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第2章 障害者権利条約批准後の動き

障害者権利条約締結に至る経緯について

「障害者の権利に関する条約」、いわゆる「障害者権利条約」は、平成18(2006)年12月、第61回国連総会本会議においてコンセンサス採択され、平成20(2008)年5月に発効した障害者に関する初めての国際約束である。平成28(2016)年3月1日現在、締約国・地域・機関数は162となっている。

障害者権利条約は、障害者の人権や基本的自由の享有を確保し、障害者の固有の尊厳の尊重を促進するため、障害者の権利の実現のための措置等を規定し、市民的・政治的権利、教育・保健・労働・雇用の権利、社会保障、余暇活動へのアクセスなど、様々な分野における取組を締約国に対して求めている。我が国は、本条約の起草段階から積極的に参加するとともに、平成19(2007)年9月28日、同条約に署名した。

日本国内では、条約の締結に先立ち、国内法の整備をはじめとする諸改革を進めるべきとの障害当事者等の意見も踏まえ、政府は平成21(2009)年12月、内閣総理大臣を本部長、全閣僚をメンバーとする「障がい者制度改革推進本部」を設置し、集中的に国内制度改革を進めていくこととした。これを受け、障害者基本法の改正(平成23(2011)年8月)、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援する法律(以下「障害者総合支援法」という。)の成立(平成24(2012)年6月)、障害者差別解消法の成立及び障害者雇用促進法の改正(平成25(2013)年6月)など、様々な法制度整備が行われた。

これらの法整備等により一とおりの国内の障害者制度の充実がなされたことから、平成25(2013)年10月、条約締結に向けた国会での議論が始まり、同年11月19日の衆議院本会議、12月4日の参議院本会議において、全会一致で障害者権利条約の締結が承認され、平成26(2014)年1月20日、日本は障害者権利条約の批准書を国連に寄託、同年2月19日に我が国について発効した。

図表9 条約の成立から締結までの日本の取組

1 締約国会議への参加

障害者権利条約締結後、我が国は、人権尊重についての国際協力を推進すべく、平成26(2014)年6月に国連本部で開催された第7回締約国会議に、締約国として初めて出席した。「条約の実施に関する事項を検討する」(条約第40条)ことを目的とする同会議には、我が国の障害当事者も政府代表団のメンバーとして参加し、我が国の監視の枠組みや障害者インクルーシブな防災の取組等につき紹介した。

また、平成27(2015)年6月の第8回締約国会議は、「ポスト2015年開発アジェンダにおける障害者の権利の主流化」のテーマにつき議論が行われ、我が国からは、持続可能な開発のために人間の安全保障に立脚した包摂的なアプローチが不可欠であり、同年3月に仙台で開催した第3回国連防災世界会議における障害者の参画を得た形での防災への取組について発言した。

2 条約の国内周知(条約広報パンフレット)

障害者権利条約は、条約第8条「意識の向上」の中で、「効果的な公衆の意識の啓発活動」を含め、「障害者に関する社会全体の意識を向上させること」を規定している。条約の内容等について国内周知を図るため、外務省ホームページやフェイスブック等を用いた情報発信の他、条約の趣旨、成立経緯、我が国の取組、条約の主な内容、条約全文等について取りまとめた広報パンフレットを作成し、障害者関係団体や人権擁護局支部に加え、全国都道府県、政令指定都市に送付の上、市町村への配布を依頼し、国民の理解促進のための広報活動を実施した。また、外務省ホームページに全内容を掲載するとともに、点字データ、音声データもダウンロード可能となっている。(詳細については外務省ホームページ 別ウィンドウで開きますを参照。)

3 政府報告の作成 

(1) 条約第35条に基づく政府報告提出義務について(国際的な監視)

障害者権利条約では、各締約国が、「条約に基づく義務を履行するためにとった措置及びこれらの措置によりもたらされた進歩に関する包括的な報告」を国連に設置されている「障害者の権利に関する委員会(以下「障害者権利委員会」という。)」に提出することを定めている(条約第35条)。特に、初回の報告については、条約発効後2年以内に、それ以降は少なくとも4年毎に報告を提出することが求められている。また、報告作成に当たっては、公開された透明性のある過程を踏むことを検討することが求められている。

締約国が報告を提出した後、同報告は、障害者権利条約の実施に関する国際的監視の枠組みといえる障害者権利委員会によって検討され、提案や勧告が行われることとなっている(条約第36条)。

なお、障害者権利委員会は、締約国から選ばれた18人の独立した専門家(任期4年)から構成される機関であり,締約国の報告の検討の他、報告に適用される指針を決定したり、他の専門機関等と連携し、条約の効果的な促進を図ることをその役割としている。委員の選出に当たっては、障害のある専門家が参加することを考慮に入れることとされており、現在の委員の大半は障害当事者によって構成されている。

我が国においても、条約の規定に従い、条約の実施状況に係る最初の政府報告を障害者権利委員会に提出することが求められている。初回報告の作成に当たっては、国連の障害者権利条約政府報告ガイドライン等を基に障害者政策委員会(以下「政策委員会」という。)の意見も踏まえ作成した骨子に従い、関係省庁の取組や見解を取りまとめるだけでなく、我が国の障害者施策の根幹をなす障害者基本計画を通じた本条約の実施に関する政策委員会における議論やパブリックコメントを踏まえて準備を進めた。

■ 図表10 障害者権利条約第1回政府報告の骨子(障害者政策委員会での意見を踏まえて作成したもの)
項目 (報告書作成における)留意点
第1部 総論
1 条約締結に至る経緯 事実関係を記載
2 我が国に関する基本的情報 「共通コア文書」を参照するよう記載
3 条約上の権利の実現のための政策,戦略,国内の法的枠組み,障害者差別に関する包括的な枠組み 障がい者制度改革推進本部他経緯説明
障害者基本法,障害者基本計画,障害者総合支援法,障害者差別解消法,障害者雇用促進法に関して記載。
4 条約上の権利実現のための資源及び費用対効果の高い方法の追求 障害者施策予算
第2部 各論
第1条 目的 障害者の定義(障害者基本法第2条)
第2条 定義 憲法第14条第1項について記載
「障害に基づく差別」「合理的配慮」について記載(障害者基本法,障害者差別解消法)。
「ユニバーサルデザイン」について記載
(バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進要綱)。
第3条 一般原則 条文の項目に沿って,憲法,障害者基本法,障害者差別解消法,障害者総合支援法,教育基本法等の該当部分に関連付けて記載。
第4条 一般的義務 憲法,障害者基本法,障害者差別解消法,障害者基本計画,福祉用具法,バリアフリー法等の該当部分に関連付けて記載。後述の条文ごとの説明と重複する場合は,その条文を引用。
特に同条3の障害者の意思決定過程への関与(障害者政策委員会,地方自治体の合議制の機関等)について記述。
第5条 平等及び無差別 第2条と同様に記載
第6条 障害のある女子 障害のある女子の複合的な差別と平等,能力開発等について,憲法第11条,障害者基本法,男女共同参画社会基本法等の該当部分に関連付けて記載。
特に複合的な差別の実態及びその救済方法に関連付けて記述。
第7条 障害のある児童 障害のある児童の平等,最善の利益,自己の意思表明等について,憲法第13条,障害者基本法,児童福祉法,学校教育法,特別支援学校学習指導要領等の該当部分に関連付けて記載。
特に被害を受けやすいとされる障害のある児童の権利が侵害された場合の救済方法について記述。
第8条 意識の向上  条文の項目に沿って,障害者基本法,障害者基本計画,人権教育・人権啓発推進法,障害者雇用促進法(アビリンピック),学習指導要領の該当部分に関連付けて記載。
具体的な広報活動について記述。
第9条 施設及びサービス等の利用の容易さ 条文の項目に沿って,障害者の物理的環境,輸送機関,情報通信,施設及びサービスの利用機会の確保について,障害者基本法,障害者基本計画,バリアフリー法,放送法,身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律,障害者総合支援法(意思疎通支援事業)等の該当部分に関連付けて記載。
第10条 生命に対する権利 憲法13条,障害者基本法の該当部分に関連付けて記載。
第11条 危険な状況及び人道上の緊急事態 事態対処法,国民保護法,障害者基本法,災害対策基本法,障害者総合支援法,児童福祉法の該当部分に関連付けて記載。
特に災害対策に当たっての障害者に対する配慮の具体的な取組について記載。
第12条 法律の前にひとしく認められる権利 条文の条項に沿って,憲法,民法,障害者総合支援法,知的障害者福祉法,精神保健福祉法の該当部分に関連付けて記載。
特に成年後見人の制度(濫用防止,裁判所による審査等を含む)について詳述し,権利が侵害された場合の救済方法について記述。
第13条 司法手続の利用の機会 条文の項目に沿って,障害者基本法,総合法律支援法,民事訴訟法,刑事訴訟法,犯罪捜査規範,警察教養規則,裁判手続における運用上の配慮・研修等の該当部分に関連付けて記載。
第14条 身体の自由及び安全 条文の項目に沿って,憲法第13条,第14条,第98条第2項,刑事訴訟法,刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律,医療刑務所の扱い,心神喪失者等医療観察法,精神保健福祉法等について該当部分に関連付けて記載
第15条 拷問又は残虐な,非人道的な若しくは品位を傷つける取扱い若しくは刑罰からの自由 条文の項目に沿って,憲法第13条,第14条,第18条,第36条,刑法,刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律の該当部分に関連付けて記載。
第16条 搾取,暴力及び虐待からの自由 条文の項目に沿って,刑法,刑事訴訟法,障害者虐待防止法,障害者総合支援法,児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員,設備及び運営に関する基準,配偶者暴力防止法,売春防止法,児童虐待防止法,法務省設置法,犯罪被害者等基本法等の該当部分に関連付けて記載。
特に権利が侵害された場合の救済方法について記述。
第17条 個人をそのままの状態で保護すること 条文の項目に沿って,憲法第13条,障害者基本法の該当部分に関連付けて記載。
第18条 移動の自由及び国籍についての権利 条文の項目に沿って,国籍法,戸籍法,憲法第22条,出入国管理法の該当部分に関連付けて記載。
第19条 自立した生活及び地域社会への包容 条文の項目に沿って,障害者基本法,障害者基本計画,障害者総合支援法,身体障害者福祉法,知的障害者福祉法,精神保健福祉法,発達障害者支援法,難病法の該当部分に関連付けて記載。
第20条 個人の移動を容易にすること 条文の項目に沿って,障害者基本法,障害者基本計画,障害者総合支援法,身体障害者補助犬法,福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律の該当部分に関連付けて記載
第21条 表現及び意見の自由並びに情報の利用の機会 条文の項目に沿って,憲法21条第1項,障害者基本法(第22条),障害者基本計画,放送法,身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業推進に関する法律等の該当部分に関連付けて記載(第9条の記載と重複する場合はその旨記載)。
手話の促進について障害者基本法第3条他,条例等を含め現状につき記述。
第22条 プライバシーの尊重 条文の項目に沿って,憲法13条,刑法,民法,精神保健福祉法,障害者総合支援法,個人情報保護法の該当部分に関連付けて記述。
特に権利が侵害された場合の救済方法について記述。
第23条 家庭及び家族の尊重 条文の項目に沿って,憲法第24条,民法,母子保健法,母体保護法,児童福祉法,障害者総合支援法等の該当部分につき記載。
第23条4の解釈宣言について記述。
第24条 教育 条文の主要な項目に沿って,憲法26条,教育基本法,教育振興基本計画,障害者基本法,障害者基本計画,学校教育法,学校教育法施行令,学校施設バリアフリー化推進指針,特別支援学校への就学奨励に関する法律,特別支援学校学習指導要領,児童福祉法,職業能力開発推進法等の該当部分に関連付けて記述。
特に制度改正等にともなう事実上の進展(データ等)について積極的に記述。
第25条 健康 条文の項目に沿って,憲法第25条,障害者基本法,障害者基本計画,障害者総合支援法,母子保健法,精神保健福祉法,障害者差別解消法,難病法等の該当部分に関連付けて記載。
第26条 ハビリテーション(適応のための技能の習得)及びリハビリテーション 条文の項目に沿って,障害者基本法,障害者基本計画,障害者雇用促進法,児童福祉法,職業能力開発促進法,福祉用具の研究開発及び普及の促進に関する法律等の該当部分に関連付けて記載。
第27条 労働及び雇用 条文の項目に沿って,憲法第27条第1項,障害者基本法,障害者基本計画,障害者雇用促進法,個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律,職業能力開発促進法等の該当部分に関連付けて記載。
特に制度改革を踏まえた状況の変化,具体的事例,数値等を盛り込み記述。
権利が侵害された場合の救済方法について記述。
第28条 相当な生活水準及び社会的な保障 条文の項目に沿って,憲法第25条第1項,障害者基本法,特別児童扶養手当等の支給に関する法律,障害者総合支援法,障害者雇用促進法,能力開発促進法,公営住宅法等の該当部分に関連付けて記述。
第29条 政治的及び公的活動への参加 条文の項目に沿って,障害者基本法,障害者基本計画,公職選挙法,公職選挙法施行令,地方公共団体の議会の議員及び長の選挙に係る電磁的記録式投票機を用いて行う投票方法等の特例に関する法律,国家公務員法等の該当部分に関連付けて記載。
成年被後見人の選挙権の回復について記述。
第30条 文化的な生活、レクリエーション、余暇及びスポーツへの参加 条文の項目に沿って,障害者基本法,障害者基本計画,バリアフリー法,身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の推進に関する法律,放送法,障害者総合支援法,著作権法,スポーツ基本法,スポーツ基本計画,観光立国推進基本法,文化芸術振興基本法等の該当部分に関連付けて記載。
パラリンピック推進状況について記述。
第31条 統計及び資料の収集 条文の項目に沿って,行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律,国家公務員法,統計法,障害者基本計画の該当部分に関連付けて記載。
第32条 国際協力 障害者基本法,障害者基本計画,ODA大綱の該当部分に関連付けて記載。
国際協力の具体的事例について記述。
第33条 国内における実施及び監視 中央連絡先,調整の仕組みにつき記載。
促進,保護,監視のための枠組みについて,障害者基本法,人権教育及び人権啓発の推進に関する法律,法務省設置法,人権擁護委員法,人権侵犯事件調査処理規程等の該当部分に関連付けて記載。
付属 統計・データ

(2) 障害者政策委員会における第3次障害者基本計画の監視(国内的な監視)

障害者権利条約は、人権諸条約の中で初めて、締約国が自国の法律上・行政上の制度に従って「条約の実施を監視するための枠組み」を国内に設置することを定めている。我が国では、平成23(2011)年に改正された障害者基本法により設置されている政策委員会がこれにあたる機関として、条約の国内実施状況の監視機能を果たしている。

政策委員会は、障害者、障害者の自立及び社会参加に関する事業の従事者、学識経験者の30人以内で構成される審議会であり、障害者基本計画の作成・変更について調査審議し、政府に対し意見を述べること、障害者基本計画の実施状況を監視し、政府に勧告することとなっており、このような機能を通じ、条約の実施を監視することとなっている。

このように締約国は、国内、国際の二重の監視を受けつつ、行政府として国内の諸制度の前進に取り組んでいくシステムとなっている。

我が国における初回の政府報告の作成に当たっては、障害者基本計画の実施状況の監視を通じて、政策委員会から意見を聴取し、反映した。そこで、条約に基づく政府報告の提出に先立ち、第3次障害者基本計画(平成25年9月27日閣議決定)の実施状況の監視が行われた。

監視に当たっては、国連障害者の権利に関する委員会の前委員長であるロン・マッカラム氏(シドニー大学名誉教授)を招へいし、同委員会による政府報告審査の視点や、締約国と同委員会との建設的対話の在り方についての講演や意見交換を行うなど、政策委員会の各委員が監視に当たっての心構えを共有することにも努めた。

監視は、現時点における第3次障害者基本計画の実施状況に沿って、関係府省から取組状況を聴取しながら、議論を行うことを基本とした。

このうち、特に、「成年後見制度も含めた意思決定支援など」、「精神障害者・医療ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援など」、「インクルーシブ教育システム、雇用など」、「情報アクセシビリティ」の4つのテーマについては、監視における重点課題と位置付け、政策委員会における議論と並行して、別途、それぞれのテーマを議論するため、4つのワーキング・セッションを開催することとした。

各ワーキング・セッションにおいては、3、4名の政策委員会委員がコーディネーターを務め、当該テーマに造詣の深い障害者、関係団体、有識者を選び、参加を得た上で、意見聴取を行いつつ、掘り下げた議論を行った。

さらに、政策委員会においては、「障害のある女性」、「障害者に関する統計」という分野横断的なテーマについても議論を行うとともに、特に、ワーキング・セッションで議論した「精神障害者の地域移行の支援」、「インクルーシブ教育システム」については、重ねて、政策委員会全体で議論を深めた。

政策委員会においては、4つのワーキング・セッションにおける議論(計8回)及びワーキング・セッションの議論を踏まえた全分野にわたる議論(計5回)を行い、全体で、計13回の審議を経て、「議論の整理 ~第3次障害者基本計画の実施状況を踏まえた課題~」を取りまとめた。その中では、政策委員会委員の意見とともに、特に関係する省庁から政策委員会で示された見解も盛り込み、紹介している。

平成27(2015)年は、第3次障害者基本計画の実施期間の中間年であり、今後、残された期間における基本計画の実施に当たっては、各府省において、「議論の整理」を十分踏まえて関係施策を展開することとしている。

〈障害者基本計画の監視及び政府報告案に関するスケジュール〉
障害者政策委員会

平成27年

4月17日
今後の議論の進め方について
5月29日
ロン・マッカラム氏(国連障害者の権利に関する委員会前委員長)の講演
第3次障害者基本計画の実施状況の監視
6月29日
第3次障害者基本計画の実施状況の監視
7月10日
各ワーキング・セッションから議論概要の報告、意見交換
8月10日
第3次障害者基本計画の全分野に関する意見交換
8月31日
「議論の整理案」「第3次障害者基本計画の実施状況案」の修正版について
9月24日
第3次障害者基本計画の実施状況の監視について
障害者権利条約に基づく第1回政府報告案について
10月26日
障害者権利条約に基づく第1回政府報告案について
12月18日
障害者権利条約に基づく第1回政府報告案について
障害者政策委員会ワーキング・セッション

平成27年

5月19日
精神障害者・医療ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援など<1>
5月19日
情報アクセシビリティ<1>
5月22日
成年後見制度も含めた意思決定支援など<1>
5月22日
インクルーシブ教育システム、雇用など<1>
6月1日
精神障害者・医療ケアを必要とする重度障害者等の地域移行の支援など<2>
6月1日
情報アクセシビリティ<2>
6月5日
インクルーシブ教育システム、雇用など<2>
6月12日
成年後見制度も含めた意思決定支援など<2>

条約の実施状況の国内の監視のための枠組みについては、条約の起草交渉会合においてその設置は各国の裁量に委ねられることとなった経緯もあり、各締約国における監視の枠組みによる政府報告作成への関与の程度についても締約国によって様々となっている。この点、人権諸条約における締約国による報告制度の意義は、国連の委員会の最終見解を早期に国内諸制度の改善に繋げていくことであり、政策委員会での監視の結果を本文に反映し、国内諸制度の改善に資する最終見解を得ることが重要であると考え、政策委員会の監視の議論の主要点を政策委員会のコメントとして政府報告本文に盛り込むとともに、政府報告の付属文書として、政策委員会が行った第3次障害者基本計画の実施状況の監視の結果を取りまとめた文書(「議論の整理」)を添付することとした。

また、政策委員会における議論の政府報告への反映に加え、政策委員会以外の関係者からも広く意見を求めるべく、平成28(2016)年1月15日から2月13日にかけてパブリックコメントを実施した。

4 今後の流れ(政府報告の審査)

政府報告は、国連の障害者権利委員会に提出されたのち、同委員会によって国際的に監視(審査)されることになる。この人権諸条約に基づき設置された委員会による各締約国の条約の実施状況に関する審査は、国際社会において人権を擁護し、促進していくためのメカニズムとして、政府間の人権フォーラムでの活動と並ぶ車の両輪として重要な役割を果たしている。

具体的な審査までの流れは、政府報告を提出後、障害者権利委員会より締約国に対し質問票(リスト・オブ・イシュー)が送付され、各締約国は質問票への回答を送付することが求められる。その後、審査日が発表され、障害者権利委員会の会期中に国連ジュネーブ事務所で対面審査が行われ、同委員会による提案及び勧告を含めた最終見解が採択され、国連文書として公表される(これまで第一回政府報告の審査が終了した国は33か国(平成28年3月1日現在))。

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