ムーンショット型研究開発制度とは
概要
背景
- 我が国は、少子高齢化の進展や大規模自然災害への備え、地球温暖化問題への対処等、多くの困難な課題を抱える中、それら課題解決に科学技術が果敢に挑戦し、未来社会の展望を切り拓いていくことが求められています。
- 欧米や中国では、破壊的イノベーションの創出を目指し、これまでの延長では想像もつかないような野心的な構想や困難な社会課題の解決を掲げ、我が国とは桁違いの投資規模でハイリスク・ハイインパクトな挑戦的研究開発を強力に推進しています。
- そうした中、我が国発の破壊的イノベーションを創出し、従来技術の延長にない、より大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発が必要となっています。
制度の特徴
- 未来社会を展望し、困難だが実現すれば大きなインパクトが期待される社会課題等を対象として、人々を魅了する野心的な目標(ムーンショット目標)及び構想を国が策定します。
- 各ムーンショット目標において、複数のプロジェクトを統括するPD(プログラムディレクター)を任命し、その下に国内外トップの研究者をPM(プロジェクトマネージャー)として採択します。
- 研究全体を俯瞰したポートフォリオを構築し、我が国の基礎研究力を最大限に引き出す挑戦的研究開発を積極的に推進し、失敗も許容しながら挑戦的な研究開発を推進します。
- ステージゲートを設けてポートフォリオを柔軟に見直し、将来における社会実装を見据え派生的な研究成果のスピンアウトを奨励します。
- データ基盤を用いた最先端の研究支援システムを構築します。
[参考]ムーンショットの由来
- 1961年、アメリカ合衆国のジョン・F・ケネディ大統領が、「1960年代が終わる前に月面に人類を着陸させ、無事に地球に帰還させる」という実現困難な月面着陸プロジェクト (アポロ計画)を発表し、1969年にその目標通り達成している。
- それに倣い、実現困難だが実現すれば大きなインパクトが期待される社会課題を対象にした野心的な目標を掲げた研究開発制度であるため、「ムーンショット型」と名付けている。
- 2016年には、Apple社(当時はApple Computer社)の元CEOであるジョン・スカリー氏が著作「ムーンショット」の中で「将来を描く、斬新で困難だが、実現によって大きなインパクトがもたらされる、壮大な目標・挑戦」として紹介しており、現在はビジネス用語としても使用されている。
ムーンショット目標
研究推進体制
- 本制度の研究推進体制は以下の通りです。
(1)総合科学技術・イノベーション会議(内閣府)および健康・医療戦略推進本部(首相官邸)
- 外部の有識者等の意見を踏まえ、ムーンショット目標を決定します。
(2)ムーンショット型研究開発制度に係る戦略推進会議
- 研究開発の戦略的な推進、研究開発成果の実用化の加速、関係府省や関係研究推進法人の間の効果的な連携・調整を図るため、産業界、研究者、関係府省等で構成する会議です。
- 毎年度、研究推進法人から進捗の報告をうけ、全体俯瞰的な観点から、プロジェクトの構成の考え方、資金配分の方針等について助言を行います。
(3)研究推進法人を所管する関係府省(内閣府、文部科学省、経済産業省、農林水産省、厚生労働省)
- 挑戦的研究開発を推進すべき分野・領域等を定めた研究開発構想を策定します。
- 戦略推進会議における議論等を踏まえ、研究開発を戦略的かつ一体的に推進します。
- その他、研究推進法人に対する適切な指導を行います。
(4)研究推進法人(JST、NEDO、BRAIN、AMED)
- ムーンショット目標の達成に向け、研究開発の実施を担います。
- 研究開発のマネジメントを行うPD(プログラムディレクター)を任命し、PM(プロジェクトマネージャー)を公募・採択します。
- 研究開発の実施およびそれに付随する調査・分析機能等を含む研究開発推進体制を構築します。
- 中間評価、終了時評価を含めた研究開発の進捗管理を行います。
※「概要」および「研究推進体制」の詳細は、本頁下部にある「基本的考え方」および「運用・評価指針」をご確認ください。
※総合科学技術・イノベーション会議、健康・医療戦略推進本部、研究推進法人は、関連リンクからご確認ください。