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第7章 住みよい環境の基盤づくり

第2節 障害のある人の情報アクセシビリティを向上するための施策

1.情報バリアフリーアクセシビリティの向上

(1)総合的な支援

地域生活支援事業においては、障害のある人の情報通信技術の利用・活用の機会の拡大を図るため、IT関連施策の総合サービス拠点となる障害者ITサポートセンターの運営(26都府県:平成25年度末時点)や、パソコンボランティア養成・派遣等が実施されている。

(2)障害のある人に配慮した機器・システムの研究開発

情報通信の活用によるメリットを十分に享受するためには、障害のある人を含めだれもが、自由に情報の発信やアクセスができる社会を構築していく必要がある。

障害のある人の利用に配慮した情報通信機器・システムの研究開発の推進に当たっては、その公益性・社会的有用性が極めて高いにもかかわらず、収益性の低い分野であることから、国立研究機関等における研究開発体制の整備及び研究開発の推進を図るとともに、民間事業者等が行う研究開発に対する支援を行うことが重要である。

総務省では、高齢者や障害のある人の生活支援などに寄与するため、脳の仕組みを活かし、日常生活における行動・コミュニケーション支援を可能とする技術の研究開発を実施している。平成26年度については、これまで開発を進めてきた技術を統合し、ネットワーク型ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の基盤技術を確立した。

また、家電メーカーにおいては、ユニバーサルデザイン配慮家電製品として、障害者・高齢者に配慮した家電製品の開発・製造に努めるとともに、障害のある人や高齢者が携帯電話を購入する際に目安とすることができるチェックリストの策定を行った。

(3)障害のある人の利用に配慮したシステムの普及

ア アクセシビリティ指針の策定

近年、補聴器の小型化・高性能化の開発は目覚ましいものがあり、屋外等の離れた場所からでも、距離や周囲の騒音の影響を受けずに聞き取ることができる電波を利用した補聴援助システム(ワイヤレス補聴器)についての需要が高まっている。

また、特別支援学校等の教育の場においても、幼児児童生徒の耳元に教師及び他の生徒の声を確実に届け、スムーズな会話を行うことのできるシステムが望まれている。また、日常生活で補聴器を利用している難聴者にあっても、講演などの場において講師の声がスムーズに聞くことのできるシステムが求められている。

こうしたことから、個人や集団で使用する電波を利用した補聴援助システムについて、制度化を図った。

イ JIS及び国際標準化の推進

平成18年までに、情報アクセシビリティのJIS(日本工業規格)であるJIS X8341シリーズ「高齢者・障害者等配慮設計指針-情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス」5部門(「共通指針」、「情報処理装置」、「ウェブコンテンツ」、「電気通信機器」、「事務機器」)の制定を完了した。

国内の規格開発と並行し、国際的な情報アクセシビリティのガイドライン共通化を図るため、JIS X8341シリーズのうち、「共通指針」、「情報処理装置」、及び「事務機器」について、ISO(国際標準化機構)へ提案を行い、平成24年までにそれぞれ国際規格が制定された。

図表7-12 アクセシビリティに関する規格体系

また、国際規格等の動向にあわせ、「共通指針」及び「ウェブコンテンツ」に関するJISについて平成22年に改正が行われたとともに、JIS X8341シリーズとして「アクセシビリティ設定」を平成23年に、「対話ソフトウェア」を平成25年に制定した。

電気通信機器のアクセシビリティに関するJISについては、国際規格等の動向にあわせ、平成24年に改正された。

(4)ホームページ等のバリアフリー化の推進

各府省は、高齢者や障害のある人を含めたすべての人々の利用しやすいものとするため、ウェブコンテンツ(掲載情報)に関する日本工業規格(JIS X 8341-3)を踏まえ、ホームページにおける行政情報の電子的提供の充実に努めている。

総務省では、高齢者や障害のある人を含むすべての人が地方公共団体のホームページ等を利用することができるよう、ウェブアクセシビリティ維持・向上のための手引き書となる「みんなの公共サイト運用モデル」を平成17年度に策定しており、平成22年8月に「ウェブコンテンツ」に関するJISの改正が行われたこと等を受け、平成22年度に本運用モデルの改訂を行った。

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