平成17年度 バリアフリー化推進功労者表彰審査を終えて

バリアフリー化推進功労者表彰選考委員会委員長 野村 歡

本年度で4回目の表彰の実施となりましたが、今回も候補者の推薦を都道府県や政令市、関係省庁にお願いし、81件の多種多様な事例の推薦をいただきました。本年度の審査過程等につきまして、ここに御報告いたします。

毎年度のこととなりますが、今年も非常に困難な審査となりました。選考委員会においては、すべての事例について
  • 内容:他の団体や個人のモデルとなるような充実した内容であるほか、活動の広がりやユニークさなども勘案する
  • 波及(効果):他の団体や個人に広く普及することが期待できる。
  • 将来性:今後、一層の取組の充実や拡大、広がり等が期待できる
  • 利用者の視点:常に様々な利用者の視点を大事にするとともに、利用者からも支持されている
  • 自発性:本来目的や義務としてではなく、自発的な取り組みである
  • 具体性:バリアフリー社会の実現に対する直接的・具体的な活動である
  • 継続性:長年にわたり実績が積み上げられている

などの観点から評価することとし、その結果を総合的に判断することによって、できる限り審査の公平性を保つよう努力しました。

まず、選考委員全員が、事前に全ての事例について関係資料を基に評価・検討を行い、その中から比較的優れたものを20件程度選びました。次に、これらの事例に対して委員が分担して現地調査、情報収集等を行い、これをもとに一つひとつの事例について委員会において再度議論しました。

施設整備に関係する事例については、ハード面のバリアフリー化がある程度一般化してきており、他と違った特色を出すのが難しくなっています。審査においては、プロセスにおける高齢者、障害者等の当事者参加やデザインの洗練性、組織全体としての取組姿勢、施設整備に付随するソフト面の取組状況等、施設の整備水準はもとより総合的な視点で審査を行いました。

製品開発に関係する事例については、近年、年齢や障害の有無等にかかわらず誰にとっても使いやすくデザインされた製品の開発・販売がされるようになってきました。こうした状況を踏まえ、審査の際には、開発プロセスにおける高齢者、障害者等の当事者参加や組織全体としての取組姿勢、ユーザーの評価、デザイン性、波及効果などの視点から評価しました。

活動等に関係する事例については、活動の独創性や先進性、継続性や当事者等からの評価、波及効果などが論点となり、これらを総合的に判断しました。侯補の中には、独創的かつ先進的な活動を行っているものの将来性等の理由から、今後の活動の継続性及び広がりを期待されつつも、結果として今回の受賞とは至らない事例もありました。

また、今回は推薦事例が全国的な大企業や規模の大きな行政主体から一個人までと幅が大変広がり、そのことが審査をより困難なものとしました。このため、審査では、審査対象の規模や活動能力等に見合った、またそれを上回る功労が認められるか、という点についても慎重に検討をしました。推薦事例にはそれぞれすばらしい特色があり、互いの優劣を比較することは非常に困難でした。審査結果は、前述の審査過程を経て、委員全員で出した一つの結論であり、選にもれた事例について、バリアフリー化の推進に果たした功績が小さいとするものでは決してありません。

最後に、今回の表彰において御協力をいただいたすべての皆様に、心よりお礼申し上げるとともに、これを機会にできるだけ多くの方々が「バリアフリー」ということに関心をお持ちいただき、社会全体のバリアフリー化が一層推進されることを願い、全体講評とさせていただきます。

平成18年1月
内閣府特命担当大臣 猪口邦子バリアフリー化推進功労者表彰選考委員会委員長 野村 歡