障害者政策委員会(第18回)議事録 2
○ 石川委員長 再開します。この後は、後半部分IIIからVの修正部分を事務局から説明していただきます。お願いします。
○ 加藤参事官 それでは、6ページの「III 行政機関等が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項」でございまして「1 基本的な考え方」の下のところでございます。
また、ここは加野委員から御指摘のあったところでございまして、かなり書きかえをしております。合理的配慮について行政機関等が講ずべき措置の内容、程度、留意すべき事項等は、障害者の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものである。また、合理的配慮は、事務・事業への影響の程度(事務・事業の目的・内容・機能を損なうか否か)、実現可能性の程度(物理定期・技術的制約、人的・体制上の制約)、費用・負担の程度、事務・事業規模、財政状況等を総合的に考慮し、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のために必要かつ合理的な手段及び方法により、かつ、実施に伴う負担が過重とならない範囲で行われるものであると修正しております。
次、7ページの最初のところでございますけれども、ここも佐藤委員、竹下委員の御指摘がありまして、合理的配慮の内容は技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものであり、行政機関等の実情に応じた実効性ある取り組みを進める必要があるということにしてございます。
7ページの「3 地方公共団体等における対応要領に関する事項」のところでございますが、最後の部分で、国は地方公共団体等における対応要領の作成に関し、適時に資料・情報の提供、技術的助言など、所要の支援措置を講ずること等により協力しなければならないという役割を書いております。
IVになりますけれども「事業者が講ずべき障害を理由とする差別を解消するための措置に関する基本的な事項」の「1 基本的な考え方」で、8ページになります。ここは柘植委員のほうから御指摘がございましたが、なお、同種の事業が行政機関等と事業者の双方で行われる場合は、行政機関等と事業者の違いも考慮した工夫、公設民営の施設など行政機関等がその事務・事業の一環として設置・実施し、事業者に運営を委託等している場合は、提供される合理的配慮の内容に大きな差異が生ずることにより障害者が不利益を受けることのないよう、当該委託等をする行政機関等における対応要領を踏まえた工夫が図られることが望ましいとしてございます。
その後の合理的配慮のところにつきましても、佐藤委員、竹下委員、加野委員のほうから御指摘がありましたが、合理的配慮について、事業者が講ずる措置の内容、程度、留意すべき事項等は、障害の特性、事業者と障害者との関係性(長期にわたり密接な関係を持つ分野もあれば、その都度、契約関係を基本とするものもある)、社会的障壁の除去が求められる具体的場面や状況に応じて異なり、多様かつ個別性の高いものである。また、合理的配慮は、事業への影響の程度(事業の目的・内容・機能を損なうか否か)、実現可能性の程度(物理的・技術的制約、人的・体制上の制約)、費用・負担の程度、事業規模、財政状況等を総合的に考慮し、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のために必要かつ合理的な手段及び方法により、かつ、実施に伴う負担が過重とならない範囲で行うよう努めるものである。さらに、合理的配慮の内容は、技術の進展、社会情勢の変化等に応じて変わり得るものであるとしております。
次の「2 対応指針」のところでございますけれども、ここも主務大臣はのところでございまして、対応指針を「作成しなければならない」とありましたけれども、法律に合わせまして「作成するものとされている」。
次、9ページのVの「その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項」の「1 環境の整備」のところでございますが、2行目の障害による円滑な情報の取得・利用・発信、「発信」というのをつけ加えて、その後、意思表示やコミュニケーションを支援するための介助者等の人的支援や情報アクセシビリティの向上等、ここは石野委員からの御指摘を踏まえてございます。
飛びまして「2 相談及び紛争の防止等のための体制の整備」の一番最後のところでございますが、ここは大日方委員、竹下委員からの御指摘を踏まえまして、国及び地方公共団体においては、相談窓口を明確にするとともに、相談や紛争解決に対応する職員の業務の明確化、専門性の向上などを図ることにより、障害者差別の解消の推進に資する体制を整備するものとするとつけ加えてございます。
「3 啓発活動」の「(3)地域住民等に対する啓発活動」のところでございまして、先ほど柘植委員あるいは辻井委員からも御指摘がありました小中学校の教育の面からのコメントをするということでございまして、また、地域の小・中学校等と特別支援学校との交流及び共同学習を含め、ここは大日方委員、竹下委員からの御指摘もありましたけれども、障害者である児童生徒が、その年齢及び能力に応じ、可能な限り障害者でない生徒児童とともに、その特性を踏まえた十分な教育を受けることのできるインクルーシブ教育システムを推進しつつ、家庭や学校を初めとする社会のあらゆる場における機会を活用し、子供のころから障害に関する知識・理解を深め、全ての障害者が、障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人であることを認識し、障害の有無にかかわらずともに助け合い・学び合う精神を涵養すると。ここは佐藤委員、玉木委員からの御指摘も踏まえたところでございます。
さらに、大日方委員、佐藤委員、玉木委員のほうから、その中で、障害者差別は、本人のみならず、その家族等も深く傷つけるものであることを国民一人一人が認識するとともに、法の趣旨について、障害者も含めた広く国民への浸透が図られることが重要であると。先ほど御議論のありました家族を定義の中に入れるのは非常に難しいのでありますが、その家族が非常に傷つくということを啓発の中できちんと浸透させていこうということをここで書いているところでございます。
そして、11ページの上のところは、家庭、学校を初めとするところは先ほどのところに修正をしたところでございます。
そして「4 障害者差別解消支援地域協議会」の「(1)趣旨」のところの下から2行目でございますが、ここも石野委員から御指摘がありましたが、協議会の組織に当たっては、障害者及びその家族の参加について配慮するものとする。
「(2)期待される役割」でございますが、真ん中のところ、これは清原委員から御指摘がございましたが、なお、都道府県において組織される協議会においては、紛争解決等に向けた取り組みについて、市町村において組織される協議会を補完・支援する役割が期待されると書いてございます。
「5 差別の解消に係る施策の推進に関する重要事項」の「(1)情報の収集、整理及び提供」でございます。
ここにつきましても、大河内委員、佐藤委員から御指摘いただいておりますが、本法を効果的に運用していくため、内閣府においては、行政機関等による協力や協議会との連携などにより、個人情報の保護等に配慮しつつ、国内における具体例や裁判例等を収集・整理するものとする。ここの主語を内閣府としております。また、具体例、裁判例を収集・整理するということは花井委員からの御指摘もございました。
そして、12ページ、最後でございますが「(2)基本方針、対応要領、対応指針の見直し等」のところでございます。
ここも冒頭は技術の進展、社会情勢の変化等は、特に、合理的配慮の提供について、その内容、程度等に大きな進展をもたらし、また、実施を伴う負担を軽減し得るものでありということを入れてございます。
そして、次の段落でございますが、ここは大河内委員、佐藤委員、玉木委員あるいは田中委員からも御指摘がありましたが、また各種の国家資格の取得等において、障害者に不利が生じないよう、いわゆる欠格条項について各制度の趣旨や、技術の進展、社会情勢の変化等を踏まえ、適宜、必要な見直しを検討するものとするとしてございまして、次は石川先生あるいは石野委員、佐藤委員、竹下委員、上野委員から御指摘がありました見直しのところでございますが、法の施行後3年を経過した時点における法の施行状況に係る検討の際には、障害者政策委員会における障害者差別の解消も含めた障害者基本計画の実施状況に係る監視の結果も踏まえて、基本方針についてもあわせて所要の検討を行うものとすると書いてございます。
後のところは、障害者政策委員会の意見を聴かなければならないと、これは法律に合わせたところでございます。
また、所要の措置、必要な措置を講ずるものとするというのも法律に合わせまして「講じなければならない」と修正したところでございます。
以上です。
○ 石川委員長 どうもありがとうございました。
1点、申し上げます。既に前半で御意見をいただいたり、あるいはこれから後半で御意見をいただくであろう主語や目的語がない、あるいは明確でないという御指摘、表現を少し変えると読みやすくなるという御指摘については、全ていただいた御意見を参考にして磨きをかけてパブリック・コメントに出すということで、一括してそのように対応させていただきますので、よろしくお願いします。
あと前半で積み残し、保留とさせていただいた女性と子供についての書きぶりですね。これについて事務局のほうからもう一度御説明をいただきたいと思います。
○ 中島審議官 障害者のところで、女性と子供のところを明記するということをたくさんの委員からいただきました。それに対して、いわゆる条文の構成上、私の理解ではですが、7条、8条において不当な差別等のところの条項には、いわゆる性別、年齢等の記述がないけれども、合理的配慮のところは記述があるのではないかと、そことの整理の問題なのかなと思っています。
基本的には、やはり女性に対する複合差別の問題が当然ありますし、障害児については障害児である前にそもそも1人の児童であると門川委員からもご意見がございますし、教育の重要性という観点もある。そこで女性と障害というのはこうしたことを特に念頭に置いて対応していかなければいけないというのは、いわゆる障害福祉等の世界では常識的なことなのかなと思っておりますし、今回もそのような意見がたくさん出されたということでございます。
したがって、今般のこの障害者政策委員会での御意見として、女性と障害児については特段の配慮が要るということを特に考えなければいけないということを宣言的にここで書いていただくということ。
条文上、不当な差別なところに性別、年齢が入っていない、合理的配慮のところには入っているのではないかということなのですが、ここは余り自信がないのですけれども、少なくとも合理的配慮については不適切なパターンがあったときに合理的配慮を具体的に考えていくときには、性別、年齢、障害の状態に応じて合理的配慮の内容というものも変わり得るのだという、講じなければならない対応の中身を考えるに当たって考えなければいけない要素として書いているということでありまして、必ずしも合理的配慮のところにしか性別、年齢がないからなかなか難しいのだという話ではなくて、ここは我々事務方としては、女性、障害児というものについては特段の配慮が要るのだということを委員の皆様方の総意に近いものとして表明がなされたこともあって、ここにしっかり書かせていただくのが適切ではないかと判断したところでございます。
○ 石川委員長 どうもありがとうございました。
遠藤委員、よろしいでしょうか。どうぞ。
○ 遠藤委員 ただ今の御発言についてコメントするということではないのですが、条約の趣旨を踏まえて基本法の改正から一連の動きとして、障害者差別解消法の施行に向けて対応しています。行動規範としてどう規定するのかということとともに、やはり予見可能性もしっかり考えていかなければいけないという前提に立って、これまで私は議論に参加してきたものであります。
不明確あるいは曖昧な部分が残ることによって、最終的に現場に負荷をかけるようなことがあってはならないという趣旨で申し上げています。総則的に書いていった後、どう展開するのかが十分見えない中で書くことについては、私自身は今の段階でも疑問なしとしないということだけ申し上げておきます。文面についてどうこうするということではないです。
ただ、追加的に申し上げますが、なぜそこで高齢者を外していくのかということは、大いに疑問があるということだけ申し上げておきます。
以上であります。
○ 石川委員長 御趣旨、ありがとうございます。
蛇足になりますけれども、日本は女性差別撤廃条約を批准しております。子どもの権利条約も批准しております。女性であることによって不当な差別的な取扱いを受けるリスクがあります。子供であることによって人権が守られない、不当な差別的な取扱いを受けるリスクがあります。したがって、障害のある子供、障害のある女性は、女性によって、及び、アンド、オアです。障害によって不当な差別的な取扱いを受けるリスクが加算あるいは乗算される、子供についてもしかりです。なので、これは特段の記述が必要であると私自身は理解しております。この件については、遠藤委員もその基本的な考え方に反対ではないとおっしゃっていらっしゃるので、そのような意味で皆さんも御提案されたかと思いますし、事務局も受けとめてくださっていると思いますので、それでよろしいでしょうか。
それでは、後半の部分について、今度は向かって左側、山崎委員から佐藤委員で御意見ある方は挙手をお願いします。
それでは、まだ発言されていなかった田中委員、お願いします。
○ 田中委員 育成会連合会の田中です。
12ページの、私からも提案させていただきました欠格条項について、特段の書きぶりをしていただいたことにまずもって感謝申し上げます。
その上で少し気になるのですが、「各種の国家資格の取得等において」というところが提案した立場としては強調させていただいたわけですが、このことを筆頭に、欠格条項全般について見直しをしていく必要があるというつもりでの発言でしたので、この書きぶりでそこまでも含んでいただいていると理解をして、進めていっていただければということを意見として述べさせていただきます。
以上です。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
それでは、柘植委員、お願いします。
○ 柘植委員 お願いします。先ほどと同じで表現ぶりのことです。
1点目は、8ページの上の赤のところです。なお、同種の事業がというところです。これは文章が非常に長くてわかりづらいのです。恐らくよく読むと、2行目の右端、1つの工夫と最後の行の対応要領を踏まえた工夫、この2つの工夫が図られることが望ましいという文章なのだと思うのですが、2つ目の工夫がずっと長くなっておりますので、文章を分けるだとか、何かわかりやすい表現にしていただけたらいいのかなということが1点目です。
2点目は、10ページの下の教育のところです。私も含めてたくさんの委員が教育の段階からの対応が重要だということを発言してまいりまして、それがこんな形で書かれているということでとてもうれしく思うわけですが、1行目、またのところ、地域の小・中学校等と特別支援学校との交流及び共同学習を含めと、例示として1つ挙がっているのですが、何かその例示が非常に大きく見えてしまってそれだけという感じにもとられるのですが、小中学校の中にも、例えば知的障害のない発達障害のお子さんなど学んでおりますので、ぜひ下の行、障害である児童、生徒がその年齢及び能力、ここのところが肝だと思いますので、国民へのわかりやすさといいますと特別支援教育という言葉がかなり浸透しておりますので、この文章はどこにも特別支援教育という文言が入っておりませんので、交流及び共同学習ももちろん含めるのですけれども、例示としてそれを挙げるのだったら、特別支援教育の一層の充実、発展が必要だという文言もぜひ入れていただいて整理していただくといいのかなと思いました。
以上です。
○ 石川委員長 ありがとうございます。
柘植委員の最後のほうの御提案なのですけれども、逆に含めてまでを削除して、インクルーシブ教育システムの中にこれは入っていることなので、わざわざこれを特出しする必要はないのではないかと思うので、これだけを特出しすると、他も出さないといけないという話になるかと思うので、もっとすっきりとした表現として前段を削除するという案はいかがですか。
柘植先生、どうぞ。
○ 柘植委員 障害者基本法で交流及び共同学習を積極的に推進することと書いてありますので、削除していいのか、残しておいたほうがいいのか微妙なところなのですが、そのことと関連して、それも含めて特別支援教育を推進するのだということが見えてこないので、一般の国民の方への特別支援教育という言葉だとか概念の浸透状況を考えると、それがあったほうがいいのかなということです。
○ 石川委員長 どのようにするか検討させていただくということでよろしいでしょうか。御意見の趣旨は理解いたしました。ありがとうございます。
それでは、松森委員、お願いします。
○ 松森委員 松森でございます。
まず最初に1つ目、9ページの「V その他障害を理由とする差別の解消の推進に関する施策に関する重要事項」の部分です。ここに「1 環境整備」があります。新たに介助者等の人的支援と追加されました。ここに介助者等の人的支援やサービス等と、「サービス」という言葉を入れることはできませんか。
例えば聴覚障害者にとっては、電話リレーサービスが普及しつつあります。権利条約第9条の中には、障害者があらゆる側面で完全に参加することを目的とした文章があり、ここにはサービスという言葉も含まれています。もっと言えば、情報、通信、その他のサービスの中には、緊急事態に係るサービスを含むという文章もあるからです。
続いて2つ目、10ページ、啓発活動の「(3)地域住民等に対する啓発活動」について。ここでは子供のころから障害のある人、ない人、ともに助け合い・学び合う精神を支援すると書かれたのはとてもいいことだと思いました。しかし、この中で保護者という言葉が1つも出てきません。私は毎回繰り返し申し上げているのですが、日本でインクルーシブ教育を推進するには保護者の理解が絶対必要です。障害者に対する偏見や間違った認識を持っている保護者少なくありません。つまり、子供のころからの学びとともに、保護者に対する学びと啓発の場も重要だということです。
例えば私からの案は2つあります。
1つ目は、10ページ目の下から6行目、子供のころからという文章があります。この子供のころからの前に「保護者も含めて」という一言を入れる、それだけで違うと思います。保護者も含めて子供のころから障害に関する知識や理解を深めていくということ。
2つ目の案は、同じく下から3行目、その中で、障害者差別はという言葉があります。これを保護者をはじめ障害者や障害女性、障害者の家族と連携による啓発活動によりという文章を含めてほしいのです。地域住民の啓発としては、学校における保護者向けの啓発が有効でありますし、障害者や障害女性、障害者の家族による講演会の開催なども含めるからです。
次、3つ目、11ページ、4番の(1)、協議会の組織に当たっては、障害者及びその家族の参加について配慮するものとする。この後に、なお、障害のある女性の構成比及び参画を高める措置をとると入れてほしいと思います。理由は、地域支援協議会に障害者の家族や障害女性が参画することにより、広く住民に必要な相談体制や啓発が構築できるからです。特に母親との相談や啓発においては、地域行政の障害女性の参画が必要と考えます。今は出生前診断といって、おなかに子供がいるときに障害があるかどうか知ることができるようになっています。生まれてくる子供に障害があっても安心して子育てをすることができますよという、そうしたアドバイスをするためには、女性は絶対必要だと思います。
次に、4つ目、12ページになります。「(2)基本方針、対応要領、対応指針の見直し等」の最後に追加してほしいこと。それは、委員会や協議会等において障害のある女性の構成比及び参画を高める措置をとる、この一言を入れていただきたいと思います。これも先ほどと同じように、基本方針の見直しにおいても障害女性の意見の反映が絶対に必要だと思うからです。
また、この文章の中で、法の施行後、3年を経過した時点におけるという文章がありますけれども、3年を経過する前にできれば検討する機会があるとよいと思います。
私からは以上です。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
それでは、玉木委員、お願いします。
○ 玉木委員 ありがとうございます。10ページの啓発活動の「(3)地域住民等に対する啓発活動」というところで、前回、私も意見を言わせてもらいましたが、障害者自身のエンパワーメントに関する視点というのがやはり弱いのかなという気がしています。事務局の御努力で教育にかかわることも含めて9行ふえているのですけれども、学校教育ということでいうと、ここがすごく大事なことなのですけれども、現在も成人の障害者の方もいらっしゃるわけでして、その人たちに対する障害者としての自信というか、権利としてここは言っていっていいのですよとか、ここは差別なのですよというところの理解、啓発という部分での書きぶりがすごく弱いのかなと思っています。
その上で、最後の3行の中で障害者差別は本人のみならず云々という書きぶりも、これは下手をすれば受身的な表現になって、権利の主体として障害自身も差別についての理解をどう進めていくかということと、多分これを言うと、最後の2行も、障害者も含めた広く国民への浸透が図られると書いてあると片付けられそうなのですが、上の学校教育においては具体的なのだけれども、この最後の2行が書いてある部分が余りにも淡泊というか、よくわからない書きぶりになっているので、社会教育も含めて、「障害」をどう理解していくのかということをここで具体化していただければありがたいなと思います。
以上です。
○ 石川委員長 玉木委員、ありがとうございました。
確認なのですが、障害者のセルフアドボカシーといったような視点がないのではないか、そこを書いてほしいという御意見でよろしいですか。
○ 玉木委員 そういうことです。
○ 石川委員長 この点については重要だと思いますので、玉木委員は表現として御提案いただいていましたでしょうか。私、全体を見切れていないのです。
○ 玉木委員 私は無理やり(4)に別建てで勝手に文章をつくっておりますので、それをまた見ていただけるとありがたいなと。
○ 石川委員長 わかりました。ありがとうございます。
それでは、門川委員、お願いします。
○ 門川委員 門川です。
相談及び紛争の防止等のところなのですが、ここに新たな機関は設置しないというふうに書かれていますね。新たな機関は設置しないと、この書き方はどうかと思うのですね。社会情勢は刻々と変わっていきますから、もしかすると、今ないものをつくらないといけないということも生じるかもしれませんから、これは削除したほうがよいのではないかと思います。これが1つ。
あともう一つ、確認をさせていただきたいのですが、基本方針の見直しのところなのですが、障害者その他の関係者の意見を反映させるためにとありますが、この「障害者とその他の関係者」、ここについて割合的にはどのように考えるのか、障害者と書かれていますが、余りにも漠然としていますので、いろんな障害種別の方々がいますが、その中から代表する障害者なのか、いろんな種別を代表する障害者の方たちなのか、割合的にはどうなっているのかを確認したいと思います。
以上です。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
石野委員、お願いします。
○ 石野委員 石野でございます。
1つ意見、そして1つ質問です。
まず意見です。9ページの環境の整備に関してですが、障害者権利条約におきまして、第9条には仲介する者が括弧書きになっており、「(案内者、朗読者及び専門の手話通訳を含む。)を提供すること」とあります。基本方針案に仲介する者という言葉はなじまないのではないかと思います。ここで1つ提案ですが、「意思疎通やコミュニケーションを支援するための介助者等の人的支援」という文言になっています。「等」については先ほど議論がありましたが、地域生活支援事業ではその中に意思疎通支援という言葉があります。その言葉を使うということが適当ではないかと私は思います。
次に質問ですが、11ページ、地域協議会の中に、私も申しましたが、「障害者及び家族の参加について配慮するものとする」と書かれています。「参加」という言葉なのですが、今までのイメージでは「参画」という言葉がふさわしいのではないでしょうか。参加というのは、まずオブザーバー的にそこに存在するという意味でもあり、そうではなく委員としてきちっとした参画をするということが適当ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
以上です。
○ 石川委員長 石野委員、済みません、1点目なのですが、どの言葉を意思疎通に変えるべきとおっしゃったのか、もう一度教えていただけないでしょうか。私、聞き取れなかったものですから。
○ 石野委員 コミュニケーション支援をするための介助者等という言葉があります。これはコミュニケーションを支援するための言葉というのではなく、意思疎通支援という言葉に変えたほうがいいのではないかと思います。
○ 石川委員長 これは後で事務局の意見を、私も意見はありますが、事務局のほうから答えていただいたほうがいいかと思います。
幾つかありましたので、ここまでのところで若干事務局からお答えいただいたほうがいいかと思います。少し時間を延長せざるを得ません。少しです。その点、御了承ください。
先ほどの中で松森委員からありました御意見の中で、障害者基本計画にぜひ書くべきこと、あるいは書いてあることについては基本方針で述べることが適当かどうかという事柄も考えなければいけないかと思いますが、ただし、女性の構成比について、女性障害者の構成比についての御提案があったので、これについて事務局のほうのお考えというか、これに対する事務局の回答をお願いできればと思います。
○ 田中企画官 内閣府です。
会議等への参画という重要な点の御指摘がございました。会議等の委員構成につきましては、御指摘のありました女性の割合というものももちろんその一つの要素としてあるとは考えるのですけれども、例えば障害種別間のバランスであったり、男女比、それから本日も高齢者への配慮という点も御指摘がございましたが、年齢構成等さまざまな考慮要素がございますので、ここで女性の参画という非常に重要な点でございますが、そのことのみを特記することは難しいのかなと考えた次第でございます。それも踏まえまして、最初の障害者のところで女性の置かれた状況について記述をしているところでもございます。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
あと石野委員からありましたコミュニケーション支援よりも意思疎通支援のほうがいいのではないか、その理由は地域生活支援事業にあるからだというお話について、事務局いかがでしょうか。より一般性のある表現としてコミュニケーション支援のほうが、ある特定の事業をイメージしたものではないのでいいのではないかというのが私の個人的な意見なのですけれども、事務局、いかがでしょうか。
○ 加藤参事官 先生、ここは単に書きぶりだけではなくて微妙なところもあるので、むしろ先生方に少し御意見を伺えないでしょうか。
○ 石川委員長 ほかの委員。竹下委員、お願いします。
○ 竹下委員 竹下です。
結論から言えば、ここはこのままにしてほしいと思うのです。意思疎通とコミュニケーション支援とは意味が違うと思います。重なる部分はあるとは思いますが、意思疎通のほうが日本語としては狭くなると思うのです。コミュニケーション支援という場合に、意思疎通を含んだ概念として受けとめられていると思いますので、現時点では日本語化したコミュニケーション支援というものでこの部分は書きぶりが適切ではないかと思います。
以上です。
○ 石川委員長 ありがとうございました。そういうことで、石野委員、御理解いただきたいと思います。お願いします。
○ 石野委員 わかりました。
○ 石川委員長 では、こちらから向かって右側、大河内委員から大日方委員までのところで。
それでは、伊藤委員、お願いします。
○ 伊藤委員 難病という問題は、どうしても医療とかかわる部分が多いのでどのように発言していいかわからないことがあったのでしばらく発言できないし、文章も出さなかったので申しわけないのですが、幾つかについて質問と意見を申したいと思います。
1つは、10ページの地域住民等に対する啓発活動ですが、ここでは特別支援学校ということは特に書かれているのですが、実は病院内の学級もあるわけですけれども、今、病院は余り長く入院できませんので、この院内の学級と元の在籍していた学校への行き来があるわけですが、そうすると、院内学級に行くと元の学校の席はなくなるのです。また戻るときに院内の席もなくなるということで、行ったり来たりということになります。公立の場合はまだそれは可能だと思うのですけれども、私立だと1回学校の席がなくなると戻ることができなくなる。こういう場合、あるいは行き来できなくなるということをおそれて院内学級には在籍しないということも起きていますので、これをこの中でどう書いたらいいのか。特別支援学校ということも出ていなければ別にこのことも言う必要はなかったのですが、もしも特別支援学校との共同学習というのが必要だったらという、そこまで書くのでしたら、ここも細かく書かねばならないのではないのだろうかと思います。
もう一つは、松森委員から出生前診断の話が出ましたけれども、最近医学はもっと発達しまして、遺伝子診断もできるわけです。そうなると、ここの解消法自体が障害を持って生まれた後のことについては書かれていますけれども、障害を持って生まれるということについて何も書かなくていいのかということもありますので、私はどのように書いたらいいかわかりませんけれども、そのこともここは必要なのではないか、病気が障害を持って生まれるのです。それを生まれなくするという行為について、これはどう考えるのかということをお聞きしたいと思います。
あと文章の問題で、10ページの(3)のところで、下から3行目、その中でと表現されています。そうすると、これは学校教育の話の続きみたいですので、そうではなくて障害を持って生まれる、あるいは生活する、障害を送るということがどういうことかということはもっと大事な問題だと思いますので、何かここでは工夫が必要なのではないだろうかと思います。
ついでに発言する機会がなかったので申し上げませんが、前半の部分に戻らせていただきますけれども、この機会にお許しください。
1つは3ページ、1つ目の●の上なのですが、なお、高次脳機能障害は精神障害に含まれるとなっておりますが、1つは「なお」というのは不要なのではないか。つけ足しみたいですので。それにもう一つ続いて言えば、「難病に起因する障害も」となっていますが、これは大分古い考え方だと思います。難病に起因する障害で障害者になった場合というのは、障害者手帳も従来はもらえていたわけですが、新しい今の時代では難病そのものも対象にするという時代ですので、起因すると書かなくてもいいのではないだろうかと思います。
そのついでにもう一つですが、5ページも下から2つ目の●で、これも「知的障害や精神障害(発達障害を含む。)等により」ということで難病という表現がないのですが、これは実は難病患者もコミュニケーションで非常に困難を抱えている病気の人たちがいるわけです。特に全く身動きもできず、声も出せなければ、ナースコールを押すことぐらいしかできない患者さんがナースコールを押すことを病院は嫌がって、頻々に鳴らすものですからナースコールの線を切ってしまうということがあったり、あるいはパソコンを使えなくするとか、あるいは外部に手紙を出すことも困難であるというようなことが先日の会合などでも出されたわけですが、そういう場合はどうなるのか。単なるコミュニケーションという問題なのか、もっと重要なことがあるのではないかと思うので、そういう場合についての医療に対しての患者のコミュニケーションというものも特別に書くことが可能なのかどうなのか、そこまで言うつもりはなかったのですが、少なくとも知的障害や精神障害、発達障害と書かれるのでしたら、難病というのも1つここで入れていただきたいというようなことがあります。
済みません、前のことまでさかのぼって一緒に言ってしまいましたけれども、そういう意味で質問をしたいと思います。
○ 石川委員長 ありがとうございます。
出生前診断の話は大きいので、ほかの委員からも意見があるかもしれないのでこれは保留させていただいて、前段の部分についての御意見、御要望について、事務局で検討していただくということにしたいと思います。
それでは、大濱委員、お願いします。
○ 大濱委員 脊損連合会の大濱です。
今、伊藤委員からご発言があった出生前診断についてです。私もこの中に書き込めるのであれば、生まれる権利としてきちんと整理するべきだと考えています。ですから、基本方針に盛り込める可能性があるのかどうか、議論していただければありがたいと思います。これがまず1点目です。
2点目は、10ページ目のインクルーシブ教育についてです。実は地元で知的障害のお子さんが小学校に上がるにあたり私もずっと相談を受けていて、教育長とも協議を続けています。このテーマでは保護者の問題は非常に重要です。保護者をどうやってこの項目の中に書き込んでいけばいいのか考えながらこの文章を読んでいました。家庭といった言葉はありますが、子供同士と同時に保護者同士でもわかり合ってもらわないとインクルーシブ教育は実現できません。ですから、私も、この項目に保護者という言葉をぜひ入れていただきたいと思っています。
以上です。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
では、委員、お願いします。
○ です。
1つ、意見をさせていただきますが、先ほどから皆さんがおっしゃっております10ページの啓発のところなのですけれども、下から3行目のところで、先ほどその中ではどうしたらいいかということだったのですけれども、これはとったらどうかなというのが私の1つの意見でして、障害者差別は本人のみならず、その家族等も深く傷つけるとあるのです。そこのところを、その家族も差別や不利益を受けるものであることを国民一人一人が認識するというような文言に変えていただければというのが意見です。よろしくお願いします。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
それでは、河井委員、お願いします。
○ 河井委員 全肢連の河井です。
単純に表現の確認です。今の10ページのインクルーシブ教育のところで、ここの段落だけ可能な限り障害者でない児童生徒とか、全ての障害者が、障害者でない者という表現になっているのですが、これまでのずっと表現が、障害者と障害のない者という表現できていて、ここだけ違う表現になっているので、別に意味としては全く同じなので問題はないかとは思いますけれども、いいのかなという単純な疑問です。
以上です。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
では、加野委員、お願いします。
○ 加野委員 加野です。
柘植委員から御発言のあったところで修正の検討をしていただくということですけれども、その点について2点補足をさせていただきたいと思います。
8ページの頭のところの行政機関等と事業者の双方で行われる場合はというところ、文章が長くてわかりづらいというところだったのですが、最初のところで、同種の事業が行政機関等と事業者の双方で行われる場合は、行政機関等と事業者の違いも考慮した工夫ということですが、その違いを考慮する前に「も」ですから、多分同種の事業であるということを考慮するということがあるのだと思うのですけれども、それが書いていないのでいまいち意味が通らないかなと思っていますので、修正の際はその点も考慮して修正案をお考えいただければいいかなと思います。
2点目は、10ページの地域住民等に対する啓発活動のところでインクルーシブ教育システムというのはやはり重要な点だと思いますので、その一番最初に書いてあるのが支援学校との交流及び共同学習というところが、やはり地域でのインクルーシブというところが本来の趣旨ですので、少し突出した感じになるので、委員長がおっしゃられたように、この部分を削除するということも含めた御検討をいただければいいと思っております。
以上です。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
大日方委員、お願いします。
○ 大日方委員 ありがとうございます。私のほうは重複している部分は除きます。
8ページと6ページの合理的配慮のところ、行政機関、事業者、それぞれの基本的な考え方を重ねているのがわかりやすさという意味で非常に気になります。
そもそも4ページのところで合理的配慮の基本的な考え方を言い、さらに過重な負担の基本的な考え方をここで述べているわけです。さらに、行政機関ということで重なり過ぎているかなというところがありますので、もう少しここの部分に関して、基本的な考え方というのを一遍まとめましたら大分すっきり整理できるのではないかということを御提案したいと思います。
2点目です。女性や子供といったようなところに関して、中島審議官のほうからも御意見がありましたが、私のほうから1つ提案をさせてください。
私が言った趣旨、私も女性というところの視点を申し述べた1人ですが、ここを範囲に入れるというのも1つの考え方ですが、もう一つは11ページの最後、「差別の解消に係る施策の推進に関する重要事項」、ここの部分に女性や子供あるいは高齢者といったようなところ、多様な障害を持っている、障害のある人自身の多様性。障害者というととかくひとくくりにされがちだけれども、その中には多様な人がいるという極めて当たり前な視点なのだけれども、落とされがちなところをここで枠を別に設けるというのも1つの方向性かなと御提案させていただきたいと思います。事務局のほう及び委員長で御判断いただきたいと思います。
3つ目ですが、10ページ、地域住民等に対する啓発活動についてたくさんの御意見があったと思います。こちらはいろいろ整理させていただくと、学校教育での啓発の話、社会教育の話、それからセルフアドボカシーの話というようなことなので、この視点で段落を分けていただいて、ずっとつながっているので読みにくいので、分けて整理していただくことをお願いしたいと思います。
そして、ここで最後、お願いなのですが、家族等も深く傷つけるというような、こういう表現がありますけれども、どちらかというと、これはもう感情的な話よりは権利侵害であるということ、差別や不利益というちょっと強めの表現のほうが適切かなと感じておりますので、御検討をよろしくお願いします。
以上になります。ありがとうございました。
○ 石川委員長 大日方委員、ありがとうございました。検討させていただきます。
三浦委員長代理、どうぞ。
○ 三浦委員長代理 ありがとうございます。同じく10ページ、初めて出た文章なので意見を言わせてください。
先ほどからの「3 啓発活動」の(3)の部分です。第2段落に、「地域の小・中学校等と特別支援学校との交流及び共同学習を『含め』」とあります。この交流と共同学習がインクルーシブ教育システムだと思われてしまうことは非常に大きなリスクを伴うと思います。インクルーシブ教育のシステムは今始まったばかりなのですけれども、違うところにゴールがあるかもしれませんので、本音の意見ですけれども、ここは削除すべきだと思います。1つ意見です。
同じページ、下から3行目の「その家族等も深く傷つける」というのも主体が曖昧で、その家族を含んで行われる場合もある、もしくは不利益、権利侵害であることを明確にすることを、大日方委員、それから委員と同じ意見として申し上げます。
以上です。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
このインクルーシブ教育のところがなぜ出てきたかというのは、文脈上の位置づけを考えますと、こんなに長々と書かなくてもいいと思うのです。特に共同学習とか交流というのはインクルーシブ教育システムの中にしっかりと位置づけられているもので、それはみんな誰もそれについて疑問を差し挟むものではありませんので、含むとわざわざ書かなければいけないような脆弱なものではないはずですので、ここを削除するのが合理的だと思うのですが、きょうは文科省の幹事の方はいらっしゃいますか。どうでしょうか。御意見いただけると大変ありがたいのです。
○ 文部科学省 文部科学省でございます。ありがとうございます。
今委員長からありましたように、交流及び共同学習、当然インクルーシブ教育システムを構築していく際の大きな重要な部分でございます。ここに啓発という言葉があったのでこういう言葉を例示として書きましたけれども、御指摘のとおりだと思いますので、そこは削除することに異論等ございません。
○ 石川委員長 柔軟な対応、ありがとうございます。
さて、そういうことで、あと1点私ありまして、公立民営のときの工夫なのですけれども、具体的にどういうことをしてほしいのかということが見えないのではないかと心配しまして、例えばですけれども、入札条件や契約条件等に合理的配慮の提供を含める等と入れると明確ではないか、わかりやすいのではないかと思うのですが、これについて事務局の御意見をいただければと思います。
○ 田中企画官 御意見を踏まえて検討させていただきます。
○ 石川委員長 ありがとうございます。というのは、最近指定管理がどんどんふえていまして、公立図書館だろうが、博物館だろうが、美術館だろうがみんなそうなっているので。しかし、利用者の視点からすると、それが直営であるか、指定管理であるかということは同じものであるべきだし、事業者の立場からすると確かにそれは義務がないよということなのですが、しかし、指定管理という方法をとって公立民営を行う行政機関は合理的配慮の提供義務を負っているわけですから、それをどうやって実現するのかという、工夫としては入札や契約で合理的配慮を提供してくれる業者に限定するという、そのことを約束してもらうというのがごく普通の手法だと思いますので、ぜひお願いしたいと思います。
最後に残った出生前診断なのですけれども、これはなかなか難しい問題で、まず事務局の御意見を伺いたいと思います。
○ 加藤参事官 まず、出生前診断というのは非常にテーマが深いということと大きいという話と、もう一つは、ある程度どこかで御議論があってその方向づけみたいなものが示されておるのであれば、それを前提にしてこの基本方針でどこまで書くのかということが議論できるのかと思いますが、純医学的であり、ある意味ではもっと哲学的なところもあるわけですので、少し別のところの御審議を待つのかなという感じでございます。
○ 石川委員長 胎児の人権に関する議論というのは大変深い議論になってしまいますので、生命倫理にかかわることで、これまでのこの委員会でも議論の積み重ねもありませんので、今回今ここでというのは拙速かなと思いますので、見直しまでの課題とさせていただきたいと思うのですが、伊藤委員、この件に関してでしょうか。
どうぞ。
○ 伊藤委員 そこまでは今ここで議論はできないと思うのですけれども、私が言っているのは、出生前診断が正しいか、正しくないか、倫理上どうこうという話ではなくて、どなたかもおっしゃったと思いますけれども、産まれた後でも支える仕組みがしっかりしていればまた別な展開もあるかと思うので、産まれて障害を持っているということをはっきりしてしまってからの差別解消法というのではなくて、何かそういうさまざまな障害を持って生まれても大丈夫だよみたいなことをここで文言として入れられるかどうかという話だと思うのです。そういうここの差別解消法の中でできるものはないかという話が1つです。
つけ足しになって申しわけないけれども、子供というのは生まれて育っていく過程の中でさまざまに変化していくわけです。障害というものに対して、あるいは社会の認識も、あるいは障害自体も変化していくのだと思うのです。障害がある程度確立された大人の世界とまた違う問題があるものですから、そういう意味ではすごく違和感があるのが、障害者である児童生徒と、障害者でない児童生徒と、この段階で書いていいのかということも出生前診断で障害を持って生まれるかどうかということの延長線上にあるような気がして、ここはもう少し慎重に書いたらいかがでしょうかということです。
以上です。
○ 石川委員長 ありがとうございました。出生前診断に関してどういうことが書けるか、今、この場では何とも申し上げられませんが、きょういただいた貴重な御意見をできるだけ最後の磨きをかけるところで反映していただくべく努力したいと思いますが、遠藤委員、どうぞ。
○ 遠藤委員 反映できるとか反映できないではなくて、私どもの所掌を超えているテーマだと正直思います。
私、この関係の会合を6年間携わらせていただいていますけれども、これはもうここで議論するようなテーマではないと思います。それを何らか書いていくこと自体がかえって今後の議論の足かせになってもいけませんので、やはりこれは触れないという形が1つの結論と思っております。
以上です。
○ 石川委員長 それは出生前診断についてということですね。
どうぞ。
○ 松森委員 松森でございます。
出生前診断についてここで議論できることではないと思うのですけれども、大切なのは、自分のおなかに子供がいて、生まれてくる子供に障害があったとわかったとき、安心して子育てできるということ、アドバイスとか相談できる人が必要だということです。だから私は協議会の中に、協議会の組織に当たっては、障害者及びその家族の参加について、障害のある女性も必要だと含めてほしいと申し上げただけです。その部分をお願いしたいと思います。
○ 石川委員長 わかりました。これはセルフアドボカシーの一部と理解していいですか。では、伊藤委員、どうぞ。
○ 伊藤委員 済みません。というのは、ことしの5月に成立しました難病法では、その根本になるのは、難病を持って生まれる子供のことについて触れています。難病というのは、おおむねというか、多くは遺伝子の変異によるものだと言っていて、それゆえ人類の多様性の中では一定程度の割合で必ず発生するということを前提として法律ができています。そのことから言えば、何らかの難病あるいは重い障害を持った子たちも一定の割合で今後とも日本で発病するのです。それをここで議論する場でないと言われればそれまでですけれども、そのことについて触れないで、私は成人になってしまってから、あるいは固定してしまってからの障害のことだけ話しても違うのではないか。特に病気を持っている親たちはそのことで悩むわけです。同じ病気を持っている子たちがまた産まれてくるのではないか、産まれてきた子がそうなるのではないかということがあるわけですから、そこでは単に倫理の問題とかということでここでは言えないということではなくて、やはりそういう問題も今ここで結論は出ないにしても、何らかの形ではその痕跡は残すべきではないかということで触れておきたいと思います。ここで議論するつもりはありませんので。
ただ、そういうようなことを残しておけば、次の世代、もう少し社会が進んだ段階、あるいは科学技術が進んだ段階での議論に引き継がれるということを期待したいと思います。
以上です。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
とにかく、この差別解消法の趣旨、権利条約の趣旨というのは障害とともに生きること、障害を持って生まれることを祝福し、歓迎する社会をつくっていきましょうということなので、そういう趣旨をもとにして、この基本方針というのは書かれるべきことであることは言うまでもありませんので、そのことをこの基本方針で改めて、そういう理念を書いたほうがいいか、あるいは書けるかということも含めて検討させていただきます。既にそれは権利条約にうたわれており、それを大前提としてこの基本方針はあるということですので、その点を基本方針で書かないとそれがいけないかどうかというのはまた検討させてくださいということで、以上、若干の積み残しはあったかもしれませんけれども、竹下さんを無視しましたか。失礼いたしました。
では、竹下委員、どうぞ。
○ 竹下委員 すぐ終わります。竹下です。
2点お願いです。短く。IIIの2の(2)の④の書き方ですけれども、ここには相談体制の整備と書いています。これは条文からいえば、これもまた狭すぎると思うのです。法の14条は、相談とともにという後に紛争の予防と紛争の解決のための整備を図ることとなっているわけでありますが、この④のところは、条文に沿う形で相談及び紛争解決のための体制の整備とすべきだと思います。したがって、その結果として、IVの2の(2)の⑥のところも、やはり国の窓口のところですけれども、ここも同じように条文に沿う形で、相談及び紛争解決のための窓口となるはずだと思っております。これが1点目です。
2点目は、IVの3のところで、主務大臣の権限の行使の規定がここで条文とほぼ同内容で繰り返されているわけですけれども、この主務大臣の権限発動がどういう手順で行われるかについては一切記載がありません。やはり当然のことながら、主務大臣がどういう情報に基づいて、あるいはどういう手続に基づいて権限を行使するのかということについての基本的な考え方が記述されるべきではないかと思います。
以上です。
○ 石川委員長 ありがとうございました。
もう一点、思い出しました。不当な差別的取扱いのところで、場所などの制限とあるのですが、場所や時間などの制限と、時間も入れていったほうがよいと思います。場所と時間というのが一番代表的な制限だと思いますので、よろしくお願いいたします。
どうぞ。
○ 田中企画官 委員長、申しわけございません。1点だけ、ただいまの御意見について御説明させていただきます。
相談体制の整備というところで、竹下委員が今おっしゃられた第14条に相談及び紛争の防止等のための体制の整備というものがあるということで、7ページの対応要領についての記載事項に④として相談体制の整備とございます。
御指摘の第14条の相談及び紛争の防止等のための体制の整備については、国及び地方公共団体の様々な行政分野において相談あるいは紛争防止の機関が既に整備されております。これを念頭に置きました記述は、基本方針の9ページのVの一番下のパラグラフになりますが、2として「相談及び紛争の防止等のための体制の整備」で記述をさせていただいているところでございます。
○ 石川委員長 この点については事務局で調整していただくということでよろしいでしょうか。
まだまだ御意見は尽きないかとは思いますが、既に複数の委員からもございましたように、前回の委員会での議論を相当程度反映していただきました。事務局、各省とも御努力いただいたことに敬意を表したいと思いますし、また感謝申し上げます。
きょうの議論もさらに含めてパブリック・コメントの準備をしていただきたいと思います。最終的な調整については、委員長一任としていただけますでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、今年中の閣議決定を目指しておりますので、時間的な制約もありますので、パブリック・コメント前の本委員会での基本方針案についての議論はこれで終了とさせていただきます。次回のこの委員会の開催等につきまして、事務局のほうからお願いします。
○ 加藤参事官 その前に1点、参考資料というのを1枚配付してございます。これは前回、政策委員会におきまして竹下委員から御指摘をいただきました、障害を理由とする差別について考える地域フォーラムの実績といいますか、開催状況についてでございまして、大変失礼いたしました。25年度につきましては全国10カ所で開催いたしまして、石川委員長あるいは野澤委員にも御協力いただきまして基調講演等、パネルディスカッションというのを行ってまいりました。各会場で100名~200名の参加を得て、実績はお見せしたとおりでございます。今年度につきましても9カ所で実施していく予定でございます。
次回の第19回政策委員会でございますが、基本方針の案のパブリック・コメントが終了した時期を捉えて開催する予定でございます。多分12月の中旬以降の開催予定と思っておりますが、正式な日時、会場につきましては、また事務局のほうから調整の上、速やかに御連絡申し上げます。内容としましては、パブリック・コメントなどを踏まえて修正した閣議提出版の基本方針案について報告のほか、あと関係事業者などからアクセシビリティに関する取り組み状況をお聞きするなどの議題を考えております。
以上でございます。
○ 石川委員長 どうもありがとうございました。
以上をもちまして本日「障害者政策委員会」は終了いたします。ありがとうございました。