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全米被害者支援機構(NOVA)の活動

VI NOVAの「基礎危機応答訓練」の実際

1 概要

 この章においては、NOVAの「基礎危機応答訓練」がどのように行われるかについて、具体的に紹介しようとするものである。具体的には、先に述べた通り、報告者が参加した、平成16年3月22日より26日までの5日間に亘り、アメリカ合衆国オレゴン州ウィルソンビルで開催された「NOVA全国危機応答チーム基礎訓練講座」の様子を紹介することとする。
 講師は、NOVAの事務局長であるMarlene Youngの他2名が担当した。参加者は、26名であり、その多くは地元オレゴン州内の郡の検察官事務所の被害者支援部門における被害者支援担当員であったが、その他警察関係者や学校関係者も数名参加していた。テキストとは、Marlene Young執筆による、The Community Crisis Response Team Training Manual(Third Edition)(4)である。これは第3章で紹介した資料(第2版)を、「2001年9月11日のテロリストによる攻撃」の直後に派遣されたNOVAの危機応答チームによる活動の経験を参考にして改訂されたものである。なお、書名は「マニュアル」となっているが、本書の最初に解説されているように、「実務用参照マニュアル」と「教科書」の両方の性格を有するものである。

(4)Marlene Young, The Community Crisis Response Team Training Manual, 1987, 1994, 1998, 2002, by the National Organization for Victim Assistance

2 内容

 上記の「マニュアル」は、1,000ページ以上のバインダー式の資料であり、ここにその内容の詳細を紹介することは無理であり、また本報告書の性格上からも必要は無いであろう。そこで、ここではその目次の項目のみを掲げることとする。

はじめに
第1章 危機応答の概観
第2章 心的外傷の反応―内部要因
第3章 心的外傷の反応―外部要因
第4章 危機介入
第5章 集団的危機介入
第6章 死亡および死亡告知
第7章 長期的ストレス反応
第8章 心的外傷後のカウンセリング
第9章 精神的・宗教的な問題
第10章 危機応答チームの編成
第11章 危機的状況におけるメディアへの対応
第12章 危機発生前の現地における計画
第13章 集団的危機介入会合の模擬訓練
第14章 クラス報告:危機的状況における地域社会への応答計画
第15章 文化をめぐる問題
第16章 年齢構成―児童
第17章 年齢構成―高齢者
第18章 援助者のストレス反応
第19章 集団的危機介入の実践
第20章 ボランティア専門職としての危機応答担当者
付録

3 日程

 上記の内容は、5日間にわたる40時間の講義および演習において教育される。その日程および時間割は以下のとおりである。

(1)第1日
8時30分−9時30分
 導入

9時30分―10時30分
 危機応答チームについての入門的知識

10時30分―11時00分
 ビデオテープの内容についての議論

11時00分―12時00分
 危機反応の概略

12時00分―2時00分
 昼食および小グループに分かれてのディスカッション

2時00分―3時30分
 心的外傷の反応:内的要因

3時30分―3時45分
 休憩

3時45分―5時30分
 心的外傷の反応:外的要因

(2)第2日
8時30分−9時30分
 危機介入

9時30分―10時45分
 危機介入の練習(小グループ)および休憩(小グループ毎)

10時45分―12時00分
集団的危機介入

12時00分―1時30分
 昼食および危機応答チームについてのディスカッション(小グループ毎)

1時30分―2時30分
 死をめぐる諸問題の概観

2時30分―3時15分
 死の与える影響

3時15分―3時30分
 休憩

3時30分―4時00分
 死と喪失

4時00分―5時00分
 死亡告知

(3)第3日
8時30分―9時30分
 長期的ストレス反応

9時30分―10時30分
 ビデオテープ

10時30分―10時45分
 休憩

10時45分―11時30分
 心的外傷後カウンセリング

11時30分―12時30分
 危機における宗教的問題

12時30分―1時30分
 昼食

1時30分―2時45分
 地域危機応答チームの編成

2時45分―3時15分
 メディアへの対応

3時15分―3時30分
 休憩

3時30分―4時30分
 地域における危機応答チームの準備

4時30分―5時30分
 危機応答チームについての小グループ打ち合わせ

(4)第4日
8時30分―10時30分
 危機介入の模擬訓練

10時30分―10時45分
 休憩

10時45分―11時00分
 質疑応答

11時00分―12時00分
 事例研究の発表

12時00分―1時00分
 昼食

1時00分―2時00分
 事例研究の発表(続き)

2時00分―3時30分
 文化をめぐる諸問題

3時30分―3時45分
 休憩

3時45分―5時30分
 年齢をめぐる問題

(5)第5日
8時30分―10時00分
 復習と質問

10時00分―10時15分
 休憩

10時15分―11時30分
 援助者のストレス

11時30分―12時30分
 集団的危機介入の練習

12時30分―1時30分
 昼食

1時30分―3時30分
 集団的危機介入の練習(続き)

3時30分―4時30分
 修了証書の要件

4時30分―5時30分
 修了式


4 おわりに

 わが国においても危機介入や危機応答についての文献が見られるようになったが、NOVAの訓練コースのように、総合的かつ実践的な訓練コースは開発されておらず、また実施されていない。
 わが国においても、NOVAの訓練コースを参照するなどして、本格的な危機応答チームのための訓練コースが開発され、またそれに基づいて危機応答チームによる本格的な活動が行われることが期待される。


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