平成19年度交通事故の状況及び交通安全施策の現況
第2編 海上交通
第2章 海上交通安全施策の現況
第2節 海上交通の安全に関する知識の普及

第2編 海上交通

第2章 海上交通安全施策の現況

第2節 海上交通の安全に関する知識の普及

1 海難防止思想の普及

 海難を防止するためには、船舶運航者をはじめとする海事関係者やマリンレジャー愛好者等の海難防止思想の普及・高揚並びに海難防止に関する知識・技能の習得及び向上を図ることが重要であることから、訪船指導や海難防止講習会等を通じて、海事関係法令の周知徹底や安全運航の励行等について指導した。
 また、平成19年7月16日から31日までの間、「気象・海象の早期把握と適切な対応」を重点事項に掲げて官民一体となった全国海難防止強調運動を実施し、海事関係者のみならず広く国民に対して海難防止を呼びかけた。さらに、各管区海上保安本部では、台風による海難の防止、霧多発時期における海難の防止、自動操舵装置使用中の居眠りによる海難の防止等地域の特性を踏まえた地方海難防止強調運動を実施した。

2 民間組織の指導育成

 海難防止思想の普及と海難防止対策の一層の実効を期すためには、海事関係者等自らが主体となった活動が必要不可欠であり、海難防止を目的とする各種民間団体が中核母体となった活動を活発に推進することが重要であることから、(社)日本海難防止協会や(社)小型船安全協会、(財)日本海洋レジャー安全・振興協会等の民間団体の行う活動が積極的かつ円滑に推進されるよう、その指導・育成の強化に努めるとともに、海難防止に関する民間組織の充実強化を図った。

3 海難の原因究明結果の活用

 海難審判の結果明らかになった個々の海難の原因や実態について、テーマごとに詳細な分析を行い、同種海難の防止策を提言する「海難分析集」を始め、海難事例と防止策を紹介する定期情報誌、外国人船員向けに我が国周辺海域特有の海難事例を紹介する英語版の情報誌を発行し、海事関係者等に広く提供した。また、これらを活用し、海難防止に関する講習会等を関係機関・団体と連携のうえ実施し、海難防止思想の普及に努めた。

4 外国船舶に対する情報提供等

 我が国周辺海域の地理や気象、航法等に不案内な船員が乗り組んでいる外国船舶の海難を防止するため、我が国周辺の気象・海象の特性、同情報の入手方法、ふくそう海域における航法及び航路標識の設置状況等について、外国語によるリーフレットを配布するなどして、周知徹底を図るとともに、気象・海象情報の適切な入手や荒天時における早期避難等について指導を実施した。
 特に冬季日本海においては、近年、木材流出事故が多発していることから、外交ルートを通じて木材流出事故防止について関係国へ申し入れを行ったほか、11月を指導強化月間として日本海側の港に入港する木材運搬船に対して集中的に周知・指導を実施した。

5 台風等特異気象時における安全対策の強化

 台風等特異気象時における海難を未然に防止するため、最新の気象・海象情報の早期把握や荒天時における早期避難等の適切な対応について指導を行う等、安全対策の徹底を推進した。また、平成18年10月に大型貨物船の座礁事故が相次いだ鹿島港では、関係行政機関等で構成する「現地連絡会議」において再発防止策の検討を行い、低気圧接近に伴う避難勧告基準の新設や低気圧接近時における連絡体制の確立などを策定した。平成19年においては、避難勧告を4回発令し再発防止に努めた。

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