総合科学技術会議の環境分野に設置されたゴミゼロ型・資源循環型技術研究イニシャティブでは、各省で実行中の研究課題を集めて、イニシャティブ登録課題としてまとめている。これらの登録課題については、研究推進の効率化の観点から連携や情報交換の可能性を探るための情報を提供するとともに、個々の研究課題の位置づけを明確にすることにより、今後のイニシャティブ研究活動推進に役立てていくことが重要である。
そこで、ゴミゼロ型・資源循環型技術研究イニシャティブに登録されている課題を対象に、研究開発特性等を踏まえた課題マップを作成し、その現状等について整理することを目的とした。
ここでの整理対象課題は、「ゴミゼロ型・資源循環型技術研究イニシャティブ」に該当するとして2002年度及び2003年度に各省から申告のあった48課題(施策ベースの件数。個々のプロジェクトベースでは204課題)とした。したがって、各省から申告のなかった課題や民間が自ら実施している研究課題等については整理対象外である。
整理対象とする「ゴミゼロ型・資源循環型技術研究」イニシャティブを構成する4つのプログラムについて、物質循環におけるライフサイクル上の位置付けを次図に整理した。
前図に示すとおり、各プログラムによってターゲットとするライフサイクルの段階は異なる。このため、“モノ”による分類軸(廃棄物等の発生源による分類もしくは対象とする品目による分類)を各プログラム共通の分類軸とし、もう1軸は各プログラム毎に異なる分類軸を設定することとした。
各プログラム毎に、上記の分類軸を2軸とした平面上に各課題をプロットし、ゴミゼロ型・資源循環型研究分野の課題マップとした。
作成した課題マップから、ゴミゼロ型・資源循環型研究分野における現状の特徴・課題として以下の点を挙げることができる。
作成した課題マップは、現状においてどのような項目に課題が集中しているか、あるいは少ないかを見るのに役立つ。課題の集中には、その項目のニーズが高く重要である、当該項目が少し前に重点化されて課題募集が行われた、過去の成果や研究体制を活かして取組みやすい、研究資金を獲得し易い、などの側面がある。 一方,マップが相対的に空いている部分の項目には、研究実施済み、実施する意義が小さい、重要だが取組みが困難で着手されていない、研究成果による利益が見込めない、などの側面もある。 従って,課題マップは、実行中あるいは実施予定の課題について研究推進の効率化の観点から連携や情報交換の可能性をさぐるための情報を提供する、今後より重点的に取り組むべき課題をその連携・推進体制を含めて明らかにしていく、などのために活用されるべきものと考えられる。
なお、今回整理対象とした研究課題は、各省から申告のあった課題のみであり、国の実施している研究課題の全てを網羅しているわけではない。 各々の課題の実施期間,投入されている資金の額やマンパワーは千差万別である。 また、この分野では民間においても研究開発が相当程度実施されていると推測される。研究資源の配分等の検討に際しては、これらのことを考慮する必要がある。