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第5章 住みよい環境の基盤づくり > 第2節 障害のある人の情報・コミュニケーションを確保するための施策 > 1.情報バリアフリー化の推進

平成24年版障害者白書

平成23年度を中心とした障害者施策の取組

第5章 住みよい環境の基盤づくり

第2節 障害のある人の情報・コミュニケーションを確保するための施策

1.情報バリアフリー化の推進
(1)総合的な支援

地域生活支援事業においては、障害のある人の情報通信技術の利用・活用の機会の拡大を図るため、IT 関連施策の総合サービス拠点となる障害者IT サポートセンターの運営(24都府県:平成24年1月末時点)や、パソコンボランティア養成・派遣等のIT 関連施策を、総合的かつ一体的に行う「障害者IT総合推進事業」が実施されている。

(2)障害のある人に配慮した機器・システムの研究開発

情報通信の活用によるメリットを十分に享受するためには、障害のある人を含めだれもが、自由に情報の発信やアクセスができる社会を構築していく必要がある。

障害のある人の利用に配慮した情報通信機器・システムの研究開発の推進に当たっては、その公益性・社会的有用性が極めて高いにもかかわらず、収益性の低い分野であることから、国立研究機関等における研究開発体制の整備及び研究開発の推進を図るとともに、民間事業者等が行う研究開発に対する支援を行うことが重要である。

総務省では、高齢者や障害のある人の生活支援などに寄与するため、ネットワークを活用し、複数のロボットが様々な場所で相互に連携して、見守り・ヘルスケア・生活支援などのサービスを実現するネットワークロボット技術や、脳の仕組みを活かし、日常生活における行動・コミュニケーション支援において必要となる簡単な動作や方向、感情などを「強く念じる」ことでロボットやコミュニケーション支援機器などに伝えることを日常的に可能とする技術の研究開発を実施している。また、ICT(情報通信技術)の利活用を通じた高齢者や障害のある人の社会参加を促進するため、高齢者や障害のある人がICTを用いて活躍する事例の収集やその評価・分析等を通じて、必要な支援等の在り方を検討し、平成18年度及び19年度に報告書を取りまとめた。20年3月及び11月には、高齢者又は障害のある人のICT を活用した社会参加推進を目指しセミナーを開催するなど、これら成果の普及を図ることで、高齢者や障害のある人のICT 利活用の有用性についての国民の理解を促し、地方公共団体等におけるICT 利活用支援の取組を促進している。

(3)障害のある人の利用に配慮したシステムの普及

ア アクセシビリティ指針の策定

近年、補聴器の小型化・高性能化の開発は目覚ましいものがあり、屋外等の離れた場所からでも、距離や周囲の騒音の影響を受けずに聞き取ることができる電波を利用した補聴援助システム(ワイヤレス補聴器)についての需要が高まっている。

また、聾学校等の教育の場においても、幼児児童生徒の耳元に教師及び他の生徒の声を確実に届け、スムーズな会話を行うことのできるシステムが望まれている。また、日常生活で補聴器を利用している難聴者にあっても、講演などの場において講師の声がスムーズに聞くことのできるシステムが求められている。

こうしたことから、個人や集団で使用する電波を利用した補聴援助システムについて、制度化を図った。

イ JIS 及び国際標準化の推進

平成18年までに、情報アクセシビリティのJIS(日本工業規格)であるJIS X8341シリーズ「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス」5部門(「共通指針」、「情報処理装置」、「ウェブコンテンツ」、「電気通信機器」、「事務機器」)の制定を完了した。

国内の規格開発と並行し、国際的な情報アクセシビリティのガイドライン共通化を図るため、JIS X8341シリーズのうち、「共通指針」、「情報処理装置」、及び「事務機器」について、ISO(国際標準化機構)へ提案を行い、平成20年までにそれぞれ国際規格が制定された。

また、国際規格等の動向にあわせ、「共通指針」及び「ウェブコンテンツ」に関するJISについて平成22年に改正が行われたとともに、JIS X8341シリーズとして「アクセシビリティ設定」を平成23年に制定した。

電気通信アクセシビリティについては、「障害者等電気通信設備アクセシビリティ指針」(平成10年10月郵政省告示)を踏まえ、電気通信関連団体、障害者・高齢者関係団体、学識経験者から構成される「情報通信アクセス協議会」において、この指針を満たす電気通信の実現方法、統一仕様等についての関係業界の自主基準として、12年に「高齢者・障害者等に配慮した電気通信アクセシビリティガイドライン」が策定され、16年5月には第2版が改訂・公表された。同ガイドラインをベースとし、電気通信機器のアクセシビリティに関しては、17年10月にJIS X8341-4が策定されている。国際標準化に関しては16年11月にはITU-T(国際電気通信連合の電気通信標準化部門)に対して同ガイドラインをベースにした電気通信アクセシビリティガイドラインの策定について日本より提案を行い、審議を経て、19年1月にITUTの勧告として承認された。また、電気通信機器のアクセシビリティに関するJIS については、国際規格等の動向にあわせ、24年に改正される予定である。

(4)ホームページ等のバリアフリー化の推進

平成20年12月に「各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議」が改定した「電子政府推進計画」において、各府省は、高齢者や障害のある人を含めてすべての人々の利用しやすさなどに配慮しつつ、引き続きホームページなどにおける行政情報の電子的提供の充実に努めることが明記された。

総務省では、高齢者や障害のある人を含むすべての人が地方公共団体のホームページやウェブシステムを利用することができるよう、平成16年11月から「公共分野におけるアクセシビリティの確保に関する研究会」を開催し、17年12月に報告書を公表した。同研究会では、具体的なウェブアクセシビリティ維持・向上のための運用モデルである「みんなの公共サイト運用モデル」を策定した。その後、22年8月に「ウェブコンテンツ」に関するJIS の改正が行われたこと等を受け、22年度に本運用モデルの改訂を行った。

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