平成27年度バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰式(第14回)受賞者概要

内閣総理大臣表彰(1件)
株式会社オーエックスエンジニアリング
(所在:千葉県千葉市)【千葉市推薦】
【概要】

 車椅子製造事業者の多くが汎用品を海外で製造しているのに対し、材料加工から出荷まで一貫した国内生産体制を構築し、車椅子事業参入前にバイクレースで培った技術を応用して競技用車椅子を開発。
 その競技用車椅子で蓄積した軽量アルミやカーボン素材などの材料の選定・加工技術などのノウハウを日常用車椅子にも取り入れることで、ユーザーの体型、筋力や操作技術、障害の種類や程度、使用環境に合わせた軽量・コンパクトで、高い機能性・操作性、デザイン性を兼ね備えた独創的な日常用車椅子を商品化している。

【特に顕著な功績・功労】
  • 販売当初より収集した44,000台、27,000人分のデータを基に複数パターンの車両フレームを開発し、その他のタイヤ、ホイールやブレーキなどの主要部品についても複数種類から選択可能としている。加えてタイヤ色やフレーム色も自由に選択ができ、カラーバリエーションも豊富であり、ユーザーの好みに応じた組み合わせが自在である。
  • 日常用車椅子にも関わらず、軽量アルミやカーボン素材を使用することにより、車椅子にとって重要な重量を可能な限り抑え、スマートなフレーム前方形状を採用するなど高いデザイン性を追求。
  • ユーザーに、外出する喜びを提供することで、心のバリアフリー化にも貢献している。
  • なお、競技用車椅子(テニス、陸上、バスケ等)の分野では国内有数のシェアを獲得するトップメーカーとなっている。
(参考)競技用車椅子
  • 過去7回の夏季・冬季パラリンピック競技大会で、106個のメダルを獲得。
  • 車椅子競技大会(テニス、陸上、バスケ等)に年間20回程度のボランティア参加をして、参加する選手のため車両メンテナンスのサポートを実施。
内閣府特命担当大臣表彰優良賞(4件)
公益財団法人 横浜市芸術文化振興財団 横浜能楽堂(よこはましげいじゅつぶんかしんこうざいだん よこはまのうがくどう)
(所在:神奈川県横浜市)【横浜市推薦】
【概要】

 横浜能楽堂は、平成12年から年1回、より多くの方へ「能」・「狂言」に触れて、楽しんでいただくことを目的として、障害者も楽しめるよう企画した「バリアフリー能」を開催している。
 公演の前後には、各障害者関係団体や鑑賞者の意見を聞き、また、平成24年度からは公演後に鑑賞者を集めた「公演内容向上のための意見交換会」開催し、障害者にとって公演前や当日に必要な様々なサポートの導入にフィードバックしてきた。
 また、公演前に職員全員参加で障害者から話を聞く研修を実施し、ソフト面のサポート体制の充実にも努めている。

【特に顕著な功績・功労】

・サポート内容

  • (視覚・聴覚障害者向け)公演日とは別に、「事前施設見学会」を実施。舞台見学、舞台触図
  • (視覚障害者向け)点字パンフレット、点字チケット、副音声、触れる能面
  • (聴覚障害者向け)手話通訳、パソコン通訳、デジタル機器(タブレット端末やウェアラブル端末など)の活用
  • (知的障害者向け)台本へのルビ・挿絵の掲載、途中入退場可
  • (全般)介助者1名無料
川端鉄工所(かわばたてっこうしょ)株式会社
(所在:石川県能美市)【石川県推薦】
【概要】

 様々な能力障害への対応を可能とする基盤技術である「定圧ボールジョイント」を開発し、「個々人への適合が不十分」といわれる福祉用具の抱える課題に対応。特注品の作製にとどまらず、利用者の身体特性に合わせて高さや方向を自由自在に微調整できる、利用者本位の福祉用具の自社標準品を開発・販売。
 これらは、県のバリアフリー推進工房(県のリハビリテーションセンター、工業試験場、土木部建築住宅課で構成される医工連携組織)との関わりを深める中で、障害者や介助者の多様なニーズを蓄積し、さらに、利用者の個別のニーズの共通項を抽出するなどの地道な積み重ねによって可能となった。

【特に顕著な功績・功労】
  • 微調整が容易にできるヘッドレストやノートパソコンスタンドなどの自社製品を販売するほか、大手福祉用具メーカーへのOEM製品も生産している。
  • 「定圧ボールジョイント」は、手術用機器や様々な分野の計測機器の固定具としても利用され、医療機関、大学、国立研究開発法人産業技術総合研究所など高度専門領域への広がりも見せている。
  • 「現場第一主義」を徹底し、必要に応じ出張をしながら製品の試作・試用、利用者に合わせた調整・改良、使用後のメンテナンスに至るまで、機動的かつきめ細やかに対応。
(参考:定圧ボールジョイント)
 車椅子のヘッドレスト等の微調整を現場で最終的に行う際に、利用者と介助者双方の負担を軽減する技術。「適正な角度を見つけながら固定する際にぐらつかず、一定の保持力(固定力)があり且つ締め付けやすい構造が必要」とのユーザーニーズにより開発。ヘッドレスト、ジョイスティック、ノートパソコンスタンド等の様々な福祉用具の固定具として使用される。

株式会社主人公(しゅじんこう) 風の子(かぜのこ)スクエア
(所在:愛知県弥富市)【愛知県推薦】
【概要】

 地域に開かれた就労支援の場作りを目指し、食肉加工工場兼店舗を障害者の就労継続支援事業所としてリノベーションした施設。
 現在、特別支援学校卒業後3年目までの男女10人(利用メンバー)が就労。カフェで働く者、多目的ホール内設備の確認をする者など、作業の細分化などにより、全員が能力を効果的に発揮できるようにしている。また、利用メンバーと地域との関係性を深めるために、地域住民の要望を踏まえた各種イベントを開催するなど、地域住民との交流も活発に行われ、障害者との共生社会の実現につながる活動を行っている。
※元店舗スペースを「カフェ」、元工場スペースを「多目的ホール」に改造。その他、夏季は大型プールが設置される「ウッドデッキスペース」やフットサルができる「グラウンド」が併設。

【特に顕著な功績・功労】
  • カフェでは、利用メンバーは簡単な調理、盛り付けや、注文、配膳、下膳、食器拭き、店内の掃除などを行っている。
  • 多目的ホールは、大型のトランポリン、ボールプール、150インチのスクリーン等が配置され、地域住民やカフェの来客者に開放。利用メンバーは、設備の消毒や傷み・破損の確認等を行い、利用メンバーと来客者が日常的に自然と交流する場となっている。
  • 多目的ホールでは、朝のラジオ体操、夏祭り、クリスマスパーティー、映画の自主上映会等が行われ、利用メンバーと地域住民が一緒に利用し、活発に交流している。
  • 風の子スクエアは、障害のある方々にとって働く事でしか得られない喜びを与える場となっているだけでなく、地域との交流により社会とのかかわりを持つ場にもなっている。
地域共生型福祉施設整備協議会(ちいききょうせいがたふくししせつせいびきょうぎかい)
(所在:京都府与謝郡与謝野町)【京都府推薦】
【概要】

 障害・高齢・児童の垣根を越えた新たな福祉基盤を整備するため、平成22年に町の呼びかけにより、福祉関係業務を行う4つの法人が「地域共生型福祉施設整備協議会」を設立。平成25年に「特別養護老人ホーム」、「在宅複合施設」、「障害者就労支援施設ワークセンター」、「訪問看護ステーション」の4つの事業所の複合体である『地域共生型福祉施設「やすらの里」』を竣工・開所。
 協議会では、施設の整備内容を検討するため様々な福祉施設の見学や勉強会を実施。
 また、設計段階から、これまで培われたノウハウやアイデアを出し合い、エリア毎に認識しやすい木戸のデザイン、各室毎に異なるカラーリング、腰壁と併せて二段になる手摺りなど随所にユニバーサルデザインが施されている。

【特に顕著な功績・功労】
  • 「障害者就労支援施設」の障害者は、「やすらの里」の共用部分の清掃や、食事の下ごしらえ、配食もしており、施設を利用する高齢者との交流の機会にもなっている。
  • 「特別養護老人ホーム」の中には、「地域交流室」があり、障害者や高齢者のみならず、町が週に3回開設する「子育て支援センター」を利用する乳幼児とその保護者との交流の場になっている。
  • 「やすらの里」は、特別養護老人ホームに入居する高齢者、障害者就労支援施設ワークセンターの障害者スタッフ、地域の乳幼児とその保護者が安心して交流できる施設として運営されている。