第4章 住みよい環境の基盤づくり 第2節 4

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第2節 障害のある人の情報アクセシビリティを向上するための施策

4.コミュニケーション支援体制の充実

(1)手話や点訳等によるコミュニケーション支援

地域生活支援事業においては、聴覚、言語機能、音声機能、視覚その他の障害のため、意思疎通を図ることに支障がある人に、手話通訳者等の派遣や設置、点訳や音声訳等による支援などを行う意思疎通支援事業や、点訳奉仕員、朗読奉仕員、要約筆記者、手話奉仕員及び手話通訳者等の養成研修が実施されている。また、2013年度からは、手話通訳者、要約筆記者及び盲ろう者向け通訳・介助員の養成研修を都道府県の必須事業とするとともに、派遣を行う事業についても市町村で実施できない場合などは都道府県が実施する仕組みとし、意思疎通支援の強化を図っている。2018年度からは、失語症者向け意思疎通支援者の養成研修を実施し、2019年度からは派遣も行っている。

各都道府県警察においては、聴覚に障害のある人のための手話通訳及びルビを付した字幕入りの映像、資料の活用や手話通訳員の確保に努めている。また、言語での意思伝達を困難とする人たちと警察官とのコミュニケーションを円滑にするため、協力団体と共に開発し、提供を受けた「コミュニケーション支援ボード」を、全国の交番、パトカー等に配備し、活用している。

厚生労働省においては、2017年度より、全国4団体の聴覚障害者情報提供施設等において、聴覚障害のある人が一人で電話をかけられるよう、手話通訳や文字通訳に対応するオペレーターを配置して支援する「電話リレーサービス」を実施しており、2018年度からは、全国7団体の聴覚障害者情報提供施設において実施している。また、総務省及び厚生労働省においては、2019年1月より、「電話リレーサービスに係るワーキンググループ」を開催し、電話リレーサービスの在り方について検討を行い、同年12月に報告書を公表した。総務省は、報告書等を踏まえ、公共インフラとしての電話リレーサービスを実現するため、2020年通常国会に「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律案」を提出し、同年6月に成立した。

(2)コミュニケーション支援用絵記号及びアクセシブルミーティング

日本産業標準調査会(JISC)は、文字や話し言葉によるコミュニケーションの困難な人が、自分の意思や要求を相手に的確に伝え、正しく理解してもらうことを支援するための絵記号に関する規格として「コミュニケーション支援用絵記号デザイン原則(JIS T0103)」を制定し、2010年に障害のある人が会議に参加しやすいように主催者側の配慮事項の規格として「アクセシブルミーティング(JIS S0042)」を制定した。

図表4-14 コミュニケーション支援用絵記号の例

注:コミュニケーション支援用絵記号デザイン原則(JIS T0103)には参考として約300の絵記号の例を収載しており、これらは公益財団法人共用品推進機構のホームページ(http://www.kyoyohin.org/)から無償でダウンロードすることができる。

/総務省・厚生労働省
第4章第2節 4.コミュニケーション支援体制の充実
TOPICS
聴覚に障害のある人にも電話というツールを
~電話リレーサービス~

インターネットの普及により、家族や友人とメールやチャットで連絡をとったり、お店や病院の予約をそれぞれのホームページから行ったりと、文字情報だけで用事を済ませられることが多くなってきた。しかし、電話しか連絡手段がない場合や、至急確認が必要となる場面など、現在も電話は生活に不可欠なコミュニケーションツールである。

このように、電話が必要となる場面は多いものの、電話は音声によるやりとりを要するため、聴覚に障害のある人にとっては縁遠い存在である。どうしても電話を使う必要があるときは、家族や友人などに頼んでかけてもらうこととなる。それでも、頻繁に電話をかける時はだんだん頼みづらくなったり、頼める相手がいないときなどは電話を使うことができない。

そのような不便さを解消するため、聴覚に障害がある人が一人で電話をかけられるようにする「電話リレーサービス」の取組が進められている。電話リレーサービスは、利用者(聴覚に障害のある人)が、手話や文字による情報と音声情報とを通訳するオペレーターを経由して、相手先(聴者)に電話をかけられるサービスである。

まず、利用者が、相手先に伝えたい内容を手話や文字情報でオペレーターに伝えると、それをオペレーターが電話の相手先に音声で伝える。それに対して、相手先が音声でオペレーターに返答すると、オペレーターが手話や文字情報で利用者に返答内容を伝える、というものである。

これまでも民間企業などで実施される例はあったが、東日本大震災の被災地向けに始まった日本財団のモデルプロジェクトが、2013年から全国向けに展開されたことにより、大きく広まった。また、厚生労働省においても2017年度から、日本財団のモデルプロジェクトの協力も得ながら、全国4団体の聴覚障害者情報提供施設で電話リレーサービスを行う事業をスタートさせ、2018年度からは、全国7団体の聴覚障害者情報提供施設において実施している。

このような中、総務省及び厚生労働省においては、2019年1月より、「電話リレーサービスに係るワーキンググループ」を開催し、電話リレーサービスの在り方について検討を行い、同年12月に報告書を公表した。また、2020年通常国会に「聴覚障害者等による電話の利用の円滑化に関する法律案」を提出(同国会において成立)するなど、総務省及び厚生労働省においては、公共インフラとしての電話リレーサービスの開始に向けた取組を進めている。

ICTや通信機器の進展により、電話という社会参加に不可欠なツールが、聴覚に障害のある人にとっても身近なものになりつつある。

電話リレーサービスのしくみ
資料提供:日本財団
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