平成29年度バリアフリー・ユニバーサルデザイン推進功労者表彰式(第16回)受賞者概要

内閣総理大臣表彰(2件)

仙台市交通局
(所在:宮城県仙台市)【国土交通省推薦】
【概要】
  • 平成27年12月に開業した仙台市地下鉄東西線は、高齢者や障害者を含む誰もが安全、安心に利用できる施設とするため、公営企業としての特質を最大限に発揮して市のまちづくり担当部局と協調し、実効性のより高い施設整備を行った。
  • 具体的には、施設整備などのハード面と、職員教育・啓発活動のソフト面の両面について基本計画を立案し、設計段階では、車両モックアップに模擬ホームを加え、車椅子利用者による実際の乗降を体験したうえでのアンケート調査結果を設計に反映させたり、工事完成後には車椅子、視覚障害、聴覚障害の利用者それぞれに見学会を開催し、そこで得られた意見により開業までに改良を加えるなどの改善を図った。
  • 駅をまちづくりの中核施設として位置づけ、障害者を含む市民が自由に使えるトイレをラッチ外に設置するとともに、地下鉄と他の公共施設等との境界領域における誘導ブロックの連続や、サインの統一など、まちづくりや公共施設管理を担当する市の部局と調整を図ることにより、まちづくりとしての一体のユニバーサルな施設整備を実現した。
【特に顕著な功績・功労】
  • 仙台市地下鉄東西線の建設・開業にあたり仙台市交通局では、まちづくりと一体に進めたバリアフリー施設整備による旅客サービスの提供や計画段階からの障害当事者参加による実効性の高い施設整備を進めるため、以下の取組みを実施した。
    1. 障害者からの意見を積極的に取り入れ、可能な限り設備の追加等を実施
      • 全車両に、車椅子・ベビーカー用のフリースペース設置及び縦手すりの追加
      • 多機能トイレを、左勝手・右勝手の複数設置
      • 拡幅自動改札口への誘導ブロックの設置
      • 発達障害等に配慮し、可動式ホーム柵扉への行先方向別色の追加 等
    2. 車椅子利用者の自主性を重んじ、係員の介添なく移動できる経路を整備
      • 車椅子利用に対応した券売機の設置
      • すべての自動改札口を拡幅化
      • 隙間調整材によるホームと車両間の段差・隙間の縮小 等
    3. ユニバーサルデザインの考えに基づく案内情報の提供
      • 車両内案内の多言語化及びサインの表面輝度アップによる視認性向上
      • 緊急情報の即時提供が可能な駅・ホーム・車内サイン 等
    • あわせて、仙台市交通局の組織全体としての資質向上をめざし、心のバリアフリー化推進として、バリアフリーに関する職員への教育・マナーアップ啓発活動・市民向け講座の開催・情報提供などの活動を行うことが計画されており、これらの取組みは、これから2020年東京オリンピック・パラリンピック開催を迎える上でも、政令指定都市の先進例として高く評価できるものであり、今後の波及効果も期待できる。
全日本空輸株式会社・ANAウイングス株式会社
(所在:東京都港区、大田区)【国土交通省推薦】
【概要】
  •  全日本空輸株式会社及びANAウイングス株式会社は、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催を迎えるにあたり、また将来的な高齢化社会を控え、ソフト、ハード両面からバリアフリー化を推進し、障害を持つ方だけでなくすべての利用者が不安・ストレスなく、より快適に航空機を利用できる環境の整備に努めており、今般、利用者からの声を参考に、空港や機内における各シーンにおいて、製品開発、導入に至ったものである。
【特に顕著な功績・功労】
  • 空港、機内でのコミュニケーションを円滑にサポートする製品開発
    アナウンス等での情報が聞き取れず、イレギュラー発生時に不安に感じている耳や言葉に障害のある方や外国人の方に対して、従来は、4か国語(日英中韓)による紙のコミュニケーションボードを使用し対応していたが、文字と音声、内容を容易に理解できるピクトグラムの活用と多言語(17言語)対応により、空港、機内で係員とのコミュニケーションをサポートするツールとして、タブレット端末を活用した「電子版コミュニケーション支援ボード」を開発、導入し、平成28年からサービスを開始した。機内、空港での活用を通じて、利用者からの声や反応を把握しながら、更なる内容のアップデートを可能としており、より一層多様化する顧客ニーズに対応できるようになった。
  • 搭乗手続きから、保安検査場、機内までの移動を快適にサポートする製品開発
    「空港の保安検査場がストレスポイントである」という車椅子利用者からの意見を踏まえ、保安検査時に金属音が鳴らない車いすを、車椅子メーカーの株式会社松永製作所と約3年かけて共同開発した、「樹脂製車いすmorph(モルフ)」を導入した。この車椅子は、保安検査場で金属探知機に反応せず、かつ航空機の座席まで乗ったまま移動することができるもので、空港で樹脂製を採用するのは全国初であり、また、金属の冷たい印象を払拭し、温かみのある丸みを帯びたデザインなど、利用者からも好評を得ていることから、一部機能改修を行ったうえ、順次車椅子の入れ替えを進め、利用者にストレスなく保安検査場を通過し、航空機に搭乗できる環境を整える予定である。
  • 航空機の搭乗、降機をスムーズ、快適にサポートする製品開発
    ANAウイングスが運航するDHC8-Q400型機(以下Q400)は、他機種に比べて機体が低く、各空港に設置されている搭乗橋(以下PBB)を接続することができず、利用者は、ターミナルと航空機間をバスや徒歩で移動する必要があった。車椅子利用者は、別途特殊な機材を装着・離脱するという特別対応が必要で搭乗・降機に時間を要していたが、全ての利用者へ快適性と利便性を提供すべく、国内で初めて、Q400のドアとPBBの接続を可能にする「PBBアダプター」を開発し、サービスを開始した。これにより、車椅子利用者は特別な機材を再装脱着することなくアダプターに昇降式のエレベーター機能を設置することで車椅子ごと搭乗が可能となり、また、すべての利用者が雨、風、雪にさらされることなく搭乗することが可能となったことが、社内外より評価されている。現在は、松山空港、千歳空港、青森空港、鹿児島空港で運用しているが、今後は、Q400が就航し、PBBが設置されている空港へ順次展開し、普及を進めていく予定である。
  •  これらの取組みは、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催を迎える上でも、航空機・空港の先進例として高く評価できるものであり、自社のみならず他社へ、また、国内のみならず世界へといった波及効果も期待できる。

内閣府特命担当大臣表彰優良賞(3件)

石狩市
(所在:北海道石狩市)【厚生労働省推薦】
【概要】
  •  石狩市は、聴覚障害者の暮らしやすいまちを目指し、平成25年に手話条例を制定し、テレビ電話と手話通訳を活用したサービスなどを次々と導入。市民の意識にも変化が表れ、学校や住民からの依頼を基に市が行っている出前手話講座を受講する者も年々増加、石狩消防署では継続的な訓練を実施して緊急時に備え、市職員の8割超が簡単な手話挨拶が可能など、市長を始め市民全体が聴覚障害者や手話への理解と共感が着実に広がっている。
【特に顕著な功績・功労】
  • 手話出前講座・出前授業の実施
    • 学校や事業所等に指導者を派遣して「手話」や「ろう者」について知ってもらう取組みを行っており、中でも石狩消防署では、救急現場で聞こえない人に対応する時に、救急隊員が手話を含めたコミュニケーションができるように週4回手話講習を実施している。
    • 手話出前授業については、総合的な学習の時間のテーマに合うように授業実施のための教育プログラムを市で作成しており、昨年度は、市内の小学校13校のうち10校が、中学校8校のうち6校が出前授業を実施した。
    • 副教材「手話でこんにちは」を作成し、ろう者の講師と手話通訳者が授業を展開し、わかりやすい内容で手話やろう者への理解を広げている。
    • また、継続的に実施していくため、地元ろう協会、手話通訳者、行政職員から構成される「石狩市手話出前講座運営委員会」を設置し、市民が主体となって活動している。
  • 石狩手話フェスタを開催
    • 市や市民団体が中心となって、今年3回目となる石狩手話フェスタを開催。手話体験や手話パフォーマンスなど、手話への啓発活動を行っている。
  • 電話リレーサービスの実施
    • 電話が耳の聞こえない人にも使える環境を目指し、聞こえない人が電話を利用するためのしくみである「電話リレーサービス」事業を独自に実施している。手話通訳者が手話による通訳を行い、聞こえない人と話をしたい相手先との電話によるコミュニケーションを支援しており、昨年度における登録者12名、年間利用件数53件の実績があった。情報アクセスのバリアのない社会の取組みの1つとして、ろう者からも高く評価されている。
  •  石狩市は、誰でも一緒に暮らせるユニバーサルデザイン社会を目指すために、行政、当事者、市民、学校、企業全体が相互協力し、市民全体を巻き込んで社会づくりを進めている点が大きな特徴であり、自治体の取組みとして高く評価できるものであり、今後、情報共有をさらに進め、日本全体のバリアフリー・ユニバーサルデザイン社会につなげていく工夫を進めていくことが期待される。
株式会社エスコアール
(所在:千葉県木更津市)【千葉県推薦】
【概要】
  • 株式会社エスコアールは、他社に先駆けて、言語障害者向けの各種検査・訓練教材等の開発・製造・販売に、創業直後から取り組んできたパイオニア的企業である。
  • 同社社長は、言語聴覚士として言語障害者のリハビリに携わった経験から、臨床現場で蓄積された教材の製品化のアイディアが原動力となり起業。言語聴覚士や医師ら専門家の協力も得ながら、失語症患者訓練用教材等を次々に企画・開発し、また、失語症者等の意見を参考に改良を重ねるなど、特に高齢の失語症者にも使いやすい機器を含めた言語障害者向けの教材開発を展開している。
【特に顕著な功績・功労】
  • 従来、失語症患者の大部分が高齢者であるという事実を考慮した教材がなく、子供向けの絵カードや絵本を用いた訓練をせざるを得なかったが、同社では、失語症患者の訓練で使える写実的なイラストのカードがほしいといった現場の声に応え、「絵カード2001」を発売し、精神面にも繊細に配慮した訓練が行えるようになった。
  • また、失語症者が病院での訓練後に自宅で自習練習する教材がなく、この問題を解決するため同社では、同社の主力製品である、言語訓練用絵カード「アクトカード」を開発。同社の「音声ペン」を用いることによりアクトカードのイラストが示す言葉が発声されるため、失語症者自身が自宅や病院で自習練習を行うことが可能となり、現在では、「絵カード2001」とあわせて、全国の病院や特別支援学校、障害者施設において広く採用されている。
  • この他同社では、言語障害者への支援や社会的認知が遅れる中、言語障害者の訓練を行うための教科書やマニュアルの企画・販売も行っている。商品化したもののほとんどは病院や相談機関での臨床から生まれたものであり、特に、監修に関わった「国リハ式<S-S法>言語発達遅滞検査」のマニュアルは、多くの臨床結果と理論に基づいた訓練法をまとめており、全国の言語聴覚士の養成現場で教科書として採用されている。
  •  このように同社は、社会的認知が未だ不十分な失語症をはじめとする言語障害者への訓練教材の開発の企業であることに加え、障害者関連書籍の出版業務、販売を長年にわたり取り組むなど、教材や書籍を通して障害者に対する社会の理解を深めることに大きく貢献している。
道の駅 常陸大宮
(所在:茨城県常陸大宮市)【茨城県推薦】
【概要】
  •  平成28年3月に開業した道の駅常陸大宮は、道路利用者の休憩施設としてだけでなく、常陸大宮市の新たな産業拠点の場、シティーセールスの場、さらに災害時の防災拠点となることを目的に整備されており、利用者に安全・安心して利用してもらえるよう、計画当初から、ユニバーサルデザインの考えに基づいた設計や福祉関係部局との協議により、平常時の利用はもちろんのこと、災害時においても、体の不自由な方や妊産婦の方などが安心して利用できるよう、様々な配慮がされており、また、専任の担当者を配置し、体の不自由な利用者に目配りし、すぐにサポートできる体制をとっているなど、誰でも不自由なく利用できる環境づくりに取り組んでいる。
【特に顕著な功績・功労】
  • 多様な利用者に対応した施設整備
    • 段差解消・点字ブロック設置
    • 触知サイン(トイレの点字パネル)
    • 屋根付きの身障者駐車スペース(4台分、屋根付きは3台分)
    • 茨城県内初のダブルスペース
      (思いやり駐車スペース4台、マタニティー駐車スペース2台)
    • 赤ちゃんの駅(授乳やおむつ替えなどで気軽に立ち寄ることができる施設として登録、地域全体で子育てを支援)
    • オストメイト対応トイレやおむつ替えスペース、ベビーチェア、子供用トイレなどを備えた多目的トイレ
    • AED設置、補助犬対応 等
  • 情報発信コーナー
    • 地域、観光振興をはじめ、イベント情報や行政情報など多様な情報提供(展示を含む)を行うことができる情報発信コーナーを整備。また、情報提供方法として常駐のコンシェルジュ(案内人)を配置し、地元ならではの細やかな情報を提供しており、必要に応じて、行政相談窓口などを紹介している。
  • ユニバーサルデザインの食器
    • 体の不自由な方や高齢者などが楽しく食事できるよう、レストランに食事しやすいように工夫された、ユニバーサルデザインのマグカップ、お椀、箸、スプーン、フォークを各5セット常備し、要望に応じてすぐに提供できる体制を整えている。
  • 車椅子の方への対応
    • 車椅子同士がすれ違える通路幅(1.4m程度)を確保し、商品選びができるよう什器やレジ台の高さにも配慮しており、車椅子の方が不便を感じている様子を見かけたら、店員による声掛けを実施している。
    • 定期的(1時間に1回程度)に巡回し身障者用駐車スペースに身障者マークを表示していない車両や健常者などを見かけたら、全館放送で車両移動の案内を行っており、また、貸し出し用車椅子も身障者用駐車スペースに近いトイレ棟に設置するなど、利便性の向上に努めている。
  • 従業員の救命救急講習の受講
    • 従業員(社員10名)が救命救急講習を受講し、緊急時の対応についての知識を習得し、常陸大宮市消防本部と連携をとり、模擬訓練などを通じ技能向上に努めているほか、認知症サポーター養成講座も受講しており、認知症に対する理解を深めるとともに、認知症の方やその付き添いの方も、安心して利用できる体制を整えている。
  • 災害時の防災拠点
    • 非常時には自家用発電機による電源確保や災害用井戸を利用したトイレの設置、常設のガスタンクから簡易コンロへのガス供給による炊き出しが可能になるなど、災害時の防災拠点の機能を有している。
    • また、敷地内にヘリポートが設けられており、物資輸送の他、県内6か所の救急救命センターへの患者搬送にも活用できる体制を整えている。
  •  このほか、意見箱を設置し、例えば、館内のトイレや喫煙所が分かりにくいといった声には案内表示を改善するなど、ハードの整備に加え、ソフト面においても障害者や高齢者をはじめ多くの方が利用しやすいようにと常に利用者の声を反映しつつ改善に努めており、共生の道の駅を目指している姿勢は高く評価できる。

内閣府特命担当大臣奨励賞(4件)

オプトニカ工房有限会社
(所在:栃木県小山市)【栃木県推薦】
【概要】
  •  オプトニカ工房有限会社は、発達障害児者の療育、教育現場の教材教具の企画・製造・販売を主に行っている。一般教材の適用が難しい特別支援学校等における発達障害児者の使い勝手や従事者の声を商品開発に反映させ、ユニバーサルデザインの考え方を設計に活かし、誰もが使いやすいものづくりを目指して事業を続けている。現場の声を聴く中で、教材はあれど遊具不足の状況に気づき、遊具の企画・開発に着手。新商品「おけだま」は、「ユニバーサルゲーム」という新しいカテゴリを提案し、開発を進め販売に至った。
【特に顕著な功績・功労】
  • 形や大きさが異なる板に点数を与えてタワー型に組んだ高さ75cmの「おけだま」は、専用のお手玉を投げて板に乗せる(投げ置く)シンプルな遊びで、障害の有無、年齢、性別等に関わらず、誰にでも親しみやすく、誰とでも一緒に遊ぶことができる上に、遊び方の自由度が高い。
  • 「おけだま」は、安全な部品、馴染みやすく優しい素材と質感、対象年齢を選ばないデザイン、簡単なルールを採用することにより利用の範囲が広がり、特別支援学校のみならず福祉医療施設、高齢者施設、リハビリ施設等でも活用されている。
  • 平成15年には、オリジナルブランド「プチーク」を立ち上げ、教育・福祉・病院等の現場における「安全性・耐久性・持続性」を主眼に、発達障害児者の使い勝手の良い独自商品の提供を開始。その中でも特に、丈夫で軽量なポリプロピレン製の「おりたたみシールド」は、児童1人分の机を囲い、自閉症や注意欠陥・多動性障害(ADHD)など、パニック対応や学習に集中する際の視界を遮る衝立として、全国の特別支援学校に広まっている。それまで必要とされながら適切な製品がなかったもので、現場への貢献度が高い。
  •  現場の希望や感想等の声をすぐさま商品開発に反映するという中小企業の強みを活かして作成された製品は、特別支援教具・教材としての利用に留まらず、保育施設、高齢者施設、避難所等にも活用できることは大変評価できる。また、更なる商品の開発を続けており、今後の発展も期待できる。
篠原電機株式会社
(所在:大阪府大阪市)【厚生労働省推薦】
【概要】
  •  43年前には大阪府警から交通信号用端子箱の承認を得て、その後盲人用音響ポール(スピーカーと押しボタン)を開発し、府内に2,000箇所設置。その中、弱視者の方から歩行者信号灯器が探しづらい、見えづらいとの声があり、盲人用音響ポールに歩行者用信号の補助としてLED信号灯を付加することを考案し実用化。同社は、福祉機器(横断歩行支援用補助装置)の開発のためのプロジェクトチームを結成し、多くの方が使いやすく、かつ街に馴染むように、同製品の改善・改良を行っている。
【特に顕著な功績・功労】
  • 歩行者信号機は渡った側の高い位置にあるものと概念があったが、弱視者当事者からのヒヤリングを基に、横断歩行をする手前に設置されている音響ポールの利用を考え、歩行者信号の補助としてLED信号灯を付加するLED付音響装置を開発したことは先駆的である。
  • LED付音響装置は現在、大阪府に7箇所、和歌山県に1箇所、愛知県に1箇所設置されている。大阪府警の事故発生状況調査では設置前3年間で14件発生していた自転車、歩行者事故が、設置後3年間で2件に減少したとの結果を得ている。
  • 高い位置にある歩行者信号が見づらい高齢者や小さい子供にとっても、横断歩道の手前で低い位置に信号灯ある同装置は、目線に入りやすく安全・安心につながっている。平成27年には、「第9回キッズデザイン賞」も受賞している。
  • また、同装置の安全性・有効性を検証するために学識研究者からなる調査研究委員会を立ち上げ、アンケート調査を行うなどの検証等を行うとともに、今後、必要とされている交差点に1箇所でも多く設置を進めるため、企業努力としてコスト削減を念頭に第二世代の開発を行っている。
  •  利益に繋がり難いこの取組を長年にわたり地道に続けており、さらに、時代に沿ったスマートフォンを活用した取組も検討していることなど、今後の同装置の発展も期待できる。また、視覚障害者だけでなく、高齢者や幼児などのいわゆる交通弱者にとっても有用であると認められることから、バリアフリー社会の構築に貢献しており、評価できるものである。
戸田市立笹目小学校
(所在:埼玉県戸田市)【埼玉県推薦】
【概要】
  •  様々な課題のある子供たちが在籍している学校現場で「どの子にとっても安心できる居場所がある学校」、「どの子にとっても活躍の場がある学校」、「どの子にとっても『わかった』、『楽しい』を実感できる授業」をつくっていくというユニバーサルデザインの考え方を基盤とした学校づくりを推進している戸田市立笹目小学校。ユニバーサルデザインの推進にあたっては、一部の環境整備や限られた職員による活動ではなく、学校の教育活動全体をユニバーサルデザイン化する研究・実践に取り組み、平成25・26年度には、戸田市教育委員会の研究委嘱を受け、「ユニバーサルデザインを基盤とした学校づくり」の研究に取り組んでいる。
  •  さらに、市教育委員会では、笹目小学校の研究成果である「授業のユニバーサルデザイン化 5つのチェックポイント」を市の指導の重点に取り入れ、市内の全小・中学校に授業改善ツールとして活用を指示している。
【特に顕著な功績・功労】
  • 笹目小学校では、「授業デザイン」(どの子も授業に参加でき「わかる・できた」を実感できるような授業づくりの取組)、「学級づくり」(落ち着いて授業に取り組んだり、生活したりできるような人間関係づくりや自己肯定感を高めるような取組)、「教育相談」(困っている子や困っている保護者とじっくり話し合うことができるようにしていく取組)の3つの柱を中心に、それらを統合・支える環境整備や他機関との連携の取り組みを行っており、学校全体が落ち着き、児童の学力が向上するなどの成果が上がっている。
  • 「ユニバーサルデザインを基盤とした学校づくり」の研究成果は、研究発表会をとおして、全国の教育関係機関及び教育関係者に向けて発信しており、また戸田市内の小・中学校では、市教育委員会の主導のもと、学校教育におけるユニバーサルデザインの必要性についての認識が一気に高まり、笹目小学校の取組をモデルとした「教育活動におけるユニバーサルデザイン化」が導入されるなど、広く浸透している。
  • 平成26年度までの3年間で得られた成果を一層拡充していくことをねらいとして、新たに平成27年度から平成29年度までの市教育委員会の研究委嘱を受け、「ユニバーサルデザインと学校づくり~推進から拡充へ」を研究主題に設定し、研究を継続することとするなど、今後の発展等も期待することができる。
  •  こうした笹目小学校の取組について、全国の小・中学校等の教育機関からの視察等も多く、平成26年度に行われた研究発表には市内の小・中学校教員のほか全国から100人程が参加するなど、市内のみならず全国への学校へも波及することが期待されるなど、先行的な取組として評価できる。
株式会社スワン
(所在:東京都中央区)【文部科学省推薦】
【概要】
  •  各地の作業所において、そこで働く障害者の給料がわずか1万円にも満たず、自立するには程遠い現状を知ったことから、月給10万円以上支払うことを実践する「焼きたてのおいしいパンのお店」として、平成10年6月にスワンベーカリー銀座店を開店。現在は、直営4店、フランチャイズ23店を展開し、350名以上の障害者が、経済的な自立と社会参加を果たしている。
【特に顕著な功績・功労】
  • スワンベーカリーは、直営店だけでなく、フランチャイズ契約も行っており、障害者の雇用機会の拡大に貢献している。現在、すべての店舗における障害者雇用割合は約6割である。その中には、スワンベーカリー十条店のように地域の特別支援学校関係者や保護者と密接な連携のもとで経営を行っている店舗もある。
  • 各店舗の売り上げによって障害者等への給与を支払っており、経営上の困難さにより、閉店したケースはこれまでにない。
  • 誰でもパンをおいしく焼けるように製パン業者が開発した冷凍パン生地を使用することで、障害者が作業しやすいような工夫を行っており、平成10年の開店以来、19年間勤務している障害者もいる。
  • 施設・作業所に通う障害者支援のために、施設・作業所の事業の一つに野菜販売を組み込む「アグリスワン」を実施。㈱スワンにおいて、野菜の生産者と直接会って商品を見た上で安心安全な商品を選別し、生産者より直接作業所等に届け、その商品を作業所等で働いている障害者が販売して利益を得る仕組みを構築している。現在、この事業により全国の300施設を支援している。
  • 施設・作業所に通う障害者支援のために、施設・作業所において、スワンのクリスマスケーキの販売・取り次ぎを実施。㈱スワンから施設・作業所に対する手数料として1個あたり500円の支払いを行っており、昨年は約1万個を販売。
  •  以上のように株式会社スワンは、障害者の自立と社会参加の支援を目的に多くの障害者を雇用する障害者雇用のモデルケースとして、また、特別支援学校生徒の就職のロールモデルとなる取組みのみならず、「アグリスワン」のような施設・作業所の支援をする事業も行っており、同社の障害者自立・社会参加支援事業は評価できるものである。