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第2章 相互の理解と交流 > 第1節 障害のある人に対する理解を深めるための啓発広報等に係る施策 > 4.ボランティア活動の推進

平成24年版障害者白書

平成23年度を中心とした障害者施策の取組

第2章 相互の理解と交流

第1節 障害のある人に対する理解を深めるための啓発広報等に係る施策

4.ボランティア活動の推進
(1)学校におけるボランティア教育

学校教育において、相手を思いやる心や親切にすること、公共の精神などの豊かな人間性を育むことは大変重要である。

新しい学習指導要領においても、道徳、総合的な学習の時間及び特別活動等において、思いやりの心や助け合いに関する指導、ボランティア活動の充実などを図っている。具体的には、<1>小学校において、身近な人々と協力し助け合う態度や、相手の立場を理解し支え合う態度を身に付けること、<2>中学校において、多くの人々の善意や支えにより、日々の生活や現在の自分があることに感謝し、それにこたえることなどについて指導することとしているとともに、<3>小・中学校を通じて、ボランティア活動などの社会奉仕の精神を養う体験が得られるような活動を行うこととしている。

高等学校及び特別支援学校高等部では、校長の判断により、ボランティア活動など学校外での多様な活動を36単位を上限に単位として認定することが可能となっている。

また、「豊かな体験活動推進事業」として、児童の豊かな人間性や社会性を育むために、小学校における3泊4日以上の宿泊活動を通じて、自然体験やボランティアなど社会奉仕に関わる体験活動を行う小学校の取組に対する補助を行うこととしている。

(2)地域福祉等ボランティア活動の促進

近年、高齢化の進展、家族形態・扶養意識の変化、自由時間の増大、生活の質の重視等を背景として、ボランティア活動は国民生活を豊かにする上で大きな可能性があるものとして注目されている。

ボランティア活動の振興の基盤整備については、全国レベルでの福祉意識の高揚を図り、ボランティア活動に対する国民の理解を深めるとともに、ボランティア活動への参加の促進及び活動の全国的な振興を図るため、全国社会福祉協議会内の「全国ボランティア・市民活動振興センター」へ補助を実施している。「全国ボランティア・市民活動振興センター」では、「全国ボランティアフェスティバル」の開催やボランティア活動等に関する啓発・広報活動、情報提供、研修事業等を実施している。

また、地方公共団体や民間団体等に対しては、「地域福祉等推進特別支援事業」として支援を実施しており、既存の制度のみでは充足できない問題や制度の狭間にある問題など、地域社会における今日的課題の解決を目指す先駆的・試行的取組への補助を実施している。

その他、ボランティア活動の社会的評価の向上を図るため、「全国ボランティアフェスティバル」において、福祉分野等のボランティア活動を永年率先して行い、功績が顕著な個人やグループ・団体、学校等に対し、「ボランティア功労者に対する厚生労働大臣表彰及び感謝状」の贈呈を行っている。

このような取組により、地域において活動したい人が、いつでも、どこでも、だれでも、気軽に、楽しくボランティア活動に参加できるような枠組みづくりに努めている。なお、少子・高齢化対策事業により、NPO 等の活動支援のための施設整備についても支援している。

また、内閣府では、多様な個人が能力を発揮しつつ、自立して共に社会に参加し、支え合う「共生社会」を築いていくためには、地域住民やNPO 等による社会活動の充実が必要不可欠であるという認識のもと、社会活動の中心的担い手となるリーダーを養成する「青年社会活動コアリーダー育成プログラム」を実施している。

このプログラムは、障害者関連、高齢者関連、青少年関連のそれぞれの分野において社会活動にたずさわる日本の青年を海外へ派遣するとともに、海外の民間組織で活動する青年リーダーを日本に招へいして相互に交流することにより、我が国の社会活動の中核を担う青年リーダーの育成と各国、各分野の青年リーダー相互のネットワークの形成を目指すものである。

このうち障害者関連分野については、平成23年度は、10月に日本青年9名をニュージーランドへ派遣し、翌24年2月にデンマーク、ニュージーランド及びドイツの青年リーダー計13名を日本に招へいした。

派遣プログラムでは、日本参加青年は、「障害者の社会参加のための支援」をテーマにニュージーランドを訪問し、社会開発省障害者問題担当局において障害者政策の概要について講義を受けた後、障害者の就労支援と就労訓練を行う施設、就労後のカウンセリングを行う施設、身体障害を有する人々の権利擁護団体、脳損傷を専門としたリハビリセンターなどを視察し、そこで活動する青年達との意見交換を通じて、障害のある人一人ひとりのニーズをかなえる地域社会のあり方と、日本の状況に適した「実践への活用方法」について学んだ。

招へいプログラムでは、外国参加青年は、東京で「NPO マネジメントフォーラム」に参加し、別途公募により参加した日本人青年とともに「NPO におけるプロジェクト・マネジメント」をテーマに合宿によるディスカッションを行った。その後、島根県を訪問し、県の障害者福祉施策についての説明を受けるとともに、出雲市の障害者の就労支援施設、知的障害者の相談支援等を行う入所施設など障害者支援活動の現場を視察し、意見交換を行った。また、島根大学福祉社会コースに在籍する学生との意見交換を行った。さらに、松江市では障害者関係の活動に携わる青年たちと「地域社会を変えていく力」をテーマにセミナーを実施した。

ニュージーランドを訪問(社会開発省)

ニュージーランドを訪問(社会開発省)

島根県を訪問(オリエンテーション)

島根県を訪問(オリエンテーション)

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