-

第四章 韓国における障害者の差別禁止および権利救済などに関する法律

1.韓国における障害者の権利保障に関する法制度の概観

障害者の権利と関連する法の法源は、最高法規である憲法を頂点に、社会保障法制の基本法である社会保障基本法、障害者権利保障法制の基本法である障害者福祉法、そして障害者の権利を保障するその他の各法などである。

2.憲法

まず憲法第34条1項は「すべての国民は人間らしい生活を送る権利を持つ」と規定しており、国民に一般的な生存権ないし生活権を保障している。もちろん、憲法の社会的基本権に属する諸条項はすべて国民の生存権を保障するための規定であるとみなすことはできるが、より具体的な社会保障に関する規定としては第34条の各項を挙げることができる。

 憲法第34条5項は「身体障害者および疾病・老齢その他の事由により生活能力のない国民は、法律の定めるところにより国家の保護を受ける」と規定しており、障害関連法制の具体的な根拠条項となっている。

 障害者の権利の直接的な根拠となるものは、上記の憲法第34条1項の人間らしい生活を送る権利(生存権)とその派生的な権利である社会保障受給権であるが、障害者の人権の法理念的基礎は、根本的には人間としての尊厳と価値および幸福の追求権と平等権にあるとみなすべきであろう 。

 まず、憲法第10条は「すべての国民は人間としての尊厳と価値を持ち、幸福を追求する権利を持つ。国家は個人の持つ不可侵の基本的人権を確認し、これを保障する義務を負う」としており、人間の尊厳および価値および幸福の権利を認めている。

 次に、憲法第11条1項は「すべての国民は法の前に平等である。何人も性別・宗教または社会的身分によって政治的・経済的・社会的・文化的生活のすべての面において差別されない」と規定し、平等の原則を宣言している。また、ここでは語句としては「性別・宗教または社会的身分」と表現されているが、これは限定的なもの(限定的規定説)ではなく、例示的なもの(例示的規定説)と解釈するのが通説である。

ページトップへ戻る

3.社会保障基本法

 1995年、社会保障の理念および基本原則、そして社会保障の範囲などを規定し、社会保障立法の指針として機能させることを目的として社会保障基本法が制定された。社会保障とは、社会保険、公共扶助、社会福祉サービスおよび関連福祉制度を指すものであり , 本法は社会保障に関する基本法である。

4.障害者の権利保障に関する法制度

 韓国の障害者法制は、「障害者福祉法」(障害者全般に関する基本法)を基本法とし、「障害者の差別禁止および権利救済に関する法律」(障害者差別を禁止する包括的な法律;以下「障差法」とする)、「障害者の雇用促進および職業復帰法」(義務雇用制を基盤として障害者の勤労権を保障する法律;以下「雇促法」とする)、「障害者などに対する特殊教育法」(既存の特殊教育振興法に代替するもので、障害者の教育権を保障する法律;以下「特殊教育法」とする)、「障害者・老人・妊婦などの便宜増進保障に関する法律」(障害者の接近権を保障する法律;以下「便宜増進法」とする)、「交通弱者移動便宜増進法」(障害者など交通弱者の移動権を保障する法律;以下「便宜増進法」とする)などの個別法により分散的に権利を保障している。

 米国の「障害を持つアメリカ人法」(ADA:Americans with Disabilities Act)のように、「統合的」な障害者の権利保障に関する法律を備えることが望ましいのではあるが、韓国の障害者の権利保障に関する法律はそれぞれ時代像を反映し、その社会的合意を反映して発展してきたものである。

5.差別禁止法制

 韓国の差別禁止に関する基本法は国家人権委員会法である。基本法としての一般的な「差別禁止法」の制定も論議され、人権委員会も同趣旨の「差別禁止法」の制定を勧告したことがあるが、結局障害者問題の解決のためには障害者を主目的とした差別禁止法の制定が必要であるという意見が集められ、障差法という単独差別法形態で制定されることになった。現在この他の単一差別禁止法としては、「雇用上の年齢差別禁止および高齢者雇用促進に関する法律」および「男女の雇用平等および仕事と家庭の両立支援に関する法律」などがある。

ページトップへ戻る

(1)障害者の差別禁止および権利救済に関する法律制定の経緯

(i)社会的状況

a. 国連障害者の権利条約

 国連は1981年を「障害者の年」と宣言し、1983年から1992年までの10年間を「世界障害者の10年」と宣言するなど、障害者への関心の増大と障害への誤った認識の転換および改善のための努力を試みた。以後、2001年第56回国連総会でメキシコのヴィンセント・フォックス大統領は国際障害者権利条約の成案のための特別委員会の設置を提案し、これは2001年12月の総会で採択された。また、同時に「障害者の権利と尊厳を保護し、促進するための総体的で統合的な国際条約に関する特別委員会」の設立が決定された。その決定に従って2002年8月から8回の特別委員会が開催され、条約案を作成する作業を行われた。そして、ついに2006年8月の第8回特別委員会で障害者の権利条約案が完成し、この案は同年12月に開催された国連総会で192か国の満場一致で採択された。

 この障害者の権利条約(以下「条約」とする)は、韓国では2008年12月2日に国会で承認、批准され、2008年12月11日に国連事務総長に批准書を寄託、2009年1月10日に発効したという状況である。ただし、同国会批准においては、障害者の保険加入差別と関連する商法第732条との矛盾により条約第25条(e)項は留保され、選択議定書は採択されなかった。

 商法第732条は「15歳未満の者、心身喪失者または心身薄弱者の死亡を保険事故とする保険契約は無効とする」と規定している。もともと本条項は精神障害者を保護するために制定されたものではある。しかし、発展する現代社会では、科学捜査およびその他さまざまな保護装置で補完する方式で障害者の権利を保障するという方式に変更されるべきである。精神障害者が犯罪の被害者となる危険があるという漠然とした理由のみで、社会保障的観点から「要保護性」がより高いとすることのできる障害者の保険加入を根本から一括禁止することは望ましいものとは思われない。

 また、選択議定書は、権利救済のための「障害者権利委員会」の権限を認定したことを核心とする。社会福祉法制での法的制度的権利救済手段が持つ重要性を考慮するとき、早急に選択議定書を採択することが必要であると言えよう。

 参考までに、条約の韓国適用と関連して韓国の憲法第6条1項は、「憲法により締結・公布された条約と一般的に承認された国際法規は、国内法と同様の効力を有する」と規定している。しかし、条約の国内法的効力が存在するからといって、それ自体を韓国内で直接適用できるということを意味するわけではない。条約の条項は直接執行(直接適用)される場合と、別途の追加立法措置が要求される場合に分けられるのである。障害者の権利条約を見てみると、障害者の権利条約は個人に直接権利と義務と付与する条約ではない。なぜならば常に「当事国は〜の義務がある」などとして、個人の権利義務を付与するのではなく当事国の義務を強調しているからである 。

b. 民間障害者団体の主導的努力

 障害者福祉法が1989年に全面改定された時点でも、同法は「88年ソウルオリンピック」の影響で芽生え始めた障害者の人権への基本法として、官主導の立法であったと言うことができる。しかし、以後雇促法、便宜増進法などの制定を経て、障害者団体の主導的参加が本格化した。障差法の制定にいたっては障害者団体の参加が非常に際立ち、障差法の意義と特徴について語る際には必ず言及されている。

 障差法制定の必要性が語られるようになった最初の契機は、障害者問題を市民とともに解決していこうとした釜山を中心とした「開かれたネットワーク」の活動である。「開かれたネットワーク」は、障害者問題を同情や施しではなく権利保障として捉えなければならないという趣旨で、2000年下半期から障差法制定を論議し始めた。そして、ソウルまでの国土巡礼大行進などを通して障差法制定の必要性を訴え、2002年7月に最初の障差法法案を作成し、12月に障害者差別禁止法案説明会を開催した。

 さらに、「障害を持つ友の権益問題研究所」も、障害者差別禁止法を制定することを国会に立法請願し、2002年10月に「障害差別禁止法案」という名称で法案を提示した。

 以後、両団体の努力によって「障害者差別禁止法制定」という共通の目標の下に全58障害者関連団体が一つに結集することになり、2003年4月15日、障害者差別禁止法における障害者界の単一窓口である「障害者差別禁止法制定推進連帯」(以下「障推連」とする)が発足した。

 この過程で2002年第16代大統領選挙が行われ、障害者界が障害者差別禁止法制定を大統領公約事項に要請するにいたった。その結果、大統領候補であった盧武鉉大統領が障害差別を含む社会的差別禁止法制定と障害者差別禁止のための機構設置を選挙公約に採択することになった。そして、当選後社会的差別禁止法制定が10大国政課題に採択されるにいたった。

c. 国会での立法過程

 障推連は既存の「開かれたネットワーク」と「障害を持つ友の権益問題研究所」の二つの法案を統一して、2004年3月に「障害者の差別禁止および権利救済などに関する法律案」という名称で整理し、以後本格的な法制定のために努力することとなった。この過程で2005年4月、障推連の障害者差別禁止法案の趣旨と内容を最大限生かすことを約束した民主労働党と協調することとし、2005年9月に民主労働党のノ・フェチャン議員を代表発議者として障害者差別禁止法を発議することとなった。以後、2006年12月、開かれたウリ党とハンナラ党が同時に障害者差別禁止法を党論発議し、これによって2007年2月、障害者差別禁止法が国会の保健福祉委員会に上程され、3月6日に本会議を通過した。

(ii)障害者の差別禁止および権利救済に関する法律の内容および検討

a. 背景

 既存の障害者福祉法にも政治・経済・社会・文化生活のすべての領域における障害者差別を禁止する規定(第8条)が置かれていた。しかし、上記規定の内容はあまりにも一般的であり、これを違反した場合の救済方法については特に規定されていなかったため、実効性は大きなものではなかった。

 これに対し、「すべての生活領域で障害を理由にした差別を禁止し、障害を理由に差別を受けた人の権益を効果的に救済することによって、障害者の完全な社会参加と平等権実現を達成し、人間としての尊厳と価値を実現することを目的」(第1条)とした障差法が制定された。

b. 構造

 障差法は6章50条で構成されている。まず、総則で障害および差別行為などについて規定し、その具体的な差別禁止規定を第2章「差別の禁止」の「雇用」、「教育」、「財貨とサービスの提供および利用」、「司法・行政手続きおよびサービスと参政権」、「母・父性権、性など」、「家族・家庭・福祉施設、健康権など」などの6領域に置いている。また、第3章では障害による差別により脆弱な状態に置かれている「障害女性と障害児童など」について別途に規定しており、その実効性を担保するために第4章では「障害者差別是正機構および権利の救済など」について規定している。各章と条文の表題は次の通りである。

第1章 総則

第1条  目的
第2条  障害と障害者
第3条  定義
第4条  差別行為
第5条  差別の判断
第6条  差別の禁止
第7条  自己決定権および選択権
第8条  国家および地方自治団体の義務
第9条  他の法律との関係

第2章 差別行為

第1節 雇用
第10条 差別の禁止
第11条 正当な便宜提供の義務
第12条 医学的検査の禁止

第2節 教育
第13条 差別の禁止
第14条 正当な便宜提供の義務

第3節 財貨とサービスの提供および利用
第15条 財貨・サービスなどの提供における差別の禁止
第16条 土地および建物の売買・賃貸などにおける差別の禁止
第17条 金融商品およびサービス提供における差別の禁止
第18条 施設への接近・利用における差別の禁止
第19条 移動および交通手段などにおける差別の禁止
第20条 情報への接近における差別の禁止
第21条 情報通信・意思疎通における正当な便宜提供の義務
第22条 個人情報の保護
第23条 情報への接近・意思疎通における国家および地方自治団体の義務
第24条 文化・芸術活動における差別の禁止
第25条 体育活動における差別の禁止

第4節  司法・行政手続きおよびサービスと参政権
第26条 司法・行政手続きおよびサービスの提供における差別の禁止
第27条 参政権

第5節  母・父性権、性など
第28条 母・父性権における差別の禁止
第29条 性における差別の禁止

第6節  家族・家庭・福祉施設、健康権など
第30条 家族・家庭・福祉施設などにおける差別の禁止
第31条 健康権における差別の禁止
第32条 いやがらせなどの禁止

第3章 障害女性および障害児童など

第33条 障害女性への差別の禁止
第34条 障害女性への差別の禁止のための国家および地方自治団体の義務
第35条 障害児童への差別の禁止
第36条 障害児童への差別の禁止のための国家および地方自治団体の義務
第37条 精神的な障害を持つ人への差別の禁止など

第4章 障害者差別是正機構および権利の救済など

第38条 陳情
第39条 職権調査
第40条 障害者差別是正小委員会
第41条 準用規定
第42条 勧告の通知
第43条 是正命令
第44条 是正命令の確定
第45条 是正命令履行状況の提出要求など

第5章 損害賠償、立証責任など

第46条 損害賠償
第47条 立証責任の配分
第48条 法院の救済措置

第6章 罰則

第49条 差別行為
第50条 過怠料

ページトップへ戻る

(iii)主な内容

1)第1章 総則
ア. 障害の概念

 障害の定義は多様であり、障害の定義をどのようにするかによってその適用範囲は根本的に異なってくる。このため、「障害」と「障害者」の定義こそが障害者関連法制の最重要問題であると言うことも可能であろう。例えば、先進立法の旗手として知られている米国のADAの施行においても、結局裁判所の「障害」の狭小な解釈によりADAが無力化し、その改定が行われたということがある。このように、「障害」の定義の部分の重要性はいくら強調してもしすぎるということはないのである。

 まず、従来の障害および障害者の定義は「障害者福祉法」に従っている。しかし、障差法は従来の障害者の定義に従う方式を選択せず、自ら障害と障害者を新しく規定している。この二つの規定について検討することから議論を始めたい。

障害者福祉法
障差法

第2条(障害者の定義など)
<1>「障害者」とは、身体的・精神的障害のため長期間日常生活や社会生活で相当な制約を受けている者をいう。
<2>本法が適用される障害者は、第1項によるところの障害者のうち、次の各号のどれかひとつに該当する障害がある者で、大統領令の定める障害の種類および基準に該当する者をいう。
1.「身体的障害」とは、主な外部身体機能の障害、内部器官の障害などをいう
2.「精神的障害」とは、発達障害または精神疾患により発生する障害をいう。

第2条(障害と障害者)
<1>本法で禁止する差別行為の事由となる障害とは、身体的・精神的損傷または機能喪失が長期間にわたって個人の日常または社会生活に相当な制約をもたらす状態をいう。
<2>障害者とは、第1項によるところの障害がある人をいう。

一見して従来の障害者福祉法の障害者の定義と障差法の定義はかなりよく似ている。しかし、最も大きく異なる点は、障害者福祉法の障害者の定義は施行令によって明確にその範囲が限定されているのに対し、障差法の定義はこのような方式に従わず、法院の判断によってその範囲を広く解釈できる余地を残しておいたという点であるといえよう。たとえその定義条項自体はよく似た規定であっても、施行令を通して機械的・画一的に医学的観点からのみ障害にアプローチするのではなく、「法院」の裁量によって「障害」の範囲が確定されうるように流動的に定めたのである。このように、今後慣例などを通してその具体的な範囲の確定および拡張が可能となるという点が障差法の定義の特徴である。

 障差法制定において「障害」の概念については、期間(長/短期/一時的)、判断基準(医療的モデル/社会的モデル)、発生理由(損傷や機能喪失/社会的態度や文化的・物理的障壁)などが核心的な争点となった。

 もともと障推連案は「障害」の概念規定に1)障害の期間(長期間、短期間、一時的のすべてを含む)、2)障害判断の基準(身体的・精神的損傷、機能喪失、疾病などによる、医療的モデルと社会的モデルの調和)、3)障害発生の理由(損傷や機能喪失ではなく、社会的態度や文化的、物理的障壁がその理由)、4)障害の究極的な内容(日常または社会生活に相当な制約をもたらす状態、すなわち機会不均等など平等権を侵害する状態)など、4つの要素を含ませようと努力した。これに基づいて民労党案は「1」障害とは、長・短期間または一時的 に発生した身体的・精神的損傷、機能喪失、疾病などが社会的態度や文化的、物理的障壁により日常または社会生活に相当な制約をもたらす状態を言う。「2」障害者とは、現在障害を持っているか、過去の障害の経歴により差別を受ける可能性のある人を言う。「3」障害者関係者とは、障害者の家族、住居をともにする人、障害者を補助する人を言う」と規定し、障害および障害者の範囲を大幅に拡大した。しかし、以後実際の障差法はかなり縮小して規定することとなった。

 また、米国ADAの影響を受け、差別禁止事由に現在存在する障害のほかに、「過去の障害経歴」または「障害があるとみなす」場合も追加している 。

 すなわち、障差法上の障害概念は、事実上現行の障害者福祉法に類似しており、もともとの障推連案や外国の立法例に比べて相対的に狭小な概念であるということができ、今後これに対する再検討が必要な状況ではある。しかし、今の状態でもとりあえずその範疇が明確に限定されているわけではないことから、今後の学説、人権委の決定および判例などを通して具体化される過程で進歩的な発展が可能となる余地があるものと考えられる。エイズ、薬物中毒、一時的な障害などが障害の範疇に包摂されるのかが今後問題となりうる。

イ.差別の概念

 差別の概念は第4条で規定しているが、これは大きく三つの部分で構成されている。第一に、差別の種類とは直接差別、間接差別、正当な便宜提供の拒否、広告による差別であると規定し、障害者および障害者関係者と障害者が使用する補助犬および障害者補助器具などに対する不当な処遇を差別と規定している(第1項および2項)。第二に、過度な負担や顕著に困難な事情がある場合、特定の職務や事業遂行の性質上やむをえない場合(真の職業資格)は差別の例外とみなし、差別ではないとしている(第3項)。第三に、積極的差別修正措置を差別の例外と明示し、これを認めている(第4項)。

ア)直接差別

 「障害者を障害を事由に正当な事由なく制限・排除・分離・拒否などによって不利に待遇する場合」(第4条1項1号)、差別とみなす。

イ)間接差別

 「障害者に対し、形式上は制限・排除・分離・拒否などによって不利に待遇しなくとも、正当な事由なく障害を考慮しない基準を適用して、障害者に不利な結果をもたらす場合」(同項2号)、差別とみなす。

 韓国での差別概念は主に直接差別に限定される傾向があったという点から考えるとき、障差法で間接差別を差別の概念に拡大・定立したことは、非常に大きな意味を持つと言うことができる。これは国際基準や外国の差別禁止立法例での差別概念の変化の歴史とも一脈通じるところである。

ウ)正当な便宜提供の拒否

 「正当な事由なく障害者に対して正当な便宜提供を拒否する場合」(同項第3号)、差別とみなす。

 ここで「正当な便宜」とは、障害者が障害のない人と同等に同じ行動に参加できるように障害者の性別、障害の類型および程度、特性などを考慮した、便宜施設・設備・道具・サービスなど人的・物的な諸般の手段と措置を言う(同条2項)。

 この「正当な便宜」という概念は、もともとADA上の合理的便宜(reasonable accommodation)の概念に影響を受けたものである。しかし、障害者の人権がまだ「社会福祉の施し的」次元で主に議論されている韓国の現実を鑑みるとき、単に判断基準に対してのみ言及するだけの「合理的便宜」ではなく、「権利」としての側面がより強調された語感を持つ「正当な便宜」を使用したことは適切であると思われる。

エ)広告による差別

  正当な事由なく障害者への制限・排除・分離・拒否など不利な待遇を表示・助長する広告を直接行うあるいはそのような広告を許容・助長する場合、これを差別とみなす。この場合、広告は通常の不利な待遇を助長する広告効果があるものと認められる行為を含む(同項4号)。

オ)領域の拡大

 障害者の実質的な平等保障のための措置であり、障害者差別の特殊性と密接に関連したものである。正当な便宜提供や障害者関係者に対する不当な処遇まで障害者差別に概念化したことは、障害者差別の概念を具体的かつ包括的に規定したという意味を持つ。

カ)差別の例外

 差別の例外として、禁止された差別行為を行う際に「過度な負担」や「顕著に困難な事情」などがある場合、または禁止された差別行為が「特定職務や事業遂行の性質上やむをえない場合」には差別行為とみなさない(第4条3項)。ここで問題は、「過度な負担」の有無を判断できる要素を法定しなかったという点である。この部分は法益衝突発生時に調整問題が発生する余地が大きい点を考慮すると、より明確に規定する必要があると考えられる。

キ)積極的是正措置の認定

 この部分は、少なくとも形式上は米国のADAよりも一歩進んだものとみなすことができると考えられ、韓国の法の立場を非常によく反映した部分であると考えられる。米国の積極的是正措置(affirmative action)が逆差別などの批判を受けてかなり制限的にのみ認められたのに対し、韓国での積極的是正措置は幅広く受け入れられている。このような積極的是正措置の認定と関連して意味のある法は、義務雇用率制度を導入した雇促法である。雇促法への合憲判決を通して、このような積極的措置に対する合憲性がすでに確認されたのである 。これを容易に一般化することは困難であるが、積極的是正措置を相対的に寛大に認定する韓国の法制度は、その運用において差別に対して相当に実質的な改善策を提示しうる可能性があるという程度には言及できるであろう。

ク)複合差別の認定

 差別の原因が2種類以上であり、その主な原因が障害であると認められる場合、この行為は障差法に基づく差別とみなす(第5条)。

 これは障害と性別、障害と年齢などの複合差別に対する効果的な対応のための措置である。

ウ.国家および地方自治団体の義務

 障害者差別を実質的に解消するための積極的な措置および正当な便宜提供のための技術的・行政的・財政的支援を行う義務を、国家および地方自治団体に付与した(第8条)。

 この部分の法文には問題はないが、ここで一つ簡単に言及しておきたい点は、「義務主体」としての国家と地方自治団体に対する認識についてである。既存の国家と地方自治団体がある「政策」に対して「支援」を行う義務を負担するということは、基本的に自らもその政策を履行する義務を負っているということが当然の前提となる。この部分について、国家と地方自治団体は若干の例外の扱いを受けてきた面がないわけではない。もちろん、障差法では法文自体が障害者への差別禁止を規定していることから、個人、国家、自治団体が区別なくすべて適用を受けるということには疑問の余地が無い。しかし、国家と自治団体も厳然とした「義務履行団体」である点が深く認識され、実現される必要があるのである。参考までにこれと関連した判例としては、憲法裁判所は雇促法において、国家と地方自治団体は民間が事業団体であることとは異なり、負担金などの賦課対象ではないものとみなしている 。しかし、国家と地方自治団体も義務雇用や差別禁止などの領域で自らがその履行主体として参加していることから、別途特別に待遇する理由はないものと考えられる。

2)差別禁止の領域(第2章)

 障差法は<1>雇用、<2>教育、<3>財貨とサービスの提供および利用(施設、移動・交通手段、情報・意思疎通、文化・芸術、体育)<4>司法・行政手続きおよびサービスと参政権、<5>母・父性権、性など<6>家族・家庭・福祉施設・健康権、いやがらせなどの6領域で差別を禁止している。このように具体的に領域を分け、さらにそれぞれでその代表的な差別禁止形態や提供しなければならない正当な便宜について規定することは、権利をより明確化・具体化するという側面から望ましいものである。しかし、明示的に規定された分野以外でも差別禁止は全領域において適用されなければならず、また明示された差別が間接差別の場合も幅広く適用されなければならないだろう。

ア.雇用(第1節)

 雇用に関する差別禁止は、募集・採用、賃金および福利厚生、教育・配置・昇進・転任、定年・退職・解雇における差別禁止、労働組合加入と組合員の権利および活動における差別禁止(第10条)、正当な便宜提供義務を使用者に賦課、障害者の意思に反する職務配置の禁止(第11条)、医学的検査の禁止(第12条)などで構成されている。

 ここで雇用と関連して必要で正当な便宜を明示したのは非常に意味深く、正当な便宜の具体的な内容や適用対象事業場の段階的範囲などについては施行令で規定している。

 ここで一点検討すべきことは、雇促法の役割分担についてである。英国の場合には、障害者差別禁止法であるDisability Discrimination Act(DDA)を制定し、既存の障害者に対する雇用割当制を廃止することとした。しかし、韓国はこれとは異なり、二法を二つの軸として、一方では差別禁止を通して、他方では義務雇用を通して障害者の労働権を確保しようとしている。すなわち、積極的履行措置を全面的に認めている障差法の立法意図上、雇促法の位相や法的効果が半減してはならない。雇促法を通して勤労の機会を得られる障害者勤労者の就業過程、就業後に、障差法による差別禁止が適用され、その実質的な平等権および勤労権が実現されるのである。このように統合的・補完的に理解されるべきものと考えられる。

イ.教育(第2節)

 教育に関する差別禁止は、障害者の入学支援および入学拒否禁止、転校の強要および拒絶の禁止、特殊教育振興法第11条(特殊教育センターの設置・運用)遵守の義務、正当な便宜提供の要請拒絶の禁止、韓国内外のすべての活動における障害者の参加の制限・排除・拒否の禁止など(第13条)、正当な便宜提供義務の教育責任者への賦課など(第14条)で構成されている。

 教育上の障害者差別の類型を具体的に指摘し、教育責任者に対して正当な便宜提供の義務を賦課している。正当な便宜提供の適用対象の段階的範囲および便宜の内容については、雇用領域と同様に施行令に委任している。

ウ.財貨とサービスの提供および利用(第3節)

 ここでは財貨・サービスなどの提供、土地および建物の売買・賃貸など、金融商品およびサービスの提供、施設への接近・利用、移動および交通手段など、情報への接近、文化・芸術活動、体育活動における差別禁止、情報通信・意思疎通での正当な便宜提供の義務、個人情報保護、情報への接近・意思疎通での国家および地方自治団体の義務(第15条〜第25条)などを規定している。

 正当な便宜提供の適用対象は、施設の段階的範囲およびその支援などに関する事項、歩行および移動のための正当な便宜などに関して施行令に委任しており、施行令では「障害者・老人・妊婦などの便宜増進保障に関する法律」と「交通弱者の移動便宜増進法」を準用している。

 特に、従来保険加入差別があった点を考慮して、第17条の各種金融商品およびサービス提供の項目で、「保険加入差別」に対して明示的に規定している点が特徴である。

エ.司法・行政手続きおよびサービスと参政権(第4節)

 ここでは司法・行政手続きおよびサービスの提供での差別禁止、正当な便宜提供の義務、書式の製作および提供など正当な便宜提供要求の拒否の禁止、刑事司法手続きにおいて保護者、弁護人、通訳者、陳述補助者などの助力申請を正当な事由なく拒否、禁止した状況、および助力の未保障な状況での陳述による刑事上の不利益予防措置、人身拘禁・拘束状態での正当な便宜および積極的措置の提供義務(第26条)、参政権の保障および正当な便宜提供の義務(第27条)などを規定している。国家を「義務主体」としてその詳細な差別禁止内容を提示したことは、非常に望ましい方式であると言えよう。

オ.母・父性権・性など(第5節)

 ここでは妊娠、出産、養育など母・父性権における差別の禁止、養子資格制限の禁止、妊娠・出産・養育などにおける実質的平等の保障のためのサービスなどの提供および支援策の準備(第28条)、性的自己決定権、性生活享有機会の制限や剥奪の禁止、性を享有する権利の保障のための支援策の講究および偏見などをなくすための広報・教育の義務(第29条)などを規定している。

カ.家族・家庭・福祉施設・健康権など(第6節)

 ここでは家族・家庭および福祉施設などの構成員に対して、障害者の意思に反する過重な役割強要や意思決定過程での排除の禁止、障害者の外貌または身体の公開の禁止、教育権、財産権の行使、社会活動参加、移動および居住の自由権の制限・剥奪・拘束・排除の禁止、子女養育権と親権指定および面接交渉権における差別の禁止、施設入所の条件としての親権放棄の覚書の要求や面接権および外部疎通権の制限の禁止(第30条)、保健・医療における差別の禁止(第31条)、集団排斥、侮辱、卑下を誘発する言語的表現や行動の禁止、遺棄、虐待、金銭的搾取の禁止など(第32条)を規定している。
家族、家庭、福祉施設のように従来他の法律で差別の領域として扱っていなかった領域に拡大することによって、日常生活で障害者差別が発生するすべての類型を包括するようにしたものである。特に福祉施設での人権侵害について積極的な是正措置を行うことができる法的根拠を準備し、その適用もまた未認可施設にまで拡大することができるようにしたこと(第3条第14号関連)は、非常に鼓舞的なものであると言うことができる。また、いやがらせを「差別」として解決できるようにしたことは、差別の概念の拡張との関連からも意味がある。

3)障害女性および障害児童など(第3章)

 第3章では、障害者のなかでも特に要保護性が高いにもかかわらず、歴史的により差別的な待遇を受けてきた障害女性および障害児童への差別禁止を別途に独立させたものである。障害女性、障害児童、精神的障害を持つ人に対しての差別禁止事項を具体的に提示している(第33条ないし第37条)。

 第3章は障害女性と障害児童についての差別を別途扱って二重差別の解決を積極的に提起し、障害者の中でも特別な処遇が必要な精神障害者に対する差別禁止を特別に別途規定したという点で意味が大きい。複合差別や二重差別に関心がもたれているのは、それが特定の個人や集団の生活に増幅的な影響を及ぼしているからである。

 障害女性と関連して、正当な便宜提供の義務事業の場の範囲と、法律に明示されていないその他の必要な正当な便宜提供の内容については施行令に委任している。

4)障害者差別是正機構および権利救済など(第4章)

 韓国の場合、従来の障害者福祉法には具体的な権利救済についての方法が明示されていなかった。それだけでなく、法院の判決による救済もさまざまな不法な差別に対する損害賠償金額が微々たるものであり、諸般の措置が実効性を持ちがたい状況であった。このような状況を反映して、障差法は国家人権委の「勧告」による救済、法務部長官の「是正命令」による救済、法院の「救済措置」による方式を強く規定した。

ア.国家人権委員会による救済

 障差法の施行および進行において最も重要な点を一つあげるとすれば、それはおそらく人権委による権利救済が非常に活発に行われるようになったという点であろう。これは、この間障害者に対する差別が事実上放置されてきたということの反証でもあり、今後多くの改善課題が残っていることを伝える指標でもある。ここで障害者の人権と関連して人権委の状況について簡単に検討すると、政権交代後の現在、人権委はその独立性を維持するための闘争を行っているが、機構縮小が断行されている。人権、特に障害者の人権の救済において空白が発生することを憂慮する声が高まってきている状況である。

 人権委は一般的な差別はすべて扱う機関であるので、障害者関連の専門担当機構が必要となる。障差法では、障害者差別是正と関連して人権委は差別行為に対する調査と救済業務を専門的に担当する障害者差別是正小委員会を人権委に置くが、委員会の構成・業務および運営などに関して必要な事項は人権委規則で定めるとした(第40条)。

 もともと障害者界は独立的な障害者差別是正機構を要求していたが、効率性、判断の一貫性、複合差別に対する効果的な対応などを考慮し、人権委を差別是正機構とした。人権委は障害者差別禁止法で提示された差別の判断基準に基づいて差別の有無を判断し、必要な場合は「勧告」を行うことができるようになっている。

 しかし、このような「勧告」は守らなくても強制する方法がないという点が最大の問題であると指摘されており、実際に多くの勧告が履行されていない状況である。

イ.法務部長官による救済

 人権委は勧告を行った場合、その内容を法務部長官に通知する(第42条)。法務部長官は、勧告を受けた者が正当な事由なく人権委の勧告を履行せず、被害者が多数、反復的な差別行為に対する勧告不履行、被害者に不利益を与えるための故意の不履行などの場合、是正命令を発動することができる(第43条)。この是正命令に対しては行政訴訟を提起できる(第45条)が、これを提起せず確定した是正命令を正当な事由なく履行しなかった者は3千万ウォン以下の過怠料に処する(第50条1項)。

5)損害賠償、立証責任など(第5章)
ア.損害賠償

 損害の発生が認定される、あるいは被害者が財産上の損害を立証できない場合には、差別行為者が得た財産上の利益を被害者の財産上の損害額として推定できるものとし、財産上の損害額の立証が困難な場合には、弁論全体の主旨と証拠調査の結果に基づいて相当する損害額を認定することができるものとした(第46条)。

 相手の利益の損害推定規定などは、損害の存在および損害額を被害者に立証させようとするものではないことから、差別の被害者の立証負担を減らすことができるようにしたものである。

 しかし、惜しむらくは、障害者差別に関連した諸般の訴訟でその救済額があまりにも少額であることから米国のような「懲罰的損害賠償」の導入が具体的に検討されたが、現在の韓国の状況には合わず違憲の余地があるという点などが指摘され、結局導入されなかったことである。その代わりとなる罰則として罰金および懲役刑が導入され、一見強化されたようではあるが、事実上は差別があったという理由のみでこれを是正するために国家の刑罰権を導入することが望ましいのかという問題とは別に、障害者個人に対する十分な補償が与えられるための前提条件として「実損害」賠償の原則は修正されるされるべきであると思われ、重要な課題として残っている。

イ.立証責任の分配

 また、立証責任を配分して差別行為の事実は被害者が立証し、障害を理由とした差別ではない、あるいは正当な事由があったという点は差別行為者が立証するものとした(第47条)

 差別を行った者に情報が偏在して被害者が証拠に接近することが制限されていることと、間接差別の増加などから、差別被害者が差別を立証することは現実的に難しい。このことから効果的な被害者救済が困難となるため、立証責任が分配されることになったのである。もともと民労党案では立証責任が完全に転換されていたが、以後立法論議の過程で現在のように立証責任が分配されるようになった。

ウ.法院の救済措置

 訴訟提起前あるいは訴訟提起中でも臨時に差別行為を中止させることのできる臨時救済措置(第48条)、差別的行為の中止、賃金など勤労条件の改善、その是正のための積極的措置などの判決、積極的措置が必要であると判断される場合の履行期間を明らかにし、これを履行しない場合には遅れた期間によって一定の賠償をするように命じる規定など(第48条)が規定された。

これは法院が個別事案別に適切な方法で救済することができるようにしたものであり、特に被害者が証明ではなく立証の程度が低い疏明のみで、提訴前や後に法院の適切な臨時措置命令によって、本案判決前でも臨時に救済を受けることができるようにしたものである。

6)罰則(第6章)

 悪意的な差別行為に対して3年以下の懲役または3千万ウォン以下の罰金に処することができるようにした(第49条)。この「悪意的な」については、差別の故意性、差別の持続性および反復性、差別被害者への報復性、差別被害の内容および規模をすべて考慮して判断しなければならない(第49条2項)。

ページトップへ戻る

(2)結論

a. 障害者の差別禁止および権利救済に関する法律の意義

 障差法制定の意義としては、1)障害者当事者が直接に法制定運動を繰り広げて勝ち取った成果であるという点、2)本当の意味での連帯運動の成果であるという点、3)「施しから人権へ」パラダイムが変化したという証拠であるという点、4)障害者の人権のための闘争の産物であり、中間決算であるという点、5)差別禁止法の制定に先駆的な役割をはたすであろうという点、6)法制定手続きおよび方式において、望ましいモデルを創出したという点などを挙げることができる。

 実際に障差法以後、これに基づいた各種の勧告および是正が行われ、諸般の関連法律の整備が進んでいることは非常に喜ばしいことである。

b. 今後の改善事項

・障害者関連法制の統合および整備が必要である。現在、基本法と言いうる障害者福祉法以外に数個の法律がお互いに交差し依拠している状況であり、それぞれどのように適用されるのかについて混線している。
さらに、これと併行して障害者福祉法と障差法の位置づけがなされるべきである。障害者福祉法は障害者福祉政策全般に関する基本法であるが、救済手段が弱く具体的でない。一方、障差法は差別禁止および「平等権」の実現という強力な名分および手段を備えており、その分野も主に福祉政策と差別禁止という二つの異なる分野に分かれている。このことからそれぞれ意味を持つものと考えられる。特に、未だ障害者の人権に「施し的」な面から接近する残滓が残っている韓国社会で、憲法上強力な救済手段を持つ「平等権」を基礎とした「人権」確保のための試みという点から、障害者の権利を実現するための手段としての障差法の意味は、いくら強調しすぎてもしすぎることはないであろう。
・障差法で施設と交通手段の利用における正当な便宜提供を障害者便宜増進法によるものとしつつ、障害者便宜増進法を改定することとしたことが未だ達成されていないなど、障差法に基づく各種法令が改定されなければならない。この過程で法の実際的な内容が規定されることになるものと期待されるが、引き続き障差法の主旨に合った関連法改定がなされなければならない。
このような差別に関する内容を持つ関連法改定については、2007年10月にすでに法制処で詳細な研究がなされ、報告書作成されているが、民間団体での研究も活発に進められている。
・差別是正機構を人権委に置いているため、人権委の位相および性格によって影響を受けざるを得ない構造になっている。可能であるならば独立した差別是正機構を設置し、人権委が政治の影響を受けたとしてもその影響を受けないように独立していることが、韓国の特殊な状況では望ましいと言えるであろう。これと関連して、現在の状況で憂慮されることは、人権委の権限縮小が過剰に進行しているという点である。先に言及したように、2008年1月16日に李明博政権引受委員会が人権委を大統領直属機構に転換するという方針を立てて撤回した。また、「2009年2月には夜間集会において警察公権力の過度な人権侵害があったという人権委の決定をきっかけにして、人権委の機能を弱化させるという監査院の人権委に対する指摘があった後、行政安全部は人権委の30%の人員縮小と地域事務所閉鎖計画を明らかにし、3月20日には21%の縮小と地域事務所の1年試験運営として最終案を確定」した。障害者に対する調査事例は急増しているが、このような人権委の縮小は直接的な権利救済機能の弱化をもたらすものと憂慮されている。
・国連障害者の権利条約を全面的に承認し、同権利条約を執行するための国内法的性格を持つ障差法を修正して一致させる努力が必要である。

目次戻る

ページトップへ戻る

-