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医学系若手研究者との意見交換について
【平成22年8月25、27日】

 平成22年8月25日、27日、白石総合科学技術会議議員は、大学を訪問し、留学生を含む医学系若手研究者約20人と意見交換を行いました。
 研究者からは、日頃の研究活動に関して、人事の透明化、キャリアパスの整備、事務書類の英語対応などに関する問題提起がありました。
 白石議員からは、国内外の研究者にとって、日本の大学が魅力ある研究環境であるためにも、大学の国際化や透明性の高い評価システムの整備が重要との考えを示し、現在、総合科学技術会議で検討を進めている第4期科学技術基本計画に活かしたい、との発言がありました。
 意見交換は、留学生グループ、助教グループ、博士課程・ポスドクグループに分かれて行いました。研究者からの主な意見は以下のとおり。


 
留学生グループ
留学の動機、
受入れについて
  • 自身の研究分野において、トップ3に入る先生が日本の大学にいた。
  • 留学先を選ぶにあたって、日本の大学の教授にメールを送った。
    →返信でいくつか質問をもらい、メールでやりとりをした。そのため来日の必要はなかった。
    →返信率は半分程度だった。かなり遅れて返信が届くこともあった。
  • 留学生の受入れがシステム化されていない。学習体系をもっと整備してほしい。
人事、キャリア
パスについて
  • 外国人が日本でステップアップするのは難しいように感じる。
  • ポスドクであるが、現在所属している大学で研究を終えないと実績に繋がりにくい。このまま国内の他大学に移っても実績が認められないかもしれない。異動しても同じテーマで研究ができれば有難い。
研究環境について
  • 日本語でしか書類を受け付けないケースもあり苦労する。
  • プロジェクトのトップである教授は英語堪能であり、言葉の壁はまったくない。ただ、多忙のため時間がない。准教授、助教は日々研究室にいるが、中には英語での議論が得意でない人もいる。
  • 約60人の研究室の内、外国人が半分。普段は外国人と話をする。
  • 約40人の研究者の内、外国人は4人。日本語を勉強した。
  • 日本の大学では、有名な研究者のプレゼンを見る機会が多く、また、ディスカッションによりコメントをもらうこともできる。とてもよい環境。
  • 日本では、人と異なった意見を言うと驚かれる。
  • 日本のウェブサイトは、日本語のページにはたくさん説明があるものの英語ページは余り充分でなく、更新も少ないものも見受けられる。

助教グループ
研究環境について
  • 病院は医師不足。臨床と研究の両立は大変厳しい。研究になかなか時間が割けない。およそ2:1の割合で時間を使っている。
  • 臨床研究は、他施設で実験をすることが必要。研究施設間の横のつながりがもっとあるとよい。
  • 研究施設内に、新たに研究者を受け入れる場所が少ない。
  • 研究者自身が行う雑務が多すぎるので、ラボマネージャーというような研究室の管理をする人がいれば助かる。
  • 研究テーマの基本的な方向性を決めるにあたっては教授の指導があるケースが多い。
  • 分野横断的な研究を進めるには、異分野の研究者が近くにいるとよい。
  • 日本の学会は、世界の研究のトレンドに疎いのかもしれない。例えば、NIHでは、講習会やディスカッションの機会が多く、最新の情報が自然と得られる。
  • 臨床を受け持つと、1年半〜2年は異動できないこともある。アメリカでは、研究分野に特化した疾患を持つ患者のみを担当する。
女性研究者支援について
  • ポスドクでは、出産や育児のための休暇がとれない。RPD制度もあるがもっと多く採用してほしい。
  • 出産を控えた女性研究者にとっては、一旦、臨床や研究業務から“逃げこめるポスト”に就くことができると有難い。
留学について
  • 留学し、論文投稿者の顔がわかるようになったのは、よかった点。実験設備などは日本の大学も同じくらい高レベル。
  • 留学先では、数年の留学期間内に成果を出さなければ、日本に戻るポストがないと切迫した雰囲気。
  • 将来世界と競うならば、日本以外の雰囲気を知らないのはまずいと感じる。
人事、キャリア
パスについて
  • 海外のポストに応募すると、結果の合否だけでなく、その理由も返ってくる。日本では合否のみ。
  • テニュアトラックの制度はよい。ただ、応募には教授の推薦状が必要である。
  • 海外のテニュアのポストに出て行く人はあまりいない。
  • 日本でテニュアに就いているのは事実上教授のみ。
  • 2年の任期付の職だが、2年で論文を数本書くのはかなり厳しい。
研究資金について
  • 日本の教授は、研究資金を獲得するのに忙しい。ペーパーワークが多いと思う。
  • 研究は教授が獲得したお金で行う場合が多い。
評価について
  • 論文のインパクトファクターや被引用度を用いることに違和感はない。

博士課程及びポスドクグループ
外国人研究者との違いについて
  • 海外の研究者は、日本人より独立性が高く、キャリアパスについて長期的なビジョンを持っている。そのために今何が必要か、という考え方をする。
  • 海外では、若手研究者にTA(Teaching Assistant)がついている。研究者自身が、TAに対して、自分の研究が社会から見てどのような点で期待されているのかなどを教える文化がある。日本人にはそういった意識が低いのではないか。
研究環境について
  • 地方の大学の中には質が落ちていると感じる。地方の大学の中には、研究よりも教育が中心のところもあり、数名の有名な教授以外は、研究のレベルは高くないようだ。
  • 研究テーマは教授の指導によって決める場合が多い。外部資金を獲得できれば自分で選べるようになる。
  • 研究テーマを変える場合は、異動しなければならない。
  • どのようにキャリアアップできるか模索している。大学院の共有化や流動化を図ればよいのではないか。GCOEは他分野の研究者と触れ合えてよい。
  • 社会人ドクターが研究室にいると、周囲の学生にもプロ意識が高まる。
  • 研究室内の留学生の数はまちまち。(1/30名、3/10名、約1/3)
  • 留学生のレベルが落ちているのではないか。
  • 分野横断的な研究を進めるには、ワークショップがあるとよい。GCOEの資金を使って海外に行けるので有難い。
評価について
  • 論文の被引用度で評価するのは悪くない。
  • 研究領域が細分化されすぎており、評価者が限られてしまう。
  • 学振の評価のやり方はよい。農学の分野では研究領域によって評価項目が論文数であったり、論文被引用数であったりと異なる。
  • 1年半臨床にいた。臨床に時間を取られるため、質で評価してほしい。
  • 教授を通さずに評価される仕組みがあるとよい。



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