総合科学技術会議の概要
メンバー構成
総合科学技術会議(本会議)
専門調査会
答申・決定・意見具申等一覧
パブリックコメント
大臣・有識者会合へのボタン
有識者議員の活動報告へのボタン
その他
科学技術政策ページの項目
科学技術基本計画
科学技術関係予算について
組織案内
パンフレット
5分でわかる最新の科学技術
科学技術政策トップページへ

第15回総合科学技術会議議事要旨

 


(開催要領)

1.開催日時:2002年2月28日(木)17:30〜18:30

2.場所:総理官邸大客間

3.出席議員

 議長 小泉 純一郎 内閣総理大臣
 議員 福田 康夫 内閣官房長官
尾身 幸次 科学技術政策担当大臣
片山 虎之助 総務大臣
塩川 正十郎 財務大臣 (代理 尾辻 秀久 財務副大臣)
遠山 敦子 文部科学大臣
平沼 赳夫 経済産業大臣
吉川 弘之 日本学術会議会長
石井 紫郎  
井村 裕夫  
桑原 洋  
白川 英樹  
松本 和子  
吉野 浩行  
(臨時)    
 議員 坂口 力  厚生労働大臣 (代理 宮路 和明 厚生労働副大臣)
武部 勤 農林水産大臣
大木 浩 環境大臣
中谷 元 防衛庁長官



(議事次第)

1.開会

2.議事

(1)知的財産戦略専門調査会について
(2)平成15年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針の作成について
(3)産学官連携の推進について
(4)最近の科学技術の動向について(燃料電池自動車開発について)
(5)その他

3.閉会



(配付資料)

資料1 知的財産戦略専門調査会の今後の進め方(PDF)
資料2 平成15年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針の作成について(PDF)
資料3 産学官連携の推進について(PDF)
資料4 最近の科学技術の動向について(月例科学技術報告)(PDF)
資料5  第14回総合科学技術会議議事録(案)(PDF)



(会議概要)

1.議事概要

(1)知的財産戦略専門調査会について

 知的財産戦略専門調査会における今後の検討の進め方等について、資料1(PDF)に基づき、井村議員から説明。井村議員を専門調査会長として、資料1のとおり調査・検討を進めることとした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

(桑原議員)
 明確に定義されている財産権も大きな問題だが、昨今では、日本のノウハウが非常に安易に海外に流出をしているということが大変問題である。ノウハウの流出の防止についてしたたかに考えていく必要がある。

(井村議員)
 知的財産には、ノウハウや材料等未だ権利化されていないものもたくさんある。これらをいかなる範囲でどの様に保護していくのかということを検討する必要がある。



(2)平成15年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針の作成について

 平成15年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針の作成について、資料2(PDF)に基づき、井村議員から説明。
 今後、随時総合科学技術会議に諮りつつ、6月を目途に平成15年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針の作成に取り組んでいくこととした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

(遠山議員)
 サイエンスに新しい分野を切り開いて真のブレイクスルーに繋がる発明、発見を生み出すためには、真に自由な発想による研究を行うための環境を整えることが重要である。このためには競争的資金を獲得するに至っていない萌芽的な研究を含めて研究の多様性を保障する仕組みが不可欠である。具体的には、英国の大学や米国の州立大学で見られるような、基礎的な研究活動を支える基盤的研究資金と競争的に受け入れる研究資金の2本立てからなるデュアルサポートシステムが望ましい。
 文部科学省では、科学技術・学術審議会等の場で、平成15年度の資源配分の方針に盛り込まれるべき事項について検討中であり、適宜総合科学技術会議にも報告したい。具体的には、基礎研究、重点分野、宇宙、エネルギー等の国家の存立基盤となる研究開発、人材、国際交流、人文・社会科学について検討している。

(白川議員)
 予算の有効な資源配分を行うためには、誰が何をやっているのかをよく知る必要がある。とりわけ基礎研究は、個人の発想に基づいて研究を行っているので、何を研究しているのか見えにくい。我々が幾ら目を見開いていても取り上げるのが難しいため、こういう研究については、例えば学会で注目している研究を我々に知らせてくれる等のシステムを確立してほしい。現在、研究者のデータベースが出来つつあるが、今後はそれに加えてこういうシステムが大切になる。

(武部議員)
 私もBSE問題を通して、最近の国民の健康や食生活に対する関心の高まりを痛切に感じており、科学技術がその関心に的確に応えることが重要だと認識している。平成15年度の科学技術に関する予算、人材等の資源配分の方針の検討に当たっては、国民の健康や安全・安心な生活の確保に資する技術開発を重要課題に位置付けることが必要である。
 具体的には、有害微生物やカビ毒の高感度・迅速検出技術など、食の安全確保技術、医療技術、がん予防機能を持つお茶のカテキン、ミカンのβ−クリプトキサンチンなど、機能性食品等の技術開発が重要である。

(宮路議員代理)
 最近の国民の健康や、安心・安全な生活の確保に対する関心は非常に高まっている。例えば、BSE問題では、牛をと殺しないでも感染しているかどうか判別できる技術の開発ができないか。また、最近急増している自殺の背景となっている心の健康についての研究も非常に大切である。こうした応用的な研究開発についても重要課題として位置付けていただきたい。

(桑原議員)
 経済活性化が非常に急がれる中で、科学技術は基礎研究を始めとして比較的中長期的に効果をもたらすものという認識があるが、最近では情報通信やナノテクノロジーなど、科学技術の開発が産業化へ短期間で繋がるものが多くなっている。平成15年度の予算編成に向けて、これから例えば3年あるいは7年のフレームで経済の活性化に寄与するものの効果を定量的にとらえて、重要な研究開発を加速する等について検討していくべきである。

(石井議員)
 萌芽的な研究を育むための経費は、国立大学等においては基盤研究費という形で措置されてきたが、だんだん清掃費等の運営経費にまわさざるを得なくなった。基盤研究費が実際に基礎研究を支える為に使われているのかどうかは大きな問題であり、研究環境をしっかり構築するためには重要な検討課題である。今後、科学技術システム改革専門調査会等でもじっくり検討していきたい。

(井村議員)
 基盤的研究費の問題は非常に苦慮している。過去十数年間ほとんど増えていない。一方、光熱水費等の維持管理費等が増えてきており、実質的に教育研究にどのぐらいのお金が使われているのかを調査し、今後の基盤的な研究費の在り方を議論する必要がある。
 重点課題については、基本的には昨年9月に決定した分野別推進戦略にのっとっていくこととなるが、急速な学問の進歩に伴い、次々と新しい重要な課題が出てくるので、随時入れていく必要があると考えている。そういう面で重要な問題があれば是非ご指摘いただきたい。

(中谷議員)
 平成15年度の方針については、是非基礎研究推進のための何らかのメッセージを発していただきたい。基礎研究のような日の当たらない分野についても、研究者にやる気と元気を与えることも必要だと思うので、その位置付けとメッセージを検討してはどうか。



(3)産学官連携の推進について

 尾身議員から、産学官連携の推進について、資料3(PDF)に基づき説明。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

(吉川議員)
 もともと大学は基礎研究を行い、産業はその応用をすると言われていた。高度成長時代には、「基礎研究ただ乗り論」といって、日本は外国で行われた基礎研究を持ってきて、日本で産業化して製品にして売って、もうかったと言われていたが、これは誤りで、「製品ただ乗り論」と言った方が正しい。つまり、外国にあった未成熟な製品を日本に持ってきて、生産性を高めたり信頼性を上げていい製品にして売ったということである。基礎研究を市場に出せる製品の卵までもってくるには大変大きな研究人材や資金、時間が必要であるが、日本ではその努力に気が付いていなかった。その努力は大学だけでも、産業だけでも出来ない。
 産学共同とは、この部分を日本に根付かせるために必要であり、日本に独特の研究のやり方をつくるためには産学共同しかないと気付き始めた。大学では大変多くの産学共同プロジェクトが始まると共に、日本学術会議等でも新しい産学連携の在り方の理念を作ろうという動きが出ており、サミットの影響は非常に大きく進展している。

(松本議員)
 大学発のいい芽になる研究があっても、それが商品となるまでに相当の努力が必要であるが、日本は従来その部分が弱かった。このため、日本の大学がせっかく研究開発した芽を日本の企業ではなく、外国の企業にライセンスするという形で売られてしまい、それが外国で製品になって日本に帰ってくるという状況が非常に起こっている。そうならないためには、産学連携は日本にとって非常に大事なことであり、その仕組みをつくっていかなければならない。

(遠山議員)
 数次にわたる産学官連携サミットで活発な議論が行われ、関係者に連携の機運が醸成されつつあることは大変すばらしい。更に6月に産学官連携推進会議の開催は、その流れを促進すると思う。このような機運を踏まえ、文部科学省としても、大学を核とする産学官連携を着実に進めていきたい。
 大学側の姿勢、大学人研究者の意識も随分変わってきており、また産学官連携に必要な条件も整いつつある。私共としても、これまでに指摘された課題等について実務的、継続的に論議を行っていくことが必要と考えており、全国の国公私立大学の関係者による「大学発イノベーション創出推進会議」を開催すると共に、大学の実務者から成る定期的な協議の場を形成し、これらによって大学発イノベーション創出の環境を整備する予定である。今後とも大学の自主性、自律性を尊重しながら産学官連携を一層強力に推進していきたい。

(吉野議員)
 6月に予定されている産学官連携推進会議で、展示ブースの設置等が予定されているのは大変良いことである。単に情報のみをインターネット等で知るということにとどまらず、実際に人と人が"face to face"でディスカッションや、コミュニケーションをすることが非常に効果的だと思うので、是非、展示ブースを積極的な意見交換の場として活用してもらいたい。



(4)最近の科学技術の動向について(燃料電池自動車開発について)

 吉野議員から、「燃料電池自動車開発」について、資料4(PDF)に基づき説明。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

(大木議員)
 燃料電池自動車の開発は、まだ実用の一歩手前ぐらいのところと思うが、京都議定書の第1期の約束期間は2012年までなので、いろいろとご努力いただいければ十分に使えるものが出てくると期待している。

(吉野議員)
 ホンダでは少なくとも年間3桁の億円以上、3桁のエンジニアを投入して必死になって開発している状況である。

(小泉総理)
 私はこの前、国会の前庭で各社の燃料電池自動車に乗った。普通の車と大きさもたいして変わらないし、快適で、スピードも出る。環境にも優しい。燃料が水素、酸素なので無限にある。究極の車だと聞いていたので、こんなに早く実用化できるとは思わなかった。

(吉野議員)
 実用化にはまだまだ時間が掛かる。

(小泉総理)
 2003年に実用化を目指すとなっている。今、1〜2億円かかるとのお話でしたが、来年に1,000万円で売り出すという話を聞いているが。

(吉野議員)
 トヨタさんがそうであるとすれば、大変な赤字覚悟ということになります。

(小泉総理)
 政府の公用車は全部低公害車に切り換えるが、もし燃料電池自動車が1,000万円ぐらいだったら買う。そうするとますます普及する。今、世界でしのぎを削っているが、エネルギー政策から考えても、環境政策から考えても、大変重要な技術革新だと思い期待している。

(吉野議員)
 何とか世界にさきがけて実現したいと思っている。



2.議長(内閣総理大臣)しめくくり発言

 これから研究開発の成果を知的財産として戦略的に活用することも重要であり、総合科学技術会議では、知的財産戦略会議とも十分連携を図って議論していただきたい。
 特に有識者議員におかれては、科学者、専門家として、経済の再生をもたらす研究開発の推進に向けて、戦略的に重要な研究開発課題の抽出や大学改革にもつながる競争的資金の改革・拡充など、具体的な方向性を今後示していただきたい。
 また、6月に京都で開催される産学官連携推進会議を是非とも成功させなければならないと思っている。
 燃料電池自動車の重要性はよく認識している。これからも期待しているので、よろしくお願いする。
内閣府  科学技術政策・イノベーション担当
ウェブサイト・アクセシビリティについて 個人情報保護方針について
東京都千代田区霞が関3-1-1 中央合同庁舎第4号館 TEL:03-5253-2111(代表)
(C) Bureau of Science,Technology and Innovation Policy,Cabinet Office, Government Of Japan. All Rights Reserved.