1 国内調査 1.1
1.1 国内調査の目的
我が国では、障害者権利条約の批准に向けて国内法制度の整備をはじめとする準備が進められ、平成28年4月には「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(以下「障害者差別解消法」という。)が施行された。障害者差別解消法附則第7条では、政府は、同法の施行後3年を経過した場合において、社会的障壁の除去の実施についての必要かつ合理的な配慮のあり方その他この法律の施行の状況について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に応じて所要の見直しを行うものとされた。
これを受けて、障害者政策委員会において議論が行われ、2020年6月に「障害者差別解消法の施行3年後見直しに関する意見」(以下「意見書」という。)が取りまとめられた。意見書では、国及び地方公共団体において、さらに具体的な相談事例の蓄積等を進めるべきとされた。
本調査では、この内容を踏まえ、さらには今後の障害者権利条約に基づく国連の審査への対応検討にも資することを目的として、障害者差別の解消の推進に関する地方公共団体における取組の状況や運用の実態等の動向について調査分析を行った。