第2節 高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向
高齢者のいる世帯は全体の4割、そのうち「単独」「夫婦のみ」で過半数
○ 65歳以上の高齢者のいる世帯の内訳についてみると、平成17(2005)年現在、「単独世帯」が407万世帯(22.0%)、「夫婦のみの世帯」が542万世帯(29.2%)、「親と未婚の子のみの世帯」が301万世帯(16.2%)、「三世代世帯」が395万世帯(21.3%)となっている(図1−2−1)。
  また、高齢者のいる世帯に占める単独世帯や夫婦のみ世帯は、増加傾向が続いている。
図1−2−1 65歳以上の高齢者のいる世帯数及び構成割合(世帯構造別)
図1−2−1 65歳以上の高齢者のいる世帯数及び構成割合(世帯構造別)
子どもとの同居は減少しているが、子どもは依然として心の支え
○ 高齢者の心の支えとなっている人についてみると、平成17(2005)年度においても、子どもを挙げる人が過半数を超えており、依然として高齢者にとって子どもが心の支えとなっている(図1−2−5)。
図1−2−5 心の支えになっている人(複数回答)
図1−2−5 心の支えになっている人(複数回答)
○ 子どもや孫との付き合い方について、60歳以上の高齢者の意識をみると、子どもや孫とは「いつも一緒に生活できるのがよい」の割合が低下するなど、以前に比べると、より密度の薄い付き合い方でもよいと考える高齢者が増えていることがうかがえる(図1−2−7)。
図1−2−7 高齢者の子どもや孫との付き合い方
図1−2−7 高齢者の子どもや孫との付き合い方
高齢者世帯人員一人当たりの所得は全世帯平均と大きな差はない一方で、高齢者世帯間の所得格差が大きい
○ 高齢者世帯(65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯)の年間所得(平成16(2004)年の平均所得)は296.1万円となっており、全世帯平均(580.4万円)の半分程度であるが、世帯人員一人当たりでみると、高齢者世帯の平均世帯人員が少ないことから、190.8万円となり、全世帯平均(203.3万円)との間に大きな差はみられなくなる(表1−2−16)。
表1−2−16 高齢者世帯の所得
区分 平均所得金額
一世帯当たり 世帯人員一人当たり(平均世帯人員)
高齢者世帯 総所得 296.1万円   190.8万円(1.55人)
稼働所得 60.4万円 (20.4%)  
公的年金・恩給 206.0万円 (69.6%)  
財産所得 13.4万円 (4.5%)  
年金以外の社会保障給付金 3.8万円 (1.3%)  
仕送り・その他の所得 12.4万円 (4.2%)  
全   世   帯 総所得 580.4万円   203.3万円( 2.85人)
資料:厚生労働省「国民生活基礎調査」(平成17年)  (同調査における平成16年1年間の所得)
(注1)高齢者世帯とは、65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯をいう。
(注2)財産所得とは以下のものをいう。
ア 家賃・地代の所得
  世帯員の所有する土地・家屋を貸すことによって生じた収入(現物給付を含む。)から必要経費を差し引いた金額
イ 利子・配当金
  世帯員の所有する預貯金、公社債、株式などによって生じた利子・配当金から必要経費を差し引いた金額(源泉分離課税分を含む。)
○ 高齢者の所得格差の状況を当初所得のジニ係数でみると、高齢者間の所得格差が大きいことがわかる。また、再分配所得のジニ係数でみても、一般世帯が0.3605であるのに対して高齢者世帯は0.4058となっており、社会保障給付などの所得再分配の影響で格差は小さくなるものの、一般世帯と比べて格差が大きくなっている(表1−2−19)。
表1−2−19 ジニ係数でみた高齢者の所得格差の状況
  一般世帯 高齢者世帯
当初所得(万円) 609.5 92.0
可処分所得(万円) 566.3 279.3
再分配所得(万円) 622.7 390.1
ジニ係数 当初所得 0.4123 0.8264
再分配所得 0.3605 0.4058
資料:厚生労働省「所得再分配調査」(平成14年)
(注1)ジニ係数とは、分布の集中度あるいは不平等度を示す係数で、0に近づくほど平等で、1に近づくほど不平等となる。
(注2)「再分配所得」とは、当初所得から税金、社会保険料を控除し、社会保障給付(現物、現金)を加えたもの。
高齢者の世帯の貯蓄は全世帯の約1.4倍であるが、300万円未満の世帯も約1割
○ 世帯主の年齢が65歳以上の世帯(二人以上の世帯)の貯蓄の状況についてみると、平成17(2005)年において、一世帯平均の貯蓄現在高は、2,484万円となっており、全世帯(1,728万円)の約1.4倍となっている。
  貯蓄現在高階級別の世帯分布をみると、世帯主の年齢が65歳以上の世帯では、4,000万円以上の貯蓄を有する世帯が19.6%と全体の2割弱を占めている一方で、貯蓄額300万円未満の世帯の割合は約1割となっている(図1−2−23)。
図1−2−23 世帯主の年齢が65歳以上の世帯の貯蓄の分布
図1−2−23 世帯主の年齢が65歳以上の世帯の貯蓄の分布
国際的にみて日本では「自分は健康」と考えている人が多い
○ 我が国は平均寿命だけでなく、健康寿命も世界で最も長いが、健康についての高齢者の意識をアメリカ、ドイツ、フランス及び韓国の4カ国と比較してみても、「健康である」と考えている者の割合は、日本が64.4%で最も高い結果となっている。なお、日本に次いで高いのはアメリカ(61.0%)で、以下、フランス(53.5%)、韓国(43.2%)、ドイツ(32.9%)の順となっている(図1−2−28)。
図1−2−28 60歳以上の高齢者の健康についての意識(国際比較)
図1−2−28 60歳以上の高齢者の健康についての意識(国際比較)
国際的にみて高齢者が医療サービスを利用する割合は高い
○ 医療サービスを日頃どのくらい利用するかについてアメリカ、ドイツ、フランス及び韓国の4か国と比較すると、日本は「健康である」と考える者は他の国よりも多いものの、医療サービスの利用状況は「ほぼ毎日」から「月に1回くらい」の割合の合計が56.8%と韓国(56.7%)とともに他の国と比較して高くなっており、医療サービスの利用頻度が高くなっている(図1−2−32)。
図1−2−32 医療サービスの利用状況(国際比較)
図1−2−32 医療サービスの利用状況(国際比較)
高齢者の要介護者等数は急速に増加しており、特に後期高齢者で割合が高い
○ 介護保険制度における要介護者又は要支援者と認定された者(以下「要介護者等」という。)のうち、65歳以上の者の数についてみると、平成17(2005)年度末で417.5万人となっており、12(2000)年度末から170.4万人増加しており、高齢者人口の16.6%を占めている(図1−2−33)。
図1−2−33 第1号被保険者(65歳以上)の要介護度別認定者数の推移
図1−2−33 第1号被保険者(65歳以上)の要介護度別認定者数の推移
○ また、前期高齢者(65〜74歳)と後期高齢者(75歳以上)について、それぞれ要支援、要介護の認定を受けた者の割合をみると、前期高齢者は要支援の認定を受けた者が0.9%、要介護の認定を受けた者が3.9%であるのに対して、後期高齢者で要支援の認定を受けた者は4.9%、要介護の認定を受けた者は24.7%となっており、後期高齢者になると要介護の認定を受ける者の割合が大きく上昇する(表1−2−34)。
表1−2−34 前期高齢者と後期高齢者の要介護等認定の状況
単位:千人、( )内は%
前期高齢者(65〜74歳) 後期高齢者(75歳以上)
要支援 要介護 要支援 要介護
126 556 580 2,914
(0.9) (3.9) (4.9) (24.7)
資料:厚生労働省「介護保険事業状況報告」(平成17年度)、総務省「人口推計」(平成18年3月確定値)より算出。

主に家族(とりわけ女性)が介護者となっており、「老老介護」も相当数
○ 家族の中ではだれに介護を望むのかについてみると、男女とも「配偶者」の割合が最も高いが、女性は「娘」の割合も高くなっている(図1−2−37)。前回調査結果と比較すると、「配偶者」の割合が増加し、「嫁」の割合は減少している。
図1−2−37 家族の中ではだれに介護を望むか
図1−2−37 家族の中ではだれに介護を望むか
○ 要介護者等と同居している主な介護者の年齢についてみると、要介護者等が65歳以上の高齢者の場合、その主な介護者の半数以上が60歳以上となっており、いわゆる「老老介護」のケースも相当数存在していることがわかる(図1−2−39)。
図1−2−39 65歳以上の要介護者等と同居している主な介護者の年齢階級別構成割合
図1−2−39 65歳以上の要介護者等と同居している主な介護者の年齢階級別構成割合
若年期からの健康づくりが重要
○ 平成16年の「国民健康・栄養調査」によると、メタボリックシンドロームが強く疑われる者と予備群と考えられる者の合計は、総数で男性45.6%、女性16.7%となっている(図1−2−41)。年齢階級が高くなるほど増加する傾向がみられるが、特に40歳以降増加する傾向がみられ、40〜74歳では男性の51.7%(2人に1人)、女性の19.6%(5人に1人)が、メタボリックシンドロームが強く疑われる者又は予備群と考えられる者である。
図1−2−41 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)該当者・予備群の現況
図1−2−41 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)該当者・予備群の現況
60歳を過ぎても働く高齢者は多い
○ 高齢者の就業状況についてみると、男性の場合、就業者の割合は、55〜59歳で90.1%、60〜64歳で68.8%、65〜69歳で49.5%となっており、60歳を過ぎても、多くの高齢者が就業している。また、不就業者であっても、60〜64歳の不就業者(31.2%)のうち5割以上の者が、65〜69歳の不就業者(50.5%)のうち4割以上の者が、それぞれ就業を希望している。
○ 女性の就業者の割合は、55〜59歳で62.2%、60〜64歳で42.3%、65〜69歳で28.5%となっている。また、不就業者であっても、55〜59歳の不就業者(37.8%)及び60〜64歳の不就業者(57.7%)のうち3割以上の者が、65〜69歳の不就業者(71.5%)のうち2割以上の者が、それぞれ就業を希望している(図1−2−43)。
図1−2−43 高齢者の就業・不就業状況
図1−2−43 高齢者の就業・不就業状況
50歳代の者の多くは仕事に必要な能力開発・自己啓発を行えていない
○ 50歳代の者の仕事のための能力開発・自己啓発の状況をみてみると、平成16年11月から平成17年10月までの1年間に「仕事のための能力開発・自己啓発をしなかった」とする者は、男性の50〜54歳で59.6%、55〜59歳で64.2%となっている。また、女性の50〜54歳で72.4%、55〜59歳で76.8%となっている(図1−2−49)。このように、個々人が能力開発や自己啓発を行いやすい環境が整っていないこともあって、50歳代の者の多くは能力開発・自己啓発を行っていない。
図1−2−49 50歳代の能力開発・自己啓発の状況
図1−2−49 50歳代の能力開発・自己啓発の状況
性・年齢別の労働力率が平成16(2004)年と同水準で推移した場合、労働力人口は約10年で420万人減少する見込み
 性・年齢別の労働力率が平成16(2004)年の実績と同じ水準で推移すると仮定して17(2005)年7月に雇用政策研究会が行った推計によれば、27(2015)年の労働力人口は6,237万人となることが見込まれ、18(2006)年に比べて420万人減少することとなり、労働力人口総数に占める65歳以上の者の比率も10.0%となることが見込まれている(図1−2−51)。
図1−2−51 労働力人口と労働力の見通し
図1−2−51 労働力人口と労働力の見通し
近所の人たちとの交流が弱まっている
○ 60歳以上の高齢者の近所の人たちとの交流についてみると、「親しく付き合っている」は52.0%、「あいさつをする程度」は40.9%となっている。過去の調査結果と比較すると、「親しくつきあっている」が減少する傾向がみられる一方で、「あいさつをする程度」、「付き合いはほとんどしていない」が増加しており、近所同士の結びつきが弱まっている(図1−2−52)。
図1−2−52 近所の人たちとの交流
図1−2−52 近所の人たちとの交流
NPO活動に対する関心は高いが、きっかけや情報の不足で実際に参加している人は少ない
○ 地域の福祉や環境を改善することを目的としたNPO(市民活動団体)活動に関心があるかについてみると、「関心がある」が47.3%となっている。一方、「関心はない」が42.6%となっている(図1−2−56)。
図1−2−56 NPO活動への参加の有無
図1−2−56  NPO活動への参加の有無
○ NPO活動に参加しなかった理由についてみると、「きっかけや機会がない」が最も多く、「NPO活動に関する情報がない」との回答も上位を占めている(図1−2−57)。
図1−2−57 NPO活動に参加しなかった理由(複数回答)
図1−2−57 NPO活動に参加しなかった理由(複数回答)
高齢者による交通事故も増加傾向。火災や消費トラブルの被害となる高齢者も多い
○ 高齢運転者による交通事故件数についてみると、運転免許保有者の増加や高齢者が運転する機会が増加していることを背景として年々増え続けている。65歳以上の高齢運転者(原付以上)による交通事故件数は、平成17(2005)年は98,550件と、16(2004)年に比べ4.0%の増加となった(全年齢の計では1.9%の減少)(図1−2−65)。
図1−2−65 高齢者による交通事故件数の推移(各年12月末)
図1−2−65 高齢者による交通事故件数の推移(各年12月末)
○ 65歳以上の高齢者の火災による死者数(放火自殺者を除く。)についてみると、平成17(2005)年は839人であり、全死者数の半分以上を占めている(図1−2−69)。
図1−2−69 犯罪、火災による高齢者の被害の推移
図1−2−69 犯罪、火災による高齢者の被害の推移
○ 全国の消費生活センターに寄せられた契約当事者が70歳以上の相談件数は、平成12(2000)年度は43,336件であったのが年々増加し、18(2006)年度は124,994件で、相談全体の12%を占めている(図1−2−70)。
図1−2−70 契約当事者が70歳以上の消費相談件数
図1−2−70 契約当事者が70歳以上の消費相談件数

 

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