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第6章 日々の暮らしの基盤づくり

第1節 生活安定のための施策

2.在宅サービス等の充実

(1)在宅サービスの充実

障害のある人が地域で普通に暮らしていくためには、在宅で必要な支援を受けられることが前提となる。このため、「障害者総合支援法」においては、利用者の実態に応じた支援を行う観点から、利用者像やサービスの提供形態に応じ、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護及び重度障害者等包括支援を実施している。

居宅介護…入浴等の介護や調理等の家事の援助等を短時間集中的に行うサービス

重度訪問介護…常時介護を要する身体に重度の障害のある人、知的障害者若しくは精神障害により、行動上著しい困難を有する障害のある人に対し、入浴等の介護や調理等の家事の援助等のほか、日常生活に生じる様々な介護の事態に対応するための見守り等の支援や外出時における移動中の介護を、長時間行うサービス

同行援護…重度の視覚障害のある人に対し、外出時において同行し、移動に必要な情報を提供するほか、移動に必要な支援等を行うサービス

行動援護…知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有する障害のある人に対し、居宅内や外出時における危険を伴う行動を予防又は回避するために必要な支援等を行うサービス

重度障害者等包括支援…著しく重度の障害のある人の様々なニーズに応えて、円滑にサービス利用が可能となるよう、利用者のその時々の心身の状態等に応じて必要となる複数の障害福祉サービスを組み合わせて、包括的に提供するサービス

これらの居宅介護に加え、自宅で介護する人が病気の場合などに、短時間、夜間も含めて施設において入浴等の介護を行うサービスである短期入所も行っている。

(2)住居の確保

ア 福祉施策における住居の確保支援

障害のある人が地域で安心して暮らすことができるよう、単身での生活が困難な障害のある人が共同して自立した生活を営む場として、共同生活援助(グループホーム)を位置づけているところである。グループホームでは、金銭管理や相談等の支援、また、必要な人に対しては食事や入浴等の介護を行うこととしている。その利用者については、それまで知的障害のある人や精神障害のある人としてきたところであるが、平成21年10月からは身体障害のある人も利用することができることとした。

地域生活支援事業における相談支援事業に住宅入居等支援事業(居住サポート事業)を位置づけ、公的賃貸住宅及び民間賃貸住宅への入居を希望する障害のある人に対して、不動産業者に対する物件のあっせん依頼及び家主等との入居契約手続等といった入居支援や、居住後のサポート体制の調整をしている。また、障害のある人が地域の中で生活することができるように、低額な料金で居室などを利用する福祉ホーム事業を実施している。

なお、従来は、介護が必要な人が利用するケアホームと介護は必要ない人が利用するグループホームに分かれていたが、今後、障害者の高齢化・重度化が進展し、介護が必要な障害者のグループホームの新規入居や、グループホーム入居後に介護が必要となるケースが増加することが見込まれることから、平成26年度の「障害者総合支援法」の施行により、ケアホームをグループホームに一元化し、グループホームとして介護を提供する「介護サービス包括型」と外部の受託居宅介護サービス事業者を活用した「外部サービス利用型」の2類型とした。また、一定条件下で一般のアパート等の一室を活用する「サテライト型住居」の創設等によってより柔軟なサービス提供を可能とした。

図表6-11 グループホームの事業運営イメージ
イ 住宅施策における住宅の確保支援

障害のある人等の住宅の確保に特に配慮を要する人の居住の安定を確保することは、「住生活基本法」の基本理念の一つであり、その理念に則り賃貸住宅の供給促進に関する基本事項等を定めた「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」に基づき、以下の通り公営住宅やそれを補完する公的賃貸住宅の的確な供給及び民間賃貸住宅への円滑な入居の支援等の各種施策を一体的に推進している。

<1> 障害のある人に配慮した公的賃貸住宅の供給

公的賃貸住宅は、障害のある人の心身の状況、その他の配慮を必要とする事情を勘案し、以下のように供給されている。

公営住宅においては、入居者の募集・選考に際し、障害のある人を含む世帯は特に住宅困窮度が高いものとして、地方公共団体の裁量により一定の上限の下、入居者の収入基準を緩和するとともに、当選率の優遇、別枠選考等の措置を講じている。

地域優良賃貸住宅制度においては、民間事業者等に対し、整備費及び家賃減額のための助成を行い、障害のある人を含む世帯等を対象とした良質な賃貸住宅の供給を促進している。本制度においては、障害のある人を含む世帯について地方公共団体の裁量により別枠選考等の措置ができるものとしている。

また、独立行政法人都市再生機構賃貸住宅(以下、「都市再生機構賃貸住宅」)においては、障害のある人を含む世帯に対して、入居者の収入基準の緩和、1階又はエレベーター停止階への住宅変更、新規賃貸住宅募集時の当選倍率の優遇等の措置を講じている。

<2> 民間賃貸住宅への円滑な入居の促進

障害のある人を含む世帯等の民間賃貸住宅への円滑な入居を促進するため、地方公共団体、不動産関係団体、居住支援団体等が組織する居住支援協議会が相談・情報提供等、地域の実情に応じた活動を行っているところであり、これらの取組みに対する支援を実施している。

また、一般財団法人高齢者住宅財団が実施する家賃債務保証制度の活用を推進し、障害のある人を含む世帯等の民間賃貸住宅への円滑な入居を支援している。なお、家賃債務に加え、原状回復や訴訟に要する費用も保証の対象にしている。

ウ 住宅施策と福祉施策との連携

公的賃貸住宅の整備に際して、障害のある人の生活に関連したサービスを備えた住宅を整備するため、障害者福祉施設との一体的な整備を推進するとともに、障害のある人を対象とした住まいづくり・まちづくりに関する先導的な取組についても支援している。

公営住宅については、障害のある人の共同生活を支援することを目的とするグループホーム事業へ活用することができることとしており、公営住宅等を障害のある人向けのグループホームとして利用するための改良工事費について支援している。

また、生活支援サービス付き公営住宅(シルバーハウジング)については、住宅施策と福祉施策の密接な連携の下に供給されているところであり、地方公共団体の長が特に必要と認める場合に、障害のある人を含む世帯の入居を可能とし、その居住の安定を図っている。

民間賃貸住宅については、居住支援協議会を活用し、障害のある人を含む世帯等の民間賃貸住宅への円滑な入居を支援している。

また、住宅市街地総合整備事業、優良建築物等整備事業、市街地再開発事業等において、デイサービスセンター、保育所等の社会福祉施設等を整備する場合、一定の条件を満たすものに対し建築主体工事費の一部を補助対象とし、障害のある人等の生活しやすい市街地環境の形成を図っている。

(住宅については、「第7章 住みよい環境の基盤づくり 第1節 障害のある人の住みよいまちづくりと安全・安心のための施策」も参照。)

(3)自立及び社会参加の促進

障害のある人が社会の構成員として地域で共に生活することができるようにするとともに、その生活の質的向上が図られるよう、生活訓練、コミュニケーション手段の確保等の施策を行っている。

平成18年10月から、市町村及び都道府県が創意工夫によって地域の特性や利用者の状況に応じて柔軟に事業を行う地域生活支援事業を実施し、障害のある人の社会参加と自立支援を推進している。

なお、「身体障害者補助犬法」により、身体に障害のある人が公共的施設や不特定かつ多数の者が利用する施設等を利用する場合において、身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬及び聴導犬)の同伴が可能となった。さらに、平成19年度に「身体障害者補助犬法の一部を改正する法律」が成立し、平成20年4月から、都道府県等が苦情の申し出等に関する対応をすることが明確化され、同年10月から、一定規模以上の事業所や事務所において、勤務する身体障害者が補助犬を使用することを拒んではならないこととされている。

また、都道府県地域生活支援事業において、身体障害者補助犬育成事業が実施されている。

国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局においては、視覚に障害のある人を対象に、日常生活や社会活動に必要な訓練(歩行、点字、パソコン、調理、ロービジョン(保有視覚機能を最大限に活用するための訓練)等)の実施や、重度の肢体不自由のある人を対象に、医学的管理の下に日常生活に必要な機能回復訓練、日常生活動作訓練、職能訓練等を実施し、より充実した社会生活を円滑に送ることを目的とした自立訓練(機能訓練)を行っている。

また、高次脳機能障害のある人が、職場や家庭で自立して生活する力を身につけるための日常生活訓練や記憶障害等の代償手段の獲得のため、メモリーノート等を活用した訓練等を実施し、日常生活や社会生活に必要な力を高めることを目的とした自立訓練(生活訓練)を行っている。

その他、重度の知的障害のある児童を対象としている秩父学園においては、基本的生活習慣の確立や情緒の安定を図ることを目的とした施設支援の他、自閉症等の特有の発達障害を有する在宅の児童に対し、「通園療育指導事業」及び「発達障害児等家族短期入所事業」等を実施するとともに、発達障害の可能性のある2歳前後の子供と家族を支援する「地域子育て支援拠点型事業」を新たに実施している。

(4)発達障害児・者施策の充実

ア 「発達障害者支援法」の概要

<1> 法律の趣旨

発達障害のある人については、症状の発現後できるだけ早期の発達支援が特に重要であることから、発達障害を早期に発見し、発達支援を行うことに関する国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、発達障害のある人に対し学校教育等における支援を図る。

<2> 主な内容

  • 発達障害の定義
     「発達障害者支援法」における「発達障害」とは、「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」とされている。発達障害の定義が明らかになったことにより支援の対象が明確になった。
  • ライフステージを通した一貫した支援
     「発達障害者支援法」では、「国及び地方公共団体は、発達障害のある児童に対し、発達障害の症状の発現後できるだけ早期に、その者の状況に応じて適切に、就学前の発達支援、学校における発達支援その他の発達支援が行われるとともに、発達障害のある人に対する就労、地域における生活等に関する支援及び発達障害のある人の家族に対する支援が行われるよう、必要な措置を講じるもの」とされている。児童の発達障害の早期発見、早期の発達支援、保育、教育、放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の利用、就労支援、地域での生活支援、権利擁護及び家族への支援など、発達障害のある人のライフステージにおける一貫した支援の流れが明確にされるとともに、これにかかる国や地方公共団体の責務が明らかにされた。
  • 関係機関の連携
     「発達障害者支援法」では、「国及び地方公共団体は、発達障害者の支援等の施策を講じるに当たっては、医療、保健、福祉、教育及び労働に関する業務を担当する部局の相互の緊密な連携を確保するとともに、犯罪等により発達障害者が被害を受けること等を防止するため、これらの部局と消費生活に関する業務を担当する部局その他の関係機関との必要な協力体制の整備を行うもの」とされている。発達障害のある人の地域におけるライフステージを通した一貫した支援を行うために、多岐にわたる関係機関の連携やネットワークを構築して発達障害のある人への支援体制を構築することが必要である。
  • 理解の促進
     発達障害のある人の福祉についての理解、発達障害のある人の社会参加への協力が国民の責務とされている。また、国及び地方公共団体は、発達障害に関する国民の理解を深めるため、必要な広報その他の啓発活動を行うものとされている。
  • 専門家の養成等
     専門的な医療機関の確保、専門的知識を有する人材の確保、調査研究等が定められている。
イ 発達障害者支援の推進

<1> 発達障害者支援の体制整備

「発達障害者支援法」の施行を踏まえ、厚生労働省においては、平成17年度から、発達障害のある人の乳幼児期より成人期までの各ライフステージに対応する一貫した支援体制の整備を図るため、「発達障害者支援体制整備事業」を実施しており、平成25年度から、地域生活支援事業に「発達障害者支援体制整備」として位置付けている。

具体的には、(1)各ライフステージに対応する一貫した支援を行うための関係機関のネットワークの構築、(2)発達障害に係る理解を深めるとともに地域における支援につなげていくためのアセスメントツール(発達障害を早期発見し、その後の経過を評価するための確認票)の導入を促進する研修会の実施、(3)発達障害のある子供を育てた親がその経験を活かし、子供が発達障害の診断を受けて間もない親などに対して相談や助言を行うペアレントメンターの活動の推進や、その活動をコーディネートする者の配置、(4)家族対応力の向上を支援するペアレントトレーニングや当事者の適応力の向上を支援するソーシャル・スキル・トレーニング(SST)の普及の推進、(5)市町村や事業所への支援、医療機関との連携や困難ケースへの対応などを行う発達障害者地域支援マネジャーの発達障害者支援センターへの配置などを行い、地域における発達障害者に対する支援体制の充実を図っている。

<2> 発達障害者支援センター運営事業

厚生労働省においては、発達障害者及びその家族等に対して相談支援、発達支援、就労支援及び情報提供などを行う「発達障害者支援センター」の整備を図ってきたところであり、平成24年度までに全67都道府県・指定都市に設置された。

図表6-12 福祉・教育等の連携による発達障害への支援
図表6-13 発達障害者支援センター運営事業

<3> 支援手法の開発と情報発信

平成19年度から、発達障害のある人やその家族、関係者等に対する支援方策をモデル事業として実施し、有効な支援手法の開発を行う「発達障害児者支援開発事業」を実施するとともに、また、国立障害者リハビリテーションセンターに「発達障害情報・支援センター」を設置し、発達障害に関して一般の方への啓発を行うとともに、発達障害者支援に必要な国内外の情報や最新の研究成果等を集約し、発達障害のある人やその家族、及び支援関係者等に役立つ情報について、ホームページなどを通じて発信している。

<4> 発達障害の早期支援

平成23年度から、発達障害等に関して知識を有する専門員が保育所等を巡回し、施設の職員や親に対し、障害の早期発見・早期対応のための助言などの支援を行う「巡回支援専門員」の派遣に対し財政支援を行い、地域における発達障害者に対する支援体制の充実を図っている。

(5)各種障害への対応

ア 盲ろう者への対応

盲ろう者とは、「視覚と聴覚に障害がある者」であり、全盲ろう、盲難聴、弱視ろう、弱視難聴の4つのタイプがある。社会福祉法人全国盲ろう者協会の「盲ろう者に関する実態調査(平成25年3月)」によると、盲ろう者は、約1万4,000人と推計されている。

盲ろう者は、その障害の程度や生育歴等により、コミュニケーション方法も触手話、指文字、指点字、手書き文字など多様な方法があり、コミュニケーションの保障や情報入手、移動の支援が重要である。

平成25年度から、障害者総合支援法の地域生活支援事業においては、盲ろう者の自立と社会参加を図るため、コミュニケーションや移動の支援を行う「盲ろう者向け通訳・介助員養成研修事業」及び「盲ろう者向け通訳・介助員派遣事業」について、都道府県の必須事業として実施している。

平成27年度からは「盲ろう者向けパソコン指導者養成研修事業」等を実施するなど、盲ろう者に対するコミュニケーション支援等の充実を図っている。

また、コミュニケーション手段の確保、外出のための移動支援など、社会参加を促進するためのサービス支援の人材確保や派遣事業等を引き続き充実していくことが必要であり、国立障害者リハビリテーションセンターにおいて、盲ろう者向け通訳・介助員の養成研修を行う指導者の研修を実施し、サービス支援の人材育成を行っている。

また、国立障害者リハビリテーションセンター等で作成した、生活訓練等マニュアルを基に地域の施設において生活訓練等を実施しており、今後も継続して盲ろう者の地域における生活訓練のあり方について検討を行うこととしている。

イ 強度行動障害への対応

強度行動障害とは、周囲の不適切な対応や環境の影響等により、激しいひどい自傷、強い他害、著しいこだわりや器物破損、睡眠の大きな乱れのほか、拒食、異食や、強迫的な排尿排便の繰り返しなど、生命維持にも支障を来すような行動上の問題があり、著しく支援の困難なものをいい、行動障害の軽減を目的として障害児入所施設等の指定施設において適切な支援と環境の提供を行うために「強度行動障害児特別支援加算」等による支援が行われている。

「強度行動障害児特別支援加算」は、児童相談所、知的障害者更生相談所、福祉事務所等の関係機関と連携を取りながら個別プログラムに基づき3年以内を目処として実施されており、障害の軽減が図られた場合、施設内の一般の居住棟や他施設への移行あるいは退所する等によって終了する。

さらに、強度行動障害のある人に対する支援を適切に行う者を養成する「強度行動障害支援者養成研修」を創設するとともに、平成27年度障害福祉サービス等報酬改定において強度行動障害支援者養成研修修了者を報酬上評価すること等により、強度行動障害のある人に対する支援の充実を図っている。

ウ 難病患者等への対応

平成24年度までは、難病患者等の居宅における療養生活を支援するため、要介護の状況にありながら「障害者自立支援法」等の施策の対象とならない等の要件を満たす難病患者等を対象として、市町村等を事業主体として、難病患者等居宅生活支援事業を実施していた。

また、平成25年4月から施行された「障害者総合支援法」においては、障害者の定義に難病患者等を追加して障害福祉サービス等の対象とし、新たに対象となる難病患者等は、身体障害者手帳の所持の有無にかかわらず、必要に応じて障害程度区分(平成26年4月からは障害支援区分)の認定などの手続きを経た上で、市区町村において必要と認められた障害福祉サービス等(障害児にあっては、児童福祉法に基づく障害児支援)が利用できることとなった。また、「障害者総合支援法」における難病等の範囲については、当面の措置として、難病患者等居宅生活支援事業の対象となっていた130疾病を対象としていたが、難病医療費助成の対象となる指定難病の検討等を踏まえ、対象疾病の検討を行い、151疾病に拡大した(平成27年1月1日施行)。今後、さらに、指定難病の検討等を踏まえて、平成27年夏を目処に約300疾病に拡大することとしている。

シルバーハウジング・プロジェクトとは?

住宅部局と福祉部局が連携することにより、公営住宅等について、手すり・緊急通報装置の設置等の高齢者の安全や利便に配慮した設備・仕様とし、併せてデイサービスセンター等福祉施設との併設、又はライフサポートアドバイザーの配置により生活を支援しています。入居者は高齢者世帯ですが、事業主体の長が特に必要と認める場合に限り、以下の障害者世帯についても対象とすることとしています。

  • 障害者単身世帯
  • 障害者のみの世帯
  • 障害者とその配偶者のみからなる世帯
  • 障害者と高齢者(60歳以上)又は高齢者夫婦(夫婦のいずれか一方が60歳以上であれば足りる。)のみからなる世帯
概念図

発達障害の早期発見・早期支援に向けた取組

自閉症を含む発達障害は、できる限り早期に発見し、適切な支援につなげていくことが重要です。1歳6か月及び3歳児を対象とした健康診査で発達障害の早期発見に留意するだけでなく、身近な保護者の方や周囲の方が正確な知識を基に早い時期から気付くことなども重要であり、今日、発達障害の早期発見・早期支援に向けた様々な取組が行われています。

◯発達障害情報・支援センター

発達障害は、「どのような能力に障害があるのか」「どの程度の障害なのか」「どのような支援があれば能力が発揮できるのか」等が周りから見て理解されにくいこと、誤った情報によって不適切な対応を受けることがあること等から、社会参加について様々な困難さを抱えています。このような状況を踏まえて、厚生労働省では国立障害者リハビリテーションセンターに発達障害情報・支援センターを設置し、発達障害情報・支援センター WEBサイト :http://www.rehab.go.jp/ddis/ を通して、本人・家族の方、発達障害を知りたい方、発達障害に関わる方(支援者)に対して、発達障害の気付き方や相談窓口などの情報提供及び普及・啓発活動を行っています。

発達障害に関する信頼のおける情報を分りやすく提供することによって、保護者や周囲の人が早い時期から気付き、本人が適切な理解と支援を速やかに受けられるようになることを目指しています。

◯民間団体との協力

発達障害のある人一人一人に合わせた支援を提供するためには、様々な機関の役割分担や協力が必要となっており、民間団体と行政との協力も重要な課題となっています。このため、先進的な支援手法の開発とその検証を行う「発達障害者支援開発事業」におけるモデル事業の実施を社会福祉法人や特定非営利活動法人等にも委託できることとし、民間団体との協力体制を整備しています。

例えば、同事業において、佐賀県の「特定非営利活動法人それいゆ」は、これまで行政の施策としては十分ではなかった親同士の支え合いを行う「ペアレントメンター(信頼のおける相談相手という意味)」の養成に取り組んでいます。ペアレントメンターは、特に、診断前後の親に対して専門家とは別の役割を担い、例えば、同じ親として話を聞くことや共感すること、地域の情報を提供することによって、様々な疑問や不安に応えることを目指しています。このような取組を国としても十分に検証し、支援手段として確立させ、発達障害情報センターを通して全国に普及を図ることとしています。

◯地方公共団体での多様な取組

発達障害の中には、注意欠陥多動性障害など、3歳児の健康診査の後に、保育所などの集団生活のなかで問題が明らかとなる場合があります。このため、保育所などにおいて的確に気付き、保健指導につなげていくことが重要となりますが、一部の地方公共団体では、5歳児を対象とした健康診査などを実施しているところもあります。鳥取県では、平成19年度からすべての市町村において5歳児健康診査あるいは5歳児発達相談が行われています。

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