ムーンショット型研究開発制度の運用・評価指針(ムーンショット目標1~6、8~10)

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  • 令和2年2月4日
  • 一部改定 令和2年3月4日
  • 一部改定 令和3年1月18日
  • 一部改定 令和3年12月28日
  • 内閣府 科学技術・イノベーション推進事務局 統括官
  • 文部科学省 科学技術・学術政策局長
  • 農林水産省 農林水産技術会議事務局長
  • 経済産業省 産業技術環境局長

1.制度の特徴

○未来社会を展望し、顕在化するであろう国内外の社会課題を解決する観点から、人々を魅了する野心的目標(ムーンショット目標(以下「MS目標」という。))、研究開発構想(以下「構想」という。)を国が提示する。
○基礎研究段階にある知見やアイデアを最大限に引き出し、従来技術の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的研究開発を推進する。
○ムーンショット目標の達成のため、それぞれのMS目標の下に、原則複数のプロジェクトマネージャー(以下「PM」という。)を採択し、PMが推進する複数の研究開発プロジェクト(以下「プロジェクト」という。)で構成されるプログラムを統一的に指揮・監督するプログラムディレクター(以下「PD」という。)を任命する。
○PMにプロジェクトの推進に係る権限を付与する。PMの指揮の下、世界中から研究者の英知を結集しつつ、臨機応変なマネジメントを推進する。
○PDは、MS目標を戦略的に達成していくためのポートフォリオ(プロジェクトの構成(組み合わせ)や資源配分等の方針をまとめたマネジメント計画。以下「ポートフォリオ」という。)の案を構築し、これに基づき、研究推進法人がポートフォリオを最終決定する。PMは、基礎研究段階にある様々な知見やアイデアを採り入れ、失敗を恐れず挑戦的な研究に取り組み、革新的な研究成果を発掘・育成する。
○基金制度のメリットを活かし、ポートフォリオの再編を繰り返しながら、研究開始時点から最大10年間の支援を可能とする研究開発を実施する。
○関連する国内外の研究開発動向等を常に共有するとともに、研究者が連携して最先端研究に挑むことができる最先端の研究支援システムを構築する。
○研究活動により生み出された研究データ[1]の利活用とそれによる先進的な研究マネジメント支援を促進するため、先行的に研究データ基盤システム(NII Research Data Cloud)[2]の活用を図るなど、先進的なデータマネジメントを推進する。
○将来における社会実装を見据え、研究開発段階から産業界を巻き込んだオープン・クローズ戦略を検討し、派生的な研究成果のスピンアウトを積極的に誘導する。

2.ムーンショット目標の決定及び構想の策定

○有識者で構成するビジョナリー会議を設置し、未来社会を展望し、顕在化するであろう国内外の社会課題を解決する観点から、MS目標案を議論する。
○総合科学技術・イノベーション会議(以下「CSTI」という。)は、ビジョナリー会議の助言等を踏まえ、MS目標を決定する。なお、MS目標の決定にあたっては、研究者等からのアイデアや知見を最大限引き出すよう配慮する。
○関係省庁は、MS目標を達成するための構想を策定する。なお、MS目標の達成に向けた考え方や国際戦略の視点が盛り込まれるよう考慮する。
○社会環境の変化や科学技術の進展等に応じ、必要と認められる場合は、技術的な実現性に関する評価を行い、国内外の見解を聴取した上で、CSTIはMS目標の追加・変更等を行う。

3.研究開発の推進体制

【CSTI/CSTI有識者議員】

○CSTIは、MS目標を決定する。
○CSTI有識者議員は、研究開発の進捗状況等について、ムーンショット型研究開発制度に係る戦略推進会議(以下「戦略推進会議」という。)から原則として毎年度報告を受け、本制度全体の推進に関し、大局的見地から助言する。

【戦略推進会議】

○研究開発の戦略的な推進、研究開発成果の実用化の加速、関係府省や関係研究推進法人の間の効果的な連携・調整を図るため、産業界、研究者、関係府省等で構成する戦略推進会議を設置する。
○戦略推進会議は、次に掲げることを任務とする。

  1. 原則として、毎年度、研究推進法人から進捗等の報告を受け、MS目標の達成に向けて、全体俯瞰的な視点から、プロジェクト構成の考え方、資金配分の方針等に関して承認・助言を行う。
  2. 研究開発成果の橋渡し、民間との連携、官民の役割分担を踏まえた適時の民間投資の呼び込みを含め、研究開発成果の社会実装に向けた方策を助言するとともに、研究開発成果の社会実装等に関する支援を行う。また、国際連携を促進するための助言も行う。

○制度運営の透明性、及び説明責任に最大限に配慮するため、戦略推進会議における進捗報告や議事録は、原則公開とする。

【関係省庁】

○関係省庁は、MS目標の達成を目指し、他府省と連携しつつ、構想を策定するとともに、関係する研究開発を戦略的かつ一体的に推進する。

【研究推進法人】

○研究推進法人は、MS目標の達成に向けた構想の実現に責任を有する。
○研究推進法人は、次に掲げることを任務とする。

  1. MS目標毎に、適任と認める者をPDに任命し、指導・監督する。必要に応じて、PDを補佐するサブPD(複数可能)を任命することができる。
  2. PDと協議した上で、MS目標の達成に向け、原則複数のPMを公募・採択する。
  3. PDが構築したポートフォリオ(案)に基づき、ポートフォリオを決定する。
  4. PMに対して、PDの指揮の下でプロジェクト計画書を策定するよう指示する。
  5. 国内外の研究開発動向や研究開発成果の社会実装に向けた課題等に関する情報を収集・分析する。情報の収集・分析にあたっては、人文学及び社会科学系研究者等を含む外部有識者の意見を取り入れる。
  6. PD及びPMからプロジェクトの進捗状況、これに応じた研究資金の配分や配分先の見直しの妥当性、研究開発の進捗等に応じた官民の役割分担の状況の妥当性について聴取し、その内容を戦略推進会議へ原則として毎年度報告する。
  7. PD及びPMが的確にマネジメントを遂行できるよう、知的財産管理、国際標準化、広報、技術動向調査等に係る支援を実施する。加えて、研究開発成果の社会実装の観点から有望なプロジェクト(又はプロジェクトの一部)を早期の段階から見定め、社会実装に向けた具体的な道筋を付けるための目利き機能が効果的に発揮されるよう、必要に応じて専門人材の支援を得ることができるようにする。また、国民の理解と支持を得るため、PD及びPMが研究活動を社会に対して分かりやすく説明する双方向コミュニケーション活動(国民との科学・技術対話)を円滑にできるよう支援する。
  8. 倫理的・法制度的・社会的課題(ELSI:Ethical, Legal and Social Issues)/数理科学等の分野横断的な支援も研究開発の加速や社会実装にとって重要であることから、PDと分野横断的な研究者との意見交換会の場を設置し、PDがPMに対する分野横断的な研究者の支援が必要であると判断し、かつPMも当該支援を必要とする場合には、当該PMが分野横断的な研究者の支援を受けることができるような仕組みを構築する。
  9. PD の事故又は欠員が生じた場合及びPD が任務を果たせていないと判断した場合には、速やかに新たなPD を任命する。なお、PM の事故又は欠員が生じた場合及びPM が任務を果たせていないとPD が判断した場合には、PD と協議した上で、速やかに、当該プロジェクトの体制の見直しを行う。プロジェクトを存続させる場合のPM の選定方法は公募以外の方法も含め、詳細は研究推進法人が定める。
  10. PD、サブPD及びPMの処遇について詳細を決定する。
  11. 未来社会を担う大胆かつ柔軟な発想を有する若手研究者がプロジェクトに積極的に参画できる環境を構築する。
  12. 最先端の研究支援システムを構築するため、研究推進法人は連携し、関連する国内外の研究開発動向等を共有する。
  13. 先進的なデータマネジメントを推進するため、研究データ基盤システムを用いるなどによって、PM及び研究者に提出させたメタデータ[3]から構成されるデータカタログを管理する。

○研究推進法人は、任務を行うに当たり、関係府省や他の研究推進法人等と連携しながら取組を進めるとともに、評価作業の効率化等により、研究者が研究に専念できる環境づくりに努める。また、研究の公正性の確保に向け、先進的なデータマネジメントも活用しつつ、委託先等での研究活動の不正行為及び研究費の不正使用を事前に防止する取組に努める。

【PD】

○PD及びサブPD(以下「PD等」という。)の任期は、原則5年とし、再任を妨げない。
○PD等の国籍は問わない。ただし、任命後、国内に拠点を置くことを基本とする。
○PDは、次に掲げることを任務とする。

  1. MS目標達成及び構想実現に向けて、ポートフォリオ(案)を戦略的に構築し、研究開発を挑戦的かつ体系的に推進する。
  2. ポートフォリオの構築にあたっては、研究開発の革新性や独創性、将来の経済社会的な波及効果等を考慮し、同様の目標を目指す研究においても、研究手法によって成功(失敗)の見込みや研究成果(リターン)が異なることから、研究手法の異なるプロジェクトを複数組み合わせることを原則とする。例えば、成功の見込みが低いが著しい研究成果を得られるプロジェクト、成功の見込みは高いが一定程度の研究成果を得られるプロジェクトがある場合には、成功の見込みや研究成果を総合的に勘案して資金配分する。また、成功した場合に研究成果が期待できるが、技術的な精査が必要なプロジェクトがある場合には、プロジェクトの実現可能性調査(Feasibility Study)として開始(スモールスタート)して、その後の進捗状況に応じて、資金配分を増減させていく。
  3. ポートフォリオに基づく研究開発の進捗状況を常に把握して、研究の順調に進捗しているものには、資源の重点配分をしていく、あるいは成果が全く見込まれないと認められる場合にはプロジェクトを中止するなど、常にポートフォリオを見直しながら、関係するプロジェクトを統括するPMに対して統一的な指揮・監督を実施する。
  4. 外部評価の結果や戦略推進会議の助言等を踏まえ、ポートフォリオの見直しを主導する。
  5. 将来の研究開発成果の社会実装までを見据えた民間との連携・研究成果の橋渡しの推進や国際連携の促進等を通じて、PM活動を側面支援するとともに、研究内容を客観的に評価し、民間資金の活用を主導する。また、プログラムについて社会に対して分かりやすく説明する双方向コミュニケーション活動(国民との科学・技術対話)を行う。
  6. その他、担当する研究の推進に必要な事項を行う。

【PM】

○PMの国籍は問わない。ただし、任命後、国内に拠点を置くことを基本とする。
○PMについては兼業を可能とし、各研究推進法人がPMの研究専従率(エフォート)を設定するものとする。
○PMは、次に掲げることを任務とする。

  1. PDの指揮の下、公募時に提案したプロジェクトをより高質・良質なものにするための作り込みを行い、プロジェクト計画書を策定(プロジェクトの目標の設定、研究開発の内容や実施スケジュールの作成、実施体制の構築、プロジェクト内の参加研究開発機関への研究資金の配分計画の策定等)し、プロジェクトを戦略的に実施する。さらに、プロジェクトの変更、一部研究成果のスピンアウトを含めた方向転換等を機動的かつ柔軟に実施する。
  2. 適切な知的財産管理及び情報管理を行いつつ、国際連携を積極的かつ戦略的に推進する。
  3. 研究内容を客観的に評価し、民間資金を活用することが有効な段階にある研究開発については、受け皿となる民間企業を探索するとともに民間資金を活用するよう努める。また、プロジェクトについて社会に対して分かりやすく説明する双方向コミュニケーション活動(国民との科学・技術対話)を行う。
  4. 管理対象データの範囲等を定めたデータマネジメントプラン(DMP)を策定するとともに、これに基づき、研究者から管理対象データのメタデータを集約し、研究推進法人に提出する。また、研究データ基盤システム等を用いて、管理対象データの保存、共有及び必要な範囲での公開を行う。

4.研究開発の実施方法

【公募・採択】

○研究推進法人は、PDと協議の上、国内外からPMを公募し、原則複数のPMを採択する。この際には、総合的な視点から採択できるようにするため、外部有識者による評価体制を構築し、外部有識者の意見を聴くものとする。なお、従来技術の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的研究開発を推進するという本制度の趣旨を踏まえて外部評価体制を構築するものとする。
○PMの採択にあたっては、以下の点に留意する。

  • 最先端の研究開発を推進するため、国内外の関連する研究者等の幅広い人的なネットワークや専門的な知識を有すること
  • 最適な研究開発体制を構築し、進捗状況等に応じて機動的に体制を見直す等のマネジメント力、リーダーシップ力を有すること
  • PMから提案されたプロジェクトの目標や内容(以下「提案内容」という。)が、従来のものと比べ、より大胆な発想に基づくものかつ挑戦的なものであり、将来の産業・社会に大きなインパクトが期待される革新的なものであること
  • 2050年の目標達成に向けて、技術的観点や官民の役割分担を含む社会実装の観点から妥当なシナリオ(成功の仮説)を明確に説明できるものであること
  • 提案内容が国内外を問わずトップレベルの研究開発力や知識、アイデアを結集するものであること 等

【ポートフォリオの構築/プロジェクト計画書の策定】

○研究推進法人は、PMに対して、PDの指揮の下、プロジェクトの作り込み・プロジェクト計画書の策定を行うよう指示する。
○PDは、MS目標達成及び構想実現に向けて、ポートフォリオ(案)を戦略的に構築する。
○研究推進法人は、PDが構築したポートフォリオ(案)に基づき、ポートフォリオを最終決定する。
○研究推進法人は、公正かつ適正に研究開発を推進するため、プロジェクト計画書の策定及び実施の過程において、PD及びPM等の利益相反関係のチェック体制を整備する。

【研究開発の実施】

○PMは、PDの指揮の下、自らの権限と責任で研究開発の進捗状況等に応じてプロジェクトにおける個別の研究開発課題の加速、減速、一部研究成果のスピンアウトを含めた方向転換等を機動的かつ柔軟に推進する。
○PD及びPMは、国内外の研究開発動向を常に把握し、研究開発の進捗状況等に応じ、ポートフォリオ及びプロジェクトを機動的に見直す。特に、海外における類似の研究開発動向の把握に努め、海外の最先端研究者の取り込みや国際的な共同研究を積極的に推進する。
○PD及びPMは、研究者間の情報交換や研究データの保存・共有・公開を促すなどの先進的なデータマネジメントを推進する。
○研究推進法人は、PD及びPMのマネジメント活動を積極的に支援するとともに、必要に応じて外部有識者等がPD及びPMに対する助言等を行える環境を整備する。

【戦略推進会議への進捗状況等の報告】

○研究推進法人は、プログラムの進捗状況等を戦略推進会議へ原則として毎年度報告し、その助言等を受けて、プログラム(プロジェクトの構成、資金配分の方針等)の改善を行う。

【実施期間】

○ポートフォリオの再編を繰り返しながら、研究開始時点(複数のプロジェクトのうち、最初のプロジェクトを開始した時点)から最大10年間の支援を可能とする。
○研究推進法人は、外部評価及び自己評価の結果を戦略推進会議に報告し、同評価の結果や同会議の助言を踏まえて、PDと協議した上で、プロジェクトの継続、加速・減速、変更、終了等(ポートフォリオの見直し等)を決定する。
○CSTIは、研究開始時点から5年目にMS目標に対する進捗状況、今後のMS目標の達成の見通しを評価し、MS目標の達成に向けた研究開発(プログラム)の継続・終了を決定する。

5.研究開発の評価等

【評価】

○研究推進法人は、外部有識者による評価体制を構築し、外部評価を実施する。
○外部評価の実施時期は、原則として、研究開始時点から3年目及び5年目とし、5年を越えて継続することが決定した場合には、8年目及び10年目とする。プロジェクトの特性に応じ、研究推進法人が評価時期を早める必要があると認める場合には、あらかじめ適切な時期を設定する。
○研究推進法人は原則として毎年度(外部評価を行う年度以外)、次項で定める評価基準を踏まえて自己評価を行い、その結果を戦略推進会議及び関係する構想を策定した関係省庁に報告する。その際、必要に応じて外部有識者の意見も聴くこととし、その場合には、併せてその意見の内容や自己評価への反映の状況を報告する。

【評価の視点】
 外部評価は主に以下の視点によるものとし、本視点に基づき、各研究推進法人は、関係府省と連携して、詳細な評価基準を別に定めるものとする。

 <プログラムに関する評価>

  • MS目標達成等に向けたポートフォリオの妥当性
  • MS目標達成等に向けたプログラムの研究開発の進捗状況
  • MS目標達成等に向けたプログラムの研究開発の今後の見通し
  • PDのマネジメントの状況(ポートフォリオ管理、PMへの指揮・監督、機動性・柔軟性等を含む)
  • 産業界との連携・橋渡しの状況(民間資金の獲得状況(マッチング)、スピンアウトを含む)
  • 国際連携による効果的かつ効率的な推進
  • 大胆な発想に基づく挑戦的かつ革新的な取組
  • 研究資金の効果的・効率的な活用(官民の役割分担及びステージゲートを含む)
  • 国民との科学・技術対話に関する取組
  • 研究推進法人のPD/PM等の活動に対する支援

 <プロジェクトに関する評価>

  • MS目標達成等に向けたプロジェクトの目標や内容の妥当性
  • プロジェクトの目標に向けた進捗状況(特に国内外とも比較)
  • プロジェクトの目標に向けた今後の見通し
  • 研究開発体制の構築状況
  • PMのプロジェクトマネジメントの状況(機動性・柔軟性等を含む)
  • 研究データの保存、共有、公開の状況
  • 産業界との連携・橋渡しの状況(民間資金の獲得状況(マッチング)、スピンアウトを含む)
  • 国際連携による効果的かつ効率的な推進
  • 大胆な発想に基づく挑戦的かつ革新的な取組
  • 研究資金の効果的・効率的な活用(官民の役割分担及びステージゲートを含む)
  • 国民との科学・技術対話に関する取組

【評価結果の取扱い】

○研究推進法人は、外部評価及び自己評価の結果を戦略推進会議及び関係する構想を策定した関係省庁に報告する。外部評価及び自己評価の結果については原則公表する。
○研究推進法人は、外部評価及び自己評価の結果を戦略推進会議に報告し、同評価の結果や同会議の助言を踏まえて、PDと協議した上で、プロジェクトの継続、加速・減速、変更、終了等(ポートフォリオの見直し等)を決定する。
○ポートフォリオの見直しにより、プロジェクトまたはその一部を中止する場合、研究推進法人、PD及びPMは、戦略推進会議の支援等も得つつ、それまでに得られた派生的な研究成果等が他の事業や研究開発プロジェクト等に活用されるよう必要な支援に努める。
○研究推進法人は、外部評価及び自己評価の結果を、プロジェクトの継続、加速・減速、変更、終了等(ポートフォリオの見直し等)にどのように反映したかどうかについて対外的に公表する。
○研究推進法人は、研究開発終了から一定期間経過後に追跡評価を行い、各法人が採択したPMの成果のフォローアップを行う。

6.プロジェクトの対象経費

○プロジェクトの推進に必要な経費は、本制度のために研究推進法人に造成された基金の取り崩しにより措置する。
○プロジェクトの対象経費は、以下の経費を含むものとし、経費の詳細は研究推進法人が定める。ただし、間接経費率については、国内の研究開発機関等のうち、大学は30%、民間企業は10%(ただし中小企業は20%)とし、その他については各研究推進法人の定めるところによるものとする。また、国外の研究開発機関等には、現地の水準を考慮した間接経費率とすることができる。なお、以下の研究開発には、必要に応じてPOC(Proof of Concept)までの実証を含むことができる。

  1. 研究開発の実施に要する経費
  2. プロジェクトマネジメントに要する経費

○知的財産権の出願に係る費用(以下「知的財産権経費」という。)は、委託研究契約等における研究開発経費(直接経費)として支出することができるものとする。なお、直接経費により知的財産権経費を支出することが困難な場合、研究推進法人は当該経費を、委託研究契約等とは別に締結する契約により支出することができるものとする。また、プロジェクト終了後の知的財産権経費は、各研究開発機関が負担する。

7.知的財産権等の取扱い

○知的財産権は、産業技術力強化法第17条を適用し、委託先である研究開発機関又は同機関に所属する研究者等に帰属することを原則とする。PMは、知的財産をMS目標達成等のために活用することを重視し、知的財産の利活用方針を定める。手続き等の詳細は研究推進法人が定める。
○国外の研究開発機関等が参加する場合には、研究実施により得られる知的財産権の国外機関等の持ち分の50%以上は研究推進法人に帰属させる。
○研究実施により得られる知的財産権の移転、専用実施権の設定・移転には、全て研究推進法人の事前の承認を必要とするものとする。
○管理対象データは、研究推進法人からの委託先である研究開発機関又は同機関に所属する研究者が、その責任において、各機関のデータポリシー等に基づき管理する。オープン・クローズ戦略に基づき管理対象データの保存・共有・公開等の区分を明確化し、研究データ基盤システム等の活用により、必要な範囲で研究データの公開を行う。

8.利益相反の取扱い

○PD等は、PMの選定、ポートフォリオの構築及び管理を担うことから、自らがPMや研究者として参画することは不可とする。他方、PD等又はPMと参加研究開発機関との利害関係を画一的な基準によって判断し、結果的に我が国のトップレベルの研究開発力及び様々な知識の結集を妨げることは適切でない。このため、研究推進法人は、PD等とPDが構築を担うポートフォリオ内の参加研究開発機関との間の利益相反、PMとPMが体制を構築するプロジェクト内の参加研究開発機関との間の利益相反については、当該関係の必要性、合理性、妥当性等を考慮して参加可否を適切に判断し、必要に応じてその結果を公表するものとする。詳細は各研究推進法人が公募要領等において定める。


(脚注)

  1. ^研究データとは、研究開発の過程で生み出されるデータで、電磁的な形態により管理が可能なもの。(内閣府「研究データ基盤と国際展開ワーキンググループ」報告書(令和元年10月))
  2. ^統合イノベーション戦略2019(令和元年6月閣議決定)に基づき、研究データの管理・公開・検索を促進する研究データ基盤システムとして、NII Research Data Cloudの開発が2020年度内の本格運用に向けて進められている。
  3. ^データそのものではなく、そのデータを説明するための情報を付与したデータ。データの名称、データの説明、データの管理者、データの所在、連絡先、データの保存・共有・公開の方針等の情報を含む。