7-11:岡山県総社市――働くための支援を原動力に

ポイント

  • 従来の福祉施策で培ってきた体制を基盤とした地域協議会の事例
  • 就労支援機関が中心的な役割を担う

1.総社市の概況(平成28年4月1日現在)

人口:人口68,196人(平成28年12月28日現在)
障害者手帳所持者数:合計3,089人

身体障害者手帳 2,336人
療育手帳 458人
精神保健福祉手帳 295人

2.総社市における障害者差別解消に関する取組

(1)障がい者差別解消法の施行及び対応要領の策定(平成28年4月1日施行)

(2)総社市障害者差別解消地域支援協議会の設置

3.総社市障害者差別解消支援地域協議会

(1)設置までの特徴

  • 協議会の設置のため,準備会の設置や条例制定などの特別な施策は行っていない。
  • 当時,進めていた福祉施策を通じて構築されていたつながりをベースに自然と準備が進んだ。
  • その結果,既存の総社市地域自立支援協議会に,その機能を付加することができた。

(2)設置目的

1 対応要領策定の諮問機関としての役割(平成27年6月~)

  • 職員向け対応要領を策定するうえで,市職員だけでは困難であり,専門性のある有識者からの助言等が必要であると考え,その諮問機関として,「障害者差別解消法に向けたプロジェクトチーム」と称し,設置したもの(全6回の検討会を実施)。

2 差別解消の取組を円滑に行うための役割(平成28年4月~)

  • 相談体制を整備し,多岐にわたる取組や相談事例の共有・分析などを行うため設置したもの。
    ⇒ケース,相談内容により,総社市独自の関係機関とも連携を想定

(3)設置に至るまでの経緯

 設置するにあたり,構成員となる有識者を新たに招集することは,時間等もかかり,なかなか困難である。
 そのため,本市では,相当すると考えられる「総社市地域自立支援協議会」へ上記目的の場としても活用いただけるよう打診したところ,異論なく,速やかに了承をいただくことができた。
 その理由としては,次に掲げる体制整備があったからこそ,スムーズな協議会の設置ができたと考える。

  1. 先に説明した障がい者千人雇用事業などの福祉施策を通じて,当事者団体をはじめ,家族団体・事業所・支援団体などの関係機関と日頃から「顔」の見える関係が構築されていた。
  2. 障がい者施策を通じて,市民,職員等が障がい者を「知る」ということうが無意識にできていた。
  3. 「障がい者雇用」をキーワードに共生社会に関する意識共有が進んでいた。

総社市障害者差別解消法地域協議会の体制:図のテキスト版

4.地域協議会の構成と開催状況

(1)委員構成

  • 当事者及び家族団体,福祉サービス事業所,地域団体,行政

(2)開催状況

  • 平成27年度:対応要領策定に係る開催(以下5回)
  • 平成28年度:相談内容の共有,分析 ⇒“相談なし”のため開催なし

○第1回

  • 日時:平成27年6月26日(金)13:30~15:00
  • 議題:法の概要,協議会設置の主旨を説明,対応要領及び留意事項(案)の提示

○第2回

  • 日時:平成27年9月25日(金)13:30~15:00
  • 議題:要領及び留意事項(案)に対する各委員からの意見・提案の聴取

○第3回

  • 日時:平成27年11月27日(金)13:30~15:00
  • 議題:前回の意見を反映させた要領等(案)の提示,検討

○第4回

  • 日時:平成27年12月18日(金)13:30~15:00
  • 議題:前回の意見を反映させた要領等(案)の提示・検討,パブリックコメントの実施

○第5回

  • 日時:平成28年2月26日(金)13:30~15:00
  • 議題:パブコメの実施結果を反映させた最終案の提示,職員向研修会の実施,
  • 法施行の周知(パンフレット,ハンドブック作成,広報紙等への掲載)

5.今後の課題

○啓発及び合理的配慮の提供

  • 特に,課長級(監督者),新規採用職員への啓発
    ⇒ 年1回は,研修を実施し,障がいの理解を深める。

○「顔」の見える関係の継続

  • 課題意識の共有や障がい者施策の継続
    ⇒ 地域自立支援協議会や障がい者雇用等のイベント実施など日頃から連携を密にし,いつでも相談等ができる体制の整備を図る。

“全国屈指の福祉先駆都市”を目指す総社市保健福祉政策

ア 総社市地域自立支援協会【平成18年4月設置】

  • 障がいのある方が,総社市で安心して暮らせるように関係者が話し合う場所であり,障がい者施策を協議し,情報共有できる場所
  • 構成組織:60以上の団体機関(当事者団体・家族会・ボランティア・民生委員児童委員・障がい福祉サービス事業所・支援学校・ハローワーク・更生相談所・県立大学・保健所・県民局・総社市各課・社会福祉協議会など)

イ 総社市障がい者基幹相談支援センター【平成25年4月設置】

  • 全ての障がい者(児)が、地域で安心して豊かに暮らすことができ、本人が希望する就学・就労・余暇活動ができるようにすることを目的に、様々な関係機関と連携を図り、総合的に相談支援できる機関として市と社会福祉協議会が協働して設置する。

ウ 障がい者千人雇用センター【平成24年4月設置】

  • 障がい者が就労を通して,生きがいを感じながら安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

障がい者千人雇用センター1)【平成24年4月設置】:図のテキスト版

エ 総社市権利擁護センター【平成25年4月設置】

  • 法制度横断的に対応し,総合的・ワンストップ機能を有し,多問題重複ケースにも対応できることを目的とした組織とする。

オ 総社市生活困窮支援センター【平成26年7月設置】

  • 「低所得」「孤立」「劣悪環境」などの問題を横断的な総合相談窓口機能で支援する。

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