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第3章 相互の理解と交流

1 啓発・広報等

第3次障害者基本計画の掲げる「共生社会」の実現を図るため、その理念の普及を図るとともに、障害及び障害のある人に関する国民の理解を促進し、あわせて、障害のある人への配慮等について国民の協力を得るため、幅広い国民の参加による啓発・広報活動を推進することとしている。

【主な施策等】

  1. (1) 全国の小・中学生等から、障害のある人とのふれあい体験をつづった「心の輪を広げる体験作文」及び「障害者週間のポスター」の募集を「心の輪を広げる障害者理解促進事業」として実施。入賞作品集を作成し、全国の小・中・高等学校等に配布する等して、障害のある人への理解促進を図った。
  2. (2) 平成27年度の「障害者週間」行事については、東京を中心に各地において、多彩な行事を実施。
    東京では、12月3日に「障害者フォーラム2015」を開催し、「心の輪を広げる体験作文」及び「障害者週間のポスター」の最優秀作品の内閣総理大臣表彰及び「いよいよ施行!障害者差別解消法」をテーマにパネルディスカッションを行った。また、障害のある人に関する様々なテーマについて関係団体等が交替で連続して行う「障害者週間連続セミナー」を開催し、講演やパネルディスカッション等を実施。このほか、「障害者週間のポスター」等の原画展を東京で開催したほか、国、地方公共団体、民間の関係団体等において、地方運輸局等におけるバリアフリー教室等をはじめとして、それぞれ独自の行事や啓発・広報活動を積極的に実施。
  3. (3) 9月1日から30日までの「障害者雇用支援月間」、10月26日から11月1日までの「第63回精神保健福祉普及運動」、12月4日から10日までの「人権週間」における障害のある人に対する偏見や差別を解消するための啓発・広報活動を展開。
  4. (4) 4月2日の「世界自閉症啓発デー」4月2日から8日までの「発達障害啓発週間」においては、厚生労働省や全国の地方公共団体や関係団体等により様々な啓発活動を実施。
  5. (5) 障害のある人を含む全ての人が安全で快適な社会生活を送ることができるよう、ハード、ソフト両面のバリアフリー・ユニバーサルデザインを効果的かつ総合的に推進する観点から、その推進について顕著な功績又は功労のあった個人・団体に対して、内閣総理大臣表彰等を実施。平成27年度においては、5団体を表彰。
  6. (6) 障害者政策委員会について、毎回の会議の開始から終了までの全状況をインターネットによるオンデマンド配信として、動画、音声、手話及び要約筆記の文字情報により一定期間配信。会議資料も当日の会議開始前に内閣府のホームページに掲載。
  7. (7) 警察では、警察学校や警察署等の職場において、新たに採用された警察職員に対する採用時教育の段階から、障害者施設への訪問実習、有識者による講話等、障害のある人の特性や障害に配慮したコミュニケーション等への理解を深めるための研修を実施。
  8. (8) 刑務所等矯正施設に勤務する職員に対しては、矯正研修所及び全国8か所の矯正研修所支所において、各種研修を行っているが、その中では、人権擁護、精神医学などの科目を設けて適切な対応の仕方について講義しているほか、社会福祉施設における介護等体験実習を実施するなどし、障害のある人に対する理解を促進。
  9. (9) 法務省の人権擁護機関では、国家公務員や都道府県及び市区町村の人権啓発行政に携わる職員を対象とした研修の中で、障害のある人の人権問題を含む各種人権問題への理解と配慮の必要性を訴えている。
  10. (10) 日本司法支援センター(法テラス)では、全国の地方事務所において、障害者疑似体験実習を実施し、職員の対応や事務所の環境の改善につなげる等の取組を実施。また、法テラス本部において、全国の職員が参加する研修で、障害のある人への支援の方法や、利用者の立場を理解した対応方法等の知識を習得させている。
  11. (11) 内閣府では、社会活動の中心的担い手となるリーダーを育成する「青年社会活動コアリーダー育成プログラム」を実施。平成27年度は、障害者関連分野において、日本青年8名を英国に派遣するとともに、ドイツ、英国及びオーストリアの青年リーダー計13名を日本に招へい。

2 国際的な取組

福祉、保健・医療、教育、雇用等の広範な分野にわたる障害者施策について、我が国が蓄積してきた技術・経験などを政府開発援助(ODA)などを通じて開発途上国の障害者施策に役立てることは、極めて有効かつ重要である。このため、協力を行うに当たり、対象国の実態や要請内容を十分把握し、その国の文化を尊重しながら我が国は、密接な政策対話を通じ、対象国と我が国の双方が納得いく協力を行うよう努めている。

【主な施策等】

  1. (1) 有償資金協力では、鉄道建設、空港建設等においてバリアフリー化を図った設計を行う等、障害のある人の利用に配慮した協力を実施。平成27年度は、12件の障害者配慮に関連した事業計画への援助を決定。
  2. (2) 無償資金協力においても、障害のある人の利用に配慮した協力を行うとともに、障害のある人のためのリハビリテーション施設や職業訓練施設の整備、移動用ミニバスの供与等、多くの協力を実施。平成27年度は、草の根・人間の安全保障無償資金協力により44件の障害者関連援助をNGO・教育機関・地方公共団体等に対し実施したほか、日本NGO連携無償資金協力により、9件の障害者支援関連事業を実施。
  3. (3) 技術協力では、独立行政法人国際協力機構(JICA)を通じて、障害のある人の参加を支援するため、研修員の受入れや専門家及びJICAボランティアの派遣など幅広い協力を実施。
  4. (4) 国連等国際機関を通じた協力では、国連障害者基金に対して継続的な拠出を行っており、平成26年度には約1万ドルを拠出した。アジア太平洋地域への協力は、国連アジア太平洋経済社会委員会(ESCAP)に対し、日本エスカップ協力基金(JECF)を通じた活動支援を実施しており、平成27年には、障害者に配慮した防災マニュアルの作成について5万ドルの支援を実施。

 

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