平成19年度バリアフリー化推進功労者表彰式(第6回)受賞者概要

内閣総理大臣表彰(2件)
株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ
(東京都千代田区永田町2-11-1山王パークタワー)
  • みんなが使いやすい携帯電話(「らくらくホン」や「2画面ケータイ」)をユニバーサルデザインの考え方に基づいて開発し、発売。また、「ドコモハーティスタイル」で多様な環境にある人々へのサービス提供に取り組む。
【講評】

 全ての人が使いやすい製品・サービスを追求していくというユニバーサルデザインの考え方に基づき、携帯電話を一人でも多くの人が利用できるように取り組んでいる。
 3つのワンタッチボタン、読みやすく大きな文字、押しやすく大きいボタンを特徴とする「らくらくホン」や二面の表示パネルを持ちキーパッドをタッチパネル化することでキー操作をわかりやすくした「2画面ケータイD800iDS」は、高齢者や障害者から非常に使いやすいと高い評価を得ている。
   また、「ドコモハーティスタイル」の考え方のもと、「製品」「お客様窓口」「サービス」の3つの柱で取り組んでおり、ドコモショップにおけるバリアフリー化、テレビ電話によるサポート、点字や音声の取扱説明などを通じて、多様な環境にある人々の携帯電話利用を支援している。

  • 「らくらくホンIV」
    「らくらくホンⅣ」
  • 「2画面ケータイD800iDS」
    「2画面ケータイD800iDS」
中部国際空港株式会社
(愛知県常滑市セントレア1-1)
  • 基本設計段階から障害者団体と検討を積み重ねて建設した日本初の国際空港旅客ターミナルビル施設。
【講評】

 障害のある方に対するバリアフリーにとどまらず、幼児、高齢者、妊婦や大きな荷物を持った旅客など、すべての施設利用者ができるだけ同じ施設・設備を利用できる旅客ターミナルビル施設を目指し、基本設計段階から障害者団体とともに、ユニバーサルデザインの検討を積み重ねた。旅客の階層移動が少なくなるように、ターミナルの出発階を3階、到着階を2階にまとめ、さらに空港駅や駐車場との間をスロープや動く歩道でつないでいる。また、誘導ブロック・文字案内・放送設備などのハード面に加えて、職員による案内などソフト面からのサポートも行っている。
 さらに、地域の子どもだけではなく、全国の養護学校などの社会見学の受け入れを積極的に行い、ユニバーサルデザインの施設に関する理解が深まるように努力している。

  • 「空港駅から旅客ターミナルビルに向かうスロープ」
  • 「案内所にある筆談ボード」
内閣府特命担当大臣表彰優良賞(8件)
岡山県立興陽高等学校
(岡山県岡山市藤田1500)
  • 「バリアフリー庭園」を造園し、一般にも開放。学校全体でユニバーサルデザインに関する研究や実践活動を推進。
【講評】

 2001年から造園デザイン科の生徒達が卒業制作として、学校内に「バリアフリー庭園」を設計・施工している。この庭園は、定期的に点検やリフォームをしながら、一般に開放している。車いすでも自由に散策できるようスロープを設置するなどの工夫を行った「バリアフリー庭園」は、地域の憩いの場となっており、多くの人が来訪している。
 また、他の学科を含めて学校全体でユニバーサルデザインに関する研究や実践活動を実施しており、地域のユニバーサルデザイン拠点としても活用される学校づくりを目指している。

  • 「スロープを設置して段差を解消」
    「スロープを設置して段差を解消」
  • 「スロープを利用して頂上まで到達可能な丘」
    「スロープを利用して頂上まで到達可能な丘」
花王株式会社
(東京都中央区日本橋茅場町1-14-10)
  • キザミ付きシャンプーを日本で初めて商品化。誰もが安全・安心に使える家庭用製品の開発に取り組む。
【講評】

 リンスとの識別性を高めるため、キザミ付シャンプーを1991年に日本で初めて商品化した(エッセンシャルシャンプー)。この識別技術は高齢者や障害者をはじめ、誰もが分け隔たり無く生活を送れるようにする技術であり、社会に普及促進させるため、知的財産権を取得していない。その結果、現在では日本の競合他社を含め、アジア各地でも幅広く普及している。
 同社では、バリアフリーの理解と普及を進めるため、視覚障害者向け生活情報を提供している。特に、啓発ビデオは学校教育にも活用されているほか、視覚障害者向け生活情報CDや容器に貼り付ける点字シールを要望により無償で配布するなど、ユニバーサルデザインの考え方に基づく社会貢献活動を幅広く行っている。

  • 「シャンプーのきざみ」
    シャンプーのきざみ
京都 リップル
(京都市右京区宇多野御屋敷町18)
  • 障害を持つ学生たちが自主的に始めた、大学における情報保障の活動が発展し、映画に日本語字幕や副音声をつけた「バリアフリー上映会」や障害者理解のための講演会を、幅広い年齢層に対して実施。
【講評】

 生まれつき聴覚障害を有する深田代表は、同志社大学に進学後、大学ごとに、障害学生支援について、差があることを知り、2003年に「京都リップル」を創設し、障害を持つ学生が一般の学生と同じように授業を受けられるための取組を始めた。
 当初は、聴覚障害を持つ学生の支援としてノートテークを行ったり、視覚障害を持つ学生のための点訳作業など、学生をサポートする活動を中心に行っていた。その後、各大学でのサポート体制も整いつつあることから、健常者と障害者が共に活動を行い、障害者への理解を広めるため、映画に日本語字幕や副音声をつけた「バリアフリー上映会」の実施や、小・中学校、大学、一般向けの講演にも精力的に取り組んでいる。

  • 「上映前に字幕の位置を確認」
  • 「字幕の入った映画を上映中」
特定非営利活動法人
全国視覚障害者情報提供施設協会
(大阪市中央区道堀1丁目東3-23)
  • インターネットを利用した日本最大の視覚障害者情報ネットワークを運営。多くの視覚障害者が自分で必要な情報を得られるようになり、情報アクセスのバリアフリー化に貢献。
【講評】

 視覚障害者情報提供施設(点字図書館)の全国組織の中核であり、視覚障害者の読書環境の充実を目的として、点字・録音図書の標準化を図るために点訳及び音声訳のマニュアルを編集・発行したり、点訳・音訳ボランティア養成に携わる指導者の研修を行うなど、各種事業を積極的に展開している。
 特に、インターネットを利用した視覚障害者情報ネットワーク(「ないーぶネット」)は、現在、約40万タイトルに及ぶ点字・録音図書目録のほか、8万5千タイトルを超える点字データを有している。この「ないーぶネット」を利用することで、5千人を超える視覚障害者が自分自身で、24時間いつでも必要な情報を得られるようになり、情報アクセスのバリアフリー化に貢献した。

凸版印刷株式会社
(東京都千代田区神田和泉町1番地)
  • 包装や容器を使いやすく、表示をわかりやすくすることに加えて、「パッケージ ユニバーサルデザイン診断システム」を開発し、体系化
【講評】

 誰でも安全安心に使用できるよう、包装や容器の製品設計段階において、生活者に優しいユニバーサルデザインのコンセプトを重視し、開発を行っている。「見やすく」「読みやすく」「わかりやすく」に配慮し、情報を適正に伝えられるよう取り組んでいる。
 さらに個々の商品開発で得た知見を、利用者の観点から体系化した「パッケージ ユニバーサルデザイン診断システム」を開発した。このシステムは購入から使用、保管、廃棄に至るプロセスごとに、パッケージの課題点を明確に示し、最適なパッケージを提案するものである。さらに、システムをJIS規格化の際の原案として提供し、社会への普及を目指している。

  • 「ユニバーサルデザイン化されたパッケージ」
    「ユニバーサルデザイン化されたパッケージ」その1
  • 「ユニバーサルデザイン化されたパッケージ」その2
はあとねっと輪(わ)っふる
(さいたま市中央区上落合2-2-1 埼玉トヨペット本社ビル1F)
  • 埼玉トヨペット本社ビルを利用して、情報発信や活動の企画・実践を行い、様々な人々が共に働き、暮らす社会の実現に向けて活動。
【講評】

 子ども、高齢者、障害者、子育て中の人など様々な人々が、活動し、交流できる場を提供するとともに、情報発信、活動の企画・実践を行い、社会の様々な人々が共に働き、暮らす社会の実現に向けて、活動している。
 埼玉トヨペット内のショールーム活用による地域社会への貢献として、2002年に活動を始めた「はあとねっと輪っふる」では、子ども、障害者、高齢者、子育て中の人、ボランティア、会社関係者など様々な人々が集い、アートギャラリー、農業体験、パンの販売、赤ちゃんサロン、障害者の就労支援、大学生のインターンシップの受入れなど多彩な活動を行っている。「一緒にいることから始めよう」と活動を始めてから5年が経過し、皆が共に楽しみ一緒に活動する輪が着実に広がっている。

  • 「農業体験(車いすの方もゴムボートで田植え)」
    「農業体験(車いすの方もゴムボートで田植え)」
  • 「赤ちゃんサロン(バイオリンに聞き入る)」
    「赤ちゃんサロン(バイオリンに聞き入る)」
兵庫県立福祉のまちづくり工学研究所
神戸市西区曙町1070)
  • 福祉のまちづくりを推進するための日本で唯一の県立の研究機関として、調査研究・製品開発に加えて、研究者の育成にも取り組む。
【講評】

 障害があっても誰もがいきいきと生活できる「福祉のまちづくり」を推進すべく、主として、工学的な視点から障害者のための機器づくり、住まいづくり、まちづくりなどの調査・開発研究、政策提案、及び研究成果の普及に取り組んできた。まちづくり支援、コミュニケーション機器・システム開発、住宅づくり・ニーズに応じた福祉用具開発、義肢装具開発の面からこれらの活動を進めている。
 さらに、日本で唯一の、福祉のまちづくりを総合的に推進する県立の研究機関として、研究者の育成にも取り組み、各方面で活躍する研究者を輩出している。

  • 「人にやさしい歩車道境界部縁石ブロック」
    「人にやさしい歩車道境界部縁石ブロック」
  • 「義足やリハビリ器具を開発」
    「義足やリハビリ器具を開発」
ユニバーサルデザインリフォームプラザ静岡
静岡市清水区堀込430)
  • ユニバーサルデザインの考え方に基づいた住宅の建築・改築の提案に加え、実際に体感することによる啓発活動も実施。
【講評】

 住宅の建築・改築の際にユニバーサルデザインの考えを取り入れることにより、より良く快適に生活できる提案を行っている。
 また、体験スタジオを設け、実際に施設や製品を体感することによりバリアフリーやユニバーサルデザインを身近に体感してもらえるようにしている。系列の新聞やテレビ局での広告を通じて、ユニバーサルデザインについての普及に努めているほか、ユニバーサルデザインに関するセミナーを行い、静岡県内外からの多数の見学者や取材にも対応している。さらに、子どもたちを対象としたユニバーサルデザインを学ぶ教室を開催するなど、幅広い年齢層にユニバーサルデザインの必要性を訴えている。

  • 「改築の際に段差を減らしバリアフリー化を推進」
    「改築の際に段差を減らしバリアフリー化を推進」
  • 「実際にユニバーサルデザインで作られた製品を体験」
    「実際にユニバーサルデザインで作られた製品を体験」
内閣府特命担当大臣表彰奨励賞(5件)
大洗サーフ・ライフ・セービング
(茨城県東茨城郡大洗町大貫町1212-57)
 水陸両用の車いす、障害者用トイレ・更衣室の導入、段差の解消などのほか、ライフセーバーによるサポートなど、ハード・ソフト両面の取組により、誰もが海水浴を楽しめる日本初の「バリアフリービーチ」を運営。
大阪市交通局
(大阪市西区九条南1-12-62)
 2006年12月に開業した地下鉄今里筋線において、大阪市の地下鉄で初めてとなる可動式ホーム柵や全ての出入口へのエレベーター設置など、バリアフリー化に取り組み、快適で便利な施設を整備。
大日本印刷株式会社
(東京都新宿区市谷加賀町1-1-1)
 点字入りの容器や簡単に開封できる袋をメーカー側に提案するなど、生活者目線に立った製品設計を行っており、より多くの人に使いやすいパッケージの開発・普及を推進。
トーワ株式会社
島根県松江市学園南2-1-2)
 視覚障害者歩行誘導ソフトマット「歩導くん」は、屋内施設において線状ブロックの補完的な役目を果たし、凹凸がなく高齢者や車椅子利用者も通行しやすく、すべての人が安心して暮らせるまちづくりに貢献。
特定非営利活動法人 子育て支援のNPOまめっこ
名古屋市北区柳原4-2-3)
 商店街の空き店舗を活用して、子育て活動の拠点となる「遊モア」を開設し、「遊モア」が所在する商店街及び周辺地域に関して子育て中の親と子の視点から見た人にやさしい街つくりマップ(子育てバリアフリーマップ)を作成。