第4章 障害のある人がその人らしく暮らせるための施策 第1節 2

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第1節 生活安定のための施策

2.在宅サービス等の充実

(1)在宅サービスの充実

障害のある人が地域で暮らしていくためには、在宅で必要な支援を受けられることが必要となる。このため、市町村において「障害者総合支援法」に基づき、利用者の障害の程度や必要な支援の内容等に応じ、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護及び重度障害者等包括支援を実施している。

・居宅介護 …
2025年3月現在の居宅介護の利用者数213,418人、事業所数22,648事業所。
・重度訪問介護 …
2025年3月現在の重度訪問介護の利用者数13,853人、事業所数7,582事業所。
・同行援護 …
2025年3月現在の同行援護の利用者数27,303人、事業所数5,709事業所。
・行動援護 …
2025年3月現在の行動援護の利用者数17,232人、事業所数2,376事業所。
・重度障害者等包括支援 …
2025年3月現在の重度障害者等包括支援の利用者数39人、事業所数11事業所。

これらのサービスに加え、自宅で介護する人が病気の場合などに、短時間、夜間も含めて施設において入浴等の介護を行うサービスである短期入所も行っている。

・短期入所 …
2025年3月現在の短期入所の利用者数64,750人、事業所数6,650事業所。

(2)住居の確保

ア 福祉施策における住居の確保支援

障害のある人が地域で安心して暮らすことができるよう、単身での生活が困難な障害のある人が共同して自立した生活を営む場として、共同生活援助(グループホーム)がある。グループホームでは、日常生活における家事や相談等の支援のほか、利用者の就労先又は日中活動サービス等との連絡調整や余暇活動等の社会生活上の援助、必要な利用者への食事や入浴等の介護を行う。2024年4月からは、一人暮らし等を希望する利用者に対する支援や退居後の一人暮らし等の定着のための相談等の支援が含まれている。

・共同生活援助 …
2025年3月現在の利用者数203,271人、事業所数14,438事業所

障害を理由に物件が借りられないことのないよう、地域生活支援事業における相談支援事業に住宅入居等支援事業(居住サポート事業)を位置付け、公的賃貸住宅及び民間賃貸住宅への入居を希望する場合、不動産業者に対する物件のあっせん依頼及び家主等との入居契約手続等といった入居支援や、居住後のサポート体制の調整をしている。また、障害のある人が地域の中で生活できるよう、低額な料金で居室などを提供する福祉ホーム事業を実施している。

障害者支援施設や精神科病院等から地域生活への移行を希望する者に対して、住居の確保等を支援する地域移行支援や、単身で地域生活する者に対して定期的な居宅訪問等により必要な支援を行う自立生活援助や連絡体制の確保や緊急時の支援を行う地域定着支援を行っている。

イ 住宅施策における住宅の確保支援

障害のある人を含む住宅確保要配慮者の居住の安定を確保することは、「住生活基本法」の基本理念の一つであり、賃貸住宅の供給促進に関する基本事項等を定めた「住宅セーフティネット法」に基づき、公営住宅等の公的賃貸住宅の的確な供給及び民間賃貸住宅への円滑な入居の支援等の各種施策を一体的に推進している。

① 障害のある人に配慮した公的賃貸住宅の供給

公的賃貸住宅は、障害のある人の心身の状況、その他の配慮を必要とする事情を勘案して、供給されている。

まず、公営住宅においては、入居者の募集・選考に際し、障害のある人の世帯は特に住宅困窮度が高いものとして、地方公共団体の裁量により一定の上限の下、入居者の収入基準を緩和するとともに、当選率の優遇、別枠選考等の措置を講じている。

次に、地域優良賃貸住宅制度において、民間事業者等に対し、その整備や家賃低廉化に対する支援を行うほか、入居の際、地方公共団体の裁量により別枠選考等の措置ができることとしている。

第三に、都市再生機構賃貸住宅において、障害のある人の世帯に対して、入居者の収入基準の緩和、1階、2階又はエレベーター停止階への住宅変更、新規賃貸住宅募集時の当選倍率の優遇等の措置を講じている。

② 民間賃貸住宅への円滑な入居の促進

障害のある人を含む住宅確保要配慮者が安心して生活を送るための基盤となる住まいを確保できるよう、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度等を内容とする住宅セーフティネット制度の活用を推進し、バリアフリー化を含めた住宅の改修、入居者負担の軽減等、居住支援法人や居住支援協議会の居住支援活動等への支援をしている。家賃滞納時に家賃等を保証する家賃債務保証については、適正に業務を行う者の登録(登録家賃債務保証業者制度)及び住宅確保要配慮者が利用しやすい家賃債務保証業者の認定(認定家賃債務保証業者制度)を行っている。

ウ 住宅施策と福祉施策との連携による住宅の確保支援

「改正住宅セーフティネット法」に基づき創設された、居住支援法人等が賃貸人と連携し、安否確認や見守り、福祉サービスへのつなぎなどの入居中のサポートを行う住宅(居住サポート住宅)の認定を地方公共団体が行っている。同法により、地域の不動産関係団体や福祉関係団体などで構成される居住支援協議会の設置を地方公共団体の努力義務とし、住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の整備をより一層推進している。

また、公的賃貸住宅の整備に際して、障害者福祉施設との一体的な整備を推進している。

その他、住宅市街地総合整備事業、優良建築物等整備事業、市街地再開発事業等において、デイサービスセンター、保育所等の社会福祉施設等を整備する場合、一定の条件を満たすものを建築主体工事費の一部を補助対象としている。

(3)自立及び社会参加の促進

障害のある人の社会参加と自立支援の推進に向け、地域での生活の質的向上が図られるよう、生活訓練、コミュニケーション手段の確保等の施策を行っている。

地域生活支援事業では、市町村及び都道府県が創意工夫により地域の特性や利用者の状況に応じて柔軟に事業を行っている。身体障害者補助犬(盲導犬、介助犬及び聴導犬)の育成への補助もこの1つである。2023年度からは身体障害者補助犬の理解促進や普及・啓発の促進のため、企業等(公共交通機関、医療機関、飲食店、宿泊施設、複合商業施設)の実情に即した研修や広報などを行えるよう拡充を図り、全国で事業実施が促進されるよう取り組んでいる。

また、「補助犬法」では、身体に障害のある人が公共的施設や不特定かつ多数の者が利用する施設等を利用する場合、身体障害者補助犬の同伴を拒んではならないとされている。2024年4月1日からは37.5人以上(経過措置として2026年6月30日までは40人以上)の事業所や事務所で勤務する身体に障害のある人の身体障害者補助犬の使用を拒んではならないこととされた。

介助犬
写真提供:特定非営利活動法人日本補助犬情報センター

国立障害者リハビリテーションセンター自立支援局では、身体障害のある人に対して、より充実した社会生活を円滑に送ることを目的とした自立訓練(機能訓練)を実施している。視覚障害のある人に対しては、歩行、日常生活、点字、ICT、録音再生機器、ロービジョン(保有視覚機能を最大限に活用するための訓練)等の日常生活や社会生活に必要な訓練を実施している。近年ニーズが増えてきている視覚に障害のある高齢者への訓練も実施している。重度の肢体不自由のある人に対しては、医学的管理の下に日常生活に必要な機能訓練、日常生活動作訓練、職能訓練、自動車訓練等を実施している。高次脳機能障害のある人に対して、自立訓練(生活訓練)も実施しており、個々の生活状況及び地域での障害福祉サービス利用あるいは復職等の目標に応じて、目標への円滑な移行ができるように、日常生活訓練やメモリーノート、手順書等を活用した代償手段獲得のための訓練及び支援等を行っている。このほか、主に身体障害、高次脳機能障害、発達障害等のある人に就労希望のある場合、就労移行支援として職業訓練、技能習得訓練等を実施している。視覚障害のある人には「あん摩マッサージ指圧師」、「はり師」、「きゅう師」の資格取得支援や、就労するための教育訓練を実施している。受傷後から自立に向けた訓練、更には就労訓練を一連で実施するリハビリテーションパスにより、障害者の社会参加の促進に寄与している。

同センターの秩父学園では、知的障害や自閉スペクトラム症、その他重複する障害(愛着障害、行動障害等)のある児童、強度行動障害のある児童に対する支援を行っている。また、地域の在宅家庭に対して、就学前児童とその保護者に対する幼児通園療育事業、小学生とその保護者に対する発達障害児等デイサービス事業を実施するとともに、発達の遅れや偏りが心配な児童を支援する支援者に助言・指導を行うため、同学園から職員を派遣している。

(4)発達障害のある児者への施策の充実

ア 発達障害の定義

「発達障害」は、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるものと「発達障害者支援法」において、定義されている。

イ 発達障害のある人への支援の推進

① 発達障害のある人への支援の体制整備

厚生労働省においては、発達障害のある人及びその家族等に対して相談支援、発達支援、就労支援及び情報提供などの整備を図ることを目的に、「発達障害者支援センター」の整備を行い、現在全ての都道府県・指定都市に設置されている。くわえて、乳幼児期から高齢期までの一貫した発達障害に係る支援体制の整備、困難ケースへの対応や適切な医療の提供を図るため、都道府県・指定都市が発達障害者支援センター等に発達障害者地域支援マネジャーを配置し、市町村、事業所等への支援や医療機関との連携の強化を推進している。

また、発達障害のある人やその家族等をきめ細かに支援するため、都道府県・指定都市が「発達障害者支援地域協議会」を設置し、市町村又は障害保健福祉圏域ごとの支援体制の整備の状況や発達障害者支援センターの活動状況の検証することを支援している。

② 発達障害のある人やこども及び家族への支援

発達障害のある人の家族が互いに支え合う活動の支援を促進するため、ペアレント・メンターの養成やペアレント・トレーニング等を行っている。くわえて、発達障害児者の家族同士の支援を推進するため、同じ悩みを持つ本人同士や発達障害児者の家族に対するピアサポート等の支援をしている。また、青年期の発達障害のある人等の居場所を作り、社会から孤立しない仕組み作りを行うための支援をしている。

③ 支援手法の開発と情報発信

厚生労働省は、地域におけるペアレント・トレーニング実施者養成等の実施体制の構築、地域における強度行動障害者支援のための支援体制構築などを主なテーマとして、発達障害のある人やこどもの支援手法の開発、関係分野との協働による支援や切れ目のない支援等を整備するための「発達障害児者地域生活支援モデル事業」を実施している。

また、国立障害者リハビリテーションセンター発達障害情報・支援センターは、発達障害に関し、国民の理解促進に資する情報、支援者等に向けた医療・保健、教育、福祉等にわたる情報、発達障害当事者やその家族に向けた支援情報等を発信している。2025年度には、外国につながりのある発達障害児者やその家族への理解と支援を促すための研修動画コンテンツを作成した。外国につながりのある発達障害児者への支援については、これまで、未就学児の家族向けに25言語版、学齢期の子とその家族向けに12言語版のパンフレットを作成、配布・公開している。

④ 発達障害の早期診断・早期支援

発達障害については、早期発見・早期支援が重要である。発達障害の診断待機の解消、早期の発達支援のために必要な体制の整備を進めている。都道府県・指定都市においては、小児科医等のかかりつけ医等の医療従事者に対して、国の研修内容を踏まえ、発達障害に対する対応力を向上させるための研修を実施している。発達障害の診断が可能な医療機関に新たにアセスメント対応可能な職員の配置や、アセスメントの外部委託、医療機関ネットワークの構築、医師等を養成する実地研修等を実施している。

こども家庭庁では、こどもや家族の支援ニーズに適切な時期に対応できる体制整備のため2023年度から「地域におけるこどもの発達相談と家族支援の機能強化事業」を実施している。地域の保健、子育て、福祉等と医療機関との連携体制を構築し、こどもの発達相談を実施するとともに、必要な発達支援や家族支援につなぐなどしている。

⑤ 強度行動障害への対応

強度行動障害とは、自傷、他傷、こだわり、もの壊し、睡眠の乱れ、異食、多動など本人や周囲の人のくらしに影響を及ぼす行動が、著しく高い頻度で起こるため、特別に配慮された支援が必要になっている状態のことをいう。強度行動障害の軽減を目的として障害児入所施設等において適切な支援と環境の提供を行うために「強度行動障害児特別支援加算」等による支援が行われている。

令和6年度障害福祉サービス等報酬改定では、強度行動障害の状態にある者の受入体制の強化や、状態が悪化した強度行動障害の状態にある児者への集中的支援を盛り込むことで支援の更なる充実を図った。

また、強度行動障害支援者養成研修(基礎・実践)、強度行動障害の状態にある児者の支援に中心的な役割を果たす人材を養成する中核的人材養成研修についても、引き続き実施している。

(5)盲ろう者への対応

盲ろう者とは、「視覚と聴覚に障害がある者」であり、全盲ろう、全盲難聴、弱視ろう、弱視難聴の4つのタイプがある。「盲ろう者の生活状況等に関する実態調査(2025年3月)」によると、盲ろう者は約9,000人と推計されている。

盲ろう者は、その障害の程度や成育歴等により、コミュニケーション方法も触手話、指文字、指点字、手書き文字など多様な方法があり、コミュニケーション支援や情報入手、移動の支援が重要である。このため、「障害者総合支援法」の地域生活支援事業においては、コミュニケーションや移動の支援を行う盲ろう者向け通訳・介助員の養成研修・派遣事業を実施している。

また、盲ろう者の支援を行う人材の確保や派遣事業等の充実を継続して図ることが必要であり、国立障害者リハビリテーションセンター学院では、盲ろう者向け通訳・介助員の養成事業に係る企画立案を担う者や、派遣事業に係るコーディネーターに対する研修を実施するほか、視覚障害学科において盲ろう者支援に係るカリキュラムの充実を図るなどしている。

なお、2025年6月に、国連総会において、6月27日を「国際盲ろうの日」と決議し、日本を含む99か国が提案国となった。

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