第1章 障害者に対する偏見や差別をなくすための取組について
経緯

(https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/actions/202407/17menkai.html)
●1948年制定の旧優生保護法の施行から48年間、多くの方々が、同法に基づき、あるいはその存在を背景として、特定の疾病や障害等を理由に不妊手術等を受けることを強いられ、耐え難い苦痛と苦難を受けてきた。
●2024年7月
旧優生保護法の規定を違憲とし国家賠償法上違法とする最高裁判決があった。政府としては、この判決を重く受け止め、岸田文雄内閣総理大臣が原告団等と面会して謝罪した。同月、その真摯な反省の下、「障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた対策推進本部」(本部長:総理、構成員:全閣僚)を設置。
同年9月30日には、原告団等との間で基本合意書を交わした。
障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けた行動計画(2024年12月27日推進本部決定)

(https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202412/27kyouseishakai.html)
●行動計画策定の経緯
推進本部の下に幹事会を設置し、旧優生保護法の被害者や障害当事者など多くの方々からヒアリングを実施。
●行動計画の考え方
障害の「社会モデル」の考え方を踏まえ、「特定の疾病や障害を有する者に対する優生上の見地からの偏見と差別」や「障害のない人を基準とし障害のある人を劣っているとみなす態度や行動」との決別の決意の下、障害者に対する偏見や差別のない共生社会の実現に向けて、政府一丸となって取り組む。
●行動計画の概要
・ヒアリングにおいて当事者の方々から示された主な問題意識の下、以下の取り組むべき事項を記載。
①子育て等の希望する生活の実現に向けた支援の取組の推進
②公務員の意識改革に向けた取組の強化
③ユニバーサルデザイン2020行動計画で提唱された『心のバリアフリー』の取組の強化
④障害当事者からの意見を踏まえた今後に向けた更なる検討
・行動計画については、PDCAサイクルを回すべく、継続的にフォローアップ。
障害者政策委員会でも意見聴取し、次期障害基本計画に反映。
G7包摂と障害に関する担当大臣会合(TOPICS)
●G7包摂と障害に関する担当大臣会合が2024年10月にイタリアで初開催。
●三原じゅん子内閣府特命担当大臣は、閣僚会合等において、旧優生保護法に基づく不妊手術、人工妊娠中絶等が強制された事実を真摯に反省し、障害のある方に対する偏見や差別の根絶に向け強い覚悟で取り組むことを強調した。


旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者等に対する補償金等の支給等に関する法律(令和6年法律第70号)

(https://www.kantei.go.jp/jp/103/actions/202501/17menkai.html)
●「補償金等支給法」について
・「補償金等支給法」(議員提案)が、2024年10月8日に全会一致で可決・成立し、同月17日公布された。
※法律の主な内容
・前文において、国及び政府が、悔悟と反省の念を込めて深刻にその責任を認めるとともに、心から深く謝罪。
・提訴していない方々も補償の対象。
・旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた本人に対して1,500万円、特定配偶者に対して500万円の補償金の支給を行う。
・旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた本人で生存している方に対して320万円、人工妊娠中絶等を受けた本人で生存している方に対して200万円の一時金の支給を行う。
・「補償金等支給法」の施行日である2025年1月17日には、石破茂内閣総理大臣が旧優生保護法国家賠償請求訴訟の原告団の方々と面会した。原告団の方々から、これまでの経験や思いなどを直接伺い、「補償金等支給法」に基づく新たな補償が被害者の方々に届くよう力を尽くしていくことを表明した。政府としては、引き続き都道府県等とも連携して、周知・広報に努めていくこととしている。
●恒久対策等について
・調査及び検証等
「補償金等支給法」において、国は、「旧優生保護法」に基づく優生手術等及び人工妊娠中絶等に関する調査その他の措置を講ずるとともに、当該措置の成果を踏まえ、当該事態が生じた原因及び当該事態の再発防止のために講ずべき措置についての検証及び検討を行うものとされた。今後、国会の調査にも協力しつつ、必要な対応を検討していく。
・継続的・定期的な協議について
2024年9月30日の「基本合意書」に基づき、優生保護法問題の全面的な解決に向けた施策等の検討、実施にあたって、優生保護法被害全国原告団等と関係府省庁との協議の場を設置し、継続的・定期的な協議を行うこととされ、2025年3月27日に「第1回旧優生保護法問題の全面解決に向けた協議」が開催された。
改正障害者差別解消法(「つなぐ窓口」)等
●内閣府では、障害を理由とする差別に対する国の相談窓口として2023年10月から「つなぐ窓口」を試行的に設置。
※令和7年度も継続して実施。
●改正障害者差別解消法施行前後に、相談件数が増加。行政、医療・福祉、教育・学習支援の相談が多い。
(2023年10月から2025年3月までで約4,600件)


