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第2編 全般的推進状況(平成24年度を中心とした障害者施策の取組)

第2章 相互の理解と交流

第1節 障害のある人に対する理解を深めるための啓発広報等に係る施策

1.啓発・広報活動の推進

(1) 啓発・広報の基本的な方針

「障害者基本計画」の掲げる「共生社会」の実現を図るためには、その理念の普及を図るとともに、障害及び障害のある人に関する国民の理解を促進し、併せて、障害のある人への配慮等について国民の協力を得るため、幅広い国民の参加による啓発・広報活動を強力に推進することが重要となっている。特に、将来を担う若者への啓発・広報活動の一層の推進が重要である。

後期5か年計画においては、「共生社会」の周知度について、世代全体に係る周知度とともに、20代の若者に係る周知度を50%とする数値目標を掲げていた。内閣府が平成24年7月に実施した調査では、世代全体が40.9%、20歳代が34.8%にとどまったものの5年前よりいずれも増加しており一層の理解推進を図ることとしている。

(2) 障害者週間

国では、「障害者基本法」を踏まえ、旧本部決定(平成16年12月1日)「『障害者週間』の実施について」に基づいて、障害及び障害のある人に対する国民の関心、理解を深めるとともに、障害のある人の社会参加意識の高揚を図るため、毎年12月3日から9日までの1週間を「障害者週間」とし、前後の期間も含め、全国で、官民にわたって多彩な行事を集中的に実施するなど、積極的な啓発・広報活動を実施している。

ア 心の輪を広げる障害者理解促進事業

内閣府では、各都道府県・指定都市との共催により、将来を担う若者への啓発・広報活動の一環として、全国の小・中学生等から、障害のある人とのふれあい体験をつづった「心の輪を広げる体験作文」及び「障害者週間のポスター」の募集を「心の輪を広げる障害者理解促進事業」として実施している。平成24年度は、作文4,134編、ポスター1,524点の応募があり、この中から内閣総理大臣賞として作文3編及びポスター2点が選ばれ、東京で表彰された。本事業では、ポスター部門の最優秀作品を原画とした「障害者週間のポスター」を作成し、全国の駅等に掲示するとともに、作文、ポスターの入賞作品集を作成し、全国の小・中・高等学校等に配布する等して、障害のある人への理解促進を図っている。

入賞作品については内閣府ホームページに掲載している。

イ 平成24年度における「障害者週間」行事

平成24年度の「障害者週間」行事については、内閣府を中心に、法務省、文部科学省、厚生労働省、国土交通省等の関係省庁、障害者関係団体、企業等の協力の下、「障害者週間」の期間を通じて東京を中心に各地において、多彩な行事を実施した。

東京では、12月3日に皇太子殿下御臨席の下「アジア太平洋障害者の十年(2003~2012年)」最終年を記念した「障害者フォーラム2012」を開催し、障害者関係功労者及び団体の内閣総理大臣表彰を行うとともに「心の輪を広げる体験作文」及び「障害者週間のポスター」の最優秀作品の内閣総理大臣表彰を行った。また、障害のある人に関する様々なテーマについて関係団体等が交替で連続して行う「障害者週間連続セミナー」を開催した。平成24年度のセミナーにおいては、障害者権利条約、障害者雇用、発達障害等について、講演やパネルディスカッション等を実施した。

このほか、「障害者週間のポスター」等の原画展を東京で開催した。

また、国、地方公共団体、民間の関係団体等において、NHKハート展、地方運輸局等におけるバリアフリー教室等をはじめとして、それぞれ独自の行事や啓発・広報活動が積極的に行われた。

(3) その他の週間・月間等

このほか各種の週間・月間等の活動の中でも、障害のある人への理解を深めるための啓発・広報活動が展開された。

9月1日から30日までの「障害者雇用支援月間」においては、障害のある人の雇用の促進と職業の安定を図ることを目的として、障害のある方々から募集した絵画や写真を原画とした啓発用ポスターが作成され、全国に掲示されたほか、障害者雇用優良事業所等表彰、障害者雇用支援月間ポスター原画表彰及び優秀勤労障害者表彰を始め、各都道府県においても、障害者雇用促進のための啓発活動が実施された。

10月22日から28日までの「第60回精神保健福祉普及運動」の期間においては、精神障害のある人に対する早期かつ適切な医療の提供及び社会復帰の促進等について、国民の理解を深めることを目的として、精神保健福祉全国大会をはじめとする諸行事等が実施された。

12月4日から10日までの「人権週間」においては、障害のある人に対する偏見や差別を解消するため、人権啓発活動の年間強調事項でもある「障害のある人の自立と社会参加を進めよう」を強調事項として掲げ、法務省の人権擁護機関である法務局・地方法務局及び人権擁護委員等を通じて、全国各地で講演会の開催、ポスター・パンフレットの作成・配布等の啓発・広報活動が実施された。

平成19年12月、国連総会本会議において、毎年4月2日を「世界自閉症啓発デー」とする決議が採択されたことを受け、毎年、自閉症をはじめとする発達障害に関する正しい知識の浸透を図るためのシンポジウム等を開催している。平成24年度においては、東日本大震災の被災地からの現況の報告や「私たちの強みと生きにくさ」をテーマとしたシンポジウムを4月7日に開催した。

また、世界自閉症啓発デーを含む4月2日から8日までの「発達障害啓発週間」においては、全国の地方公共団体や関係団体等により様々な啓発活動が実施された。

(4) バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者の表彰

高齢者、障害のある人、妊婦や子ども連れの人を含むすべての人が安全で快適な社会生活を送ることができるよう、ハード、ソフト両面のバリアフリー・ユニバーサルデザインを効果的かつ総合的に推進する観点から、その推進について顕著な功績又は功労のあった個人・団体に対して、内閣総理大臣及び高齢社会対策又は障害者施策を担当する大臣が、毎年度、表彰を行い、その優れた取組を広く普及させることとしている。平成24年度においては、8団体を表彰した。

平成24年度障害者週間行事

1.「アジア太平洋障害者の十年(2003~2012年)」最終年記念「障害者フォーラム2012」

日時:平成24年12月3日(月) 13時から16時
会場:有楽町朝日ホール(東京都千代田区)

第1部 障害者関係功労者表彰並びに「心の輪を広げる体験作文」及び「障害者週間のポスター」最優秀賞受賞者の表彰式

アジア太平洋障害者の十年(2003~2012年)最終年を記念して、障害者関係功労者及び団体の内閣総理大臣表彰を行うとともに、障害のある人に対する理解を促進するため、全国から募集した「心の輪を広げる体験作文」及び「障害者週間のポスター」最優秀賞受賞者の表彰式と受賞者による作文の朗読。

最優秀賞受賞者(内閣総理大臣賞)
「心の輪を広げる体験作文」 小学生部門: 佐藤 真希
中学生部門: 稲井 大雅
高校生・一般部門: 柴田 美優
「障害者週間のポスター」 小学生部門: 近藤 薫
中学生部門: 佐藤 光太朗

障害者関係功労者

【個人】(50音順・敬称略)
氏名
飯野 順子
板橋 清司
今治 良廣
岩橋 明子
大金 紀子
應武 善郎
岡部 裕子
越智 義則
加賀 時男
桐生 清次
坂田 紀行
品川 清美
白石 純平
杉田 多喜男
杉山 正胡
中川 康恵
野中 信弘
東出 昇
振角 正義
堀合 重治
皆川 春雄
山田 金治
山見 誠治
【団体】(50音順)
団体名
社会福祉法人 全国盲ろう者協会
社団法人 日本義肢協会
障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議
特定非営利活動法人 全国LD親の会
認定特定非営利活動法人 難病のこども支援全国ネットワーク
おことばを述べられる皇太子殿下の様子
最優秀賞受賞者による作文の朗読の様子

第2部 記念アトラクション

アジア太平洋障害者の十年(2003~2012年)最終年を記念し、第2部では、記念アトラクションが開催された。

障害のある方々による、演技、演奏、パフォーマンスが披露された。

「箏」の演奏の様子 松田 育子(箏) 中里 聡(ハーモニカ)
ムーブメントシアター「スポーツ・ア・ラ・カルト」 社会福祉法人 トット基金日本ろう者劇団
ダンスパフォーマンス ラブジャンクス

2.「障害者週間のポスター」原画展

日時:平成24年12月3日(月)~9日(日) 9時から18時
会場:東京メトロ銀座駅 日比谷線コンコース「銀座オアシス」(東京都中央区)
内容:全国の小・中学校等から公募した「心の輪を広げる体験作文」及び「障害者週間のポスター」の優秀作品の原画を展示。

「障害者週間のポスター」原画展の様子

3.障害者週間連続セミナー

日時:平成24年12月6日(木)~7日(金)
会場:国立オリンピック記念青少年総合センター(東京都渋谷区)
障害者週間の事業の一環として、障害者週間の趣旨にふさわしいセミナーを主催する団体に対し会場の提供を行い、障害及び障害者に関する国民の理解を促進するため、連続してセミナーを実施。

12月6日(木)

<1> 「発達障害者の雇用を促進するためにVol.3 ~雇用事例から見る職場定着のポイントと課題~」

主催:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構

<2> 「オストメイトのピアサポート」

主催:公益社団法人日本オストミー協会

<3> 植物状態の回復支援―“ここまで”と“これから”

主催:若年脳損傷者ネットワーク

<4> 発達障害とその課題~「医療」と「教育」の視点から~

主催:一般社団法人 日本発達障害ネットワーク(JDDNET)

12月7日(金)

<1> 障害者の権利条約~差別禁止、合理的配慮、障害者雇用

主催:公益財団法人人権教育啓発推進センター

<2> 障害当事者におけるICFの活用―具体的分析(活用)事例を通じて―

主催:独立行政法人国立長寿医療研究センター生活機能賦活研究部

<3> 災害時支援の新たな課題―「防げたはずの生活機能低下」予防―

主催:公益財団法人日本障害者リハビリテーション協会

<4> 障害者権利条約(仮訳)の締結に向けて ~国連障害者の権利に関する委員会マッカラン委員長をお招きして~

主催:内閣府

4.障害者週間の広報

内閣府では、啓発・広報事業として、全国の小中学生から募集した「障害者週間のポスター」の中から最優秀作品を図案化した啓発ポスターを作成、配布しており、平成24年度は、小・中学校、駅等に28,000枚を掲示した。

また、政府広報等を活用した広報・啓発活動を行い「障害者週間」の周知を図るとともに、障害及び障害のある人に対する理解の促進を図った。

障害者週間のポスター
バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰(平成24年12月)
シナノケンシ株式会社の製品「プレクストークシリーズ」他
(注1)
社会福祉法人 全国手話研修センターの客室で使用している聴覚障害者用目覚まし時計
(注2)

平成24年度バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰で内閣総理大臣表彰を受賞したシナノケンシ株式会社の製品「プレクストークシリーズ」他(注1)及び社会福祉法人全国手話研修センターの客室で使用している聴覚障害者用目覚まし時計(注2)

■ 図表2-6 平成24年度バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰 受賞者
◯内閣総理大臣表彰(2件)
(五十音順)
シナノケンシ株式会社
長野県上田市
(厚生労働省推薦)
 全国の点字図書館等の視覚障害者情報提供施設で貸し出されるDAISY(デイジー)形式(注)の録音図書に対応したデジタル録音図書読書機「プレクストーク」を開発・販売。情報バリアフリーを実現し視覚障害者の自立、社会参加、就学及び就労支援に貢献。
社会福祉法人
全国手話研修センター

京都府京都市
(厚生労働省推薦)
 手話通訳事業及び障害者福祉サービス事業を実施するとともに、全国から研修に参加する受講生のために宿泊及び食事が提供できる宿泊施設を運営。全館バリアフリーとするとともに、ハード、ソフト両面においてコミュニケーションバリアフリー社会を目指し、実現に努めている。
注: DAISY(Digital Accessible Information SYstem)形式とは、デジタル録音図書の国際標準規格。
◯内閣府特命担当大臣表彰 優良賞(5件)
NPO法人
UDくまもと

熊本県熊本市
(熊本県推薦)
 ユニバーサルデザインの理念のもと、「人と人をつなぐ」ことを目的に、観光や居住環境に関する福祉コーディネート等を実施。
 誰もが使いやすい建築物の普及拡大のためのプロデュース事業やユニバーサルツーリズムの積極的推進等により県内のUD普及啓発に大きく貢献。
埼玉県警察本部
交通部交通規制課

埼玉県さいたま市
(埼玉県推薦)
 交通バリアフリー法の施行に伴い、高齢者や障害者等の歩行者を対象に音の出る信号機の設置等、交通安全システムの整備を実施するとともに交差点改良等により安全で安心な歩行空間の確保(バリアフリー化)を図った。
社会福祉法人
太陽の家サンストア

大分県別府市
(大分県推薦)
 昭和52年創業以来、障害者が主人公であるスーパーマーケットを作り上げてきた。従業員21人中17人が障害者であり、障害者の目線による商品の陳列、レジ台など工夫を凝らし、障害のある利用者、高齢者にも使いやすく、地域に愛される店舗を目指している。物理的な面のみでなく心のバリアフリーが実現されている。
日進市立図書館
愛知県日進市
(愛知県推薦)
 基本計画・設計段階から施工中も含め、障害者団体や多くの市民参加手法を用いて意見を聴取し、反映させて建物を完成。障害者や高齢者、乳幼児づれのみならず青少年、社会人等すべての人の居場所があり、それぞれの目的にあった場所が見つけられる、滞在型図書館を目指した工夫がされている。
南医療生活協同組合
愛知県名古屋市
(愛知県推薦)
 「市民の協同でつくる健康なまちづくり支援病院」を基本コンセプトに45回述べ5,380人が参加した住民会議「千人会議」を通して地域の知恵を集め、施設整備に反映。駅と住宅地を結ぶ動線を病院内に取込むなど、暮らしに寄り添う病院を実現。
◯ 内閣府特命担当大臣表彰 奨励賞(1件)
早稲田大学ボランティアサークル 積木の会
東京都新宿区
(東京都推薦)
 昭和53年の有志による発足以来、30年以上にわたり地域における障害者と学生の交流を実施。福祉施設や個人宅と連携し、外出を含めた日常活動の支援やイベントの補助等、学生自らが工夫して活動を行っている。
(5) 障害者施策に関する情報提供等

政府等が実施している各種障害者施策の状況について積極的に情報提供していくことは、国民の理解と協力を得ながら施策を進める上で欠くことのできないものである。

平成24年5月に設置された「障害者政策委員会」は全国の障害のある人を始め関係者の関心が高く、会議運営に当たっても情報保障の観点から、特に積極的な情報提供に配意している。

具体的には、毎回の会議の開始から終了までの全状況をインターネットによるオンデマンド配信として、動画、音声、手話、要約筆記の文字情報により一定期間提供している。これに加え、会議資料を当日の会議開始前に内閣府のホームページに掲載し、また、事後的には、会議の逐語的な議事録及び要点を抜粋した議事要録も掲載している。

なお、障害者政策委員会の運営に当たっては、障害のある委員の参画に資するため、視覚障害者のための資料の点字訳の提供、知的障害者のためのルビを振った資料の提供、聴覚障害者のための手話通訳者の配置、要約筆記の提供、磁気ループの敷設などの配慮を講じている。

イ 内閣府障害者施策ホームページ

内閣府のホームページでは、上記に加えて「障害者白書」を掲載するとともに、「障害者施策関係予算の概要」、「障害者基本計画に基づく『重点施策実施5か年計画』の進ちょく状況」、「都道府県・指定都市における障害者施策関係単独事業の実施状況」等について毎年調査し、公表している。また、障害者施策に関する資料、基礎データ、調査、「心の輪を広げる体験作文・障害者週間のポスター」作品集など意識啓発に関する情報などを掲載している。

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