資格取得試験等における障害の態様に応じた共通的な配慮について

平成17年11月9日
障害者施策推進課長会議決定

 障害者の社会参加を促進する一環として、資格制限等による制度的な障壁を除去するため、「障害者対策に関する新長期計画」(平成5年3月22日障害者対策推進本部決定)において、「個々の資格制度における取得要件や各種の試験制度における試験方法等について、障害者がその有する能力を十分に発揮できるよう、中長期的に検討を行う」旨が記載されたところである。
 このうち「資格制度における取得条件」については、「障害者に係る欠格条項の見直しについて」(平成11年8月9日障害者施策推進本部決定)に基づき、63制度の欠格条項を見直す方針が示され、現在までに必要な見直しが終了したところである。
 一方、「試験制度における試験方法等」については、「障害者に係る欠格条項の見直しに伴う教育、就業環境等の整備について」(平成13年6月12日障害者施策推進本部申合せ)において、資格取得試験については「障害者の持つ知識、技能が適切に判定されるよう障害の態様に応じて点字等の方法により試験を実施するとともに、受験に際しては障害の態様に応じて手話通訳や移動介助等による支援を行う」及び「実技試験においては、福祉用具等の補助的手段の活用に最大限配慮する」旨の方針が示されたところである。
 この点については、「障害者基本計画」(平成14年12月24日 閣議決定)に基づく「重点施策実施5か年計画」(同日 障害者施策推進本部決定)においても、「障害者施策推進本部申合せ(平成13年6月12日)に沿って、障害者に係る欠格条項見直しに伴う教育、就業環境等の整備に努める」ことが明示されたところである。
 各試験制度においては、当該申合せに基づき、障害の態様に応じた配慮がそれぞれ検討され、実施されてきているが、その一層の推進を図る観点から、今般、国が直接実施する資格取得試験等において、各試験制度で共通的に対応すべき配慮事項を以下のとおり示し、その徹底を図るものとする。
 なお、国の資格取得試験等であって国が直接実施しないものについても、同様の配慮が行われるよう関係団体に協力を要請するものとする。
 また、各試験制度ごとに試験問題等の特性を踏まえた個別の対応が必要な配慮事項については、それぞれの試験制度において更に検討を進めるものとする。

1.共通的な配慮事項

(1)試験における配慮

  • ア.問題用紙及び解答用紙に関する配慮
    • 拡大問題用紙や拡大解答用紙の提供
    • マークシートに代わる文字記入解答用紙やチェック解答用紙の提供
  • イ.器具等の使用に関する配慮
    • 拡大鏡、補聴器等の持参使用
    • 照明器具の持参使用
    • 車いすで座れる机の提供
  • ウ.移動に関する配慮
    • 試験室までの介助者の同伴
  • エ.情報伝達に関する配慮
    • 注意事項等の文字による伝達
  • オ.その他
    • 試験時間中の糖質類等の補飲食及び服薬等

(2)試験案内及び申請書等における配慮

  • ア.試験案内における配慮(冊子又はホームページ等)
    • 配慮内容の明示
      (共通的な配慮事項及び各試験制度で対応可能な配慮事項を列記)
    • 問い合わせ先のFAX番号又はメールアドレスを記載
  • イ.申請書等における配慮
    • 配慮事項希望欄の設定
      (共通的な配慮事項及び各試験制度で対応可能な配慮事項を列記するとともに、その他の配慮希望欄を設定)
    • 受験者が希望する連絡先記載欄の設定
      (電話番号のほかFAX番号又はメールアドレスの記載欄を設定)

(3)配慮の手続

  • 事前に受験者からの申し出を受けて対応
  • 申請書等に障害者手帳の写し又は医師の診断書等を添付

(4)応対における配慮

  • 障害のある受験者に対しては、それぞれの障害種別の特性を踏まえて適切に対応

(5)適用時期

  • 平成18年度に実施する試験から適用
    (対応可能な配慮事項については平成17年度から速やかに適用)

2.共通的な配慮事項の見直し

  • 共通的な配慮事項の内容については、配慮技術の進歩、個別試験制度における配慮の状況等を踏まえ、適宜見直しを行うものとする。