第5章 住みよい環境の基盤づくり 第2節 1

目次]  [前へ]  [次へ

第2節 障害のある人の情報アクセシビリティを向上するための施策

1.情報アクセシビリティの向上

(1)総合的な支援

厚生労働省では「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」に基づき、障害のある人の情報通信技術(ICT)の利用・活用の機会の拡大を図るため、ICT関連施策の総合サービス拠点となるICTサポートセンターの運営(31都道府県、7指定都市、1中核市:2022年度末時点)や、パソコンボランティア養成・派遣等の取組を支援している。

総務省では「デジタル活用共生社会実現会議」を開催し、年齢、障害の有無、性別、国籍等にかかわらず、デジタル活用の利便性を享受し、又は担い手となることで、誰もが豊かな人生を送ることができる「デジタル活用共生社会」の実現を目指すべきであるとした「デジタル活用共生社会の実現に向けて~デジタル活用共生社会実現会議 報告~」を2019年4月に公表した。この報告に基づき、各企業等が自社のICT機器・サービスについてアクセシビリティ確保を自己評価する取組や、情報アクセシビリティに配慮したICT機器・サービスの活用、これらの開発を促進するためのニーズ・シーズ関連情報の提供をそれぞれ推進していくこととしている。

(2)障害のある人に配慮した機器・システムの研究開発

情報通信の活用によるメリットを十分に享受するためには、障害のある人を含め誰もが、自由に情報の発信やアクセスができる社会を構築していく必要がある。

障害のある人の利用に配慮した情報通信機器・システムの研究開発の推進に当たっては、その公益性・社会的有用性が極めて高いにもかかわらず、収益性の低い分野であることから、国立研究機関等における研究開発体制の整備及び研究開発の推進を図るとともに、民間事業者等が行う研究開発に対する支援を行うことが重要である。

また、家電メーカーや通信機器メーカーにおいては、引き続き障害のある人・高齢者に配慮した家電製品の開発・製造に努めているところである。また、国際標準化団体のISO/IEC JTC1にてスマートフォンやタブレットのアクセシビリティ向上を目的とした規格の審議が行われており、我が国製造業者も参加している。

(3)情報アクセシビリティに関する標準化の推進

情報アクセシビリティに関する日本産業規格(JIS)として「高齢者・障害者等配慮設計指針―情報通信における機器、ソフトウェア及びサービス」(JIS X8341シリーズ)を制定している(具体的には「共通指針」、「パーソナルコンピュータ」、「ウェブコンテンツ」、「電気通信機器」、「事務機器」、「対話ソフトウェア」、「アクセシビリティ設定」について制定)。

また、国内の規格開発と並行し、国際的な情報アクセシビリティのガイドライン共通化を図るため、JIS X8341シリーズのうち、「共通指針」、「パーソナルコンピュータ」及び「事務機器」について国際標準化機構(ISO)等へ国際標準化提案を行い、2012年までに、それぞれ国際規格が制定された。2022年においては、2020年に改訂された国際規格との整合性を図るため「事務機器」のJISを改正するとともに、電子書籍のアクセシビリティを評価するJIS X23761を制定した。

図表5-12 アクセシビリティに関する規格体系
資料:経済産業省

(4)ホームページ等のバリアフリー化の推進

各府省は、障害のある人や高齢者を含めた全ての人々が利用しやすいものとするため、ウェブコンテンツ(掲載情報)に関する日本産業規格(JIS X8341-3)を踏まえ、ホームページにおける行政情報の電子的提供の充実に努めている。

総務省では、公的機関がウェブアクセシビリティ(障害のある人や高齢者を含め、誰もがホームページ等で提供される情報や機能を支障なく利用できること)の向上に取り組む際の手順書となる「みんなの公共サイト運用ガイドライン」(2016年)を策定し、ウェブアクセシビリティの確保・向上に取り組んでいる。2022年度は、公的機関を対象とした取組状況に関するアンケート調査及び地方公共団体(町村を除く)の公式ホームページのJIS対応状況調査及び全国3か所での公的機関向け講習会を開催した。2023年度も引き続きウェブアクセシビリティの普及啓発活動に取り組んでいく。

(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/b_free/guideline.html)

目次]  [前へ]  [次へ