第1章 高齢化の状況 


(高齢者が生きがいのために就労し社会に貢献している事例)

○高齢者が経験をいかして地元の中小企業のサポート等を行っている事例

 滋賀県大津市の「特定非営利活動法人ビジネスサポート・ネットワーク」(以下、「BSN」という。)は、平成15(2003)年に設立された地元の企業の経営支援などを主な事業とする特定非営利活動法人(以下、「NPO法人」という。)で、大手メーカーの退職者が核となり、県内労働行政機関の指導も得て設立に至った。
 現在は活動が軌道にのっているBSNだが、当初は試行錯誤の連続であった。最初は中小企業向けのセミナーや講演会などの活動から始めたが、人を集めることがなかなかできないなど、個々の中小企業から仕事を受注するのは非常に難しいことを最初の1年間で学んだという。そこで、地方公共団体や経済団体等へも受注先を拡大し、現在ではそうした公的な機関に関係した仕事も多くなっている。
現在の主な活動は、若者や中高年者の就職支援や、販路開拓等の営業支援、ISO取得支援などの技術支援、市場調査等の調査研究を行っている。
 例えば若者に対する就職支援活動としては、地元の高校生に職業講話や模擬採用面接などを行っている。この活動は大きな成果をあげ、就職率が20%上昇した学校もあったという。また、中高年者に対する就職支援セミナーや、企業の人事、現場監督者対象の若年定着対策セミナー等も行っている。
 また、地元企業の商品設計等を支援したり、販路開拓を支援するなど、経営支援活動も活発に行っている。
 会員数は現在45名。会員は、経営企画業務の経験者や元営業マン、元技術者など、そのバックグラウンドは様々である。また、会員は企業の管理職を経験した人も多く、これまでは部下が色々と仕事上の面倒をみてくれる環境にあったが、現在は各人が全部自分でやらなければならない状況にある。しかし、会員の一人は「意識を切り替えることは意外と簡単だった」と語る。
 BSNの会員の参加動機は様々で、退職後、開業を目指すひとが人脈を広げるために参加しているケースもあれば、「遊んでいるのはもったいない。自分のペースで社会に貢献したい」という思いで参加している会員も多い。
 会員の中には「様々なバックグラウンドを持った人たちが緩やかなネットワークを築いており、だからこそ長続きすると思う。みんながマイペースでやるのが良いと思う」、「会員は皆経験が豊富で、大人同士なのでやりやすい」と語る人もいる。
 会員の募集は、公募のように大々的に人集めを行っているというよりは、会員が知人に声をかけるなど口コミで集めることのほうが多い。新たに入会した人には、専門分野等を記入する「キャリアシート」を提出してもらうとともに、就職支援部会、営業支援部会等の部会に所属してもらう。各人の専門知識をいかして活動することもあるが、専門外の仕事に参加することもある。ある会員は「ローテーションで様々な部門を経験したことが強みにもなる」と語っている。
 普段は事務所に当番を置いて、各方面からの連絡や注文を受けている。受注すると、メール等で会員に対して情報を流し、参加希望者を募る。そして、参加希望者からチームを編成し、活動を行っている。


 第3節 前例のない高齢社会に向けた対策・取組の方向性

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