第4章 日々の暮らしの基盤づくり 第2節 4

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第2節 保健・医療施策

4.研究開発の推進

障害の原因となる疾病等の予防や根本的治療法等を確立するため、これまで障害の原因、予防、早期発見、治療及び療育に関する研究が行われてきた。これは、障害児施策の基本である障害の予防や早期治療を確立し、有機的かつ総合的に施策を推進させるための基礎となるものである。

厚生労働科学研究の「障害者政策総合研究事業」においては、障害のある人を取り巻く現状について課題別に調査・分析し、支援の改善方策を研究することにより、障害のある人を取り巻く現状を正しく理解し、障害のある人の社会参加の機会の確保や、地域社会における共生の実現に資する政策実現のための研究を推進している。

また、難病に関する研究については、「難病法」において定義されている難病(発病の機構が明らかでなく、治療方法が確立していない希少な疾病であって、長期にわたり療養が必要な疾病)について、診療ガイドラインの作成や改訂、難病患者のQOL向上に資する知見の収集及びこれらの普及啓発等の研究を行う「難治性疾患政策研究事業」と、病態解明や医薬品・医療機器等の実用化を視野に入れた画期的な診断法、治療法及び予防法の開発を目指す研究を行う「難治性疾患実用化研究事業」を実施しており、互いに連携しながら、難病研究の推進に取り組んでいる。

こども家庭庁においては、こども家庭科学研究において、乳幼児の疾患の克服等に資することを目的とする研究に取り組んでいる。

経済産業省においては、優れた基礎研究の成果による革新的な医療機器の開発を促進するため、「医療機器等における先進的研究開発・開発体制強靱化事業」を実施し、日本の医療機器に関する競争力のポテンシャル、公的支援の必要性及び医療上の価値等を踏まえて策定した重点分野(①検査・診断の一層の早期化・簡易化・低侵襲化、②アウトカムの最大化を図る診断・治療の一体化及び高度化、③予防・自発的な健康増進の推進、④身体機能の補完・QOL(クオリティオブライフ)向上、⑤デジタル化/データ利用による診断・治療の高度化・仕組み構築、⑥環境にやさしい医療機器の開発、⑦UI(ユーザーインターフェース)・UX(ユーザーエクスペリエンス)に優れたインテリジェント医療機器の開発)や、「国民が受ける医療の質の向上のための医療機器の研究開発及び普及の促進に関する基本計画」(令和4年5月31日閣議決定)で設定された重点分野等を対象に、先進的な医療機器・システム等の開発を推進している。

また、「次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業」「再生医療・遺伝子治療の産業化に向けた基盤技術開発事業」を実施し、企業・アカデミア等とともに事業化を指向した製造技術開発及び日本発の革新的な医薬品・再生医療等製品の実用化のための技術開発を推進している。

/経済産業省
第4章第2節 4.研究開発の推進
TOPICS(トピックス)(15)
保健・医療の向上に資する研究開発等の推進

保健・医療の向上に資する研究開発の事例として、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の「医療機器等における先進的研究開発・開発体制強靱化事業」(経済産業省要求予算事業)において、脳卒中後に併発する運動障害の個別化治療の実現に資するシステムの開発を推進した。

【脳機能再生医療を実現する診断治療システム】

脳卒中後に併発する運動障害は難治性で負荷の高い疾患障害であり、効果のあるリハビリテーションを医師や療法士が効率よく運用できるデジタル支援技術の確立が求められている。

本開発では神経作用メカニズムや治療有効性が明らかになりつつある個々の治療機器等を連携連動させ、診断治療パッケージとしての統合化を進める。

具体的には、機器内で取得される各種生体指標をデジタル化、自動収集化、統合化して、これをビッグデータ解析することによって、患者個々人の病態を診断・把握し、治療法の選定、治療計画の提案、予後予測の実施を実現し、個別化された神経機能再生医療の提供を実現するためのプラットフォームを構築する。

これにより、医療従事者の専門知識と経験から導かれるモデルのデータ検証だけでなく、大量のデータに潜む構造を情報解析によって抽出し、今まで発見できなかった個人特性や医療行為などの関係性を明らかにして、より効果の高い個別化医療を実現する。

2023年度は、複数の病院においてプラットフォームの現場検証を実施した。システム導入による「効果」の定量的アウトカムを取得し、検証結果を通じてアプリケーションの改良を行なったことで、製品の最終仕様が確定した。また、症例数増加に伴う臨床データの蓄積を基に治療法提案アルゴリズム、予後予測機能アルゴリズムのバージョンアップを図り、臨床運用性を評価した。

効率的な神経機能再生医療を実現するためのAIプラットフォーム(イメージ図)
出典:国立研究開発法人日本医療研究開発機構
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