第4章 日々の暮らしの基盤づくり 第1節 8

目次]  [前へ]  [次へ

第1節 生活安定のための施策

8.専門職種の養成・確保

(1)福祉専門職

福祉専門職の養成確保については、社会福祉法(昭和26年法律第45号)に基づき、社会福祉事業等従事者に対する研修や無料職業紹介事業等を実施する都道府県福祉人材センター及び社会福祉関係職員の福利厚生の充実を図る福利厚生センターが設置されるなど、総合的な社会福祉事業等従事者確保の対策が進められている。

ア 社会福祉士、介護福祉士

身体上、精神上の障害等により日常生活を営むのに支障がある人に対して、専門的知識及び技術を持って福祉に関する相談援助を行う社会福祉士については、資格登録者数221,251人(平成30(2018)年3月末)、専門的知識及び技術を持って心身の状況に応じた介護(喀痰吸引等を含む。)や介護指導を行う介護福祉士については、資格登録者数1,558,897人(平成30年3月末)を数えることとなった。

イ 精神保健福祉士

精神障害のある人の社会復帰に関する相談・援助を行う精神保健福祉士を国家資格化する精神保健福祉士法(平成9年法律第131号)が平成9(1997)年12月に成立し、平成10(1998)年4月から施行された。同年以降、精神保健福祉士は着実に養成されており、資格登録者数は80,891人(平成30(2018)年3月末)を数えることとなった。

図表4-18 福祉専門職の資格登録者(平成30年3月末)
注:資格登録者の数は、公益財団法人社会福祉振興・試験センターからの4半期ごとの報告による。
資料:厚生労働省

(2)リハビリテーション等従事者

高齢化の進展、疾病構造の変化等に伴い、リハビリテーション等の必要性、重要性が一層増してきている。そのため、専門的な技術及び知識を有する人材の確保と資質の向上を図っていくことが重要である。

ア 理学療法士、作業療法士

理学療法士及び作業療法士は、身体や精神に障害のある人々に対し、基本的動作能力・応用的動作能力又は社会的適応能力の回復を図るための理学療法、作業療法を行う専門職である。平成29(2017)年12月現在の資格登録者数は、理学療法士は151,588人、作業療法士は85,107人となっている。

イ 視能訓練士、義肢装具士

視能訓練士は、両眼視機能の回復のための矯正訓練及びこれに必要な検査を行う専門職であり、義肢装具士は、義肢・装具の装着部位の採型並びに製作及び身体への適合を行う専門職である。平成29(2017)年12月現在の資格登録者数は、視能訓練士は14,469人、義肢装具士は5,091人となっている。

ウ 言語聴覚士

音声機能、言語機能及び聴覚に関するリハビリテーション等を行う言語聴覚士が平成10(1998)年に国家資格化され、平成29(2017)年12月現在の資格登録者数は29,198人となっている。

エ 公認心理師

保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、心理に関する支援を要する者に対し、その心理に関する相談に応じ、助言、指導その他の援助等を行う国家資格「公認心理師」に関して定める公認心理師法(平成27年法律第68号)が平成27(2015)年9月に成立し、平成29(2017)年9月から施行された。平成30(2018)年9月に第1回国家試験が実施される。

図表4-19 リハビリテーション従事者の資格登録者(平成29年12月末)
資料:厚生労働省

(3)国立専門機関等の活用

国立障害者リハビリテーションセンター学院において、障害のある人のリハビリテーション・福祉に従事する専門職を養成する6学科を設置するとともに、現に従事している各種専門職に対して、知識・技術向上のための研修を実施している。

養成部門では、聴覚障害、音声機能障害、言語機能障害及び摂食嚥下障害のリハビリテーションを専門とする言語聴覚士を養成する言語聴覚学科、義肢装具の製作適合に従事する義肢装具士を養成する義肢装具学科、視覚障害のある人の生活訓練を専門とする技術者を養成する視覚障害学科、聴覚障害のある人のコミュニケーションにかかわる手話通訳士を養成する手話通訳学科、障害のある人々の健康づくりのための運動・スポーツ及び体育の指導を専門とする技術者を養成するリハビリテーション体育学科、医療・福祉・教育現場において、知的障害や発達障害のある児(者)の支援に携わる専門職を養成する児童指導員科を設置している。

また、研修部門では、地方公共団体や民間福祉施設等でリハビリテーション等の業務に従事する専門職に対し、最新の情報、事例の実証的研究に基づく年間30を超える研修会を実施し、社会的ニーズに対応した人材育成、各専門職のリーダー等の指導的役割を担う人材を育成している。

このほか、国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局において、地域ボランティアや住民を対象として、また、福祉教育の一環として教員や小中学生を対象に、障害のある人に対する正しい理解と知識や援助方法の習得を目的とした研修会等を実施している。

目次]  [前へ]  [次へ