平成15年度バリアフリー化推進功労者表彰(第2回)受賞者概要
京成ホテル株式会社
(所在:千葉県千葉市中央区神明町250番地の1)【厚生労働省推薦】 |
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【功績の概要】
京成ホテルは、傘下の千葉、土浦、犬吠埼、水戸の4ホテルのバリアフリー化を、各種障害のある利用者や地域の障害者、高齢者団体などのホテル利用に対する意見・要望を生かしながら、試行錯誤で手作りの改修ですすめてきた。ひとつのホテルの改修工事の経験と改修後の利用者の声を、次のホテルの改修に順次生かしていくスパイラルな手法により、利用者にとって本当に使いやすいものを、確実にしかも安い費用で実現してきた。
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伊勢佐木町1・2丁目地区商店街振興組合
(所在:神奈川県横浜市中区末広町2-6-10)【神奈川県推薦】 |
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【功績の概要】
横浜の中心的商店街の一つ伊勢佐木町は、昭和53年の商店街のモール化から「人に優しいまち」をコンセプトとして、24時間歩行者天国、歩車道及び道路・店舗の段差解消、ベンチの設置などに取り組んできた。平成11年には、伊勢佐木町1・2丁目地区を含む関内駅を中心とする半径500m以内の地域が、横浜市の「関内駅周辺福祉のまちづくり重点推進地区」に指定された。伊勢佐木町1・2丁目地区商店街振興組合は、推進地区の協議会活動を通じて行政やNPO、障害者団体などとの連携を深め、ハード面が主であったバリアフリー化をソフト面の取組みにも発展させることとなった。このような中で同振興組合が中心となって、平成13年頃より障害のある人が講師として参加する「バリアフリー接客術勉強会」や伊勢佐木町、馬車道、地下街「マリナード」の各店舗のショーウィンドや店内に障害者の作品(総計約300~600点)を展示する「福祉のアート展」、障害のある人を中心に障害のない人も共に協力して神社の例大祭でみこしを担ぐ「車いす神輿」などの活動に取り組んできた。
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岐阜経済大学まちなか共同研究室 マイスター倶楽部
(所在:岐阜県大垣市高屋町1-65 大垣ビル1F)【岐阜県推薦】 |
【功績の概要】
「大垣市中心市街地活性化基本計画」策定部会の委員として参加した学生2名が、市街地の活性化を、従来の商店街振興の視点からではなく、交通弱者の視点から推進することの重要性を指摘したことを契機に、平成11年4月、同倶楽部内に「バリアフリー研究グループ」が誕生した。以来、バリアフリーマップの作成、市民交流イベント「まちかどバリアウォークラリー体験調査」の実施、高齢者や障害のある市民にとって利用しやすい商店「お助けパーソンのお店」の認定、フォーラムやシンポジウムの開催やノンステップバス体験試乗会などのさまざまな活動に取り組んでいる。さらに、近年は、コンビニエンスストアを媒体に住民が安心して住み続けられる環境づくりを進めようとする実証実験を、コンビニエンスストアや行政と共に行う一方、地元の小・中学校における体験学習や岐阜県を含め東海地方のバリアフリー教育に取り組む高校にアドバイザーとして出向くなど、多彩な活動を繰り広げている。また、自主的な調査研究をもとに行政や地元商店街に対する提言も積極的に行うなど、行政や民間を動かす契機にもなっている。
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訓子府町(くんねっぷちょう)
(所在:北海道常呂郡訓子府町東町398番地)【北海道推薦】 |
【功績の概要】
訓子府町(くんねっぷちょう)は、人口6,400人あまりの町ながら、バリアフリーをまちづくりのコンセプトの一つとして位置づけ、道路整備、商店街近代化、電線類地中化などの事業を総合的に進めるとともに、町並みと一体化した役場庁舎・総合福祉センター「うらら」の整備、町独自の補助による店舗の改築、駅舎(第3セクター鉄道)の整備をバリアフリーに配慮して行うなど、行政と住民が一緒になって、町の一体的なバリアフリー化に努めてきた。また、役場庁舎・総合福祉センターの正面ロビーには、障害者の意見を契機に精神、知的、肢体不自由者合同の共同作業所「喫茶たんぽぽ」を開設し、障害者の自立支援と町民相互の交流を推進している。
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医療法人圭佑会 澤歯科医院
(所在:滋賀県長浜市加納町918)【滋賀県推薦】 |
【功績の概要】
蔵のような洗練されたデザインの建物にスロープや、車いす使用者もゆったり利用できるようなトイレを設置し、ストレッチャーのまま乗り入れ可能な診療室を設けるなど、誰もが安心して利用できるよう配慮されている。畳と椅子を併用した待合室は、高齢者はもとより乳幼児連れの患者にも喜ばれており、また天井を高くして、圧迫感をなくし、歯科治療に対する不安を軽減するよう配慮がなされている。
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(伊勢原)誰もが住みよい街づくり懇話会名
(所在:神奈川県伊勢原市池端184-5)【神奈川県推薦】 |
【功績の概要】
伊勢原市は平成5年度に「障害者のためのガイドマップ作成事業」を委託事業として実施したが、この際、公共施設や道路などを点検した参加者から、市民が主体となって考える自主的な「まち点検」に広く市民参加を求めようとする意見を出されたことを契機に、当初マップの作成に携わったボランティア連絡協議会のほか、身体障害者福祉協会、小・中学校校長会、伊勢原警察署、交通機関などで構成される「誰もが住みよい街づくり懇話会」が結成された。
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特定非営利活動法人 日本サスティナブル・コミュニティ・センター
(所在:京都府京都市中京区小川通六角下ル元本能寺町376)【京都府推薦】 |
【功績の概要】
この団体は、視覚障害者がインターネットなどを使おうとする場合に、キーボードの配列を覚えることが極めて大きな課題であることから、介助者なしで自宅でも学習できるよう、画面に頼らず音声ガイドに従ってキーボードの入力練習ができる、初心者向け練習ソフトを開発した。
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肥後タクシー有限会社
(所在:熊本県熊本市健軍4-18-21)【熊本県推薦】 |
【功績の概要】
車いすなどに対応する従来の福祉タクシーは、車輌も特別な装置が必要な特殊車で、患者等の限られた移送にしか使えない限定車輌であるとともに、予約が必要で、通常のタクシーとは料金の設定も異なるものが多かった。
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広島電鉄株式会社
(所在:広島県広島市中区東千田町2-9-29)【広島県推薦】 |
【功績の概要】
広島電鉄は、低騒音かつ低振動で車内の床面に段差がなく、車いすのスペースが確保され、出入口も両開きの広い扉となっている超低床路面電車を計画的に導入し、現在では12編成となっている。そのうち11編成を広島駅~広電宮島口間に投入しており、本区間の概ね2本に1本の割合(約15分間隔)で運行されている。かつては、超低床車両の運行ダイヤを照会する電話もあったが、近年はほとんどない状況である。
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福岡県田川郡大任町立大任小学校
(所在:福岡県田川郡大任町大行事3040番地)【福岡県推薦】 |
【功績の概要】
大任(おおとう)小学校では、「総合的な学習の時間」の試行的な取組みとして、平成13年度から学年ごとに交流活動等を開始したところであるが、5年生については、地元の精神障害者通所授産施設と交流を行っている。草取りや芋掘りなど、年に3~4回の交流のほか、手紙のやりとりや運動会への招待、参加などの形で継続的に交流が続いている。準備を進める過程で、大阪府の池田小学校での児童殺傷事件が起き、一時は交流を危ぶむ声も出たが、児童との交流に先立ち教員と施設職員や利用者との交流会を行い、教員の精神障害についての理解を深めた。また2年度目からは、PTAからの参加も得ている。
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村山 輝子
(所在:千葉県習志野市鷺沼2-14-2)【厚生労働省推薦】 |
【功績の概要】
村山さん(日本オストミー協会副会長)は、オストメイト(人工肛門・人工膀胱を保有する者)の障害に対して社会的に配慮がされていないのは、一般には公表したくない障害であることから閉鎖的、内向的になり、社会に対し何の訴えもしなかったためであり、もっとオストメイトの生活バリアを社会に訴え、理解を得るよう努めるべきであるとの考えから、オストメイトであることを自ら公表して千葉県内の駅前でキャンペーン活動を行い、生活環境整備について社会の理解を求め、オストメイトが安心して外出できるよう「オストメイト対応トイレ」の必要性を強く訴え、バリアフリー社会の実現に努めてきた。
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有限会社 料亭こもだ
(所在:大阪府藤井寺市御舟町2-47)【大阪府推薦】 |
【功績の概要】
この事例は、段差の解消や手すりの設置はもとより、車いす対応テーブルの設置、和室への車いすの乗り入れ、視覚障害者誘導ブロックや点字表示、石けんや乾燥まで自動の洗面装置を各階に整備するなど、個人レベルの料理店としては高い水準の整備がなされている。また、和室と洋室の仕切を取り外すことにより障害がある人とない人が自然に同席できるような工夫をしたり、身体障害者補助犬法の施行以前から介助犬や盲導犬の入店を受け入れている。さらに、障害者の雇用を視野に入れ、厨房もバリアフリー化するなど、単なる施設整備にとどまらない取組みが見られる。
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