第1章 高齢化の状況 

(4)高齢者と安全

ア 高齢者と交通安全
 65歳以上の高齢者の交通事故死者数をみると、平成17(2005)年は2,924人で、5(1993)年以来12年振りに3,000人を下回ったが、交通事故死者数全体に占める割合では42.6%と、16(2004)年より1.2ポイント増加した。
 交通事故死者数は、平成4(1992)年までは16〜24歳の若者が多かったが、5(1993)年に高齢者が若者の死者数を上回り、その後も高齢者の割合の増加と若者の割合の低下が続いている(図1−2−64)。

図1−2−64 年齢層別交通事故死者数の推移
図1-2-64 年齢層別交通事故死者数の推移

 また、65歳以上の高齢者の交通事故死者の状態についてみると、「歩行中」が最も多く、全体の半数近くを占めているが、近年は減少傾向にあり、特に平成17(2005)年は前年に比べ1割弱の減少となった。一方、「自動車運転中」の事故死者数は、引き続き高い水準で推移しており、高齢者の交通事故死者全体が減少する中で、「自動車運転中」の占める割合は増加する傾向にある(図1−2−65)。

図1−2−65 65歳以上の高齢運転者の状態別交通事故死者数の推移
図1-2-65 65歳以上の高齢者の状態別交通事故死者数の推移

 次に、65歳以上の高齢運転者(原付以上)による交通事故件数をみると、平成17(2005)年は98,550件と、16(2004)年に比べ4.0%の増加となった(全年齢階級の計では1.9%の減少)。高齢運転者による交通事故件数は、運転免許保有者の増加を背景として年々増え続けており、10年前の7(1995)年と比較すると、65歳以上の高齢者では2.4倍、75歳以上の後期高齢者では約3.5倍と、高い伸びを示している(図1−2−66)。

図1−2−66 高齢者による交通事故件数の推移(各年12月末)
図1-2-66 高齢者による交通事故件数の推移(各年12月末)

 【高齢者の交通安全については、第2章第3節4(3)ア「交通安全の確保」を参照。】

イ 高齢者と犯罪、災害
 高齢者と犯罪、災害に関し、犯罪による65歳以上の高齢者の被害の状況について、刑法犯被害認知件数でみると、平成16(2004)年は20万1,168件で、全被害認知件数の9.2%を占めている。
 また、振り込め詐欺・恐喝事件のうち、いわゆるオレオレ詐欺・恐喝事件の平成17(2005)年の認知件数は6,854件である。そのうち年齢が判明している被害者4,676人を分析したところ、65歳以上の割合は47.3%となっている。
 いわゆる「訪販リフォーム事犯」についてみると、平成17年の被害人員等(詐欺の被害者数、特定商取引に関する法律違反の契約者数等を計上)は全体で24,173人と、前年(4,878人)のおよそ5倍に急増した(被害額等(詐欺の被害額、特定商取引に関する法律違反の契約額等を計上)では16年:13億6千万円、17年:222億9千万円でおよそ16倍)。そのうち65歳以上の高齢者が占める割合については統計がなく明らかではないが、独立行政法人国民生活センターに寄せられた、「訪問販売によるリフォーム工事」に関する相談件数をみると、65歳以上の高齢者によるものが52.0%を占めており、前述の被害人員等の件数においても相当の割合を高齢者が占めているとみられる。
 65歳以上の高齢者の火災による死者数(放火自殺者を除く。)についてみると、平成16(2004)年は726人であり、全死者数の半分以上を占めている(図1−2−67)。

図1−2−67 犯罪、火災による高齢者の被害の推移
図1-2-67 犯罪、火災による高齢者の被害の推移

 「平成18年豪雪による被害状況」(18年3月末現在)についてみると、65歳以上の高齢者の死者は98人で、全死者数の約3分の2を占めている。また、その死亡状況をみると、約4分の3が「屋根の雪下ろし等、除雪作業中の死者」で、次いで「落雪等による死者」となっている(表1−2−68)。

表1−2−68 平成18年豪雪による被害状況
(単位:人)
死亡状況 
死者数 
 
うち65歳以上
雪崩による死者 2 0
屋根の雪下ろし等、除雪作業中の死者 112 75
落雪等による死者 20 11
倒壊した家屋の下敷きによる死者 6 5
その他 11 7
合計 151 98
資料:総務省消防庁「今冬(平成17年12月以降)の雪による被害状況等(第61報)」

 【犯罪、災害からの保護については、第2章第3節4(3)イ「犯罪、人権侵害、悪質商法等からの保護」及びウ「防災施策の推進」を参照。】

ウ 家庭内における高齢者虐待
 家庭内で虐待を受けている高齢者(65歳以上)についてみると、性別では女性が8割近くを占め、年齢階級別では75歳以上の後期高齢者が8割を超えている。また、認知症のランク別では、介護等を必要とするランクIII以上がおよそ3割で、より自立度の高いランクI及びIIを含めた「認知症あり」では8割近くを占めている(図1−2−69)。

図1−2−69 虐待を受けている高齢者の属性
図1-2-69 虐待を受ける高齢者の属性

 なお、虐待の加害者は、「息子」が32.1%と最も多く、次いで、「息子の配偶者(嫁)」20.6%、「配偶者」20.3%(「夫」11.8%、「妻」8.5%)、「娘」16.3%となっている。
 【高齢者虐待の防止については、第2章第2節1(5)「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律の成立」及び第2章第3節4(3)イ「犯罪、人権侵害、悪質商法等からの保護」を参照。】

 第2節 高齢者の状況

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