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第30回総合科学技術会議議事要旨

 


(開催要領)

1.開催日時:2003年7月23日(木)17:30〜18:30

2.場所:総理官邸4階大会議室

3.出席議員

   
   議長 小泉 純一郎 内閣総理大臣
   議員 福田 康夫 内閣官房長官
 同
細田 博之 科学技術政策担当大臣
 同
片山 虎之助 総務大臣
 同
塩川 正十郎 財務大臣
 同
遠山 敦子 文部科学大臣
 同
平沼 赳夫 経済産業大臣
 同
黒川 清 日本学術会議会長
 同
阿部 博之  
 同
井村 裕夫  
 同
大山 昌伸  
 同
黒田 玲子  
 同
松本 和子  
 同
薬師寺泰蔵  
 同
吉野浩行  
  (臨時)    
   議員 坂口 力 厚生労働大臣(代理 木村 義雄 厚生労働副大臣)
 同
亀井 善之 農林水産大臣
 同
鈴木 俊一 環境大臣
 同
石破 茂 防衛庁長官(代理 赤城 徳彦 防衛庁副長官)



(議事次第)

1.開会

2.議事

(1)科学技術に関する重要事項について
 ・競争的研究資金制度の評価について
 ・ナノテクノロジー・材料分野の産業発掘の推進について
(2)平成16年度の科学技術関係予算の概算要求に向けて
(3)科学技術関係人材専門調査会の設置等について
(4)最近の科学技術の動向(宇宙からの地球環境観測について)
(5)その他

3.閉会



(配付資料)

資料1−1 競争的研究資金制度の評価(案)【概要】(PDF)
資料1−2 競争的研究資金制度の成果事例(PDF)
資料1−3 競争的研究資金制度の評価(案)(PDF)
資料2−1 ナノテクノロジー・材料分野の産業発掘の推進について(案)【概要】(PDF)
資料2−2 ナノテクノロジー・材料分野の産業発掘の推進について(案)(PDF)
資料3 平成16年度の科学技術関係予算の概算要求に向けて(PDF)
参考資料 ライフサイエンス分野研究の新展開(概要)(PDF)
資料4 科学技術関係人材専門調査会の設置等について(案)(PDF)
資料5 宇宙からの地球環境観測について(PDF)
資料6−1 科学技術振興調整費の平成13年度に開始したプログラムの中間評価及び
効果的・効率的活用方策について(PDF)
資料6−2 科学技術振興調整費の平成13年度に開始したプログラムの中間評価について(案)(PDF)
資料7 第29回総合科学技術会議議事録(案)(PDF)



(会議概要)

1.議事概要

(1)科学技術に関する重要事項について

 「競争的研究資金制度の評価について」を、資料1−1(PDF)1−2(PDF)1−3(PDF)に基づき、大山議員から説明。「ナノテクノロジー・材料分野の産業発掘の推進について」を、資料2−1(PDF)資料2−2(PDF)に基づき、阿部議員から説明。「競争的研究資金制度の評価(案)」、「ナノテクノロジー・材料分野の産業発掘の推進について(案)」については、原案通り決定し、総合科学技術会議から小泉総理及び関係大臣に対して意見具申することとした。




(2)平成16年度の科学技術関係予算の概算要求に向けて

「平成16年度の科学技術関係予算の概算要求に向けて」について、井村議員、大山議員、薬師寺議員、阿部議員から説明。今後、関係府省においては、科学技術関係の概算要求の準備を積極的に進めていただくこととした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

【平沼議員】
 最大の問題は日本の経済を元気にし、デフレを克服することである。デフレを克服するということは、不良債権の処理と構造改革を行うだけではだめだと思っており、いかに経済を活性化するかが車の両輪で非常に大切なことである。
 その中で、技術革新をしっかりすることが、日本が元気になる道筋をつけることになる。ですから、先ほどのめり張りのある評価は当然であり、その評価で将来性がないものは大胆にカットするとか、重点的に予算配分をしっかりして、経済活性化に結び付けていく必要がある。ポイントは、繰り返しになるが、技術革新であり、技術に根差した一つの大きなパワーであり、経済産業省としてもそのことを旨として頑張っていきたい。

【遠山議員】
 来年度の概算要求に向けての考え方の中で、基礎研究や重点4分野について、主要な柱を述べており、その他も同感する点が大変多い。これを参考にしながら来年度予算概算要求に向けてしっかり考えていきたい。
 特に将来の日本の科学技術の振興、科学技術創造立国のかなめとなる大学については、先般国立大学法人法が通り、来年4月から国立大学は研究でも教育でも非常に活性化すると思う。文部科学省としては、法人化を踏まえた研究開発の活性化を図りたい。
 厳しい財政状況の中であるが、シーリングの決定に際しては、科学技術関係予算の拡充について特別の御配慮をお願いしたい。

【片山議員】
 重点4分野について、今年度の予算では余りシェアが変わっていないという指摘がある。1%増えているが、重点といったら1%ではないと思うので、シェアについても十分お考えを賜りたい。情報通信について大山先生からお話があったが、課題はe-Japan 戦略IIでも言っているとおり利活用である。インフラはできているが、利用が極めて低い。高速道路ができたが、なかなか走らない。走るドライバーもいないので、ドライバーをつくるのと車を走らせることが重要である。そのためには、今度e-Japan 戦略IIの7分野について応用を行うことが重要である。医療、食、行政あるいは教育などをするためには、どこでもネットワークシステム、つまりユビキタスネットワークの利活用増進をすることが必要である。そこで今、実証実験をしているので、予算を十分にお願いいたしたい。
 それから、地域科学技術の振興が一番必要であるので、現地でいろいろなことをする。例えばけいはんなの研究学園都市ではCRLがオープンラボをしており、大変民間の方にも評判がいいし、大学の関係の方とも共同研究をしており、実用型の予算をお願いしたい。
 それから、最後のページで、安全が3階建ての一番上にある。最初が基礎・基盤研究、経済の活性化、やはり科学技術の開発には安心・安全というイメージがなければいけないので、これをどこか文章の中に入れていただきたい。3階建てだけでは困る。科学技術の開発、進歩、普及と一緒に安全・安心が不可欠であることの御指摘がいただければ大変ありがたい。

【亀井議員】
 農林水産省としては、必要な予算要求を行うとともに、研究開発のシステム改革にしっかり取り組みたい。特にイネゲノムの研究は、我が国が世界をリードしており、昨年の塩基配列解読後も世界で初めて3万個以上の有用遺伝子を解明している。その結果は、サイエンス誌に発表されるなど優れた実績を上げてきている。
 今後はこうした成果を活用し、花粉症に予防効果のあるコメなど実用化・産業化につながる研究開発に力を入れたい。また、農林水産物等のバイオマスを工業原料やエネルギーに総合的に利用する技術や地域で循環利用するシステムの開発に取り組みたい。

【木村厚生労働副大臣】
 がんは死亡原因のナンバーワンであり、多くの方が本当に苦しんでいる。この分野に特に力を入れ、がんなどの疾患に関連したたんぱく質の解析研究などの実施を通じ、ゲノムネットワーク研究の推進を図っていきたい。
 是非、厚生労働省の予算もお願いしたい。

【井村議員】
 安心・安全については確かに非常に大きな課題であり、薬師寺議員を中心として勉強会をしている。それを明年度の予算に反映するようにしていくよう、これから具体的な課題について検討したい。今日はヒトのゲノムについて話したが、イネゲノムも非常に大きな成果であり、ゲノムのネットワークをイネでもやっていかないといけない。それによって有用な遺伝子が見つかっていくと思う。財務大臣にお世話になりますので、よろしくお願いしたい。

【塩川議員】
 井村先生からずっと長い間、提案の繰越し明許を簡単にできるようにと言われていた。これを活用すれば無駄遣いをしなくなると思う。そこで、来年度から新しい予算の組み方を考えていきたい。名称はモデル予算で、3年とか4年とか、プロジェクトをこれに対する予算を付ける方式として採用していきたい。そうすると、繰越し明許の手続をしないで数年間ですることになる。その代わり、毎年の評価をきちんとしてもらわなければならない。それも兼ねてやりたい。
 例えば、16年度は研究の対象について総合科学技術会議で考えていただき、細田大臣と相談させていただきたい。



(3)科学技術関係人材専門調査会の設置等について

 「科学技術関係人材専門調査会の設置等について」は、資料4(PDF)に基づき井村議員から説明。「科学技術関係人材専門調査会の設置等について(案)」については、原案通り決定し、総合科学技術会議から小泉総理大臣に対して意見具申することとした。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

【遠山議員】
 本方針で是非とも意義の深い中身で御議論するようにお願いしたい。
 一粒万倍というのはまさに教育こそそれだと思う。科学技術という角度も大事であるが、日本全体の人材育成ということの大事さを背景に置き、是非とも実りある御議論をお願いしたい。



(4)最近の科学技術の動向(宇宙からの地球環境観測について)

「宇宙からの地球環境観測について」を、資料5(PDF)に基づき薬師寺議員から説明。
 本議題に関する議員の意見は以下のとおり。

【遠山議員】
 日本は地球観測について世界水準を抜いている国の一つだと思う。具体的には、1つは衛星を使ってのデータを集積していること。もう一つは、海洋科学技術センターが持っている世界最高の地球シミュレータにより、海面の温度等の詳細なデータを集積していることである。
 それらを背景に、今度ワシントンで開かれる地球観測サミットに招待されており、調整中ではあるが、出席したいと思っているところである。
 総理がエビアンサミットにおいて的確に主張し、来春に日本で東京閣僚級会合が行われる。そこで国際的な連携を強化する計画を取りまとめることになっているので、今回のワシントンでの我が国の主張は大変大事なポイントになると思う。そのことを自覚し、各省庁の御協力を得ながら十分準備して臨みたい。
 そして、来春の東京閣僚級会合で反映していくようにし、日本のプレゼンスを高めながら世界の地球観測に貢献していく足取りを整えたいので、御理解と御支援をよろしくお願いしたい。

【鈴木議員】
 地球温暖化の問題について、環境省としては、宇宙開発事業団と協力し、衛星搭載用観測センサーの開発運用に取り組んでいる。
 観測は継続して行うことが重要であり、地球観測サミット等を通じて各国との連携強化をしていきたい。
 地球温暖化の将来予測の精度の向上、京都議定書による国際的な取り組みの評価のための重要な知見を得ることを目指し、今後とも環境省としても地球環境観測の充実を図っていきたい。




(5)その他

「科学技術振興調整費の平成13年度に開始したプログラムの中間評価等について」を、資料6−1(PDF)6−2(PDF)に基づき、細田議員より説明。「科学技術振興調整費の平成13年度に開始したプログラムの中間評価について(案)」を、原案どおり決定することとした。



2.議長(内閣総理大臣)しめくくり発言

 平成16年度予算については、めり張りをつけて、今年はSABCをしていただきましたが、来年度に向けても、是非一粒万倍という言葉が出ましたが、めり張りをつけていただきたい。片山総務大臣が言われたが、1%ではしようがない。増やす方は簡単だが、減らす方が難しい。科学技術は増やす数少ない予算だから、もう少しめり張りをつけていただきたい。
 それと、若い人が最近科学技術の分野に出てこない。人材育成についてもやはり人材が一番大事ですから、議論していただいていい対策を考えていただきたい。
内閣府  科学技術政策・イノベーション担当
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