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共生社会政策ホーム > 障害者施策トップ > もっと詳しく > 障害者施策に関する調査等 > 平成23年度 障害者差別禁止制度に関する国際調査 > 第3章 障害者差別禁止及び権利救済等に関する法律(韓国)


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第3章
障害者差別禁止及び権利救済等に関する法律(韓国)

[施行2010.5.11][法律第10280号、2010.5.11,一部改正]

保健福祉省(障害者権益増進課)
本法の所管省庁である保健福祉省は、原文では보건복지부(保健福祉部)である。


第1章 総則

第1条(目的)

この法律は、すべての生活領域での障害を理由とした差別を禁止し、障害を理由に差別を受けた人の権益を効果的に救済することにより、障害者(韓国は障害者を「障碍人」と表記するが、仮訳においては、日本で一般的に使われる「障害者」という表記を使用する。)の完全な社会参加と平等権の実現を通じ、人間としての尊厳と価値を具現することを目的とする。

第2条(障害と障害者)

(1)この法律で禁止する差別行為の事由となる障害とは、身体的・精神的損傷又は機能喪失が長期間にわたって個人の日常又は社会生活に相当な制約を招く状態をいう。

(2)障害者とは、第1項による障害がある人をいう。

第3条(定義)

(1)この法律で使用する用語の定義は次の通りである。

1.“広告”とは、「表示・広告の公正化に関する法律」第2条第1号及び第2号の規定による表示及び広告をいう。

2.“補助犬”とは、「障害者福祉法」第40条による障害者補助犬をいう。

3.“障害者補助器具等”とは、「障害者福祉法」第65条による障害者補助器具、その他に障害者の活動を手助けするための自動車その他の器具をいう。その他、障害者の活動を手助けするための自動車その他の器具についての具体的な範囲は大統領令で定め、「障害者雇用促進及び職業リハビリテーション法」第21条第1項第2号による職業補助工学機器及び「情報格差解消に関する法律」第9条による情報通信機器、その他、関係法令で定める内容との関係及びこの法で定める関連条項との関係等を考慮して定める。

4.“公共機関”とは、国家及び地方自治団体その他大統領令で定める公共団体をいう。

5.“使用者”とは、「勤労基準法」第2条第1項第2号による事業主又は事業経営担当者、その他労働者に関する事項について事業主のために行為する者をいう。

6.“教育機関”とは、「嬰幼児保育法」による保育施設、「幼児教育法」・「初・中等教育法」及び「高等教育法」による各級学校、「生涯教育法」による生涯教育施設、「単位認定等に関する法律」に定める教育科学技術省長官の評価認定を受けた教育訓練機関、「職業教育訓練促進法」による職業教育訓練機関、その他、大統領令に定める機関をいう。

7.“教育責任者”とは、教育機関の長又は運営責任者をいう。

8.“情報”とは、次の各目の事項に区分する。

カ.“電子情報”とは、「国家情報化基本法」第3条第1号による情報をいう。この場合“自然人及び法人”には、この法の規定による公共機関も含まれるものとみなす。

ナ.“非電子情報”とは、「国家情報化基本法」第3条第1号による情報を除外した情報であり、音声、文字、手話、点字、身振り、記号等、言語及び非言語的方法を通じて処理されたすべての種類の資料と知識をいい、その生産・獲得・加工・保有主体が自然人・法人又は公共機関であるかは問わない。

タ.“個人情報”とは、「公共機関の個人情報保護に関する法律」第2条第2号による個人情報をいう。

9.“情報通信”とは、「国家情報化基本法」第3条第5号による情報通信をいい、その主体が自然人・法人又は公共機関であるかは問わない。

10.“文化・芸術活動”とは、「文化芸術振興法」第2条第1項第1号の文学、美術(応用美術を含む)、音楽、舞踊、演劇、映画、演芸、国楽、写真、建築、語文及び出版に関する活動をいう。

11.“文化・芸術事業者”とは、文化・芸術の要素を含む分野で、企画・開発・制作・生産・展示・流通・販売を含む一切の行為を行う者をいう。

12.“体育”とは、「国民体育振興法」第2条の体育及び学校教育、遊び、ゲーム、スポーツ、レジャー、レクリエーション等、体育とみなされるすべての身体活動をいう。

13.“家庭及び家族”とは,「健康家庭基本法」第3条第1号及び第2号の家庭及び家族をいう。

14.“福祉施設等”とは、障害者が長・短期間生活している施設であり、「社会福祉事業法」第34条による社会福祉施設、「障害者福祉法」第58条による障害者福祉施設及び申告をしていない障害者1人以上を保護している施設をいう。

15.“施設物”とは、「建築法」第2条第1項第2号・第5号及び第6号による建築物、居室及び主要構造部をいう。

16.“移動及び交通手段等”とは、人が日常的に利用する道路及び歩道と「交通弱者の移動便宜増進法」第2条第2号及び第3号による交通手段及び旅客施設をいう。

17.“健康権”とは、保健教育、傷害による後遺障害と疾病予防及び治療、栄養改善及び健康生活の実践等に関する諸般の要件の助成を通じ健康な生活をする権利をいい、医療を受ける権利を含む。

18.“医療従事者等”とは、「医療法」第2条第1項による医療従事者と、国家及び関連協会等で定めた資格・免許等を取得した放射線療法士、作業療法士、言語療法士、心理療法士、義肢・補助器技師等の障害者の健康に介入する人をいう。

19.“医療機関等”とは、「医療法」第3条の医療機関及び医療従事者が障害者の健康のためにサービスを行う保健機関、治療機関、薬局、その他関係法令で定めている機関をいう。

20.“いじめ等”とは、集団仲間はずれ、放置、遺棄、いじめ、嫌がらせ、虐待、金銭的搾取、性的自己決定権の侵害等の方法で、障害者に加えられる身体的・精神的・情緒的・言語的行為をいう。

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第4条(差別行為)

(1)この法で禁止する差別とは、次の各号の一つに該当する場合をいう。

1.障害者を、障害を事由に、正当な事由なく制限・排除・分離・拒否等により不利に遇する場合。

2.障害者に対し、形式的には制限・排除・分離・拒否等により不利に遇してなくとも、正当な事由なく障害を考慮しない基準を適用することにより、障害者に不利な結果を招く場合。

3.正当な事由なしに、障害者に対し、正当な便宜供与(いわゆる「合理的配慮」に関連し、原文では「正当な便宜」「正当な便宜提供」とされるが、仮訳では「正当な便宜」「正当な便宜供与」とした。)を拒否する場合。

4.正当な事由なしに、障害者に対する制限・排除・分離・拒否等、不利な待遇を表示・助長する広告を直接行い、或いは、そうした広告を許容・助長する場合。この場合、広告は、通常、不利な待遇を助長する広告効果があるものと認められる行為を含む。

5.障害者を手助けするための目的で障害者を代理・同行する者(障害児童の保護者又は後見人、その他障害者を手助けする者であることが通常認められる者を含む。以下、この号及び関連条項で“障害者に関係を有する者”という)に対し、第1号から第4号までの行為をする場合。この場合、障害者に関係を有する者の障害者に対する行為もまた、この法で禁止する差別行為の有無の判断対象となる。

6.補助犬又は障害者補助器具等の正当な使用を妨害し、或いは、補助犬及び障害者補助器具等を対象に第4項の規定により禁止された行為をする場合。

(2)第1項第3号の“正当な便宜”とは、障害者が障害のない人と同等に、同じ活動に参与することができるように、障害者の性別、障害の種別及び程度、特性等を考慮した便宜施設( 「便宜施設」とは、いわゆる「バリアフリー施設」・「バリアフリー設備」の韓国語の直訳である。参考までに、交通弱者の移動便宜増進法の移動便宜増進施設の定義を訳すと以下の通りとなる。「“移動便宜施設”とは、車いす搭乗設備、障害者用昇降機、障害者のための歩道など、交通弱者が交通・旅客施設又は道路の利用において移動の便宜を図るための施設及び設備をいう。」)・設備・道具・サービス等、人的・物的な諸般の手段と措置をいう。

(3)第1項の規定にも関わらず、次の各号の一つに該当する正当な事由がある場合には、これを差別とみなさない。

1.第1項の規定により禁止された差別行為を行わないことにおいて、過度な負担や著しく困難な事情などがある場合。

2.第1項の規定により禁止された差別行為が特定の職務や事業遂行の性質上、不可避な場合。この場合、特定職務や事業遂行の性質は、教育等のサービスにも適用されるものとみなす。

(4)障害者の実質的な平等権を実現し、障害者に対する差別を是正するために、この法又は他の法令等で扱う積極的措置は、この法による差別とはみなさない。

第5条(差別判断)

(1)差別の原因が2種類以上であり、その主たる原因が障害であると認められる場合、この行為はこの法による差別とみなす。

(2)この法の適用においては、差別の有無を判断するときには、障害当事者の性別、障害の種別及び程度、特性等を充分に考慮しなければならない。

第6条(差別禁止)

何人も、障害又は過去の障害経歴又は障害があると推測されることを理由に差別をしてはならない。

第7条(自己決定権及び選択権)

(1)障害者は、自分の生活全般に関し、自分の意思により自ら選択し決定する権利を有する。

(2)障害者は、障害者ではない人と同等の選択権を保障されるための必要なサービスと情報を提供される権利を有する。

第8条(国家及び地方自治団体の義務)

(1)国家及び地方自治団体は、障害者及び障害者に関係を有する者に対するすべての差別を防止し、差別を受けた障害者等の権利を救済する責任があり、障害者差別を実質的に解消するためにこの法で規定する差別是正について積極的な措置を行わなければならない。

(2)国家及び地方自治団体は、障害者等に正当な便宜が供与されるように、必要な技術的・行政的・財政的支援をしなければならない。

第9条(他の法律との関係)

障害を事由とした差別の禁止及び権利救済に関し、この法で規定したこと以外については、「国家人権委員会法」が定めるところに従う。

第2章 差別禁止

第1節 雇用

第10条(差別禁止)

(1)使用者は、募集・採用・賃金及び福利厚生、教育・配置・昇進・転勤、定年・退職・解雇において、障害者を差別してはならない。

(2)「労働組合及び労働関係調整法」第2条第4項による労働組合は、障害者労働者の組合加入を拒否し、又は組合員の権利及び活動において差別をしてはならない。

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第11条(正当な便宜供与義務)

(1)使用者は、障害者が該当職務を遂行することにおいて、障害者ではない人と同等の労働条件で仕事をすることができるよう、次の各号の正当な便宜を供与しなければならない。

1.施設・装備の設置又は改造

2.リハビリテーション、機能評価、治療等のための労働時間の変更又は調整

3.訓練の提供又は訓練における正当な便宜の供与

4.指導マニュアル又は参考資料の変更

5.試験又は評価過程の改善

6.画面朗読・拡大文字プログラム、携帯用点字ディスプレイ、拡大読書器、印刷物音声変換出力機等、障害者の補助器具の設置・運営と、朗読者、手話通訳者等の補助人の配置

(2)使用者は、正当な事由なく障害を理由に障害者の意思に反し、他の職務に配置してはならない。

(3)使用者が第1項によって提供しなければならない正当な便宜供与の具体的な内容及び適用対象事業所の段階的範囲等に関しては、大統領令で定める。

第12条(医学的検査の禁止)

(1)使用者は、採用以前に障害者であるかを調査するための医学的検査を実施してはならない。但し、採用以後に職務の本質上要求され、又は職務配置等のために必要な場合にはその限りではない。

(2)第1項の但し書きの規定により医学的検査を実施する場合、その費用は原則的に使用者が負担する。使用者の費用負担方式及びその支援等に関する必要な事項は、大統領令で定める。

(3)使用者は、第1項の但し書きの規定により取得した障害者の健康状態や、障害又は過去の障害の経歴等に関する個人情報を漏洩してはならない。

第2節 教育

第13条(差別禁止)

(1)教育責任者は、障害者の入学支援及び入学を拒否することはできず、転校を強要できず、「嬰幼児保育法」による保育施設、「幼児教育法」及び「初中等教育法」による各級学校は、当該教育機関に転校することを拒絶してはならない。

(2)第1項の規定による教育機関の長は「障害者等に対する特殊教育法」第17条の規定を遵守しなければならない。

(3)教育責任者は、当該教育機関に在学中の障害者及びその保護者が第14条第1項各号の便宜供与を要請するとき、正当な事由なくこれを拒絶してはならない。

(4)教育責任者は、特定の授業や実験・実習、現場見学、修学旅行等の学習を含むすべての校内の活動で、障害を理由に障害者の参加を制限、排除、拒否してはならない。

(5)教育責任者は、就業及び進路教育、情報提供において、障害者の能力と特性に合った進路教育及び情報を提供しなければならない。

(6)教育責任者及び教職員は、教育機関に在学中の障害者及び障害者に関係を有する者、特殊教育教員、特殊教育補助員、障害者関連業務の担当者を冒涜し、或いは、さげすんではならない。

(7)教育責任者は、障害者の入学支援時、障害者ではない志願者と異なる追加書類、別途の様式による志願書類等を要求し、又は障害者のみを対象にした別途の面接や身体検査、追加試験等(以下“追加書類等”とする)を要求してはならない。但し、追加書類等の要求が、障害者の特性を考慮した教育施行を目的にすることが明白な場合には、この限りではない。

(8)国家及び地方自治団体は、障害者に「障害者等に対する特殊教育法」第3条第1項による教育を実施する場合、正当な事由なく該当教育課程に定めた学業時数を違反してはならない。

第14条(正当な便宜供与義務)

(1)教育責任者は、当該教育機関に在学中である障害者の教育活動に不利益が無いよう、次の各号の手段を積極的に講じ、提供しなければならない。

1.障害者の通学及び教育機関内での児童及びアクセスに不利益が無いようにするための各種移動用補装具の貸与及び修理

2.障害者及び障害者に関係を有する者が必要とする場合の教育補助人員の配置

3.障害による学習参加の不利益を解消するための拡大読書器、補聴機器、高さ調節用机、各種補完・代替意思疎通道具等の貸与及び補助犬の配置や車いすでのアクセスのための余裕空間の確保

4.視・聴覚障害者の教育に必要な手話通訳、文字通訳(速記)、点字資料、字幕、拡大文字資料、画面朗読・拡大文字プログラム、補聴機器、携帯用点字ディスプレイ、印刷物音声変換出力器を含む各種障害者補助器具等の意思疎通手段

5.教育課程を適用することにおいて、学習診断を通じた適切な教育及び評価方法の提供

6.その他、障害者の教育活動に不利益が無いようにするにあたり、必要な事項として大統領令が定める事項 

(2)教育責任者は、第1項の各号の手段を提供するにあたり、必要な業務を遂行するために障害学生支援部署又は担当者を置かなければならない。

(3)第1項を適用することにおいて、その適用対象の教育機関の段階的範囲と第2項による障害学生支援部署及び担当者の設置及び配置、管理監督等に必要な事項は大統領令で定める。

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第3節 財と用役の提供及び利用

第15条(財・用役等の提供における差別禁止)

(1)財・用役等の提供者は、障害者に対して、障害を理由に、障害者ではない人に提供することと実質的に同等ではない水準の便益をもたらす物、サービス、利益、便宜等を提供してはならない。

(2)財・用役等の提供者は、障害者が該当の財・用役等を利用することにより、利益を得る機会を剥奪してはならない。

第16条(土地及び建物の売買・賃貸等における差別禁止)

土地及び建物の所有・管理者は、当該土地及び建物の売買、賃貸、入居、使用等において、正当な事由なしに障害者を制限・分離・排除し、又は拒否してはならない。

第17条(金融商品及びサービス提供における差別禁止)

金融商品及びサービスの提供者は、金銭貸出、信用カードの発給、保険加入等、各種金融商品とサービスの提供において、正当な事由なく障害者を制限・排除・分離・拒否してはならない。

第18条(施設物アクセス・利用の差別禁止)

(1)施設物の所有・管理者は、障害者が当該施設物にアクセス・利用し、非常時に退避することにおいて、障害者を制限・排除・分離・拒否してはならない。

(2)施設物の所有・管理者は、補助犬及び障害者補助器具等を施設物に持ち込み、利用することを制限・排除・分離・拒否してはならない。

(3)施設物の所有・管理者は、障害者が当該施設物にアクセス・利用し、非常時に退避することにおいて、避難及び退避施設の設置等の正当な便宜の供与を正当な事由なしに拒否してはならない。

(4)第3項を適用することにおいて、その適用をうける施設物の段階的範囲及び正当な便宜の内容等の必要な事項は、関係法令等に規定した内容を考慮し大統領令で定める。

第19条(移動及び交通手段等における差別禁止)

(1)「交通弱者の移動便宜増進法」第2条第5項及び第6項による交通事業者(以下“交通事業者”という)及び交通行政機関(以下“交通行政機関”という)は、移動及び交通手段等にアクセスし利用することにおいて、障害者を制限・排除・分離・拒否してはならない。

(2)交通事業者及び交通行政機関は、移動及び交通手段等の利用において、補助犬及び障害者補助器具等の同乗又は搬入及び使用を拒否してはならない。

(3)交通事業者及び交通行政機関は、移動及び交通手段等の利用において、障害者及び障害者に関係を有する者に、障害又は障害者が同行・同伴した補助犬又は障害者補助器具等を理由に、障害者ではない人より不利な料金制度を適用してはならない。

(4)交通事業者及び交通行政機関は、障害者が移動及び交通手段等を障害者ではない人と同等に利用し、安全で便利に歩行及び移動をすることができるようにするために必要な正当な便宜を供与しなければならない。

(5)交通行政機関は、交通事業者が障害者に対しこの法に定めた差別行為を行わないように広報・教育・支援・監督しなければならない。

(6)国家及び地方自治体は、運転免許試験の申請、受験、合格の全ての過程で、正当な事由なしに障害者を制限・排除・分離・拒否してはならない。

(7)国家及び地方自治団体は、障害者が運転免許試験のすべての過程を、障害者ではない人と同等に経ることができるように正当な便宜を供与しなければならない。

(8)第4項及び第7項を適用することにおいて、その適用対象の段階的範囲及び正当な便宜の内容等必要な事項は大統領令で定める。

第20条(情報アクセスにおける差別禁止)

(1)個人・法人・公共機関(以下、この条では“個人等”という)は、障害者が電子情報と非電子情報を利用し、それにアクセスすることにおいて、障害を理由に第4条第1項第1号及び第2号で禁止した差別行為をしてはならない。

(2)障害者関連者として手話通訳、点訳、点字校正、朗読、代筆、案内等のために障害者を代理・同行する等、障害者の意思疎通を支援する者に対しては、何人も正当な事由なしに、これらの活動を強制・妨害し、又は不当な処遇をしてはならない。

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第21条(情報通信・意思疎通での正当な便宜供与義務)

(1)第3条第4号及び第6号、第7号、第8号カ目後段及びナ目、第11号、第18号、第19号に規定された行為者、及び、第12号、第14号から第16号までの規定に関連した行為者、第10条第1項の使用者及び同条第2項の労働組合関係者(行為者が属する機関を含む。以下、この条で“行為者等”という)は、当該行為者等が生産・配布する電子情報及び非電子情報について、障害者が障害者ではない人と同等にアクセス・利用することができるよう、手話、文字等の必要な手段を提供しなければならない。この場合、第3条第1項第8号カ目後段及びナ目でいう自然人は、行為者等に含まれない。

(2)公共機関等は、自らが主催又は主管する行事において、障害者の参加及び意思疎通のために必要な手話通訳士・文字通訳士・音声通訳士・補聴機器等、必要な支援をしなければならない。

(3)「放送法」によって放送物を送出する放送事業者と「インターネットマルチメディア放送事業法」第2条第5項によるインターネットマルチメディア放送事業者は、障害者が障害者ではない人と同等に、制作物又はサービスにアクセスしそれを利用することができるよう、字幕、クローズドキャプション、手話通訳、画面解説等、障害者の視聴の便宜サービスを提供しなければならない。

(4)「電気通信事業法」による基幹通信事業者(電話サービスを提供する事業者のみ該当する)は、障害者が障害者ではない人と同等にサービスにアクセスし、それを利用することができるよう、通信設備を利用する中継サービス(映像通話サービス、文字サービス、又は、その他放送通信委員会が定め告示する中継サービスを含む)を確保し、提供しなければならない。

(5)次の各号の事業者は、障害者が障害者ではない人と同等にアクセスし、利用することができるよう、出版物(電子出版物を含む。以下、この号で同じ)又は映像物を提供するために努めなければならない。但し、「図書館法」第18条による国立中央図書館は、新たに生産・配布する図書資料を点字、音声又は、拡大文字等で提供しなければならない。

1.出版物を定期的に発行する事業者

2.映画、ビデオ物等の映像物の制作業者及び配給業者

(6)第1項に伴う必要な手段を提供しなければならない行為者等の段階的範囲及び必要な手段の具体的な内容と、第2項に伴う必要な支援の具体的な内容及び範囲とその履行等に必要な事項は、大統領令で定める。

第22条(個人情報保護)

(1)障害者の個人情報は、必ず本人の同意の下で収集しなければならず、当該個人情報についての無断アクセスや誤・濫用から安全でなければならない。

(2)第1項の適用にあたり、「公共機関の個人情報保護に関する法律」「情報通信網利用促進及び情報保護等に関する法律」等、関連法律の規定を準用する。

(3)障害児童や精神障害者等、本人の同意を受けることが困難な障害者において、当該障害者の個人情報の収集・提供等に関連した同意行為を代理する者は、民法の規定を準用する。

第23条(情報アクセス・意思疎通での国家及び地方自治団体の義務)

(1)国家及び地方自治団体は、障害者の特性を考慮した情報通信網及び情報通信機器のアクセス・利用のための道具の開発・普及及び必要な支援を講じなければならない。

(2)情報通信関連製造業者は、情報通信製品を設計・制作・加工するにあたり、障害者が障害者ではない人と同等にアクセスし、それを利用することができるよう努めなければならない。

(3)国家と地方自治団体は、障害者が障害の種別及び程度、特性により、手話、口話、点字、拡大文字等を習得し、これを活用した学習支援サービスの提供を受けることができるよう必要な措置を講じなければならず、上記のサービスを提供する者は、障害者の意思に反して障害者の特性を考慮しない意思疎通様式等を強要してはならない。

第24条(文化・芸術活動の差別禁止)

(1)国家と地方自治団体及び文化・芸術事業者は、障害者が文化・芸術活動に参加するにあたり、障害者の意思に反して特定の行動を強要してはならず、第4条第1項第1号・第2号及び第4号で定めた行為をしてはならない。

(2)国家と地方自治団体及び文化・芸術事業者は、障害者が文化・芸術活動に参加することができるよう正当な便宜を供与しなければならない。

(3)国家及び地方自治団体は、障害者が文化・芸術施設を利用して文化・芸術活動に積極的に参加することができるよう、必要な施策を講じなければならない。

(4)第3項の規定の適用にあたり、その適用対象となる文化・芸術事業者の段階的範囲及び正当な便宜の具体的な内容等の必要な事項は大統領令で定める。

第25条(体育活動の差別禁止)

(1)体育活動を主催・主管する機関や団体、体育活動を目的とする体育施設の所有・管理者は、体育活動への参加を望む障害者を、障害を理由に制限・排除・分離・拒否してはならない。

(2)国家及び地方自治団体は、自らの運営又は支援する体育プログラムが障害者の性別、障害の種別及び程度、特性等を考慮して運営されるようにするものとし、障害者の参加のために必要な正当な便宜を供与しなければならない。

(3)国家及び地方自治団体は、障害者が体育活動に参加することができるよう必要な施策を講じなければならない。

(4)第2項の規定の施行において必要な事項は大統領令で定める。

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第4節 司法・行政手続及びサービスと参政権

第26条(司法・行政手続及びサービス提供における差別禁止)

(1)公共機関等は、障害者が生命、身体又は財産権の保護を含む自らの権利を保護・保障されるに必要な司法・行政手続及びサービス提供において、障害者を差別してはならない。

(2)公共機関及びその所属員は、司法・行政手続及びサービスの提供において、障害者に対し第4条第1項第1号・第2号及び第4号から第6号までに定めた行為をしてはならない。

(3)公共機関及びその所属する者は、職務を遂行し、又は権限を行使するにあたり、次の各号に該当する差別行為をしてはならない。

1.許可、申告、認可等において、障害者を正当な事由なく障害を理由に制限・排除・拒否する場合。

2.公共事業の受恵者の選定基準を定めるにあたり、正当な事由なく障害者を制限・排除・分離・拒否し、又は障害を考慮しない基準を適用することにより、障害者に不利な結果を招く場合。

(4)公共機関及びその所属する者は、司法・行政手続及びサービスを障害者が障害者ではない人と実質的に同等の水準で利用することができるように提供しなければならず、このために正当な便宜を提供しなければならない。

(5)公共機関及びその所属する者は、障害者が司法・行政手続及びサービスに参加するために障害者が自分で認識し作成することができる書式の制作及び提供等の正当な便宜を要求する場合、これを拒否し、又は任意で執行することにより障害者に不利益を与えてはならない。

(6)司法機関は、事件の関係者について、意思疎通や意思表現に困難がある障害の有無を確認し、その障害者が刑事司法手続で助力を受けることを申請する場合、正当な事由なくこれを拒否してはならず、それに必要な措置をしなければならない。

(7)司法機関は、障害者が人身拘禁・拘束状態において障害者ではない人と実質的に同等な水準の生活を営むことができるよう正当な便宜及び積極的措置を提供しなければならない。

(8)第4項から第7項までの規定に必要な事項は大統領令で定める。

第27条(参政権)

(1)国家及び地方自治団体と公職選挙の候補者及び政党は、障害者が選挙権、被選挙権、請願権等を含む参政権の行使にあたり差別をしてならない。

(2)国家及び地方自治団体は、障害者の参政権を保障するために必要な施設及び設備、参政権の行使に関する広報及び情報伝達、障害の種別及び程度に適合した記票方法等、選挙用補助器具の開発及び普及、補助員の配置等、正当な便宜を提供しなければならない。

(3)公職選挙の候補者及び政党は、障害者に候補者及び政党に関する情報を障害者ではない人と同等の程度の水準で伝達しなければならない。

第5節 母・父性権・性等

第28条(母・父性権の差別禁止)

(1)何人も障害者の妊娠、出産、養育等、母・父性権において、障害を理由に制限・排除・分離・拒否してはならない。

(2)養子機関は、障害者が養子縁組を行おうとする際、障害を理由に養子縁組を行う資格を制限してはならない。

(3)教育責任者及び「嬰幼児保育法」に基づく保育施設及びその従事者と「児童福祉法」による児童福祉施設及びその従事者等は、父母が障害者であるという理由でその子女を区分し、又は不利益を与えてはならない。

(4)国家及び地方自治団体で直接運営し、又はそこから委託或いは支援を受けて運営する機関は、障害者の避妊及び妊娠・出産・養育等における実質的な平等を保障するため、関係法令が定めるところにより障害種別及び程度に適合した情報・介助者派遣サービス等の提供及び補助機器・道具等の開発等、必要な支援策を準備しなければならない。

(5)国家及び地方自治団体は、妊娠・出産・養育等のサービス提供と関連して、この法に定める差別行為を行わないように広報・教育・支援・監督しなければならない。

第29条(性による差別禁止)

(1)すべての障害者の性に関する権利は尊重されなければならず、障害者はこれを主体的に表現し享有することができる性的自己決定権を持つ。

(2)家族・家庭及び福祉施設等の構成員は、障害者に対し障害を理由に性生活を享有する空間及びその他の道具の使用を制限する等、障害者が性生活を享有する機会を制限し、又は剥奪してはならない。

(3)国家及び地方自治団体は、障害者が性を享有する権利を保障するために、関係法令で定めるところにより、必要な支援策を講じ、障害を理由とする性に対する偏見・慣習その他のすべての差別的慣行をなくすための広報・教育をしなければならない。

第6節 家族・家庭・福祉施設・健康権等

第30条(家族・家庭・福祉施設等における差別禁止)

(1)家族・家庭及び福祉施設等の構成員は、障害者の意思に反して過重な役割を強要し、又は障害を理由に、正当な事由なく意思決定過程において障害者を排除してはならない。

(2)家族・家庭及び福祉施設等の構成員は、正当な事由なく障害者の意思に反して障害者の外見又は身体を公開してはならない。

(3)家族・家庭及び福祉施設等の構成員は、障害を理由に障害者の就学又は進学等、教育を受ける権利と財産権の行使、社会活動への参加、移動及び居住の自由(以下、この項で“権利等”という)を制限・剥奪・拘束し、又は権利等の行使から排除してはならない。

(4)家族・家庭の構成員である者又は構成員であった者は、子女養育権と親権の指定及び面接交渉権において障害者に対し障害を理由に不利な合意を強要し、又はその権利を制限・剥奪してはならない。

(5)福祉施設等の長は、障害者の施設入所を条件に親権放棄覚書を要求し、又は施設での生活中に家族等の面接権及び外部との疎通権を制限してはならない。

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第31条(健康権における差別禁止)

(1)医療機関及び医療従事者等は、障害者に対し、医療行為において障害者を制限・排除・分離・拒否してはならない。

(2)医療機関及び医療従事者等は、障害者の医療行為と医学研究等において、障害者の性別、障害の種別及び程度、特性等を積極的に考慮しなければならず、医療行為においては、障害者の性別等に適合した医療情報等の必要な事項を障害者等に提供しなければならない。

(3)公共機関は、健康と関連した教育課程を施行するに当たり、必要であると判断される場合、障害者の性別等を反映する内容を含まなければならない。

(4)国家及び地方自治団体は、先天的・後天的障害発生の予防及び治療等のために必要な施策を推進しなければならず、保健・医療施策の決定と執行過程で障害者の性別等を考慮しなければならない。

第32条(いじめ等の禁止)

(1)障害者は、性別、年齢、障害の種別及び程度、特性等に関係無く、すべての暴力から自由である権利を持つ。

(2)いじめ等の被害を受けた障害者は、相談及び治療、法律救助その他適切な措置を受ける権利を有し、いじめ等の被害を申告したという理由で不利益な処遇を受けてはならない。

(3)何人も、障害を理由に、学校、施設、職場、地域社会等で障害者又は障害者に関係を有する者に集団仲間はずれや冒涜、さげすみを誘発する言語的表現や行動をしてはならない。

(4)何人も、障害を理由に、私的な空間、家庭、施設、地域社会等で、障害者又は障害者に関係を有する者に遺棄、虐待、金銭的搾取をしてはならない。

(5)何人も、障害者の性的自己決定権を侵害し、又は羞恥心を刺激する言語表現、嫌がらせ、障害の状態を利用した醜行及び強姦等を行ってはならない。

(6)国家及び地方自治団体は、障害者に対するいじめ等を根絶するための認識改善及びいじめ等の防止のための教育を実施し、適切な施策を講じなければならない。

第3章 障害女性及び障害児童等

第33条(障害女性に対する差別禁止)

(1)国家及び地方自治団体は、障害をもつ女性であることを理由にすべての生活領域において差別をしてはならない。

(2)何人も、障害女性に対し、妊娠・出産・養育・家事等において、障害を理由にその役割を強制又は剥奪してはならない。

(3)使用者は、男性労働者又は障害者ではない女性労働者に比べ、障害女性労働者を不利に遇してはならず、職場保育サービスの利用等において、次の各号の正当な便宜供与を拒否してはならない。

1.障害の種別及び程度に伴う円滑な授乳支援

2.子女の状態を確認することができる疎通方法の支援

3.その他に、職場保育サービスの利用等において必要な事項

(4)教育機関、事業所、福祉施設等の性暴力予防教育の責任者は、性暴力予防教育を実施するに当たり、障害女性に対する性認識及び性暴力の予防に関する内容を含めなければならず、その内容が障害女性を歪曲してはならない。

(5)教育機関及び職業訓練を主管する機関は、障害女性に対し、次の各号の差別をしてはならない。但し、次の各号の行為が、障害女性の特性を考慮し適切な教育及び訓練を提供することを目的にすることが明白な場合にはこれを差別とはみなさない。

1.学習活動の機会制限及び活動の内容を区分する場合

2.就職教育及び進路選択の範囲等を制限する場合

3.教育と関連する計画及び情報提供の範囲を制限する場合

4.その他教育において正当な事由なく障害女性を不利に遇する場合

(6)第3項を適用するに当たり、その適用対象の事業所の段階的範囲と第3項第3号のその他必要な事項の具体的内容等は大統領令で定める。

第34条(障害女性に対する差別禁止のための国家及び地方自治団体の義務)

(1)国家及び地方自治団体は、障害女性に対する差別要因が除去されることができるよう、認識改善及び支援策等の政策及び制度の準備等、積極的措置を講じなければならず、統計及び調査研究等においても障害女性を考慮しなければならない。

(2)国家及び地方自治団体は、政策の決定と執行過程において、障害女性であることを理由に参与の機会を制限し、又は排除してはならない。

第35条(障害児童に対する差別禁止)

(1)何人も、障害児童であることを理由に、すべての生活領域においてこの法律で定めた差別をしてはならない。

(2)何人も、障害児童に対し、教育、訓練、健康保護サービス、リハビリテーションサービス、就職準備、レクリエーション等を提供される機会を剥奪してはならない。

(3)何人も、障害児童を義務教育から排除してはならない。

(4)何人も、障害を理由に障害児童に対する遺棄、虐待、搾取、監禁、暴行等の不当な待遇をしてはならず、障害児童の人権を無視し、強制的に施設収容及び無理なリハビリテーション治療又は訓練をさせてはならない。

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第36条(障害児童に対する差別禁止のための国家及び地方自治団体の義務)

(1)国家及び地方自治団体は、障害児童が、障害を理由とするいかなる種類の差別なしに、他の児童と同等な権利と自由を享受することができるよう、必要な措置を尽くさなくてはならない。

(2)国家及び地方自治団体は、障害児童の性別、障害の種別及び程度、特性に合ったサービスを早期に提供することができるように措置しなければならず、このために障害児童を保護する親権者及び養育責任者に対する支援策を準備しなければならない。

第37条(精神的障害をもつ人に対する差別禁止等)

(1)何人も、精神的障害をもつ人の特定の情緒や認知的特性を不当に利用し、不利益を与えてはならない。

(2)国家と地方自治団体は、精神的障害をもつ人の人権侵害を予防するために、教育、広報等必要な法的、政策的措置を講じなければならない。

第4章 障害者差別是正機構及び権利救済等

第38条(申立)

この法律で禁止する差別行為により被害を受けた人(以下、“被害者”という)又はその事実を知っている人や団体は、国家人権委員会(以下“委員会”という)にその内容を申立することができる。

第39条(職権調査)

委員会は、第38条の申立がない場合にも、この法律で禁止する差別行為があったと信ずるに値する相当の根拠があり、その内容が重大であると認められる場合には、これを職権により調査することができる。

第40条(障害者差別是正小委員会)

(1)委員会は、この法律で禁止する差別行為に対する調査と救済業務を専門に担当する障害者差別是正小委員会(以下“小委員会”という)を置く。

(2)小委員会の構成・業務及び運営等に関して必要な事項は、委員会の規則で定める。

第41条(準用規定)

(1)第38条、第39条に伴う申立の手続・方法・処理、申立及び職権による調査の方法に関して、この法律に特別な規定がない事項に関しては「国家人権委員会法」の規定を準用する。

(2)「国家人権委員会法」第40条から第50条までの規定は、この法律に伴う申立及び職権調査の場合にこれを準用する。

第42条(勧告の通報)

委員会は、この法律が禁止する差別行為により「国家人権委員会法」第44条の勧告をした場合、その内容を法務大臣に通報しなければならない。

第43条(是正命令)

(1)法務大臣は、この法律が禁止する差別行為により「国家人権委員会法」第44条の勧告を受けた者が、正当な事由なく勧告を履行せず、次の各号のどれか一つに該当する場合であって、その被害の程度が深刻であり、公益に及ぼす影響が重大であると認められる場合、被害者の申請により又は職権で是正命令をすることができる。

1.被害者が多数者である差別行為に対する勧告不履行

2.反復的差別行為に対する勧告不履行

3.被害者に不利益を与えるための故意による不履行

4.その他に是正命令が必要な場合

(2)法務大臣は、第1項による是正命令として、この法律で禁止される差別行為を行った者(以下、“差別行為者”という)に、次の各号の措置を命ずることができる。

1.差別行為の禁止

2.被害の原状回復

3.差別行為の再発禁止のための措置

4.その他に差別是正のために必要な措置

(3)法務大臣は、第1項及び第2項の規定による是正命令を書面にて行うが、その理由を具体的に明示し、差別行為者と被害者に各々交付しなければならない。

(4)法務大臣が、差別是正に必要な措置を命ずる機関、手続、方法等に必要な事項は大統領令で定める。

第44条(是正命令の確定)

(1)法務大臣の是正命令に対し不服がある関係当事者は、その命令書を送達された日から30日以内に行政訴訟を提起することができる。

(2)第1項の期間内に行政訴訟を提起しない時には、その是正命令は確定される。

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第45条(是正命令の履行状況の提出要求等)

(1)法務大臣は、確定した是正命令について、差別行為者にその履行状況を提出することを要求することができる。

(2)被害者は、差別行為者が確定した是正命令を履行しない場合、それを法務大臣に申告することができる。

第5章 損害賠償、立証責任等

第46条(損害賠償)

(1)何人もこの法律の規定に違反し他人に損害を加えた者は、それにより被害を受けた人に対し、損害賠償責任を負う。但し、差別行為を行った者が故意又は過失がないことを証明した場合にはこの限りではない。

(2)この法律の規定に違反した行為により損害が発生したことは認められるも、差別行為の被害者が財産上の損害を立証することができない場合には、差別行為をした者がそれにより得た財産上の利益を、被害者が被った財産上の損害と推定する。

(3)裁判所は、第2項の規定にも関わらず、差別行為の被害者が被った財産上の損害額を立証するために、必要な事実を立証することが該当事実の性質上困難な場合には、弁論全体の趣旨と証拠調査の結果に基づき、相当の損害額を認定することができる。

第47条(立証責任の配分)

(1)この法律と関連した紛争解決において、差別行為があったという事実は、差別行為を受けたと主張する者が立証しなければならない。

(2)第1項の規定による差別行為が、障害を理由にした差別ではなく、或いは正当な事由があったという点は、差別行為を受けたと主張する者の相手方が立証しなければならない。

第48条(裁判所の救済措置)

(1)裁判所は、この法律により禁止された差別行為に関する訴訟提起前又は訴訟提起中に、被害者の申請によって被害者に対する差別が疎明される場合、本案判決前まで差別行為の中止等、その他に適切な臨時措置を命ずることができる。

(2)裁判所は、被害者の請求により、差別的行為の中止、賃金等の労働条件の改善、その是正のための積極的措置等の判決をすることができる。

(3)裁判所は、差別行為の中止及び差別是正のための積極的措置が必要であると判断する場合、その履行期間を明らかにし、これを履行しないときには、遅れた期間によって一定の賠償をするよう命じることができる。この場合「民事執行法」第261条を準用する。

第6章 罰則

第49条(差別行為)

(1)この法律で禁止した差別行為を行い、その行為が悪意のものと認められる場合、裁判所は差別をした者に対し、3年以下の懲役又は3千万ウォン以下の罰金に処することができる。

(2)第1項での悪意とは、次の各号の事項をすべて考慮して判断しなければならない。

1.差別の故意性

2.差別の持続性及び反復性

3.差別被害者に対する報復性

4.差別被害の内容及び規模

(3)法人の代表者又は個人の代理人・使用人その他の従業員が、その法人又は個人の業務に関して悪意の差別行為をした時には、行為者を罰する外に、その法人又は個人に対しても第1項の罰金刑を科する。

(4)この条で定めていない罰則は「国家人権委員会法」の規定を準用する。

第50条(過料)

(1)第44条の規定によって確定された是正命令を正当な理由なく履行しなかった者は、3千万ウォン以下の過料に処する。

(2)第1項の規定による過料は、大統領令が定めるところにより、法務大臣が賦課・徴収する。

附則<第10280号、2010.5.11>

この法律は、公布された日から施行する。但し、第21条4項の改正規定は公布後1年が経過した日から施行され、同条第6項(同条第3項及び第4項に関連する事項のみ該当する)の改正規定に伴う細部の内容別施行時期及び適用対象は、同項により委任した大統領令に定めるところに従う。


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