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第5章 日々の暮らしの基盤づくり 第1節 5

第1節 生活安定のための施策

5.スポーツ・文化芸術活動の推進

(1)スポーツの振興

ア 障害者スポーツの普及促進

平成25年度の文部科学省委託調査によると、障害のある人(成人)の週1回以上のスポーツ・レクリエーション実施率は18.2%(成人一般の実施率は40.4%(平成27年度内閣府調査))にとどまっており、地域における障害者スポーツの一層の普及促進に取り組む必要がある。

このため、平成27年度から、一部の都道府県・政令指定都市において、スポーツ関係者と障害福祉関係者が連携・協働体制を構築し、相互に一体となり障害者スポーツを推進する事業を実施している。

平成26年度より、公益財団法人日本障がい者スポーツ協会への補助や全国障害者スポーツ大会開催事業といったスポーツ振興の観点が強い障害者スポーツに関する事業が厚生労働省から文部科学省に移管され、平成27年11月に、障害者スポーツの全国的な祭典である第15回全国障害者スポーツ大会を和歌山県で開催し、約5,500名の選手・監督等が参加した。

障害のある人とない人のスポーツ・レクリエーション交流事業の様子
イ 障害者スポーツの競技力向上

平成26年度より、スポーツ振興の観点から行う障害者スポーツに関する事業が厚生労働省から文部科学省に移管されたことを受け、オリンピック・パラリンピックの選手強化を文部科学省において一体的に実施することとなった。このため文部科学省においては、従来オリンピック競技のみを対象としていた事業について、パラリンピック競技も対象とするなど、平成27年度においても積極的にパラリンピック選手の強化に取り組んでいる。

具体的には、平成27年度から各競技団体が行う選手強化活動に必要な経費を配分する「競技力向上事業」を実施している。本事業は、独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)に資金を一元化し、国において、日本パラリンピック委員会等関係団体の知見を活用しながら、戦略性をもった強化・配分方針を策定するとともに、JSCが国の方針に基づき、競技団体への選手強化費の配分及び事業評価等を行うことにより、PDCAサイクルを強化することで、従来より効果的な選手強化に取り組んでいる。

また、パラリンピック競技大会でメダル獲得が期待される競技をターゲットとして、アスリート支援や研究開発等について、多方面からの専門的かつ高度な支援を戦略的・包括的に実施するマルチサポート戦略事業において、障害者アスリートへの支援を行った。

加えて、オリンピック競技とパラリンピック競技の強化・研究活動拠点の機能強化やその在り方について検討するため文部科学省に開催された有識者会議にて、平成27年1月に「最終報告」が取りまとめられ、トップレベル競技者が同一の活動拠点で集中的・継続的にトレーニング・強化活動を行う拠点であるナショナルトレーニングセンター(NTC)や、スポーツ医・科学の中枢機関である国立スポーツ科学センター(JISS)のオリンピック競技とパラリンピック競技の共同利用化及びNTCの拡充整備等について提言された。これを受け、文部科学省においては、オリンピック競技とパラリンピック競技の一体的な拠点構築を進めており、平成27年度においては、NTCの拡充整備に向けた基本設計を行った。

主な国内・国際障害者スポーツ大会

◯全国障害者スポーツ大会

平成13年度から、それまで別々に開催されていた身体に障害のある人と知的障害のある人の全国スポーツ大会が統合され、「全国障害者スポーツ大会」として開催されています。平成20年度から、精神障害者のバレーボール競技が正式種目に加わり、全国の身体、知的、精神に障害のある方々が一堂に会して開催される大会となっています。本大会は、障害のある選手が、競技等を通じ、スポーツの楽しさを体験するとともに、国民の障害に対する理解を深め、障害のある人の社会参加の推進に寄与することを目的として、国民体育大会の直後に、当該開催都道府県で行われています。

平成27年度の第15回大会は、和歌山県において開催されました。

なお、平成28年度の第16回大会については、岩手県で開催されます。

第15回全国障害者スポーツ大会(2015紀の国わかやま大会)

◯全国ろうあ者体育大会

本大会は、聴覚に障害のある人が、スポーツを通じて技を競い、健康な心と体を養い、自立と社会参加を促進することを目的として、昭和42年度から開催されています。

平成27年度は、第49回となる夏季大会が京都府で開催されました。今回の大会では10競技が行われ、選手・役員合わせて約1,600人が参加しました。

◯ジャパンパラ競技大会

競技力の向上と国際大会へ派遣する選手の選考を目的とした本大会は、平成3年度から陸上競技と水泳、5年度からスキー、26年度からウィルチェアーラグビー、ゴールボールの大会が、各々開催されています。

陸上競技、水泳及びスキーの大会には、身体に障害のある人と知的障害のある人が、また、ウィルチェアーラグビー及びゴールボールの大会には身体に障害のある人が参加しています。

2020年パラリンピック競技大会について (C)エックスワン

◯デフリンピック

4年に一度行われる、聴覚に障害のある人の国際スポーツ大会であり、夏季大会と冬季大会が開催されています。

夏季大会は1924年を第1回としており、2013年には、ブルガリアのソフィアにおいて開催されました。日本選手団として選手・役員合わせて219名が参加し、金メダル2個、銀メダル10個、銅メダル9個を獲得しました。次回の夏季大会は、2017年にトルコのアンカラで行われる予定です。

冬季大会は1949年を第1回としており、2015年3月28日~4月7日にはロシアのハンティ・マンシースクにおいて第18回大会が開催されました。日本選手団として選手・役員合わせて48名が参加し、金メダル3個、銀メダル1個、銅メダル1個を獲得しました。

◯アジアパラ競技大会(旧フェスピック大会)

アジアパラリンピック委員会が主催するアジア(中東地域を含む)地域最大の障害者の総合スポーツ大会です。

我が国の呼びかけにより、1975年より、9回にわたり開催されてきたフェスピック競技大会を前身としています。

2014年に韓国の仁川(インチョン)において第2回大会が開催されました。日本選手団として選手・役員合わせて298名が参加し、金メダル38個、銀メダル49個、銅メダル56個を獲得しました。

次回は、2018年にインドネシアのジャカルタにおいて開催が予定されています。

◯スペシャルオリンピックス世界大会

4年に一度行われる、知的発達障害のある人のスポーツの世界大会であり、夏季大会と冬季大会が開催されています。順位は決定されるものの最後まで競技をやり遂げた選手全員が表彰される、といった特徴がある大会です。

夏季大会は1968年を第1回(米国・シカゴ)としており、2015年にはアメリカのロサンゼルスにおいて第14回大会が開催されました。冬季大会は1977年を第1回(米国・コロラド州)としており、2013年には韓国の平昌(ピョンチャン)において第9回大会が開催されました。

◯パラリンピック競技大会

オリンピックの直後に当該開催地で行われる、障害者スポーツの最高峰の大会であり、夏季大会と冬季大会が開催されています。

夏季大会は、1960年にイタリアのローマで第1回大会が開催され、オリンピック同様4年に一度開催されています。

2012年には、イギリスのロンドンにおいて第14回大会が開催されました。次回は、2016年、ブラジルのリオデジャネイロにおいて開催が予定されています。

冬季大会は、1976年にスウェーデンのエンシェルツヴィークで第1回大会が開催されて以降、オリンピック冬季大会の開催年に開催されています。2014年3月には、ロシアのソチにおいて第11回大会が開催されました。次回は、2018年に韓国の平昌(ピョンチャン)で開催が予定されています。

ソチ2014パラリンピック競技大会

2012ジャパンパラリンピック陸上競技大会

平成25年9月に開催された国際オリンピック委員会(IOC)総会(アルゼンチン/ブエノスアイレス)において、2020年オリンピック・パラリンピックの開催都市が東京都に決定した。これにより、東京都は史上初めて、2度目のパラリンピック夏季競技大会を開催する都市となった。

パラリンピック競技大会は、世界のトップアスリートが参加し、スポーツを通じて、障害のある人の自立や社会参加を促すとともに、様々な障害への理解を深めることにつながるものである。また、アクセシビリティに配慮した会場やインフラの整備により、東京のまち全体を障害のある人をはじめとするすべての人々が安全で快適に移動できるようになり、ユニバーサルデザイン都市、東京の実現が促進されるものである。

2020年パラリンピック競技大会は、8月25日の開会式に始まり、9月6日の閉会式まで12日間、オリンピックと共に60日間の1つの祭典として開催される。大会の実施競技については、平成26年10月の国際パラリンピック委員会(IPC)理事会で、新規採用競技として、バドミントンの実施を決定した。また、平成27年1月のIPC理事会で、新規採用競技として、テコンドーの実施を決定し、既存競技のうち、セーリング、脳性麻痺者7人制サッカーについては、2020年パラリンピック協議大会での非実施を決定し、全22競技の実施が決定した。

平成26年1月24日には、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(大会組織委員会)が一般財団法人として設立され、会長に森喜朗元内閣総理大臣、事務総長に武藤敏郎大和総研理事長が就任した。平成27年1月1日には、大会組織委員会は、内閣府から公益財団法人としての認定を受け、「公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会」へと移行した。現在、大会組織委員会が中心となり、東京都、日本オリンピック委員会(JOC)や日本パラリンピック委員会(JPC)、政府が一丸となって大会準備を行っている。

平成26年12月15日~16日には、IPC委員が来日し、2020年パラリンピック東京大会の計画や運営に対して助言を行う「IPCプロジェクトレビュー(第1回)」が行われた。2020年に向けて、大会ビジョン、アクセシビリティ、アクション&レガシープラン、コマーシャル&ブランド等、幅広いテーマについて意見交換が行われ、全ての分野において順調な進捗状況であることが確認された。

左:IPCプロジェクトレビュー 右:組織委員会設立 出典:Tokyo 2020/ Shugo TAKEMI

(2)文化活動の振興

最近では、障害のある人による芸術活動や、障害のある人も楽しめる舞台芸術公演、展覧会等も各地で開催されるようになってきている。また、国立劇場や新国立劇場においては、障害のある人の入場料の割引を、国立美術館、国立博物館においては、展覧会の入場料の無料を実施しているほか、全国各地の劇場、コンサートホール、美術館、博物館などにおいて、車いす使用者でも利用ができるトイレやエレベーターの設置等障害のある人に対する環境改善も進められている。

また、障害のある人の生活を豊かにするとともに、国民の障害への理解と認識を深め、障害のある人の自立と社会参加の促進に寄与することを目的として、「第15回全国障害者芸術・文化祭かごしま大会」(平成27年度)が鹿児島県において開催された。

第15回全国障害者芸術・文化祭かごしま大会(ふれ愛ステージの様子)
第15回全国障害者芸術・文化祭かごしま大会(フィナーレイベント)

さらに、平成25年に開催された「障害者の芸術活動への支援を推進するための懇談会」中間とりまとめを受け、平成26年度からは芸術活動を行う障害のある人やその家族、福祉事業所等で障害のある人の芸術活動の支援を行う者を支援するモデル事業を実施するなど、障害者の芸術文化活動の振興を深める取組を行っている。

「2020年東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会の準備及び運営に関する施策の推進を図るための基本方針」(平成27年11月27日閣議決定)において、日本文化の魅力を発信していくこととしており、平成27年11月に、障害者芸術など我が国の多様な文化を通じて日本全国で大会に向けた機運の醸成を図るため、関係府省庁、東京都、大会組織委員会を構成員とする「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けた文化を通じた機運醸成策に関する関係府省庁等連絡・連携会議」を開催した。

「障害者の芸術活動支援モデル事業」

障害者の芸術活動支援モデル事業の概要
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