特集 「高齢者に係る交通事故防止」
◎はじめに
我が国は,本格的な人口減少と超高齢社会の到来を迎えている。
これまで,国,地方公共団体,関係民間団体等が一体となって交通安全の諸対策を推進し,昭和45年に1万6,765人と過去最悪であった交通事故死者数を4分の1以下にまで減少させ,平成28年の死者数は3,904人となり昭和24年以来67年ぶりに4千人を下回るなどの成果を上げてきたところであるが,高齢化の進展に伴い,近年,交通事故死者数の減少幅が縮小するなど,交通事故情勢は依然として厳しい状況である。
こうした中,交通事故死者数に占める高齢者の割合は,全死者数の半数を超えて過去最悪を更新している。また,高齢運転者による交通死亡事故が相次いで発生したことから,平成28年11月15日,「高齢運転者による交通事故防止対策に関する関係閣僚会議」(以下「関係閣僚会議」という。)を開催し,高齢運転者による交通死亡事故の発生状況等を踏まえ,高齢運転者の交通事故防止対策に政府一体となって取り組んでいる。
本特集では,高齢の歩行者及び自転車利用者(以下「高齢歩行者等」という。)と高齢の運 転者が関係する交通事故の状況や特徴を分析するとともに,国と地方自治体や関係機関・団体等が連携し取り組んでいる高齢者に係る様々な交通事故防止対策について,従来からの取組及び関係閣僚会議開催以降の取組並びに今後の取組の方向性について記述する。