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重点分野推進戦略専門調査会 製造技術プロジェクト 第5回会合

議事概要

 

日 時: 平成13年8月28日(火)17:00-19:30

場 所: 中央合同庁舎第4号館2階 共用第3特別会議室

出席者:  中島尚正、桑原 洋、馬場錬成、大山尚武、金井 寛、高橋 朗、西山 徹、中尾政之、平尾 隆、山田眞次郎、事務局(和田直人、鈴木信邦)(敬称略)

配布資料:  

資料1 :第4回会合議事概要

資料2 :達成目標について

資料2−1:製造技術分野と他分野との境界領域における分担に関する考え方

資料2−2:重点領域の具体的推進課題および達成目標

資料2−3:製造技術分野重点領域の具体的推進課題及び達成目標アンケート結果 

資料3 :推進方策について

資料3−1: 産学官連携のあり方について

資料3−2: ベンチャービジネス化等の実用化への方策

資料3−3: 知的財産権の取扱いについて

資料4 :推進戦略

資料4−1: 推進戦略(骨子)

資料4−2: 推進戦略

 

参考資料1:第15回経済財政諮問会議配布資料「平成14年度概算要求基準について」

 

議事:

1.開会

中島リーダーより開会の挨拶。

[中島]

 本日の会合の進め方は次の通り。前回、製造技術分野において国として行うべき研究課題および達成目標について、以前に各委員にお願いしたアンケートの結果に基づき議論した。今回は、事務局でまとめた結果を確認した後に、さらに製造技術分野の推進方策について検討したい。産学官連携、ベンチャー化等の実用化に繋げるための方策、知的所有権などの観点からの討論を行いたい。この推進方策に関しては、山田委員,馬場委員にはそれぞれベンチャー化の課題、知的所有権についてプレゼンテーションしていただき、その後、議論いただく。

その議論の基づき、推進戦略案を最終的にとりまとめに至ることになるが、推進戦略は骨子が2ページ、本文10ページを予定しており、9/5までに一次案を作成する必要がある。その結果は、他の分野の推進戦略と束ねられて、重点分野推進戦略会議を経て,9月末の本会議に提出される。このようなタイトなスケジュールな中の今回の会合であるが、よろしくご協力いただきたい。

 

 

2.重点領域の具体的推進課題および達成目標について

[中島]

達成目標に関して、前回、他分野との境界領域に位置する研究課題のあることが指摘され、どちらの分野の分担とするかを明確にすべきというご意見があった。事務局よりガイドラインの案を説明していただきたい。

 

[事務局(鈴木)]

資料2-1に基づきガイドライン事務局案を説明。資料2-2,2-3はこのガイドラインで区分けをしたもの。

 

[金井]

B-2のライフサイエンス分野との分担について。生体適合性についてはライフサイエンス分野であるが、生体物性を工学的に解析することが基礎であり製造技術に直結しているため、生体物性は製造技術分野の分担ではないか。

 

[中島]

ここでは、製造技術上の課題として取り上げるべきというご意見ですね。

 

[金井]

 生体物性がわからないと製造ができないという意味です。

 

[中島]

ある程度限定的に生体物性を使うことで製造技術の中で組み入れられないかと考えるが、ご意見をいただきたい。

 

[大山]

その話とパラレルになっていると思うが、生体適合性と医療機器の製造技術はリンクしていることが多い。趣旨はわかるが表現の仕方かなと思う。

 

[中島]

 生体適合性や生体物性に係わる製造技術上の課題があると解釈し、そのようなものも見逃さないようにせよというご意見ですね。表現を工夫したい。

 

[事務局 (鈴木)]

医学と工学の融合領域であるため、どちらかに仕分けてしまうのはいかがなものか。両方の分野から落ちてしまわないようにすることが大事である。大きな概念として、医学に近いところはライフ分野、ある程度決まったところで製造分野としたいと思う。落ちがないように留意し、個別の課題については議論していきたい。

 

[中島]

基本的には医学領域は別であるということですね。工夫したい。

ナノテクノロジーに関するところでも微妙な表現の違いをしている、ナノサイズレベルの加工についてはどちらの分野に入れるか簡単には分けられないが、ある種の目的を達するために手段として重要な場合には製造技術分野となり、一般論としてはナノサイズレベルの加工技術はナノテクノロジー分野のメインのテーマとなる。製造技術で取り上げる場合には限定的になる。

 

[高橋]

今までの議論だと、製造技術を狭く定義しているように感じる。目的があって実用化していくことすべてがものづくりであり、狭く捉え過ぎのように思う。

 

[中島]

境界領域のところでの判定のガイドラインという意味であり、一般論としては製造技術を広く捉えている。

個々の問題についてご意見があればいただきたい。製造技術はこうであるからという限定的な表現はせずに、説明を求められれば今までの議論のように答えることにしたい。

 

[金井]

 資料2-2、3ページの「複合高機能化」の「DNA、蛋白質解析システム」について、「医学の範囲はライフサイエンスで対応」と記載されている。このような表現では、どちらでやっても、基礎的なところは製造技術(工学)。製造技術としてむずかしい分野と思われるが、その応用は医学の分野となる。製造技術の範囲は先ほど申し上げた定義でよろしいかと思う。

 

[中島]

積極的にこの範囲が製造技術であるという表現はしにくいということですね。

 

[事務局(鈴木)]

前回桑原議員にご指摘いただいたのは、重要な課題が分野の境界で落ちてしまうことがないようにすべきとのことであり、そのための判断基準を示した上で実際には課題ごとに個別に見ていかなければならないのではないか。逆に、何もないと落ちが生ずる可能性がでてくる。

 

[中島]

2-2においては,医学の方でしっかり見ていただきたいということですね。

 

[平尾]

全体が、製造技術を形を作るというところに限定した表現と受け止められる。ライフの適合性の問題は、適した素材を相手にし必要な形にしていくということと思うが、そのような一貫性が製造技術にもあるはず。形作るところで区分けを固定すると一貫性が損なわれるのではないかというご指摘と受け止めた。

ものにより開発のステージがあり、ステージによりどちらの分野で取り扱うべきなのかを検討すべき。一貫性の中でどちらの方にウェイトをおく方が効率的かを検討すべきであり、区分けを固定的にせずステージを見てやるべきである。2つの領域とも取り上げないということがないようにすればいいのでないか。

 

[桑原]

検討いただければと前回提案し、様々なご意見が出たことは意義があったと考える。各委員からのお考えは、ものづくりを広く捉えるべきとのご意見と理解した。化学物質、アセンブリ等ものづくりといっても数多くある。問題提起の趣旨は日本の製造技術の回復が主体であることを考慮し,どこに焦点をおくべきであるかを明快にしていくべきと考えている。そのために是非、このような整理をしてみてはいかがかと提案したが、狭すぎるというご意見が大半であった。そこに異論は全くなく修正していただくことは結構。ただ、基本的にはどこに焦点を当てていくべきか、5つくらいあげたら何なんだということに対して答えを出していかなければならない。ひとつは、例えばサプライチェーンに対応した製造技術の開発は民間で行えばいいのではないかという結論が出ている。これを金科玉条とするわけではない。そういう意味でこれをしばらく使っていただいたらいかがか。

 

[山田]

製造技術におけるナノテクノロジー加工のサイズの範囲を限定すべき。畑村先生の言われていた20ナノクラスのものを製造技術に入れて研究を進めるべき。桑原先生のおっしゃられた5つの中に、20ナノクラスの機械加工が残るのではないかと考えている。その場合、分野を入れておかないとどこにも入ってこない可能性が出てくる。マイクロマシンの微細加工に20ナノクラスの精度を出す技術が含まれていればそれでよいが。何らかの形で単位を区切っておかないと、もし、抜けたとすると、今後5年間を考えるとナノクラスの機械加工は非常に大きなマーケットになる可能性があり問題となる。どちらにも入らないことにならないようにしていただきたい。

 

[中島]

 マイクロかナノかという昔から議論があるが、ひとつの理解としては、マイクロマシンでは、単位ではなく、従来型の機械加工や物質を取り去っていく加工で極限を究めるというコンセプトがある。その方向で20ナノまでカバーすべきと考える。一方、ナノテクノロジーは加工法そのものが従来と異なることを前提としている。その表現を工夫する必要がある。おっしゃる意図はよくわかる。製造技術特有の問題という表現もあったが、それだけではなくそこを工夫すべき。

方針のところで「民間で対応」とあるが、今まで議論となったのは学問領域での取り合いであったが、それ以外(エネルギー,環境分野での対応はCにある)はどうでしょうか。

改めて製造技術のスコープを広く考えてよろしいかどうかのチェックが必要と思う。

 

[中尾]

結局,重点分野であるIT,ナノテク、ライフサイエンス、環境の合わせ技の研究を製造技術分野と判断してよいか。製造技術固有の流体力学、工作機械などはなく、重点分野でやっているようなものの合わせ技で、それを使って設計して具体化するのが製造技術であるという解釈で、分ける必要はないというご意見であった。そこまで広くできるのであれば、合わせ技は全て製造技術と解釈することができればわかりやすい。

 

[中島]

 生体特性は微妙なところになる。

 

[金井]

大山委員が言われた領域は、ライフ分野では研究されなくなった領域であるが、非常に重要であり、日本でほとんどできていない。そういう意味で、製造技術で取り上げないとライフサイエンスでは取り上げない。

 

[中島]

製造技術のポテンシャル、影響力を考慮し、限定せずにものづくりという大きな課題として取り扱う。その視点で資料2-2を見て、具体的に扱われているところで、医学、ナノテクとの境界については表現を吟味したい。エネルギー、環境分野についてはとくに問題がないと考えてよろしいでしょうか。

 

[大山]

C3については、省エネ、新エネ等、従来よりクリアな課題であり、この区分については異論がない。ものづくり製造技術として大きく変わってくるのは評価基準。従来であれば、性能がよく安いことが目標とされてきており、かつ省資源で省エネ、ゼロエミッションというように、評価基準として内部化してきたときに製品が全く変わってくるようなものが、ものづくり製造技術の新しい点。最初は定性的に変化するため、定量的に示すことがむずかしい。高橋委員のおっしゃるように幅広く構えながら、読む人に感じさせてくれるような表現が必要。

 

[事務局(鈴木)]

国の予算区分の話になると区分を決めなければならないと思うが、エネルギー、環境でも見ていかなければならないため無視することはできない。表現としてどちらの分野でも見ていくということと、予算区分の話とを分けて議論していきたい。

 

 

3.推進方策について

[中島]

産学官の連携のあり方、ベンチャービジネス化等の実用化への方策、知的財産権の取り扱い、の3つをここで扱いたい。まず,産学官の連携のあり方について事務局より説明願いたい。

 

3.1 産官学の連携のあり方について

産学官連携のあり方について,資料3-1に基づき文科省,経済省の施策について、事務局より説明。

 

[中島]

現状の施策に不足している点、改善すべき点について、お示しした資料をたたき台にご議論いただきたい。本日の会合では時間が限られているため、この場でご意見をいただけなくとも、30日までに事務局にご連絡いただければ盛り込むことが可能。

 

[事務局(鈴木)]

スケジュールとしては、9月の上旬から中旬に向けてまとめていくため,一時的には8月末までにまずご意見をいただきたい。

 

[桑原]

基礎研究の産学官のイメージはわくが、製造技術分野では普遍的ではなく産業に特化したテーマとなるため、製造技術における産学官のイメージがわかない。受ける能力はあるのか。

 

[中島]

基礎研究と比較すると、一般的には受け皿が少ない。

 

[中尾]

 企業でも細かい研究をする中央研究所などは縮小されてきており、テーマや研究者を出して研究することに製造技術でも移行している。

 

[桑原]

研究のスタイルとして、国から予算を出して行う研究開発、産学官連携の研究開発、産が行う依頼研究があるが、製造技術では依頼研究が主体となるのだろうか。

 

[中尾]

依頼研究が主体の方がすべきことが明確であるためやりやすい。金額は少ないが、大学の教官も進む方向を理解しやすい。国からの予算をとりやすくなってきているため、手間ひまかけずに国からの予算をとる方がよいという意見もあるが、産業界とのつながりがなくなると進む方向がわからなくなる。

 

[桑原]

 依頼研究のレベルの産と学の深まりが非常に重要ということ。

 

[中尾]

現在、問題となっているのは委任経理金。整理を進めており整備されればすっきりした形となる。

 

[中島]

 大学に受け皿となる人材が十分いるかどうかということもあるが、産業界から人を呼んで、大学で受け入れて核となるケースも増えていると思う。

 

[中尾]

機械系において、9年前に中島先生にやっていただいたのですが,それ以降は一人もいない。新たな学科等の設立の機会に積極的に入れようとしているが、製造技術の分野では該当する人があまり論文を書いておらず実際に製品を作っているため、教授として迎えることはほとんど不可能である。作った製品が作品として論文と同様に認められれば、製造技術の研究者を大学へ戻すことができるが。

 

[中島]

大学側の問題でもある。設置基準や文科省のガイドラインは緩くなっているが、依然として教授会がある価値観を持ちつづけている。

 

[中尾]

建築やCGでは作ったものが作品として認められ教授になっているが、製造技術での製品は作品として認められないため、研究論文を書いてくださいということになる。

 

[中島]

 大学側の対応も課題として指摘する必要がある。

 

[桑原]

 産学官連携でマッチングファンドを作ろうと考えている。どちらかと言えば基礎研究と応用研究に主な検討視点が向いているが、製造技術分野では依頼研究に重点があるとすれば、テーマの評価をやりがいのあるように変えていく必要がある。製品が成果の対象になるとか、産学での人の交流が給与や資格も含めて自由に行える等を、しっかり検討しなければならない。私の立場から言えば、依頼研究をする場合にも少額であっても国の金が関わっていれば、研究開発テーマの提示等がよりビビッドに表に出るチャンスが増えるので、是非、そういう形で依頼研究も走ってほしい。

 

[中尾]

 寄付講座が5講座あるところで,製造技術の人をとってくれば非常に強いものができる。そのときは作品だけで勝負される方がいれば非常に強くなる。米国では1980年の後半では製造技術を高めようとしたとき、そのような講座を作り、論文でなく、技師長をしていた経験等で教授を連れてきて強くなった。そのような特別枠を作っていただくと強くなる。

 

[西山]

 資料3の別紙−1、2に記載されているように、産学連携は現実には相当踏み込んだ内容となっている。兼業規制が緩和されたことにより、よい先生の囲い込みと成りかねないという危機感を覚えたため、急ぐよう現場に指示したが笛吹けど踊らずでやらなかった。なぜやらないのかが問題であり、産学連携に関して民間のエネルギーが欠けている。若い人が大学に出向きいい先生をつかまえて兼業をお願いすれば、連携がうまくいくに違いないと考えるのだが、法律的にも金銭的にも問題がないのにも係わらず、現実には現場は動かない。私どもの会社だけの特殊性であれば全体としてどんどん推進していけばよいが、法的に問題がないにもかかわらず兼業されている先生が少ないのであれば、なぜやれないのかについてメスを入れるべき。

その理由として考えられるのは、1つは,大学も民間も人の交流があまりにも少なすぎることがあげられる。大学から民間に先生がきていただくことはほとんどなく、また、民間から大学へは行くことがあっても帰って来ないなど、日本では部分的にしか交流がない。大学の先生が製造現場に1年位いて帰るというようなことのできるインターシップ制度の活用があまりに少ない。もう少し活用されていれば、兼業規制が緩和されたのでテーマが回ってくるのではないかと考える。実際の人の流動が起きてこないと、制度的に整っても現場で実行が伴わない。

もう1つは,昔は大学にいた良い意味での親分がいないこと。一見基礎研究だがあるブレークスルーが行われるとテクノロジー化し生産が革新的に向上する、例えば大幅にコストダウンするという感覚をつかむことのできる先生、その研究が役に立つかどうかの感覚を持つ先生がいた。企業も魚の目鷹の目で探しているが、冴えた先生はこの研究は革新的なテクノロジーになるという感覚を持っていた。我々の会社は、アミノ酸や核酸の製造技術は未だに強いが、それを最初に取り込んだのは企業ではなく大学の先生であった。その先生がこの分野は日本のお家芸になると言って、競争している複数の企業をまとめて推進していった。このようなことが、競争している企業同士では持ち上がりにくいが、大学発であってもよいのではないか。どうすればよいかわからないが、いい意味でのボスがでなくなった。

 

[中島]

 産業の分野、レベルによっても異なるかもしれないが。

 

[桑原]

西山委員のおっしゃった第1の問題について、全くその通りでありコミュニケーションが足りないと認識している。尾身大臣もサミットを開催し,産学官の幹部の認識を同じくし、その後実行に移していこうとしている。産学官連携は団体同士ではうまくいかない。部門の人が大学に行って行うべきであり、学会の活動も含めてやっていけばよい。民間がよくない。大学の先生も自分の分野でないとやらないというのはまずく、ニーズがあればやってやろうというように近づいていくよう現在進めている。

 

[中島]

今、指摘いただいたことも織り込んでいただければと思う。

 

3.2 ベンチャービジネス化等の実用化への方策について

山田委員より資料3-2に基づき説明。

 

[馬場]

とても興味深い内容。山田委員はIT革命がまもなく起こるとの認識ですが、私はすでに起きていると考える。あと50年たって今を見てみると、IT産業革命の半ばから後半に差し掛かっているところと考えるが、どのようにお考えか。

 

[山田]

確かに全体的にみるとそうかもしれないが、実質的に生産性の向上が見られるようになるのは今からと考える。産業革命において、1750年、1770年に起こると言われて本当に人類が享受できるようになるまで10年かかった。例えば自動車が10万円になるというような、生産性の向上がおきるには時間がかかる。現在は、起き始めていることがわかっている段階と考える。

 

[大山]

インクスさんがベンチャーとして発展してこられた経過において,実質的に意義のある支援はあったのか。

 

[山田]

作成したソフトウェアも通産省さんに支援を受けているなど、常に支援を受けている。スペースもKSPの中に入れていただいて、毎年のようにスペースを広げている。そういう意味で支援を受けており、支援があったからこそ今がある。我々だけでやっているわけではない。

 

[大山]

ベンチャーを見る目が重要とのご指摘であったが、具体的にどのような視点を持てばよいのか。

 

[山田]

むずかしい。ポイントは技術をどうやってお金にするかということ。仕組みを売って換金する方法もある。通常、いかに優れた技術かという観点のみで、換金の方法がよろしくない。ビジネスですので換金方法が非常に重要。

 

[中島]

白川先生とノーベル賞を受賞されたアラン・ヒーガー氏は「サイエンスは富の源泉」であり重要と言われた。教育の場でみてみると、ビジネスに興味を持つ学生やサイエンスに深い関心を持っている学生以外の学生の意識として「サイエンスは富の源泉」と考えていない。そこが米国と日本、中国と日本の考えの違いかと思われる。この点は重要と考えているがどのようにお考えか。

 

[山田]

日本人の気質かもしれないが「武士は食わねど」というのがじゃまをしている。日本以外にこのような気風はないと思う。お金に対していろいろなことを言わないことが立派だという。基本的にビジネスをしようとしたらどうしても利益を出さないといけない。これを全く無視してベンチャーを興してもうまくいかない。利益とは換金手法であり、富の源をどのように換金してくかが日本でうまくいかない。ただ、そこを支援したらビジネスにならない。

 

[中島]

大学のカルチャーも本人が行動を起こそうとする仕組みが欠けている。成功例があると変わってくると思うが。

 

[西山]

日本での問題は,ベンチャーを興そうとする人が少ないことのか,支援する仕組みが少ないことなのか、どちらかによって対策が異なる。山田委員はどちらが原因とお考えか。

 

[山田]

ベンチャーを興そうとする人の数が少ないと思う。できる人は数多くいるが自分で鎖をつけている。そのような人材の大部分は大企業の中にあり、大企業から出ても大丈夫であるとか、出なくてはいけないという意識が出てこないと、出てこない。今から、大企業にいてもどうしようもないという認識が一般的になり、どんどん出てくると考える。2003年に向けて支援をして、出ても大丈夫だよと安心させればよい。インクスでは来年55名の新卒をとるが、東大、慶応大、早稲田大、東工大、京大出身であり、大企業の内定を蹴ってきている。80年代の前半から後半にかけて、大企業にいてもどうしようもないという風潮があり、ベンチャーが出てきた。

もう一点の問題は、日本では財産がつぶれたらゼロになることがあり、出る人にとっては厳しい。詳しい仕組みはわからないが、米国ではゼロにならないようにして、再挑戦や子供を養育できるくらいは残す。

 

3.3 知的財産権の取扱いについて

 馬場委員より資料3-3に基づき説明。

 

[中島]

製造技術特有の問題かもしれないが、資料4-1の「IT高度利用によるノウハウのデジタル化」を特許化することは国益につながるだろうか。知的所有権になじむであろうか。また、競争力強化になじむであろうか。

なじむとすると別の問題が出てくる。これまで,無意識に多くの人に共有されているものであったものが,それを明文化することで,特定の人に独占されることになるのではないか。

どちらにせよ、やっかいな問題と思うが。

 

[馬場]

攻撃的な考えを持つことが必要。ノウハウをデジタル化しても特許にしないという戦略もある。金に変える、あるいは契約ビジネスで金をもらうという考え方が先にありきでないと無理。東京大学経済学部の藤本隆宏教授がおっしゃるには、産業技術について米国人の執筆した本を使っているがその4/5はいかに金を儲けるかについて書かれている。技術的なことは1/5しか書いていない。このような本で勉強してきた人々と日本人はとても戦えない。ビジネスとしてどのようにやるかが先にありきであり、ノウハウのデジタル化において金が入ってくる仕組みを考えることで解決できると考える。

 

[桑原]

考えていることをご紹介したい。特許出願、請求費用は金がかかる。日立でも海外特許を積極的に出しているがなかなかペイしない。無駄な特許が多すぎるという実態から、国が援助することを考えると、基準、出願国選定がむずかしい。例えば、中間の民間企業をつくり、発明者と買い取りの契約をし、どの国に出願するか、どのくらいの金をかけて維持するかについてはその機関の自由裁量に任せ、うまくいけば出願者にもインセンティブがいくようにする。また、金がかかるので金融機関も特許が実用化する前の段階のものでも証券化して買い取るなど、うまいやり方をしないと国が補助することはむずかしいという感覚がある。

また、企業ではクロスライセンスであるが、大学や研究機関では個別特許となるため有利であるかもしれない。いずれにせよ、国が特許をサポートすることはむずかしい問題。

 

[馬場]

むずかしくないと考える。例えば、専門家を集めた機関をつくる。国が予算を出すとしても、国内1件50万円とすれば1億円で200件であり、年間予算として10から20億円準備していても簡単にはこれだけの特許は生まれてこないであろう。このような制度を立ち上げてやれば働くのではないかと楽観的に考えている。

 

[桑原]

1件のいい特許を10カ国に出願すると1000万円かかる。評価を誰が責任を持って行うかという議論が出てくる。

 

[事務局(和田)]

翻訳料が高い。

 

[馬場]

日本の場合、翻訳料が非常に高いので1カ国で100万円くらいになってしまう。翻訳も含めて全体を1/2にするベンチャーを起こした。

 

[事務局(和田)]

日本の場合、例えば、産学官連携でどんどん国の金を入れて共同で研究しその成果をということが増えてくるが、その場合、誰が特許の所有権者かがばらばらであり、明確にしなければならない。所有権者は例えば、国であれば国としてしまい、実際に利用された場合には十分な対価を支払うことがいいのではないか。

 

[馬場]

その通り。誰が権利者になるかは特許出願のときに決まるが、発明者と出願者の間のルールをきちんと決めておくことが重要。職場発明もその範疇である。例えば,白川先生は工業化に結びつきやすい特許を発明したが、米国特許商業庁に出願した導電性プラスチックの基本特許では4名が発明者、出願者はペンシルバニア大のTLO。23年前にはペンシルバニア大において、大学で生まれた特許について実施する場合のロイヤリティの分け分が決まっていた。日本でも大学で生まれた特許についてもルールが明確に決まっていれば、発明者に応分のリターンが回っていくのではないか。

 

[西山]

ナショナルインタレストの立場からご見解を伺いたい。米国は先発明制度、一方、日欧は先願制度。ナショナルインタレストの立場からは圧倒的に先発明制度が有利。先願制度は官僚制度型であるのに対して、先発明制度は研究者起点でありスピードの点でも有利。それが仮出願制度につながっており、また、ブレスピリオドの期間も異なっている。特許を取得する仕組みという観点から米国は有利。ハーモナイゼーションし先願制度としてくれればイーブンとなるが、そうではない以上、米国への対抗戦略を打ち出さないと不利な状況に置かれている。

 

[馬場]

仰るとおり。特許は行政的なものであり戦略の立て方により決まるため、米国に対抗するためには制度を考え直すべき。具体的には多数あり、例えば、審査期間の短縮、今まで7年であった審査請求の年限が3年になるが公開の1年半に足並みをそろえる等。米国は先願主義に変わることはないし、日本を先発明にすることは無理である。米国以外の全ての国は先願主義であるが、米国に対抗するための戦略をひとつひとつ実現して対抗することを考えていくことは必要。米国は今年1月から公開制度を一部始めた。先願主義に移行するのではないかという観測もあるが、そうはならないであろう。米国の公開制度は米国内に出願されたものに限定されているため、依然として先発明主義を重視していることは間違いない。米国の戦略を捉え日本が対抗するための手段を行政的にやっていくことが重要。有能な弁理士を増やすということも戦略のひとつと考える。各論になっていないので回答として不十分に思うが。

 

[山田]

ベンチャーへの支援の中で特許は最も重要であると先ほど述べた。馬場委員の特許戦略に影響を受け、昨年より毎週弁理士2名に来てもらって月10件程度を出そうとしている。基本的に特許で守られないと、6ヶ月で中国で同じものができてしまう時代になっている。知的財産は、日本の財産であるから、名義の問題があるにしても、明らかにお金であり、国は早く自分の財産であることを宣言し守ってやる仕組みが必要。一般的な製造業のノウハウは見ればわかるものが多く、そのようなものはすぐにまねされてしまう。むずかしく考えず、特許庁でもすぐに仕組みを国内で作っていくべき。今からの日本の財産はそこにある。

 

[馬場]

特許は行政的な戦略である。日本は、米国だけではなく追いつこうとしている国々の戦略を知り、対抗措置をとらないと損するばかり。

 

[中尾]

大学にはTLOができ特許を出してくれるし、制度もうまくいっている。それでも特許が出ないのは教官の知恵不足。TLOを経営しようとすると、公開になる前に企業が使う場合にはそれ相応のお金を支払わなくてはやっていけない。権利となっていなくとも企業が支援してくれるような文化ができるとよいのではないか。

 

 

4 推進戦略について

資料4-1, 4-2に基づき事務局より説明。これらは9月末までにまとめる必要がある。

 

[桑原]

目を離して上から見て感じることは、これで日本の製造業が再生するだろうかということ。そのような観点より考えなければならないことは、これからの日本の製造業の姿はどのようなものであるかということ。ひとつは国内で依然として作り続ける、もうひとつは、海外でやることの中で勝っていく、あるいは、製造装置で押さえてそれを世界に売りまくる、など様々な姿があると思うが。それほど多くはないのではないか。そこで定義する個々の形態において、日本が勝っていけるかと観点より達成目標をみると大丈夫かなという感覚に陥った。もう少し、イエスと言えるような感覚で評価しなければならないのではないか。

 

[中島]

ご指摘の点は、プロジェクトの提案と推進方策の両方にまたがっている。これまでの議論では、どちらかというと推進方策に重点が置かれており、当初よりご指摘いただいていた製造業のむずかしさよりプロジェクトでは尽くせないことも多々あるため、推進方策で十分示そうと考えていた。プロジェクトに関しても余地があれば是非盛り込みたい。

 

[桑原]

 各省が予算要求する段階で、財務省は、みなさんが考えている以上にこれを原点にする。したがって、ここに出ていないとだめということにもなる。逆に、ここに出ているものを行うと本当に日本が良くなっていくかということにも答えていく必要がある。このような2つの面があり,非常にセンシティブなものである。みなさんがこれでいいというのであれば反対はしないが、大丈夫かなと思う。

例えば、製造業の原点であるべき需要予測が全く狂っている。その技術開発は載っていない。米国ではリスクマネージメントが金融界では非常に進化していると言われるが、よく見るとそうでもない。日本はさらに遅れている。そのようなことを省みると、まだいくつかあるのではないか。そういう感覚はないだろうか。

 

[馬場]

重要予測がないということについて,IT産業革命において,ITそのものは進化の途上にあり急激に進んでいるため、今の時代において需要予測はむずかしい。平たく言えば1年半ごとにコンピュータの性能は2倍になっていくというムーアの法則は、2010年までは確実に活きるというインテル、IBMの発表があった。どこで天井を打つかわからないが、IT革命の根幹技術が右肩上がりになお進化している。このような状況で技術革新が急激に進んでおり、1〜2年前を今振り返ってみても予測が変わっていることが多い。したがって、需要予測も非常に重要と思うが、どのように捉えたら良いかがわからない。

 

[桑原]

 例えば、通信機器は需要過多である。わかっていたにも関わらず、需要の倍以上作ってしまった。半導体製造装置についても世界的に過剰投資となることは予想されていた。上等なところでなくても需要予測があっていない。製造業として不要なものを作ることは悪であり、予測できるのではないか。どのような製品が出てくるかという需要予測はむずかしいが、いまある製品の進化、需要、価格についての予測はつくのではないか。

 

[中島]

ご指摘いただいた点は、推進方策の基本的事項の下から2番目の「イノベーションを効果的に経済成長につなげる政策検討」に関係する。

 

[桑原]

1ページ目のAの一番上の「ノウハウのデジタル化」については、すでにあるものをデジタル化するだけではなく、新しい技法でこれまで見ることのできなかったものを見ていくという観点でITの高度利用を捉えていくことも大事。そのような観点で見ていくと、「ノウハウのデジタル化」で日本は強くなれるのだろうか。CADであれば、特徴抽出することが目標ではなく、どれだけ早く設計できるかということ。それで日本が勝てるのであれば、ITは変化が激しく寿命が短いため、早く思いついたものが製品になるということで強いツールになるのではないか。達成目標はそういうことではないだろうか。

 

[事務局(鈴木)]

達成目標はやることが記載されており、やった後のレベルについては明確に記載されていない。

 

[桑原]

それを政治が求めているし、また、我々も言いたい。財務省からすると投資に対するリターンが見えるということにつながっていく。製造技術は第2分類に入っているので、よほどがんばらないと予算確保はむずかしいのではないか。そういう意味で強化すべき。

 

[事務局(鈴木)]

 ご指摘いただいたITについて研究開発を進めた結果、世界最先端の入出力ができる等、どういうレベルのことをやればできるのかを記述しないと、やったレベルがわからない。

 

[桑原]

製造業としてどのような強みを持てるようにするのかがポイントではないか。CADであれば世界のどこに持っていっても強みが残っていく、したがって、今、日本で必ずしもやらなければならないことではない。形態も含めて思いが巡るように、強化した方がよい。

 

[山田]

仰ったように、目標ではなく手法が記述されている。ノウハウをデジタル化することで達せされる目標が記述されていない。

 

[中島]

 他分野とのすりあわせにより、手法が目標のような表現になってしまったのかもしれない。

 

[山田]

 どのような製造業が生まれるのか、どのような社会になるのかを示して、そのために必要となる主手法を示した方がよい。

 

[馬場]

桑原議員の仰っていた意味は、財務省や政治家にわかりやすく理解してもらうことが必要ということ。その通りであり、うまく戦略的に考え文言にしておかないと、日本の行政組織の中では金を取ることができない。ごまかす意味ではないが、5年後は誰にもわからない。書いてあることにとらわれる必要はない。過去の行政施策の結果を見ていると明らかであり、実現したものは百のうちいくつものない。そういう手法でよいと考える。

 

[西山]

 製造業としてのアウトプットがどうなるかということと同時に、達成したことにより国民にどのような利点があるかを示さないと、政治家は動かない。したがって、国民にどのような利益があるかをもう少し明確にした方がアウトプットとして明確になる。

 

[中尾]

もしこれが国の予算となったとき、学校の先生から見ると驚異的なことで、今まで機械工学で進めてきたことにはお金はつきませんということと同じで、他の分野の研究の結果を速やかに産業界に還元しなさいということ。それが重点化の考え方に入っているのであれば、A,B,Cは非常によくわかる。今ある産業を進めるのは民間で行い、国でやるのであれば他分野ででてきたものを進めるということに見える。そういうところは国で特化してやるのだと言えばなるほど思う。

 

[桑原]

 本来は、民間、国でやることをすべて記述すべきである。それが将来の日本の姿を示すことになる。その中で国がここをやるから、民間はここをしっかりやってくださいという風に書きたい。他の分野も含めて、国でやることを中心に書かれているので、若干民間に誤解されると困る。製造技術でも全体は書かれていない。サプライチェーン等も書かれていない。割り切りと思いながら、全体を考えた上で切り出さないといけない。

 

[事務局(和田)]

今から概算要求が始まり、多くのことは間に合わない。全てのことを平成14年度予算にと考えているとうまくいかないのではないか。

 

[桑原]

平成14年度については終わっている。

 

[事務局(和田)]

製造業の空洞化のスピードは危機的である。本当にああそうなんだと思えるようなことを作っていく必要がある。ある程度時間をかけて、役に立つ形にしていきたい。

 

[桑原]

これまでの議論を、そのような方向でまとめていけばできると思う。

 

[事務局(和田)]

 確かに手法と言われるとそうかもしれないが、実際の目標や達成すべき事柄をもう一段高いところまでできるかもしれない。

 

[中島]

 表現の問題かもしれない。これまで推進方策としてまとめるという流れがあったが、それでは扱われ方として弱い。推進方策としては、我々も十分検討してきており、成果をプロジェクトに加え目標を魅力的にすべき。

 

[桑原]

このプロジェクトが、一番これからどうするかとまさに問われている分野である。したがって、その姿を出さないと理解が得られないのではないか。

 

[金井]

最初の頃は、各省の説明や我々の書いたことに中には、この技術がなければどうなるか、日本の状況、この技術を進めることにより何が起こるのか、について記述されていた。それを削ってしまったため、訳がわからなくなった。それらを記述すればよいのではないか。

 

[中島]

 提出フォームの問題もあるが、我々のプロジェクトでは、今のご指摘を受けて変えて工夫してみるということにしたい。

 

[中尾]

分野における国と民間の状況が見えないため、重点化の考え方がA,B,Cから出てくることに飛躍がある。

 

 [中島]

A,B,Cが導かれた後のフォローが重要。分野の状況や重点化について、筋道を追って絞り込みをしてきたつもりであるが、そこで、国と民間の役割について必ずしも十分反映されていなかった。重点領域を示し、その重点領域の達成が、分野の状況にフィードバックされるような表現が必要。まだ、テーマを決めたところで止まっていると捉えられたのかもしれない。分野の状況までフォローしなければならない。わかりやすく。後の部分が欠けているかもしれない。

 

[桑原]

 それほど乖離している話ではない。

 

[山田]

生き残る製造業と生き残れない製造業が出てくる。現在の製造業をどうするということではなく、生き残る製造業と新たに現れる製造業のビジョンを捉える必要がある。日本の次の生業としての製造業のあり方について、何回か討議して、ビジョンを示すべき。桑原議員の仰った、これで本当によくなるのかというテーマに立ち返ると、これでよくなると言えるようなものを出せればいい。

 

[事務局(和田)]

中国との賃金格差が40倍あってもうまくやれる社会を究極的には求めるべき。

 

[桑原]

知的所有権で儲ける。技術もなければ知的所有権も出てこないため技術は重要。国のレベルでどの産業とは言えない。

 

[馬場]

重要なことであり、言いにくいことも言わなければならない。日本では、高齢化対応ばかりに金を注ぎ込んでいるが、次世代を背負って立つ子供達のための教育インフラがすごく遅れている。産業も同様であり、そのような見極めをすることが重点化で、口に出して討論することが重要である。

 

[中島]

日本の産業のあり方まで我々が考えなければならないと思うが、ここの立場としては、メリハリのある研究プロジェクトということで揃わざるを得なかった。産業のあり方については別に検討され我々のよりどころになることはないのだろうか。

 

[桑原]

それぞれの分野で異なるため、無いのではないか。あえてそこまでやらなくともこの紙はできるのではないか。この紙ができれば、馬場委員の仰る何ができて何ができないかが明確になるかもしれない。どこも低レベルで残るものはない。

 

[平尾]

先般も申し上げたが、腰を落ち着けて議論していくべきでないか。このプロジェクトは全ての分野を横断的に含む特殊な分野であり、全産業を代表して議論する場である。その根底にあるものとして、一貫して基盤と言ってきた。最近の政府の動きとして、成果を早く刈り取ろうという見方が多い。米国の例では、NASAなどの活動で長い時間をかけてストックしているベースを元に、10年間努力して成り立った。製造技術の面から製造技術を強くするための整備、インフラを国が旗を振っていただく、振りやすい環境にしていくことが重要。明治維新にしても、江戸時代の文化の高さが底流にあったと読んだ本で解釈していた。物事の成り立ちは、裾野があってその上に積み上げていき、強くなったときに裾野がなくとも立てるようになったら、また別の裾野を作るという、発展形態をする。基盤、産業のネット、リンク等の複層階にあるものを我々なりに議論し、全体的な因果関係を明らかにし、この国の産業をどのように強くしていくか、製造技術力をどのように活かしていくのか、全体を見て、腰を落ち着けて議論すべき。このプロジェクトは〆切に追われてことが多いが、せっかくの機会なので議論すべき。

 

[大山]

大きな危機感はわかる。失われた10年で株や土地が低落するなかで、マクロに言えば、製造業の就業者数、出荷額はほとんど維持されている。地域の地場産業と、ここで議論している新しい産業とほぼ半分で、非常に堅実な展開をしている。長期的にしっかりしている部分がある中で、製造業は新しいところにふれている。失われない10年で来ていて、かつ、新たに出発する面もある。これだけのメンバーが揃っているわけですから議論を進め、このレベルでは格調高くしていくということと思う。

 

[中島]

本来であれば、日本の製造業はどうあるべきかという議論、競争力をつけるためにはどのような技術開発が必要かという議論を進めるべきであるが、最初からそれはできない枠組みであった。論理的に整合性のとれない進め方になってきていると思うが、平尾委員が主張されていた、あるところからは力を入れてやろうということはみなさんのお気持ちと察する。

とりあえず、現実的なところで、9/5までに一次提案を出さなければならない。5年間の達成目標例に止めず、目標が達成されたことにより製造業がどうなるかを示唆するような表現を考えるということで、まとめざるを得ない。今日のご意見を尊重し組み入れるよう努力したい。8/30日までにご意見を頂きたい。

 

[事務局(鈴木)]

達成目標例を見直していきたい。メール等でご意見をいただきたい。

 

[桑原]

これは、毎年、見直すことになっている。今日の議論は深めようということと理解している。今回、間に合わなくとも、この委員会は継続していく。深めていきたい。

 

[中島]

次回は7日の17:00-19:00。

 

以上。

 

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