第2回総合科学技術会議議事要旨
(開催要領)
1.開催日時:2001年2月15日(木) 10:00〜11:07
2.場所:官邸大客間
3.出席議員
(議事次第)
1.開会
2.議事
(1)総合科学技術会議運営規則の一部改正について
(2)諮問第1号「科学技術に関する総合戦略について」について
(3)最近の科学技術の動向について
(4)その他
3.閉会
(配付資料)
(会議概要)
原案のとおり決定。
上記について、議員より以下の意見が出された後、笹川議員から、これらの議論を踏まえ、笹川議員と有識者議員で議論して答申案を次回の会議に提出する旨、発言。
(谷津議員)
農林水産分野の研究開発は、我が国の食料自給率の向上や地球規模での食料・環境問題の解決を図るために、積極的に取り組んでいくことが必要。特に、イネゲノムの解読については、我が国が中心となって推進。先日、筑波で開かれた国際コンソーシアムの会議においても、イネゲノムの解読の加速、高精度の解読の重要性がアピールされたところ。総合科学技術会議としても強力に推進して欲しい。かかる観点から、農林水産大臣の責務及び使命として、積極的に総合科学技術会議に参画させていただき、責任を果たしていきたい。
(平沼議員)
総合科学技術会議は、縦割りの弊害を排除し司令塔となるべきという考え方で設置。科学技術政策全般につき具体的政策を提示し、総合戦略も抽象的な作文ではなく実質的な内容を伴うべきものとすべきであり、リーダーシップを発揮することで内閣を中心とした科学技術政策の推進を実現していくことが極めて重要。政府研究開発投資を有効なものとするためには、科学技術システムの改革が不可欠。総合戦略において、科学技術システム改革の方向性について具体的提言をしていくことが重要。クローン技術等生命倫理の問題は総合科学技術会議が重要な役割を担う。生命倫理専門調査会では、人文社会科学、自然科学の英知を結集して、縦割りを排し、権威ある実体的な機関とすべき。委員の人選はポイントであり、研究推進の立場にない人をトップにするという思い切った発想や委員の半数以上を人文社会科学または民間人から出すこと等の配慮が必要。人選については本会議に報告をお願いしたい。また、事務局に外部人材を登用することも必要。
(川口議員)
環境分野は科学技術が非常に大きな役割を果たす分野。百年を見据えて環境技術を考えたときに、今、考えられていないようなシーズを育てることが重要。また、科学技術会議の答申を具体的に進めるため、例えば目標値を設定していくことが必要。企業として投資を確信できる分野であることを示していくことが重要。環境省としても、環境分野の科学技術には強い関心があり、できることを一生懸命にやっていきたい。
(大野議員代理)
副大臣の代理出席が認められたことは、副大臣制度の真意を生かすために意義があり、感謝。我が国の競争力が落ちているという評価がなされ、人口の減少が進む中、教育による質の高い労働力の確保とともに、全要素生産性を高めるために、科学技術に焦点をあてるべき。第一は、資源配分問題。競争的な資金配分を推進すべきで、競争的資金の増加、プロジェクトに対する透明かつ競争的な資金配分が重要。第二は、評価の問題。透明性の確保が重要。ピアレビューを進めるが、長老支配の打破、評価者の評価といった問題に取り組むことが必要。第三は、国際的な連携。ヒトゲノム研究も、米英仏独中と合同して進めている。7月には国際大学村がオープンするので、ここのオープン・スペース・ラボラトリーの活用も考慮して欲しい。
(桝屋議員代理)
高齢化社会が進む中、国民の健康確保は最重要課題。ヒトゲノム、遺伝子研究等による疾病の克服、狂牛病やC型肝炎の解明や治療方法の開発等を進める。雇用機会の確保という観点からも科学技術は重要。総合戦略の中では、今後、効果的・効率的な資源配分はテーマとなるが、これまで地方と連携して国民ニーズにきめ細かく対応してきたところであり、これを踏まえて是非とも参画させていただきたい。
(片山議員)
総合戦略はより具体的に個々の基本政策を示すべき。3月の答申に向けて十分な議論をしてほしい。今国会に行政機関政策評価法案を出したいが、その中で事業評価のモデルとして研究開発をとりあげようと考えている。この会議での議論と場合によってはクロスするが手法について明確化していき、結果を予算配分につなげたい。また、産学官の人、テーマ、金の交流をもっと活発化、流動化すべき。現在の取り組みはまだまだで、もっと大々的に流動化する仕組みが必要。地域科学技術の振興との連携も踏まえて欲しい。情報通信については、新IT戦略本部でもとりあげており、十分な連携をとりつつ特色をもった仕上げにすべき。
(高橋議員代理)
特に安心・安全で快適な生活のできる国を実現するためには、防災科学技術や輸送機器、GIS、ITS等の社会基盤分野の技術研究開発のさらなる推進とその成果を社会に還元することが重要。国土交通省としても住宅・社会資本及び交通分野における技術研究開発を強力に推進。
(若林議員代理)
科学技術予算は、近年着実に増加し、欧米主要国に遜色のない水準。平成13年度予算案においても、競争的研究資金の拡充、ライフサイエンスなどの戦略的に重要な分野への重点配分等、次期科学技術基本計画の方向性に十分目配り。我が国の財政が非常に厳しい状況にあることを踏まえ、研究開発投資の一層の重点化、効率化、透明化、さらには厳正な評価の徹底による質の向上を図ることが重要。
(井村議員)
閣僚議員の方々の貴重な御意見を参考にしてさらに議論したいと考えている。昨年、科学技術会議の下のポストゲノム懇談会やナノテクノロジー懇談会で12月に一応の報告をしたが、まだ不十分なので、専門調査会にWGをつくって4月までに具体的な重点分野を明確にしたい。我が国の研究費は仕組みが複雑。専門調査会を発足して評価と資源配分の仕組みを考えていきたい。
(前田議員)
21世紀ということで中長期的に考えるといろいろある。ゲノム科学の医療が進むと遺伝子に関するプライバシーの保護が問題になる。クローン技術は人間の尊厳に関する生命倫理の問題、植物ゲノムは食品の安全性の問題、情報通信はデジタルディバイドの問題の他に情報通信を利用した犯罪や固有文化の破壊の問題、ナノテクノロジーも省エネルギーになるが新たな環境汚染につながるおそれもある。中長期的な視野を見据えての5カ年の計画をつくっていくべきである。
(桑原議員)
20世紀には負の遺産がのこった。科学技術の負の側面を事前に解析して評価し、対策をうてるものはうっていくことが必要。対策をうてないものは、定量的に国民に示し注意していくべき。このような分析を行う科学、いわば社会科学、があってもいい。我が国においても先導的に導入していきたい。
(吉川議員)
科学技術政策に関する意思決定は難しい。追随から自ら開拓を行う時代になった。私の経験の一つを紹介する。ある専門家、科学者の集まりの中で、議論を重ねてあるプロジェクトを進めていくことを決めたが、現実の予算の問題が生じた。最後は専門家も技術的に不可能だったと言い始め、その意思決定は我が国では不十分だいうことになってしまった。つまり技術の問題と予算の問題が一緒になってしまったということ。まさに「政策のための科学」、「政策決定に役立つ科学」が重要で、科学者が科学的助言をし、政策として予算を実現するのは政治の場である。総合科学技術会議は政策決定者に対する提案者として責任を持つ内容をまとめることになる。その提案の基になる原案は、科学者、政府機関、民間、一般国民である場合もある。それを総合科学技術会議が集約すべきだが、未だメカニズムが不十分であり、これを考えていくことが重要。
(石井議員)
基本計画答申では、3つの国の姿をあげているが、この3者相互の関係ははっきりせず、世界のためにいかに貢献するのかが見えていない。3つの国の姿を統合する1つの理念を打ち出すと日本の科学技術政策の意味が国際的に理解されやすい。世界にとっての日本はどういう役割を果たす国なのか。日本は、非西洋で唯一独立を保ちつつ発展を図ってきた国。その過程で固有の文化と外来文化をどう共存させるのかで苦闘してきた。グローバリゼーションが進む中、世界の文化の多様性は危機に瀕しており、このような観点から、我が国の果たす役割あり。この貢献のためにこそ競争力をつけプレゼンスを高めなければならない。
(白川議員)
貢献だけではなくて信頼される国になるべき。科学技術はいざしらず、経済的にはかなり国際貢献してきた。しかしながら信頼される国にはなっていない。科学技術においても世界から信頼される国になることを一つの柱として入れたい。
(志村議員)
石井議員、白川議員に賛同。国際化の議論は盛り込まれてはいるものの、建前論におわっていて、具体的各論には触れていない。世界の中の日本の視点が重要。「総合」ということがこれまでとの違いであり、建前に終わらないようにしたい。
(黒田議員)
世の中のスピードが速くなっている。IT、ライフサイエンスも社会への影響は速いスピードできている。一方、新たな技術が海外から出てくると、我が国の研究の方向性にも影響する。世界に対してアンテナをはって、フットワーク軽く動いていけるようにすべき。基本方針を作るにしても軌道修正にうまく対応していく必要がある。
井村議員から資料3(PDF)に基づき説明。
原案(PDF)のとおり決定。