかかわらず、ともに助け合い・学び合う精神を涵養する。

続きまして、その中で、障害者差別は、本人のみならず、その家族等も深く傷つけるものであることを国民一人一人が認識するとともに、法の趣旨について、障害者も含めた広く国民への浸透が図られることが重要であるというものを今回追記しているところでございます。

教育の分野は当然のことながら今回の対象になっておるところでございます。そして、この10ページにおきまして、特に子供の頃からあらゆる場、特に教育等においてというものも明記しているところでございます。

次に、2点目になりますが、5ページの意思の表明の部分について。通訳という文言です。下から2つ目の●ですけれども、5行目あたりからになります。知的障害や精神障害等により、本人の意思表明が困難な場合には障害者の家族・介助者等、ここは代表的に家族・介助者等ということで例示で書いております。

失礼いたしました。

その次の文章になりますが、なお、意思の表明が困難な障害者が家族・介助者等を伴っていない場合などというところの記述かと思われますが、ここでは家族・介助者等ということで例示の記載になってございます。

○ 石川委員長 石川です。

ここは通訳なども含むという読みであって、介助者等の「等」の中にいろいろ入っているというのが事務局のお考えという理解でよろしいですか。

○ 田中企画官 はい。例示をしていると。

○ 石川委員長 例示ですね。網羅的な列挙ではありませんということで、議事録にも残りますので、問題ないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

門川委員、どうぞ。

○ 門川委員 門川です。

門川から2つのパターンを言わせていただきました。

1つは、障害者自身がみずからも意見を持っていて、自分から発言が可能だけれども、通訳者がいないがために発言ができない、今の私のような場合です。今、通訳者がいるために皆さんに向かって発言ができています。通訳者がいないとそれができない。

もう一つのパターンは、この文章にあるように、障害者自身が明確な意思表明が困難で、かわりに家族やその障害者をよく知っている支援者がその障害者にかわって障害者のために代弁者として発言するという場合です。これはこれでよいと思います。私が言いたかったのは前者の場合で、通訳というのは非常に重要ですので、ぜひ通訳という文言は「等」という言葉でごまかさないでちゃんと入れてほしいと思っています。

以上です。

○ 石川委員長 では、お願いします。

○ 中島審議官 審議官でございます。

御指摘、ごもっともでございます。門川さんがおっしゃっているのは、意思表明が困難だというのは2つあって、御本人が明確な意思を持っておられるのだけれども、それを伝えることが困難であるというパターンと、意思形成なり意思決定そのものに支援が必要な場合という2つがあるわけですけれども、この事務局原案では、意思の表明が困難な障害者というのは、典型的には知的障害、精神障害等という形だけに書かれているので、それでは困るという御趣旨なのだろうと思います。

したがって、門川さんの御指摘のような話というのは、恐らく前段の意思の表明に当たっては、手話を含む言語のほか、点字、拡大文字、筆談、実物の提示や身振り、サイン等による合図、触覚による意思伝達など、障害者がコミュニケーションを図る際に必要な手段により伝えられるというところに通訳の存在みたいなものも含めた形で意思表明を他者に伝えていくというところで修文すれば御趣旨がかなうのかなと思っているのですが、そこはいかがなものでしょうか。

○ 石川委員長 門川委員、どうぞ。

○ 門川委員 門川です。

そのとおりです。通訳という文言を入れていただきたい。「介助者等の」「等」でごまかすのではなくて、先ほど審議官がおっしゃってくださったように、通訳という文言をぜひ入れていただきたいということです。よろしくお願いします。

○ 石川委員長 石川です。

この家族・介助者等の「等」のところに通訳を入れても多分門川さんの御指摘は実現しないというのが中島審議官の理解であったと思いますし、私もそのように受けとめたのです。つまり、精神とか知的障害だけがかかっているように読めるのでという御趣旨だと思うので、これを上のところで処理しないといけないということだと思います。この段落の上の前半分のところですね。そこでやりますということで事務局は100%理解いたしましたので大丈夫だと思いますので、あとはお任せいただければと思います。

それでは、次ですね。時間が大分押しておりまして、家族を対象とまではできないものの何らかの工夫ができないのかというのが佐藤委員及び松森委員からありました。これについて事務局、いかがでしょうか。

○ 田中企画官 内閣府事務局でございます。

定義の中にそのような形では難しかったのですけれども、先ほど御紹介いたしました10ページのところで啓発活動になりますが、まずは国民一人一人のというところに重要性があるということで、一番最後の段落の最後の文章でございますが、その中での後、障害者差別は本人のみならず、その家族等も深く傷つけるものであることを国民一人一人が認識するとともに、法の趣旨について障害者も含めた広く国民への浸透が図られることが重要であるという旨をここで明記させていただいたところでございます。

○ 石川委員長 済みません、ここは議論がある、御意見があるところかと思いますけれども、後でもう一度時間があったらということにさせてください。

あと大きく2点あったかと思いますが、1つは意思の表明が困難な人だけを限定とした建設的対話の話なのか、合理的配慮を必要としていることが明白な障害者、全体にかかる話なのかというのが佐藤委員の確認が1点と、ほかにはたくさんございましたけれども、門川委員及び松森委員から点字や手話を一例の中に入れられないかという話がありました。これについてお願いします。

○ 田中企画官 5ページになりますけれども、御指摘のありました、なお以下でございますが、意思の表明が困難なというところは、困難であるがゆえに表明ができないという方についても、先ほど御議論あったところでございますが、そういった配慮をする建設的対話の最初の部分で自主的に努めていただきたいという意味合いで書いたものでございますので、その意思の表明ができる方について排除的な意味合いを込めたものではございません。

○ 石川委員長 あと手話とか点字を一例の中に入れられないかという話がありましたが、ほかにもありそうに思いますので後に回しますか。

○ 田中企画官 委員長と御相談させていただきたいと思います。

○ 石川委員長 では、この件につきましては極力入れていただく方向で、ついでに今の機会なので、渡し板、板を渡すという表現がとてもチープな感じがするので、仮設スロープとできないかなと思うのですが。仮設もとれという御意見もよくわかりますが、足して2で割って仮設スロープという調整案で事務局とお話をしたいなと思っているのですが。

では、次にいきたいと思います。

柘植委員、どうぞ。

○ 柘植委員 私は表現ぶりのことで。5ページの意思表明の上の1行、2行です。なお、今後合理的配慮の具体例を蓄積し、広く国民に提供するものとするという主語がないのでわかりにくいなと思いました。全般的に今回のこの資料にわかりやすい表現で整っていると思いますが、ここがわかりづらかった。10ページの啓発活動のところでは、例えば内閣府を中心に関係象徴云々と明記されていますので、内閣府なのか、あるいは行政機関等なのか、入れたほうがいいのではないかと思いますが、あえて入れないことでしていらっしゃるのか、どうなのかなと思いました。

以上です。

○ 石川委員長 それでは、石野委員、お願いします。

○ 石野委員 石野でございます。

私は以前の政策委員会のこの場で意見書を提出しております。

こちらをごらんいただけますでしょうか。A4に大きな文字で手話と書かれています。また、こちら、手話通訳という文字を書いております。「手話」と「手話通訳」は聴覚障害者のテーマとして、これからもお示ししていきたいと思います。

さて、先ほど門川委員、また松森委員からも話があり、重複する面もございます。全日本ろうあ連盟としましては、以前にも申し上げたと思いますが、聴覚障害者の合理的配慮についての差別事例、好事例も含め、アンケートをまとめました。こちらに資料がありますが、1カ月という短い期間でも、アンケートから500を超える事例が集まりました。

差別事例の中で特に就労関係、職場での問題が一番多く、次いで医療関係です。これは意思疎通、つまり双方に意思がきちんと伝わるかどうかです。皆様も今、通訳を介して私の話をお聞きになっていると思います。双方向の意思の疎通という問題なのです。基本方針案の中に「筆談」とありますが、ここには「筆談」も「手話」もぜひ入れていただきたいということを申しあげています。なぜ手話かと申しますと、差別事例の集計の中の意見にもありましたが、企業の中においては、マニュアルに筆談で通じるという文言が非常に多いわけですが、実際にやってみると筆談ではなかなか通じ合えないところがあり、トラブルになる場合もあります。

ですから、筆談より手話という表現を入れていただきたい。手話は非常に意思の疎通を図れます。それは私だけではなく、たくさんのろうあ者の意見です。そのこともぜひ念頭に置いていただきたいと思います。

以上です。

○ 石川委員長 ありがとうございました。この事例のところにつきましては、手話通訳までいきますと、それが対応できる事業者は限られてくる可能性もありますので、手話という言い方で、特に担当者も手話を勉強して、今時は外国からの観光客も多くて、外国語の研修もしたりして、ちょっとした会話だったらできるようにして接客するというのが常識になっておりますし、外国語がそのように対応できるのであれば、日本手話の対応ができないわけがないので、そのような趣旨というようなことも含めて何とか入れられないかというのを調整したいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、大分時間を超過いたしました。1点、保留事項もありますが、ここで前半を終わります。10分休憩、3時20分から再開させていただきます。

(休憩)

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